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2009年08月05日


食糧クラッシュ Vol.2(海の惨状)

8月に入りましたが、日本国内の全般的な日照不足は相変わらずのようで、そんな中で台風が接近する時期となってしまいました。作物の生育状況も土壌そのものも不安定な状態で、仮にいくつかの台風が直撃すれば、その土地の農業はかなり厳しいことになると思われます。


ちなみに、前回記事もそうですが、タイトルに「食糧」と入れているのは、これらの問題が時期はともかく深刻な食糧問題を日本にもたらすと考えているからです。

これはインターネットで言われるような陰謀だとか何とかだとは全然関係ありません。

食べ物そのものが地球の環境的な要因で消えていくというわかりやすい話です。
今までの地球の歴史で何度かあった繰り返しに過ぎませんが、(少なくとも日本では)食糧が消えていく様子が、かなり現実的になってきたとワタシには感じます。


農業の問題の一方で、西では壊滅的な赤潮が発生していて、漁業の問題が起きています。

» 有明・八代海で広範囲に赤潮…養殖ブリ大量死(8/1 読売新聞)

これは、現地の漁業者が「こんなに大規模な赤潮は見たことがない」と絶句するほどのものだそうで、しかも、被害は拡大していっているようです。

このこと自体の直接的な影響というより、「かつてないような赤潮が発生して広がっていっている」ということはわりと深刻だと思います。海がいろいろな意味で変わってきていることを示しているのかもしれません。


また、赤潮だとか不漁というのとは違うニュースなのですが、こんな変なニュースがありました。



明石のタコ豊漁の謎


» 明石タコ豊漁、例年の2倍「海底タコだらけ」(8/1 読売新聞)

要するに、「タコがたくさんいる」ということなのですが、上のニュースでは、その原因を

 > 暖冬で春先の水温が高かったためとみられ

とあるのですが、どうも合点がいかない部分があります。

以前、コメントでいただいて知ったのですが、今年の日本では、「太平洋側で海水温が高く、日本海側で海水温が低い」という現象が非常にハッキリしています。
気象庁の日本近海 日別海面水温で「平年差」で見てみると、8月3日ではこうなっています。

temp-japan-sea.jpg

真ん中のグレーの部分が日本列島で、色がついているのが海。赤い部分が例年より海水温が高い海域で、青い部分が例年より海水温が低い海域です。

太平洋側では平年より高く、日本海側で平年より低いという差が見てとれます。
「日本近海 日別海面水温」で他の年などを見てみるとよくわかりますが、今年はこの点に関しては「異常」(通常とは異なる)といえます。

このこと自体が今後の風や気象に影響がありそうではあるのですが、今回はこのことはともかくとして、上の記事にあるように「春先の明石の水温は高かったのか」ということを見てみると、平年との差ではそうでもないことがわかってきます。


兵庫県明石の明石海峡は大体このあたりです。
明石のタコたちはここで育ちます。

akashi-1.jpg


以下が関西周辺の春頃の平年との海水温度差。
(それぞれ月の初めの日のものです)

明石海峡の場所はちょうどグリッドの縦横線がクロスしているちょっと下です。

2009年3月

2009-03.jpg


2009年4月

2009-04.jpg


2009年5月

2009-05.jpg



これを見る限りでは、明石海峡近辺は春先、特に平年比で海水温が高くなってはいないと思われます。4月5月は平年よりむしろ海水温は低くなっています。

なので、タコが異常に増えている原因は海水温だけの原因ではないようです。
これはタコの生態とかも知らないと分からないことなのでしょうが・・・(知りたい)。

どちらかというと、昨年の香川県でのタコの大漁の時の県水産課の担当者の人の言葉、「豊漁の詳しい原因は不明」という方がしっくりとはきます。


あと、不漁のニュースは毎年何らかの形であるものなので、それが特に何か珍しいというわけではないですが、今年はこういうものが極端な不漁となっているようです。

» カツオ不漁に泣く 水揚げ、平年の半分以下(和歌山 - 5/8 AGARA 紀伊民報)

» イカナゴ不漁 水揚げ、前年同期の4%(香川 - 4/3 四国新聞)

» 相模湾シラス大不漁(神奈川 - 4/3 タウンニュース)



また、エチゼンクラゲも今年は大量発生が予測されているのだそう。

» 巨大クラゲが大量発生、日本襲来か?(7/30 ナショナルジオグラフィック)

今年は2005年に匹敵する大量のエチゼンクラゲが大襲来の恐れがあるのだそう。

> 1900年代初頭、巨大クラゲの襲来は約40年に1度という極めて珍しい現象だったが、近年は驚くべきペースで発生しており、2002年から2007年まで毎年のように桁外れの大群が日本に押し寄せている。

ということで、エチゼンクラゲも「変化していく海」のメンバーということなのかもしれないです。


とりあえず現時点では、九州の赤潮が日本の漁業の中では相当大きな問題となっているののは事実ですが、実はワタシ個人が予想している、もう少しダイナミックな海の変化は「海流の根本的な変化」ということであります。これが与える影響は海洋生物だけではなく、気候から作物分布まで、「収穫分布の世界的な配置転換」という劇的な変化を地球全体にもたらすと考えています。

少しずつ書いているのですが、何しろテーマが大きすぎて(原因が地球と宇宙全体、影響が地球全体と考えているので)そう簡単には書けなそうです。

いずれにしても、これから「海の変化」には注目し続けたいです。
小さな変化に見えても、ある時、それらがダイナミックな意味を持っていた、というようなことに気づかせてくれるような気がします。


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