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2010年01月30日


国連による「2000〜09年までの自然災害」リポート

最近、地震に関しての二つの大きな報道があり、そちらのことを書こうと思ったのですが、昨日、国連から発表された「2000〜09年までの10年間の自然災害に関しての報告」がなかなか興味深いものだったので、そちらを簡単にご紹介したいと思います。
「地震に関しての二つの大きな報道」とは、

内陸10キロに海の珪藻…古代遺跡が示す大震災「高さ10メートル津波」(MSN産経ニュース)

地震、月や太陽の引力が「最後の一押し」(読売新聞)

ですが、そのことについては次などに書こうと思っています。
どちらも非常に興味深いものです。


2000〜09年までの10年間の自然災害に関しての報告は AFP や Fire Earth などに掲載されていて、こちらにまとめられています。

2000〜09年では「死者の6割にあたる78万人が地震によるもの」となっていて、このことが目を引く記事ですが、しかし、一方で、対象を「被災者全体」とすると、地震による被災者は4%に過ぎなく、また、全体では20億人近くが「地震以外の自然災害」の被災者となっていて、「生活を破壊される災害の大部分は地震以外のもの」だということがわかります。

地震で直接死んでしまうことは確かに厳しい被害ですが、他の様々な災害、すなわち、洪水や干魃、台風やハリケーン、噴火や山火事や熱波や寒波などでも、家や住む地域、農地などを失い、また治安や地域経済などの悪化で、結果的には被災者は健康や命を後々損ないやすくなっていると思われます。

Fire Earth の記事では、特に、2009年の災害について表やグラフでわかりやすく説明されているので、少し抜粋・要約してみたいと思います。


2000年から2009年までのもっとも大きな自然災害

まず、2000年から2009年までの10年間でもっとも死者数が多かった自然災害の5つあげると、次のようになるようです。

1. インド洋大津波(スマトラ沖地震 2004年) 22万6408人が死亡 
2. ミャンマーのサイクロン(2008年) 13万8366人が死亡
3. 四川大地震(2008年) 8万7476人が死亡
4. パキスタン大地震(2005年) 7万3338人が死亡
5. 欧州の熱波(2003年) 7万2210人が死亡


2003年のヨーロッパの熱波は記憶にもありませんが、7万人も亡くなっていたのですね。


2009年の災害

1-top-10-list.jpg

2009年に起きた災害のトップ10をまとめた表です。それぞれ10位まで載っていますが、ここでは3位までを抜粋します。

・2009年の自然災害での死者数

1. インドネシア/地震(9月) 1195人
2. インド/洪水(7-9月) 992人
3. 台湾/台風モーラコット(9月) 630人

・自然災害の国別報告数

1. フィリピン 26件
2. 中国 23件
3. インド 16件

・10万人中の災害での被災者数

1. グアテマラ 18,382人
2. ナミビア 16,559人
3. フィリピン 15,002人

これは、10万人の中の被災者数と考えると、ものすごい数値だと思います。グアテマラやナミビアは全体の10%以上が被災したということになるのでしょうかね。ここでは南米が多く、ホンジュラス、パラグアイなども10位に入っています。主に、干ばつと洪水だと思われます。


2000年から2008年までの自然災害での被災状況の平均値

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さて、こちらの表は「2000年から2008年までの自然災害での被災状況の平均値」と、「2009年の1年間の被災状況」を同時にグラフにしています。これにより、2009年の自然災害に特徴的な部分がわかるかと思われます。

2000年から2008年までの平均では、

干魃 死者 129人 被災者 7328万413人
地震 死者 5万184人 被災者 880万494人
熱波 死者 9823人 被災者 937万5268人
洪水 死者 5596人 被災者 9897万9080人
嵐  死者 1万8927人 被災者 3878万5274人

などが大きなものです。
グラフの形で、2009年を被比較しますと、2009年は、

・干魃の影響は少なかった
・地震の死者が比較的少なかった
・洪水の死者と被害者が多かった
・嵐(台風やハリケーン)での被災者がおおかった
・全体としては2009年は自然災害の死者は少なかった

ということになるのでしょうかね。
ちょっと比較が難しいです。


2000年から2009年までの地域別での自然災害の被災状況

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これは、グラフの通りですが、全体的にアジアが多いのですが、特徴的なのは、「2009年になってからアメリカ(多分、アメリカ大陸ということだと思います)とヨーロッパの災害の比率が飛躍的な増えた」ということかもしれません。アメリカ地域の2000年から2008年までの平均値が、2.74%だったのに対し、2009年は11.31%にまで増えています。

南米の洪水の影響もありそうですし、アメリカ合衆国でも山火事や洪水が頻発していたので、それもあるかもしれません。ヨーロッパは最近の寒波の状況を見ますと、さらに比率が大きくなりそうな気がします。


2010年からの予想

今後の自然災害の予想についでですが、まあ、そんなことは国連は言っていませんが、Fire Earth の昨日の記事のタイトルが、「2010年はスーパー火山の年になる?」というようなものと、あと、年明け以来、噴火が相次いでいるような状況から、まず、火山。
これによる影響はあると思っています。

そして、現在進行中ですが、世界中の激しい寒波がいつまで続くのか、そして、次の冬はどうなのか、というのも大きな事柄となりそうです。

地震や洪水はそのものがなくなるということはないわけでして、これからもたくさん起きるのでしょうけれど、ただ、国連の発表から学ぶことは、「恐ろしい自然災害は地震だけではない」ということだと思います。人間の文明等を根本から崩していくのは、むしろ他のことではないかと思うこともあります。

タグ:自然災害

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