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2010年03月25日


太陽活動と宇宙線。そして、地球の天気

たまに天候のことを調べたりしていて知る事実は、実は地球の天気に関しては「その多くがよくわかっていない」ということで、何となくわかっていてもよさそうな、「雲はどうしてできるのか」とか「雨はどうして降るのか」といった問題も、発生の根本に行き着くと、よくわかっていないようです。

たとえば、雨や雲に関しては、発生の前提として、氷晶核という小さなコアが中心に必要なのですが、リンクにある Wikipedia をお読みになってもわかる通り、「有り得ると考えられている」とか、「〜であると考えられている」とかの表現となっていて、断定されているものはないのです。

最近、英国カーディフ大学の名誉教授であったフレッド・ホイルという人の著作「生命 (DNA) は宇宙を流れる」というのを読んだりしていて、それによると、どうやら地球にある有機物では氷晶核となりうる物質が少ないのだそうです。まあ、この件については長くなるのでふれないですが、いずれにしても、気候や天気の根本原理はあまり解明されていないということは言えるかも知れません。

そして、個人的にはその理由が「地球の天気の概念を地球単位でだけ考えてきたためではないだろうか」と思うようになっています。

さて、そんな中、いつもコメントを下さる Over60 さんが名古屋大学の太陽地球環境研究所が発行しているニュースレター「 STEL Newsletter 」の 2002年04月に発行されたナンバー28というもののリンクを貼ってくださいました。8年前のものですが、実に素晴らしいものです。

特集:太陽 - 地球系の気候と天気(PDF)

です。

前回の私の記事で、CMEというコロナの大量放出の現象のことを書いたのですが、この文書の最初のほうには、「宇宙の天気」として、太陽フレアやCMEの詳細な説明があり、また、1986年に北米大陸を襲ったCMEによる影響が子細に書かれています(3ページと4ページ)。これを読めば、私の記事など読む必要はないです。CMEの影響がよくわかります。

そして、その先に個人的に嬉しい内容が書かれてあるのです。

8ページ〜12ページまで、村木綏さんという教授による「太陽活動と気候変動 -あるシナリオ-」という項目があります。ここに非常に興味深い項目が書かれてあります。

すなわち、「地球の天候と宇宙線と太陽活動の関係」が書かれてあるのです。村木綏さんというのはこちらのページによると、宇宙物理や素粒子物理という分野を研究されている方のようで、つまり、これは物理学者の書いた学術書類で、オカルト的な要素はありません。いくつかの検証と測定により、どうやら「宇宙線が地球の雲や霧、雨などの生成に関わっていて、そして、太陽活動(太陽風)はその宇宙線の強弱を左右しているかもしれない」という話です。

いやー、これが知りたかった。

あまりにも興味深いので、メモを兼ねて、抜粋させていただきたいと思います。
今回は気合い入ってますよ(苦笑)。

ただ、いくら抜粋・編集しても長いものは長いので、要点を最初にまとめておきます。
要点自体もまあ長いですが、そこはどうもすみません。番号は読みやすくするためにつけてあるだけで、意味はありません。

1. 太陽活動と地球の雲の増減は11年のサイクルで一致していて、太陽活動が盛んな時には雲量が減少する傾向を示している。

2. その原因は太陽活動と宇宙線の相互作用にあるのではないかと考えた研究者がいた。

3. 宇宙線は太陽風の磁場の影響を受けて進路、強弱が変わる。

4. 太陽活動が盛んになると、磁場を伴った太陽風によって宇宙線は散乱され、地球にやって来る宇宙線は減少する。

5. 宇宙線が霧を作るのは宇宙線研究者の間ではよく知られている。なので、宇宙線と雲の生成との関係は想像しやすい。

6. 著しく太陽黒点が少ない時期だったマウンダー太陽活動極小期(1640年から1715年)に宇宙線が増大していた可能性を発見。

7. マウンダー太陽活動極小期に気温が低下したのは、太陽活動が低下したため、磁気雲の飛来が少なくなり宇宙線が多く飛来し、それが霧の発生を促し、雲が増え、その結果、地球の平均気温が2度ほど下がったという推測もできる。

8. 宇宙線と雲の生成の関係性についての科学的証拠を掴むには長い期間の水蒸気等のデータを最低でも22年間(太陽活動周期×2)程度の期間で根気よくとり続けることが大事だと思われる。


というような感じです。
「6. 」に関しては、屋久杉の年輪に含まれる放射性炭素を分析して、宇宙線と関係する放射性炭素が増大していたことを見つけたそうです。

以下が抜粋となります。
余談など省けるところはすべて省いていますので、もともとは味のある文体だったのが、ちょっと無味乾燥な感じの文章になってしまいましたが、わかりやすさを重視しました。また、宇宙用語や気候用語には馴染みのないものも多いと思われますので、こちらでオリジナルにはない Wikipedia などのリンクを加えてあります。

(ここから転載)




太陽活動と気候変動 -あるシナリオ-
村木 綏


 最近、大気科学の分野で新しい仮説が発表された。
 フリス・ クリステンセンとスベンスマルクは、 地球の下層大気中にある雲の総量を 1 年ごとにグラフにとってみた。すると 11 年周期で変動していることに気がついた。この結果では、太陽活動が盛んな時、雲量が減少する傾向を示している。逆に高層雲の方は、太陽活動が盛んになると増大する傾向がある。どうしてこういう相関があるのだろうか。2人は次のように推論している。

 エネルギーの低い太陽風プラズマは、地球磁場で遮られ地球の磁気圏内部へは侵入できないが、我々の地球は、この太陽風よりはるかにエネルギーの高い、銀河宇宙線に日夜さらされている。この銀河宇宙線がどこでどうやって加速されているかという問題は、宇宙物理学の重要な研究テーマである。最近の研究で、超新星爆発を起こした後の残留ガス雲の中で高いエネルギーを得ているという証拠が得られた。ここで大切なのは、この銀河からやって来る宇宙線はおおよそ 10 億電子ボルトのエネルギーを有しているという事実である。
そのため、銀河からの宇宙線は成層圏を突き抜け、対流圏にまで侵入する。

 ところが、この銀河からの宇宙線は電荷を持っているので、地球にたどり着くまでに、太陽風の磁場の影響を受けて進路が変わる。太陽活動が盛んになると、磁気雲と呼ばれる、磁場を伴った太陽風が惑星間空間を吹き荒れる。この磁気雲によって銀河宇宙線は散乱され、地球にやって来る宇宙線は減少するのである。

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 図 14 の実線に示すように銀河宇宙線の強度は明確に太陽活動と同じ 11 年周期の変動をしている。この点にデンマークの研究者は注目した。彼らは、銀河宇宙線が対流圏上層部に入り、そこで大気をイオン化し、そのイオンが核となって霧の粒が成長していくという仮説を立てたのである。これが正しければ、対流圏上層部の雲の量は 11 年周期で銀河宇宙線と共に変動していることになる。

 この仮説に対し、世界のあちこちからごうごうたる議論が巻き起こった。どういう賛成意見と反対意見があったのか。次に主なものを紹介しておく。

 まず賛成意見から。
 宇宙線が霧を作るのは宇宙線研究者の間ではよく知られたことで、この原理を使った宇宙線の測定器まである。ウィルソンはこれを発明して 1927 年にノーベル物理学賞を受賞した。 したがって、宇宙線が大気の中で霧を作るという考えは自然に思える。
 反対意見の多くは、「こんなわずかな宇宙線の変動が全地球的な雲量に影響を及ぼすとは信じられない。観測データの一致(図 14 参照)は偶然にすぎない。」と主張する。

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 一方、フリス・クリステンセンとスベンスマルクの仮説を支持する人たちは、宇宙線が作るイオン対は、雲生成の触媒として作用しているのだと考える。したがって、宇宙線のエネルギーはほんの少しでも大きな増幅作用があるのではないかと考えている。この仮説は本当か、間違っているのか。科学の議論なのだから因果関係を証明しなければならないが、その証明方法が容易ではないというのが現状である。

 しかし、証明されてはいないが、確かに太陽活動が地球の気候に影響力を及ぼしていると考えられる理由がある。17 世紀中頃、ほぼ 80 年の長期にわたって太陽表面から黒点が消えた時代があった。シュペーラーはこの時代の存在に先に気がついたマウンダーの名前にちなんで、「マウンダー太陽活動極小期」と名付けた。ただ黒点が消えたのなら話はそれで終わりであるが、その時期地球は寒冷化したと思われる記録がある。例えば、最近では氷結しない年もあると聞く諏訪湖の凍結(いわゆる御神渡り)が、この時代は今までで一番早く、1 月 8 日に起こったという記録がある。

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図 17 1610 年から 1987 年までの太陽黒点の年変動。1640 年から 1715 年にかけて著しく太陽黒点が少ない時期があったこ とがわかる。この時期がマウンダー極小期と言われる。1976 年 Eddy は様々なデータからこの時期に黒点が太陽表面にほとんど出現しなかったことを確認した。(グラフは、J.Eddy,Science,192,1189, 1976より引用)


 名大環境学研究科の松本グループは屋久杉の年輪中に含まれている酸素同位体からできている水の各年ごとの含有量を測定し、確かにマウンダー極小期には異常があり、日本の気温は平均 2 度程度下がったと推定している。我々は、屋久杉中に含まれる放射性炭素 C14 を質量分析計で測り、ちょうどその時代に銀河からの宇宙線の増大に起因する放射性炭素が 2% 増大していたことを見つけた。

 ここでフリス・ クリステンセンとスベンスマルクの仮説を使えばこの相関は簡単に説明可能である。太陽活動が低下したため、磁気雲の飛来が少なくなった。そのため銀河からの宇宙線が地球に飛来しやすくなった。そして大気中にたくさんの イオン対を作った。そのイオン対が核となり、霧の発生を促し、雲が増えた(図 16)。その結果、地球の平均気温が 2 度ほど下がったというシナリオが見事に描けるのである。

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 学者は今まで炭酸ガスや、フロンガス、オゾンや窒素酸化物をモニターしてきた。 それはそれで大切なことである。しかし、今後は水蒸気の長期モニターも必要であると考えられる。それも、少なくとも太陽活動周期の 11 年間、できればその 2 倍の 22 年間は測定することが望ましい。太陽活動との相関を意識しつつデータを取らなければならない。これは大変息の長い話であるが、地球環境を理解する上で、一つの観測を長期間連続的に行うことは極めて重要である。例えば、米国海洋大気局が、ハワイのマウナケア山頂で 45 年間もの長期にわたって炭酸ガスを連続的に測定した結果、人類が危機に立たされていることがわかったという有名な話がある。

 さて、水蒸気量と宇宙線量の長期連続測定は、何を人類に教えてくれるのであろうか? ひょっとすると両者の関係が地球の運命の鍵を握っているやもしれない。




(転載ここまで)


私たちが日々の普通の暮らしの中で、毎日のように「ああ、今日は雨かなあ」とか言っている「天気」というものも、実際には宇宙と太陽の相互関係によって作り出されている部分が強いということは言えそうな感じがします。(控えめに書きましたが、私個人としてはほぼ間違いなく、雲の生成は宙線と太陽活動の影響下にあると思います)

それにしても、図14の「宇宙線と雲の量」の壮観関係のグラフはすごいですね。
これです。

cloud2.gif

宇宙線の量と地球の雲の量にここまで相関関係があるとは本当に驚きです。

ところで、文中に、「この仮説(太陽活動と雲の生成に相関関係がある)を支持する人たちは、宇宙線が作るイオン対は、雲生成の触媒として作用しているのだと考える。」という下りがありましたが、上記でのフレッド・ホイル教授の「地球の有機物では氷晶核が生成されにくい」という話(だから、宇宙から来た有機物で雨はできているという説)を合わせて見ると、たかが「天気」というのも、完全に宇宙そのものの活動現象の結果であるのかも・・・などとも思い、すごくエキサイティングなことだと思ったりしたのでありました。





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