サモアとインドネシアで2つの大きな地震があって、特に、インドネシアの地震はマグニチュード7.6で深さは80kmという、普通に考えれば、サモア(マグニチュード8.0で深さ18km)より影響が小さいと思われたものなのに、インドネシアの地震は被害が甚大なようで、ことによったら今年最大の被災者を出す地震となってしまうかもしれません。2009年で一番死者を出したのは、4月のイタリア地震(M6.3 で規模としては決して巨大ではありませんでした)で、約300人の方がなくなっています。
この2つの地震のことと、最近少し考えていた、「マグニチュードの意味って何なのだろう」などを調べていたのですが、その中で偶然おもしろいページを見つけました。
上田誠也さんという東京大学の名誉教授の講演か何かをまとめた地震予知研究の歴史と現状というページです。この上田さんという人は、どうもプレートテクトニクス研究の第一人者のようですので、この方の地震に対しての考え方はまあ置いておいて、この文章の中に気になるフレーズがいくつかありました。
最後の方に地震の短期予知の「地震電磁気研究」ということについて書かれてあるのですが、まあ、これは平たく言うと、私たちが「行徳の反応がどうだこうだ」とか、ま、そういうのと同じなので、その信憑性については語るところではないです(予知できたり予知できなかったりする現状なので、信頼性そのものは薄いという意味で)。
教授もこの方法には問題が山積みになっているとしていて、その理由として、
1. そもそもどうして地震の前に信号がでるのかがわかっていない
2. どうして地下から高周波の変動が減衰せずに出て来られるのかの理由がわからない
3. 地震の前になぜ100キロメートルも上空の電離層まで変化するのかがわかっていない
ということだそうです。
地震の前に100キロ上空の電離層まで変化するとは知らなかったですが、これが気になるフレーズということではなく、気になるフレーズというのはこの部分です。全部転載してみます。(改行と太字はワタシによるものです)
(ここから転載)
最後にちょっと面白いと思うことを一つ。
電磁気現象は単に前兆だけではなく、それ自体が地震を誘発しないのかということです。
もしそうだとしたら、それは地震制御につながるかもしれません。
昔の日本人はナマズを料亭にまねいてご馳走や美酒を振舞って暴れないようにさせるという賢明な? ことをやっていた。
ロシア人も、そのようなことを考えました。
その当時はソ連領だったキルギスの天山山脈で2.8キロアンペアもの電流を地下に流し込む実験をしたのです。
日本では100アンペアも地中に電流を流せば文句が出るでしょう。幸い、人跡まれなところであったからできたのかもしれません。百十何回も実験を重ねたのでかなり信用できるのですが、翌々日くらいから地震が増え、数日のうちに収まる。
そして流した電流のエネルギーよりも、地震のエネルギーのほうが100万倍も大きかった。ですから、電流が地震を起こしたのではなくて、電流が刺激して溜まったストレスが出るような仕掛けがあるらしいという結論になりました。
(転載ここまで)
最後にちょっと面白いと思うことを一つ。
電磁気現象は単に前兆だけではなく、それ自体が地震を誘発しないのかということです。
もしそうだとしたら、それは地震制御につながるかもしれません。
昔の日本人はナマズを料亭にまねいてご馳走や美酒を振舞って暴れないようにさせるという賢明な? ことをやっていた。
ロシア人も、そのようなことを考えました。
その当時はソ連領だったキルギスの天山山脈で2.8キロアンペアもの電流を地下に流し込む実験をしたのです。
日本では100アンペアも地中に電流を流せば文句が出るでしょう。幸い、人跡まれなところであったからできたのかもしれません。百十何回も実験を重ねたのでかなり信用できるのですが、翌々日くらいから地震が増え、数日のうちに収まる。
そして流した電流のエネルギーよりも、地震のエネルギーのほうが100万倍も大きかった。ですから、電流が地震を起こしたのではなくて、電流が刺激して溜まったストレスが出るような仕掛けがあるらしいという結論になりました。
(転載ここまで)
ここにはいくつかのおもしろいことが書かれています。
まず、教授は、
> 電磁気現象は単に前兆だけではなく、それ自体が地震を誘発しないのか
と言っています。
つまり、プレート理論の第一人者である方ではありますが、地震のトリガー(引き金)についてのことに自然と言及されている感じがします。「電流が地震を起こしたのではなくて、電流が刺激して溜まったストレスが出るような仕掛けがあるらしい」の部分もいろいろと考えさせてくれます。
そして続くこの部分。
> 百十何回も実験を重ねたのでかなり信用できるのですが、翌々日くらいから地震が増え、数日のうちに収まる
時期はわかりませんが、旧ソ連では電気を使って人工的に地震を起こすことに成功していたようです。(もしかして、地震のトリガーって刺激があれば何でもOK?)
さらに、興味深いのは、
> 流した電流のエネルギーよりも、地震のエネルギーのほうが100万倍も大きかった
という点です。
なるほど、いろんな国が一生懸命、地震などの兵器の研究をするのもわかる気がします。
戦いというのは基本は、「1の攻撃に対して1のダメージ」(人 vs 人など)というものなのですが、それが爆弾となり、核兵器となり、1の攻撃に対しての人のダメージはどんどん大きくなってきたわけですが、「100万倍のエネルギーを発生させる」となると研究もするのでしょうね。
困ったことですが。
このページには他にも興味深い図などがたくさんあり、たとえばこれはGPS観測による地殻変動速度というもので、GPSで観測された、「日本の地面がどう動いているか」を矢印で表しているもの。
▲ 日本列島は、決して「一方向だけ」に進んでいるわけではないようで、基本的には、太平洋側から日本海側に動いているようですが、九州などは太平洋側に動いていて、また、琵琶湖のあたりや北海道の北部などは全然動いていないところもあります。
ちなみに、赤い丸はワタシがつけたもので、「矢印がぶつかりあっているところ」となります。時間と共に地盤が圧縮されてきている印象を受ける矢印のぶつかりに見えました。
図や内容については古い可能性もありますが、まあ、ひとつの話のありかたとして、とても興味深く思いました。でも、現役時代(東京大学の地震研究所に30年勤めていたそうです)はあんまり自由自在にはできなかったのかもしれないですね。
[追記]地震の前に電磁がキャッチされる理由についての推測
上の記事では、上田教授は「電磁気と地震の関係」に関して3つの大きな疑問を持っているということを挙げました。
すなわち、
1. そもそもどうして地震の前に信号がでるのかがわかっていない
2. どうして地下から高周波の変動が減衰せずに出て来られるのかの理由がわからない
3. 地震の前になぜ100キロメートルも上空の電離層まで変化するのかがわかっていない
ですが、書こうとしたことを書かないままアップしていましたので、追記いたします。
これらの疑問が「地震を引き起こすトリガーが上(空)から来ている(宇宙線など)」と考えると、納得いくのです。
つまり、すべて逆説だと納得いかないですか?
「1.」は、地震の前に何らかのトリガーがあるから信号が記録される。
「2.」は、「そもそも地下から出ているのではなく、地下に向かっている」と。つまり、地中で計測すると高周波はちゃんと減衰しているのでは。要するに空から来ている。
「3.」は、「地震の前に100キロメートルも上空の電離層が変化する」と考えるのではなく、「そもそも上から何か(宇宙線など)が来ているのだから、高い位置で反応するのは自然かも」ということです。
これらの逆説は、宇宙線ではないにしても、地震を引き起こすトリガーが「上の方から来ている」という考えをむしろ補強してくれるとワタシには思えるのですが、まあ、思い込みの部分はあるとしても、意外と整合性がありそうな気もしたりいたします。
つまり、ここまでくると半分オカルトですが、かつてのニュートリノのように、まだ人間が確認していない「地震を引き起こす未知の宇宙線」が存在するのじゃないかなあという思いがあります。