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2010年03月08日


2010年2月の災害 その2 - 広がる干ばつ

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・雲南省石林県。干ばつでひび割れたダムの底の僅かな泥水に浸かる水牛(AFP)




いろいろな災害がありますが、これから私たち日本人を含めた世界中の多くの人々にもっとも影響するのが、食糧供給に直接結びつく、この「干ばつ」ではないかと思える部分はあります。

干ばつ状況に関しては報道ベースで確認できるところしかわからないわけですが、今現在、干ばつが非常に深刻になっている地域として、

・中国南西部
・ベネズエラ
・ベトナム
・ケニア


等が挙げられます。
特に、中国南西部とベトナムは共に農業地帯であるだけに、今後のアジアの食糧に関してかなり影響が出てくると思いますので、とりあえずこの2つの現在の状況などを。

ニュースはわかりやすいものとして、

中国

南西部で干ばつ被害が深刻化、被災者2600万人以上に―中国
レコードチャイナ 2010年03月04日

中国西南地方の深刻な干ばつ
大紀元日本 2010年03月08日

ベトナム

100年に1度の大干ばつが穀倉地帯を直撃=メコン上流の中国もダム放水できず - ベトナム
レコードチャイナ 2010年03月07日

などです。

ベトナムでは年初より、紅河という農業用水の確保に大事な川で、108年ぶり最低水位を記録ということも報告されていました。

これらの記事から文章を抜粋するだけで、今回の干ばつの激しさがわかります。
雲南省では2009年の秋と冬に作付けした作物の被害面積が90%にのぼり、その面積は、東京ドーム1426個分とのこと。これは雲南省だけの数字です。
また、大紀元日本の記事には、


雲南省では、雲南省政府は、今年3月、4月、5月の全省の水不足人口をそれぞれ792万人、951万人、1014万人と予想。干ばつの影響で秋冬作物の被害面積は9割に達している。山岳地域の秋まきも収穫の見込みがなく、ダム区作物の成長も芳しくない。全省秋まき作物の収穫は50%以上、サトウキビは20%以上の減産と予想されている。


とあり、人間と家畜の飲料水が不足していて、これは家畜の存亡に繋がることでもあり、農地の存続、また、人命と家畜の命の存続のどちらの方面から見ても非常に苦しい状況にあるようです。「この干ばつによる新たな食糧不足人口は331万人で、全省の秋夏期間には合わせて714・78万人の食糧が不足」すると予測されているそうです。中国では、雲南大部、四川南部、貴州西南部、広西チワン族自治区西北部などが特にひどい干ばつのようです。

ベトナムの干ばつに関しては、米国のタイムス誌で報告されたものがレコードチャイナに掲載されています。

(※)タイムス誌の報道は、Vietnam Feels the Heat of a 100-Year Drought(ベトナムが100年に1度の干ばつに見舞われている)

このベトナムの干ばつと中国の干ばつは関係しているようです。
ベトナムを通るメコン川には、その上流部に中国が8基のダムを持っていて、これを放流すれば下流の水不足解消が期待できるのだそうですが、しかし、前述のように、中国南部も深刻な干ばつに見舞われていて、下流への放水ができない状態で、そのためにベトナムでの干ばつに歯止めがかけらけない状態となっているようです。

なお、ベトナムの干ばつについて絶望的なラインはこの部分です。

  >ベトナム北部は今月末にも降雨が期待されるが、その他の地域については8月まで降らないとも予測されている。

多くの地域が8月まで雨が降らない予測だというのです。

現地の人々も大変だと思うのですが、しかし、この問題は多分、ほとんどダイレクトに私たちにも影響してくると思います。

なぜなら、現在の食糧価格というのは世界的なもので、投機行動などを含めて、広く世界に波及していくたぐいのものなので、アジアの干ばつが広がりそうだ、ということになってくると、どうにも先行きにはいろいろな動きも出てくるかもしれません。

こちらの表は、2002年のアジア主要国の米の生産量や輸出量を表したものです。

agia-come.gif

この中で、生産量は中国とインドが圧倒していますが、「輸出量」を見ますと、アジアでは、

1位 タイ
2位 インド
3位 ベトナム

と、ベトナムは3位となっていて、重要なコメの輸出国であることがわかります。

また、輸出国ではないですが、一昨年以来、頻繁にコメ不足が起きているフィリピンでは、エルニーニョによる天候の異常で深刻な農作への被害が拡大しているということが、Fire Earth の2010年の2月の災害の「Day Fifty-Three」のところに記載されていました。

コメの一大輸出国であるタイはどうなのかというと、詳しいことはわからないのですが、農耕地区である東北部で干ばつの被害が出る可能性のあるような気象状況が進行しているのかもしれません。なぜかというと、先日(2010年1月25日)、日本の損保会社である損害保険ジャパンが、「タイ東北部コーンケン県の干ばつによる農業従事者の被害に伴う損害を緩和するため」として、天候インデックス保険といものを発売していたからです。

損害保険ジャパン、タイ東北部の干ばつリスクを対象とした天候インデックス保険の発売

こういうものが存在しているということは、何らかがあるのかもしれないし、ないかもしれないですが、とりあえずタイのコメに被害が出るようなことになった場合、アジアの食糧事情はカオス化するように思います。この場合、「日本は自国でコメを作っているから大丈夫」という問題ではないようです。

まあ、いずれにしても、今進行している干ばつは、今のところ、「100年来の干ばつ」というようなことを言っていますが、メディアはすぐ「100年に一度」と使いたがるところがありますので、もしかすると、現代人類が経験したことのないような干ばつに突入していく可能性も感じないではないです。

何しろ、以前の記事で掲載しました、気象庁のデータの「気温の偏差」というものが示すように、今の気候分布はまさに「異常」なのです。

2010-01-kisho.jpg

▲ 気象庁の書類の中にある「2009年12月12日から2010年1月10日の30日平均気温平年偏差」の図。アジアとアフリカの干ばつ地域はこの中の「赤からオレンジ色の部分」、つまり通常よりも異常に高温の地区とその周辺に集中しています。


なお、前回記事で掲載した「洪水マップ」に、今回の記事で取り上げた干ばつのおおよその地域を示してみました。赤で囲った部分です。

2010-02-drought.jpg


また、ベネズエラと東アフリカの干ばつに関してのニュースは、

ベネズエラ
水没した村の姿を出現させたベネズエラの激しい干ばつ
Metro.co.uk 2010.02.26

東アフリカ
東アフリカが深刻な干ばつ
pinger.jp 2010年2月14日

「待望の雨」なく、東アフリカで飢餓悪化 NGOが警告
MSN産経ニュース 2009年12月18日

などにあります。

このままの状態で進むと、秋くらいには食糧の流通がえらいことになっているのでは・・・。
それに経済破綻などが加わると、えらいこっちゃですね。

また、現在でも毎日2万人以上の人たちが飢餓で亡くなっているのが現状で、この状態がさらに進んでしまう可能性もあります。

hunger_map.jpg

これは世界食糧計画のサイトにある Hunger Map (世界飢餓地図)ですが、今回の干ばつ地帯は、これまでにすでに飢餓が進んでいる地域であることがわかります。

干ばつの被害は原因も影響も長期である場合が多く、「2月の災害」としたのは不適当な感じもいたしますが、「今起きていること」の範疇として、あえてこのタイトルにさせていただきました。

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[追記] ベネズエラの干ばつのすごさがわかる写真

上の記事を書いた後、ナショナルジオグラフィックに、ベネズエラの干ばつの写真の特集が掲載されていました。

この写真は、干ばつ前(上)と干ばつ後(下)のものです。ダムの建設により水没した村の水が干ばつで消えてしまって、水没していた町が出現した様子です。なかなかすごい。

drought-side-view-1.jpg

特集記事は、

ベネズエラの干ばつ:乾燥と気温上昇
ベネズエラの干ばつ:消えたダム湖
ベネズエラの干ばつ:湖から現れた教会

などです。





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