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2009年07月01日


文字通りの"異常"な気象と干ばつ



こんなニュースがありました。

» アルゼンチン 干ばつで1世紀来初めての小麦世界市場から撤退の可能性

今回の世界的な干ばつの深刻さが短いスパンでのサイクルのものではないことが、このアルゼンチンの小麦のニュースでわかる気がします。「1世紀来」という単語が入るタイトルからしてすごみがあります。

現在、小麦価格(先物)自体は急落していますが、これはアメリカ農務省の「小麦はたくさん収穫できるし、備蓄量にも何の問題もない」という根拠の乏しい発言によるもの。

しかし、農務省がどう言おうと今後、世界の食糧事情はかなりシビアになるものと思われます。

上のニュース記事の中で印象的なのは、農業輸出国であるブラジルが「小麦の輸入国になっている」ということで、これは、ブラジルが「中国に対しての最大の大豆の輸出国である」という点などから見ても、何ともやややこしい話ですが(農業情報研究所のこちらの5月21日付けの記事にあります)、今、世界では、食糧生産国同士で食糧を輸出入し合っている状態のようで、じきに「食糧の生産していない国はお払い箱」ということになるかもしれないです。

経済が機能している今は、日本などの農作物を生産していない国でも何とか食べ物を確保できているわけですが、もう少し時代が先に進んで、国際的な決済などに混乱が出てくると、国としての食糧の確保は非常に厳しくなるかもしれません。


この原因は基本的に干ばつによるものですが、現在も歴史的な干ばつが全世界で進行しているようです。それは、異常ともいえる気象がほぼ世界全域を覆い尽くしていることからもわかります。

最近のニュースだけでも、世界の気候はこんな感じです。

・インド 熱波続きのインド、停電と断水が追い打ち 最高気温は48度に

・中国 各地で気温40℃超え

また、中国は深刻な水不足が全国に及んできているようです。(中国、3分の2の都市が水不足

・アメリカ  米中南部に熱波、ヒューストンで史上最高40度

アメリカは、以前にも「記録的干魃 経済むしばむ 加州、農業マヒで失業者急増」というニュースを紹介したことがありますが、カリフォルニアやテキサスなどでは干ばつが進行中のようです。

・パキスタン 熱波のパキスタン、連日気温50度以上で数十人が死亡


など、これだけ見ると「暑い」ということと「水不足」ということが目に付きますが、たとえば、ブラジルに見られるように、本来、雨がよく降る北部では干ばつ、そして、雨が降らずに砂漠化が懸念されていた南部では歴史的な大洪水というように、気候はすでに単純ではなくなっています。

異常な気象状態に突入していることは、日本の今の気候を見るだけでもわかるのではないでしょうか。水不足と激しい豪雨が繰り返しているのをニュースなどでも見ることがあると思います。


理由はともかく、世界の気流や海流が変化していきているのは確かなようで、今後も「今まで雨が降らなかった場所で洪水が起きたり(昨年のイエメンの洪水のような)、水不足など経験したことのなかったような地域で、まったく雨が降らなくなる」といったこともまだまだ他に出てくるような気がします。

予防的な対策はある程度は可能だとしても、実際には天候や天変地異に人間はほとんど対抗できない(降る雨を降らなくする方法や、暑さを低くするような方法はないということです)わけで、個人の覚悟と、食糧に関しての防衛くらいしか今はないと思います。

「今は」というのは、いずれは農業と食べ物に関しての新しい科学がきっと出てくると思いますので・・・。
ずっと後かもしれないですが・・・。


食糧の問題は干ばつだけが問題ではなく、経済不況や銀行の貸し渋りによる農家のダメージ、あとはまあ・・・アメリカのモンサント社のような暗い問題もあるわけですが、しかし、基本的には環境変動が一番の問題だとは思います。このまま気候の異常が進むと、個人の自給自足的な農業まで破壊され兼ねないからです。(モンサント社はこちらこちらの動画など参照)

今回の食糧危機というか、食糧に関する問題は根が地球の環境変動なので、相当長引く可能性もあるかもしれません。

仮に、先日書いたようなこと、つまり、地球が現在寒冷化の中にあるなら、そのピークとされる2035年を境にして、さらに先、つまり、数十年は食糧に関して厳しいことになる可能性はあるように思います。

先日、こちらのコメント欄で紹介していただいた「食糧争奪戦争」という本を少し読んでいるのですが、アメリカでさえ、食糧配給券(Food Stamp)で食べている人が3000万人以上いるということに驚きました。しかもそれが昨年の12月の話。食糧配給券が機能しなくなるほどの状態になると、いよいよ「先進国での餓死の多発」というものが現実味を帯びてきます。

食糧自給率が非常に高いアメリカでも先はわからないわけで、経済が疲弊した時には、食糧自給できない国からは食糧は消えていくのだと思います。最近、第二次大戦中の食糧事情を書いた「戦下のレシピ」という本も読んだのですが、食べ物が消える時はあっという間に消えるようです。


解決策は・・・食べなくてもいい人間になるとか、霞を食べて生きていけるようになるとか・・・(苦笑)。それくらいですかねえ。打つ手はなさそうであります。


上のそれぞれの本は楽天などにあります。

食糧争奪戦争

戦下のレシピ



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