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2010年02月16日


気候について(番外) - 地球温暖化に固執する人々



ナショナルジオグラフィックは自然科学のことを比較的わかりやすく日本語で説明してくれるサイトとしては貴重です。いつのまにやら、テクノバーンの日本語版もなくなっていた今となっては、宇宙関係のアストロアーツとナショナルジオグラフィックは数少ない愛読サイトなのですが、しかし、ひとつだけ気になることがあって、ナショナルジオグラフィックは以前から「地球温暖化」という言葉を強く主張していましたが、最近「地球温暖化」という基本概念そのものが揺らいできているにも関わらず、まだかなり固執していて、それだけがどうにも違和感を感じます。

その違和感は記事を見れば、多くの方が感じるのではないかと思います。編集サイドの思い込みが強いか、あるいは「何となく無理をしている」かどちらかという感じはいたします。
たとえば、先日の2月15日にこういう記事がアップされていました。

米の記録的豪雪、原因は地球温暖化?

この見だしだけを見ると、普通は、「そう言っている専門家たちの意見が出ているのだな」と思いますよね。内容を読まなければ、見出しの印象だけで「ああ、地球温暖化が進んでいるのだなあ」と思う人もいるかもしれません。では、その内容はどんなものか。

実際、記事の出だしは、

 > 確証は得られていないが、この豪雪の原因は地球温暖化かもしれないという。

というような感じで始まります。

しかし、少し読み進めると「ん?」という違和感と共に、あることに気づくのです。

まず、記事には、ジョー・バスターディ氏というアメリカの気象学者のコメントが登場します。氏の言うことを要約すると、

・来年以降も1960〜1970年代頃のような寒冷で降雪量の多い冬が続く可能性がある

・しかし、今回の記録的な積雪は、昨年発生したエルニーニョが原因だろう

・地球の気候には温暖化と寒冷化のサイクルがある。今は厳しい冬が訪れるサイクルに入りつつあるのかもしれない

・地球のサイクルが変化していることは明らかだ。太平洋の水温は低下を続けており、大西洋も数年以内には同じ運命をたどるだろう


という感じとなり、この気象学者は「今、地球は寒冷化のサイクルに入ったのかもしれない」ということを繰り返し言っています。


そして、ここで「ナショナルジオグラフィックの記者の文章」が入ります。

> だが、今回の大雪の主な原因は地球温暖化にあり、来年以降も積雪量は増加を続けると考える科学者も多い。

なるほど。最初に出た気象学者のジョー・バスターディ氏は地球温暖化とは言っていなかったけれど、他にはたくさんいるということらしいということのようです。

そして、二人目のコメンテーターが登場します。
アメリカの全米自然保護連盟の気象学者のアマンダ・シュタウト氏という人です。

シュタウト氏はこう言います。

「温暖な気候は海水の蒸発量を増加させる。発生した大量の水蒸気が冬の嵐に水分を供給する源となり、気温が凝固点を下回れば暴風雪となる」

これは「降雨の仕組の一般論」で、地球温暖化とは関係ありません。

そして、「簡単に地球温暖化の影響によるものとは断定できない」と言った後に、こういうようなことを言っています。

・一冬の間にここまで大規模な豪雪となるのは極めてまれなことだ

・これは300〜400年に一度の記録的な降雪量だ

・今回アメリカを直撃している豪雪はエルニーニョに一因があると考えている


この人は現実的には原因探求を放棄している感もありますが、とりあえず「今年のアメリカには信じられないくらいたくさんの雪が降って、どうやら環境は大変なことになっている」と嘆いた後に、原因は「エルニーニョでは」と考えているだけのようです。

この人の言葉からもやはり「記録的豪雪の原因は地球温暖化だ」とは言っていないとしか読めない気がいたします。

インタビューはこのふたりのこれらのコメントだけで、どうしてここから「米の記録的豪雪、原因は地球温暖化?」とつけられるのかと思いますが、しかし、記事を書いた人は、最後に、

ただ、バスターディ氏は、「地球温暖化が進行中」という説にも一理あると考えているという。「だが、温暖化が現実かどうかを確かめるには、何年間も経過観察を続ける必要があるだろう。答えが出るのは20〜30年後だ」。

と付け加えて、何となく無理矢理、地球温暖化に含みを持たせて終わっています。これは要するに、専門家の意見を総合しているのではなく、記者の考えに過ぎません。

気象学者バスターディ氏の「答えが出るのは20〜30年後だ」というのは、「もう地球温暖化の話は勘弁してくれないか」と言っているようにも見えなくもないです。


オリジナル版はもっとスゴイ

日本語版はどういうわけか、英語版のオリジナル記事にある見だしを削除しているのですが、オリジナルはもっとすごい。

上のふたりのインタビューのすぐ上に、それぞれ、

Global Warming Fueling Snowstorms?
(地球温暖化が吹雪を煽っている?)

Waiting ... and Waiting ... for More Global Warming Evidence
(さらなる地球温暖化の証拠を掴むまで待ち続けます・・・)

と、もう「地球温暖化一色」となっているのです。(コメントしている人たちはそんなことを言っていないのに、です) 「Waiting ... and Waiting ... 」あたりには、もう執念さえ感じます。

しかし、上に書いた通り、どんなに見だしでそう書いても、ジョー・バスターディ氏もアマンダ・シュタウト氏もふたりともそんなことは言っていないのですよね。どうも、これを書いている Willie Drye さんという人の思い込みだけで記事が作成されている感じがいたします。


繰り返しになりますが、温暖化であるか、寒冷化であるかは、事実が大事であって、事実の方を尊重すればいいだけのことのはずです。これは本来は主義主張の問題ではないですからね。
なのに、実際には全世界でこのような「言っていないのにそういう記事にしてしまう」(あるいは、そのように読めてしまう)という風潮が続いているのはどうなんだろうと。

今回の上のふたりの専門家のインタビューの記事を正確にタイトルにすると、「米の記録的豪雪、原因はエルニーニョと地球寒冷化のサイクル?」となるのが普通だと感じるのですが・・・。


天候には様々な原因があり、前回書いた記事の内容、「北大西洋振動 (NAO)や、エルニーニョや太陽活動の影響、海流の変化などいろいろな原因があるらしく、気候を勉強していてわかるのは、地球の気候は「地球温暖化」というような大雑把な括りで説明できるほど単純ではないということのように思います。これだけは声を大にして言えます。

天気の勉強と予測というのは、人間が一生をかけて勉強しても相手に不足はないほど複雑で、また調べがいのあるものだと気づきました。なので、異常気象に関しても、少なくとも単一の理由で簡単に「これだからこうなる」とは言えないように思います。






タグ:地球温暖化

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