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2010年02月07日


カオス化する気候 - 豪雪と異常高温が混在する世界

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▲ 氷に覆われたポーランドのオーデル川(記事)。このまま雪解けになると洪水が予想されるらしいです。



日本でもここ数日、大雪の被害や影響などの報道を目にしますが、海外の一部では昨年12月から寒波と降雪は異常な事態に突入し続けています。特にひどいのは、ヨーロッパの一部、アメリカ合衆国、中国、モンゴルなどですが、そのすごさはここに来て単なる異常というのを越えて、カオス化している感じがあります。

たとえば、アメリカでは次第に都市機能に影響が出て来ています。

今朝のアメリカmsnbcの記事日本語記事)の冒頭の表現などで、いかに現在のアメリカを襲っている嵐がすさまじいものかわかるような気がします。

米ミッドアトランティック地方が猛吹雪に見舞われている。水分を含んだ重い積雪で電線がたれ落ち、電柱や木々が倒れ、数十万件が停電となっている。

これらの地方の多くの店ではミルク、パン、雪かき用のスコップ、ドライブウェイ用の塩など多くの品物が売り切れているという。


という状態のようで、私は豪雪地帯で生まれ、少年時代を過ごしましたが、「数十万件が停電」というような嵐というのはあまり想像がつかないのです。今回のアメリカではホワイトハウスを含む首都近辺でも起きていることなので、かなり混乱しているのではないでしょうか。

そのワシントンでは、米首都で観測史上最高の大雪の可能性というようなニュースが出て来ていますが、すでに先週の時点で米国全域の降雪量は記録的なものになりつつあります。

その降雪量。

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この図は先週1月31日時点のものですが、 Fire Earth に掲載されていたものです。水色から紫の色のついたところが雪に覆われている地域で、この時点で全米の約70%を雪が覆っていて、今年の記録となっています。

雪の深さは、全米で、

平均: 19.1 cm
最小: 0.0 cm
最大: 2341.7 cm


とのこと(2月1日集計分)。


このままだと春には洪水の懸念

雪はそれ自体が被害の原因となるわけですけれど、アメリカなどの場合は、これから春にかけての雪解けの問題も大きいようです。

ポーランドでは30年ぶりの大雪に見舞われているのですが、「ポーランド全域では深刻な水害の危機に直面している」という記述があります。

この「通常の量を超えた雪の雪解けによる洪水」の問題は平野の多い地域なら全世界どこでも同じはずで、アメリカでは、昨年の春にもノースダコタ州など複数の州で雪解け水での大洪水を起こしています(米ノースダコタ州洪水、3万人が家失う恐れ(AFP 2009年03月28日)など)。そして、今年は明らかに昨年よりは雪は各地で多くなっています。

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▲ 2009年3月の米国ノースダコタ州の洪水では3万人に影響があったとされています。原因は雪解けによる川の増水でした。


「今後もう春は来ない」というなら洪水の心配はあまりないでしょうが、例年のようにこれから先に春が訪れた場合、雪に慣れていない地域では今度は洪水や水害が避けられないようです。

他に記録を塗り替えるような雪に見舞われている地域としては、

・30年ぶりの大雪に見舞われたポーランド
・スイスやドイツの豪雪
・東欧、ウイグル
・フランス
・スペインで50年ぶりの雪
・中国では59年ぶりの積雪
・イギリスでは30年ぶりの豪雪

などがあります。

しかし、実は世界は寒いだけではないのです。世界全体を見ると、中国やカナダ、北極圏などの異常高温地域があったり(冬季オリンピックのあるカナダ・バンクーバーでも暖かくて桜が咲いてしまったようです)、南米やアフリカの異常豪雨が1カ月以上続いていたり、気候は大規模に変化しています。

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こちらの記事に載せていだいた気象庁の「北半球中緯度帯の顕著な寒波について」という書類の中にある「2009年12月12日から2010年1月10日の30日平均気温平年偏差」の図。この冬、世界では異常に寒い地域と暖かい大気が混在しているようです。


長くなってきたので、今回の記事はここで切りますが、次の記事では続きにふれてみたいと思います。また宇宙線だの太陽などが出てきて怪しい記事になるかもしれませんが(苦笑)、雲や気流の生成などを含めての「そもそも気候を左右するものは何か」ということなどを考えてみたいと思います。

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[追記]上の記事とは関係ないですが、Fire Earthに、先日、2月3日に噴火した海底火山、福徳岡ノ場の映像が出ていました。煙を出している様子が伺えます。




場所も今回初めて正確に知りました。

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このあたりだそうです。


[追記2] 本日、2月7日、太陽でこの数年では最大の回数のフレアが発生していたようです。

宇宙天気情報センター 2010/02/07 15:00 更新

Cクラスフレアが7回、Mクラスフレアが3回発生したようで、まあ・・・先日の記事「月や太陽フレアと地震についてのこと」で「フレアと地震の関係を研究するような資料がないわけでもない」というようなことを書いた手前、一応追記しておきます。

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宇宙天気情報センターのトップページより。フレア予測が上から2番目のオレンジ・レベルに上がっています。


午前11時頃には「M6.4」という中規模フレアが発生した模様で、「M5以上の規模のフレアの発生は、2007年6月以来、2年8カ月ぶりです」とのことで、太陽活動はかなりのペースで大きくなってきているようです。
タグ:記録的大雪

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