
▲ 2015年3月26日の OPB より。
アメリカの西海岸で「飢餓状態のアシカたちが次々と打ち上げられている」ことについては、
・カリフォルニアに打ち上げられたアシカの子どもの数が1800頭に達する
2015年03月25日
という記事でご紹介したことがありましたが、今度は、同じアメリカ西海岸でも、カリフォルニアより北のコロンビア川の船着き場の上に、最低でも 2,000頭以上のアシカが「積み重なるように集まっている」という光景が出現しています。
その異常さは、下の空中撮影の写真などでも明らかですが、船着き場の上にいるのは、すべてアシカで、そのほとんど、あるいは全部が空腹状態で弱っているというのです。

どうして、アシカばかりがこのように空腹状態になっているのか。
原因はわからない面が多いようですが、ひとつとして「アシカが増えすぎて、エサが足りなくなっている」ことにもあるらしく、そのことについて報じていた記事をご紹介します。
コロンビア川は下のあたりを流れている川です。

Hungry Sea Lions Pile Into The Columbia River
OPB 2015.03.26
飢餓状態のアシカがコロンビア川で重なり合っている
カリフォルニアのアシカたちが、アストリアのイースト・ムーリング係留施設のボードの上に、文字通り、積み重なっている。
彼らは船付き場のボードのあらゆる場所の上におり、ボードのスペースが足りなくなり、アシカたちは上へ上へと積み重なるように、ぐったりと横たわっている。

最新の集計では、その数は 2,340頭に上り、オレゴン州の魚類野生生物局の局員によると「気が遠くなるような数となっている」という。
カリフォルニアの海岸に空腹のアシカが次々と打ち上げられていることが知られているが、今回のコロンビア川の出来事と、カリフォルニアで起きていることは関係があると、アメリカ海洋大気庁( NOAA )の科学者、ネイト・マントゥア( Nate Mantua )氏は語る。
マントゥア氏は、アラスカ湾からメキシコまで至る太平洋の異常に暖かい海水温度が、魚やアシカに影響を与えているという。アシカは魚を海の中で食べる。
そして、現在、アシカの主要なエサであるイワシが極端に減少している。
その一方で、何百万というワカサギが今年、コロンビア川に戻った。
マントゥア氏は、「オスのアシカは、春と冬に海岸を移動している。アシカたちは、おそらく、通常の場所でエサが取ることに苦労しているのかもしれない」と述べている。
そして、生物学者によれば、コロンビア川の下流域で、アシカの生体数が大幅に増えていることも、エサ不足と関係しているのではないかという。
ワシントン州の魚類野生生物局のスタッフは、今年2月、コロンビア川で 6,422頭の非常に大きなアシカの集団を撮影した。アシカたちは、ワカサギを追って移動していたが、過去2年間で目撃された中では最大の数だ。
スタッフは、「カリフォルニアのアシカの数はかつてないほど多い」と言い、その生息数は 300,000頭にのぼっているとした。

・ 撮影されたコロンビア川の 6,000頭以上のアシカ。
魚類野生生物局のスタッフが問題としているのは、コロンビア川に春に現れるサーモンが、アシカたちによって食べ尽くされてしまうのではないかという懸念だ。
オレゴン州とワシントン州は、サーモンを保護するためにアシカを殺す許可を受けている。
また、米国議員のカート・シュレイダー( Kurt Schrader )氏をはじめとした議員たちは、魚を守るために、先住民族たちにアシカを殺す許可を与えるための新しい法案を提出している。