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2010年02月02日


月や太陽フレアと地震についてのこと



先日、知り合いと話していた時に、その人が、

「そういえば、USGSだったかどこだったかアメリカの公的な機関が、太陽フレアが次の地震を引き起こす可能性がどうのこうのっての読んだ気がしますね」

とおっしゃっておりまして、「ええー、USGSがそんなこと言っているんですか」と素直に驚いたのですが、ちょうど、日本の防災科学技術研究所の研究員の人から「月や太陽の引力が多くの地震を引き起こしている可能性が高い」という公式な発表があったばかりでもあって、気になったのでちょっと調べてみました。

太陽フレアとは、太陽の表面の爆発現象で、それ自体は黒点があるときには頻繁に起きることで珍しい現象ではありません。ただ、それが地球の災害等と関係があるということは、少なくとも公式な発表はあまりされてないことです。

stereob_mflare_strip.gif

▲ 1月に観測された Mクラスフレア。中央左のほうで爆発しているのがフレアです。


防災科学技術研究所の月の引力に関しては、科学的な重要度はともかく、多くの人が「まあ、なんか因果関係はありそうだよなあ」というような感じで、そんなに驚くことではないのですが、「わりと公的な機関から公式に発表され、公のニュースで報道された」ということ自体に意味がありそうです。つまり、こういうことを堂々と研究してよくなるわけで、そこに意味がありそうです。

このブログの昨年のこちらの記事で、「Japanese Quake and Tsunami Predicted July 22 2009」という海外の記事を紹介したことがあります。その記事は、「日食や月の引力が地球の地震に関係する」と言いたい記事のようでした。



▲ これがその人の考え。こちらで日本語を付け加えました。


そして、今度は太陽フレアと地震の関係の話が出ているというのです。


太陽フレアは電離層を撹乱し、低周波を誘発するとのこと

昨年末から急速に太陽活動は活発になっていて、ほぼ連日黒点と活動領域が存在して、また、1月にはやや大規模な太陽フレア(Mクラスという上から二番目の規模のフレア)が数日に渡り発生しました。

その太陽フレアの活発化と地震の関係をどこかの機関が言っているとのことで、ちょっと調べてみたのですが、見当たりません。

「うーむ・・・」

と、いろいろとさらに調べてみますと、こういうブログがありました。
Grandiniteというブログの

Huge Solar Flare coincides with another Earthquake in Haiti
巨大な太陽フレアとハイチの次の地震は同時に起きる

という01月20日の記事です。

この記事には、USGSのハイチ地震に関する見解と、NASA の気象サイト、スペースウェザーの太陽フレアに関するニュースが並べて載せられていて、タイトルの「巨大な太陽フレアとハイチの次の地震は同時に起きる」を読んだ後に、2つのニュースを続けて読むと、「何だか太陽フレアが地震を誘発しているようだ」というように読めてしまうのでした。

なので、決してUSGSもNASAも「太陽フレアが地震を誘発する」と言っていたわけではないようなのですが、しかし、スペースウェザーの記事には少し面白い部分があります。

どうも、太陽フレアというのは、電離層を刺激し、また、低周波が地球の広い地域を駆け巡るようなのです。

低周波・・・。

昨年でしたか、このブログで何度か HAARP の話題になったことがありまして、その中で、HAARP が強い低周波を発生する装置であり、その後、低周波の特性とは何かということを考えてみたことがあります。

そうすると、私の考え程度では、巷で言われているような「攻撃対象を狙って地震を起こす」という仕組みが低周波の伝播の特性からは理解できなくて、今でも、私は HAARP が「特定の地域に対して」地震を起こせるとは思いにくいのですが、それはさておき、確かに強い低周波は「場所を特定せずに地震を誘発する可能性」はあると思います。

なので、 NASA が言うように、巨大な太陽フレアが地球の電離層を撹乱し、地球に低周波の嵐を巻き起こすのだとすると、確かに災害に直結する可能性は考えられなくもないかもしれません。

日本語の文献ではこのあたりを冷静に説明してくださるところはまだ見つからないのですが、海外では結構以前から研究だけは進んでいるようです。ただ、結果はあまり聞いたことがないので、わからないことの方が多いのだと思われますが。

たとえば、最近のクレアでの太陽騒動の中で知ったものの中に、 NASA が管理運営している「宇宙物理学関係文献情報検索システム」(The SAO/NASA Astrophysics Data System)というものがあって、宇宙関連や物理学関連でNASAが所有して、公開しているものを無料で見ることができます。

そこで2007年のこんな資料を見つけました。

Whether solar flares can trigger earthquakes?
太陽フレアは地震の引き金となり得るのだろうか

1991年1月から2007年1月まで観測されたマグニチュード4以上のの682回の地震と太陽フレアの関係を研究したもののようです。

なかなか難しくてよくわからない部分が多いですが、「はっきりとした証拠や相関関係は掴めない」としつつも、太陽フレアと50回程度の地震の相関関係らしきものはあるようで、そのあたりの因果関係に関しての認識は、

・太陽フレアで地球の磁気圏が影響を受けること

・太陽フレアで放出された荷電粒子の断層帯への影響の問題


あたりを挙げているようです。

つまり、「太陽から噴出されたナンカが地球の大気と地面に影響して地震になる・・・かもしれない」というような話のようです。

さらに、太陽フレアと地震の発生の普遍性という2006年のアメリカの論文では、太陽フレアと南カリフォルニア地震とを比較した研究だそうで、

2つの現象の基礎となる確率過程が普遍的性質を持つことを示した。地震学における経験則が太陽フレアのサイズと発生時間を見事に特徴付けることが分かった。


とあり、要するに、「太陽フレアと地震は関係あるけど、細かいところはこれから研究するから、もうちょっと待っててくださいね」ということのようです。

まあ・・・そんなわけで、具体的なことは何もわかるわけもなく、何のための記事だかよくわからなくなりましたが(苦笑)、少なくとも、公的機関が、引力や宇宙や太陽と、地球の災害との関係に目を向けて、「堂々と研究できるようになった」こと自体は決して悪いことではないと思います。そして、少ないながらも相関関係を掴めてきているということは、「関係はある」のだと考えます。ただし、単一の理由ではないでしょうが。

地震は複雑な原因と、複雑なトリガーにより発生するのかもしれません。

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