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2010年04月01日


合理化に殺されていく昆虫

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・2006年に琥珀の中で見つかった1億年前のハチの化石(記事)。機能はほとんど今のハチと同じ。ミツバチも数千万前の化石から見つかっていて、その頃からハチの生活スタイルは確立されていたと推測されます。人間が現代式養蜂を始めたのは1851年。この160年で、人間は1億年以上の歴史を持つハチを、もしかしたら、絶滅に導いているかもしれません。




前回の記事のコメントでリンクを紹介してもらったもので、養蜂家の藤原誠太さんという方の消えたミツバチの行方というものの内容が大変にショックでありつつも、ここ数年起きている CCD と呼ばれる、ミツバチが大量に巣からいなくなるという現象の理由がだいぶん自分で理解できてきました。

このことをちゃんと書こうと思っているのですが、適当にまとめたくないし、うまくまとめるのに時間がかかりそうな感じですので、飛び飛びになるかもしれないですが、少しずつ書きます。まあ、私の記事などより、上の藤原さんの書いたものをお読みになっていただければと思います。

そして、基本的には、ミツバチは失踪したのではなく「すべて死んだ」と考えていいと思われます。しかも、極めて悲惨な死に方です。

この場合の「ハチはどう死んだか」だけを、推定を含めて簡単に書きますと、ネオニコチノイドなどの弱い神経毒である農薬は、直接は昆虫を殺しません。

しかし、中枢神経、特に目がやられます。

視界を奪われて暗闇の中で生きることになったミツバチは、昆虫の習性(暗い中ではわずかな光に向かって飛ぶ)として、ぼんやりと視界に残っている「巨大な光」に向かって、統制をとらずに突進していきます。その「光」とはすなわち太陽ですので、光に向かっていくらとんでも上空に行くだけで、それほど長距離の飛行能力を持つわけではないミツバチは、そのうち上空のどこかで死にます。

そして、はるか上空で死んだミツバチは至るところに死骸となって落ちてきます。
死骸は風などで散らばり、また乾燥した状態で、広範囲に散らばります。
なので、「まとまって死骸が見つかる」ということはないようです。

これがハチの大量死の「ハチの死に方」のようです。私の推定も含んでいますが、上の藤原さんの書類を読んでも、これは合理的に正しいと感じます。ミステリー的なニュアンスを含んで考えられていた CCD は非常に悲惨な大量死だったということになるようです。

私が子どもの頃、ハチのムサシは死んだのさ、という曲があり、あれは太陽に戦いを挑んで死んだハチの話でしたが、 CCD の場合は「太陽に救いを求めて」飛んでいったけれども太陽は救ってくれずに、みんな死んでしまったハチの話ということになりそうです。


ちなみに、日本においては、これらの原因は農薬のネオニコチノイドである可能性が高いわけですが、問題の本質はそこではないと私は考えます。

本当の問題は「現代の農業のシステム」にあると思います。

国によって事情は違うでしょうが、ハチの大量死が起きているすべての国にある農業の在り方と養蜂の在り方が悪く組み合わさって起きている問題だとも思われます。そのシステムが改善されない限り、たとえば、ネオニコチノイドをこの世から排除しても、また同じようなものが出てきて使われる。

まあ・・・しかも、「誰が悪い」という問題も難しいでしょうね。私たちも含めてみんな悪い気もします。一般的には、こういうことに関しては農水省や薬剤会社や農協などの直接的な当事者が責められるのでしょうが、しかし、「安い農作物を求め続けていたのもまた私たち一般民衆」です。農業がどんどん合理化していったのはそれが原因でもあります。

「消費者のニーズのためには人間以外の動物はどうなっても構いません。お客様のために、安価で命を殺し続けます」という姿勢ですね。現代の家畜制度もそうでしょう。

1個1000円のキャベツとか、100グラム50000円のハチミツでは誰も買いませんし、文句も言われます。なので、安くするために、あるいは「儲けるため」に合理的が進みます。たとえば、養蜂では、従来のやり方を西洋式に変え、さらに日本古来のミツバチまで捨てて、セイヨウミツバチを奴隷同然に使って、「役割が終わったら死んで下さい」という養蜂のやり方になってしまった(このあたりのアメリカ式養蜂のことは藤原さんの文書に詳しく書かれています。日本の古来の養蜂はそうではなく、ハチをとにかく大事にする養蜂だったそうです)。

そして、その合理的なやり方を選ばないと、競争原理の中で経営が行き詰まるので、「悪いものばかり残っていく」という感じでしょうか。

そして、今でもまだ消費者は安いものを求めている。
まあ、そのうち突然食べ物はこの世から消えるでしょうが、そうならない限り、(今朝おかずを残してしまったような)私を含めて、気づかないのだと思います。

ちなみに、ミツバチは数千万年前の化石から今と同じ形態で見つかっていて、その頃には生活スタイルも完成していたと言われています。数千万年の歴史を持つ生き物の生活スタイルをこの100年程度で崩壊させた人間というのは確かに全能なのかもしれませんね。
まあ・・・破壊者としての全能ですが・・・。

ところで、ネオニコチノイドの厄介なところは、昆虫の機能を奪う」というところにあるのですが、これの意味するところは「捕食による生態サイクルの乱れ」です。上のミツバチもそうですが、農薬で直接死ぬわけではなく、「機能」がやられて、それが原因で死んでいきます。

つまり、見えない、感覚がおかしい、などでしょうか。

これは「エサを採ることができなくなる」ことを意味します。なので、「天敵」という構図が崩れてしまうのです。

ネオニコチノイドは、昆虫ではないもの、たとえばクモ(クモ綱クモ目に属する節足動物)やダニ(クモ綱ダニ目の節足動物)などは機能を奪われないので、単に「天敵がいなくなる」となり、クモやダニにとっては天国状態。これから農地の周辺ではクモやダニが増えるでしょうね。

そして、残念なことには、(ネオニコチノイドなどを使っている)農家などのある「田舎」に行けばいくほど、クモやダニは多くなる現象が見られると思います。つまり、「都会にいない害虫が田舎だけで増えていく」という残念な現象です。現実、今、上の藤原さんは東京のど真ん中で養蜂をやっていて、成果を上げています。「田舎の農地ではハチが死んでしまう」からです。都会のほうがハチにとってはずっとクリーンだという皮肉な現実が起きているようです。

なお、ハチを中心に書きましたが、この神経毒の影響は「昆虫全域に及ぶ」と推測されます。トンボやチョウなどを含めた多くの昆虫にはちゃんと「目」があります。その機能が奪われて生きていける昆虫は少ないのではないでしょうか。

昆虫のいない田舎の風景の中に、クモの姿やダニの被害ばかりが広がっていくのもそう遠くはないのかも・・・。





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