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2010年05月06日


石油流出が引き起こす最悪のシナリオ

Prison Planet というサイトに、今回の石油流出事故について、いくつかの報道をまとめた上での「最悪のシナリオ」が書かれています、先日の記事の追記でも書きましたが、こちらも流出した石油が世界的な海流に乗ってしまう懸念の話で、最悪、それは海流の循環の停止と、天候の大きな変動を引き起こすというようなことを、「それは起こらない」と否定しつつ書いています。

今回、この文章を全文翻訳しました。

石油の掘削に関しての専門用語が多く、今回、私もずいぶんと勉強させていただきました。特に、わかりにくいと思われる、ライザーパイプ、ディープウオーター・ホライズン、石油リグ、ブローアウトプリベンター、エクソン・バルディーズなどは、翻訳の後に参考リンクを載せました。

ここからです。






Oil Spill: Here’s the Inside Scoop
Prison Planet 2010.05.03

石油流出:内部スクープ

メキシコ湾での石油流出は、当初考えられていたものよりかなりひどい。

クリスチャン・サイエンス・モニターが以下の記事を書いている。

石油流出は、沿岸警備隊が一日に5,000バレルだとしている量は、実際の値より低く見積もられている可能性がある。

独立系の科学者たちは、海底の変節した噴出口から日に最高で25,000バレルを噴出していると見積もっている。もし、ライザーパイプの閉め口がさらに破損した場合は、アメリカ国立大気局(NOAA)の試算によると、日に最高で50,000バレルの噴出が見込まれるという。



CNNでは、沿岸警備隊の指揮官であるサド・アレン提督が原油流出について語った以下の言葉を引き合いに出した。

まともには聞こえないかもしれないが、1日につき100,000バレル以上になってしまうこともあり得る。


石油掘削装置を動かしているBP社の環境に関するファイルによると、「最大で1日162,000バレルが流出する」と推定している。


2009 年2月に連邦政府に提出された調査計画と環境への影響の分析では、ディープウオーターホライズン(Deepwater Horizon)の項目で、BP社は、最悪のケースでは、1日162,000バレルの石油の流出があるとしている。



もっとも良いケースのシナリオ

BP社は、海底1,500メートル下でブローアウトプリベンター(防噴装置)を起動させるためにロボット潜水艦を用いて流出箇所を覆う難しい作業を試みている。

この写真は、4月22日にスイッチを動かそうとしているロボットの写真だ。

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(米国沿岸警備隊の好意による)


この作業が成功さえすれば、流出をいつでも止めることができる。そして、彼らが流出を止められる可能性はある。

しかし、すでに石油の流出量は、エクソン・バルディーズより悪くなっており、ルイジアナとフロリダのメキシコ湾岸に沿って、小エビ漁や釣り、観光産業などに非常に大きな被害を引き起こすと予想される。


代替プラン

ブローアウトプリベンター(防噴装置)を起動させることができない場合、代替計画としてあるのは、石油漏れから起きている圧力を軽減するためにもう一つ穴を開けることだ。

これは、BP社によって示された掘削の準備の様子だ(左の上の掘削装置は、下に掘り進んでから穴を開けてから漏れている石油リグからの圧力を軽減するために、この計画の完了には数ヶ月かかる)。

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同じ様子を記すタイムズ・ピカユーン紙に掲載された図はこれだ。

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BP社は、コンクリートと金属の「檻」を、石油流出現場の上に落とそうともしている。その檻で油を集めることによって時間を稼ぎ、その間により安全な方法で油を排出しようとしている。また、彼らは、石油が海の表面に上がる前に、石油を分解するための化学分散剤を使っている(化学分散剤は非常に有毒だ)。


最悪のシナリオ

AP通信が以下のように注意している。

メキシコ湾流が大西洋の方へ流出した原油を運んだ場合、原油の流出は制御が利かなくなるという最悪のシナリオになる可能性があると専門家は警告している。

東海岸より遠方まで流出し出すと、確かに非常にまずいことになりそうだ。

具体的には、以下の図の左側の赤い矢が示すように、メキシコ湾流は、フロリダから合衆国の東海岸沖を抜けていく。

最悪のシナリオとして考えられることは、石油の流出が非常に長い期間続いた場合、石油はメキシコ湾流から世界の海の海流へと流出し出すことだ。

私自身は、こんなひどいことが起きると思っていない。現在流出している石油の驚異的な量でさえ、私はそれが他の海流に乗るほどの量だとは考えていない。私はエンジニアたちが、何とかして流出現場の石油漏れを塞ぐと思うし、あるいは、石油の埋蔵量が尽きると思っている。


気候を変えてしまうこと

これは劇的ではあるけれど、ありえないシナリオだが、紹介する。

地球温暖化活動家たちは、温暖化によって暖かい海洋水の「大きな循環」が停止するかもしれないと長い間警告している。

彼らは、そのような海流の停止が急激な気候の変動と、新しい氷河時代の始まりを引き起こすだろうと言う。(このエッセイは、いわゆる「地球温暖化」や「地球冷却化現象」というものを支持も否定もどちらもしない。ここでは私は石油流出のことに焦点を絞っている)

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上の図面は海流の世界的な大きな循環を表している。それは、通常の海水と、より冷えていてより塩気のある海流との相互作用から成っている。

石油の流出が長い期間続いた場合、 おそらく、海洋水の中の粘性のある石油の巨大な厚さが、海洋水が海水の温度を保持するための能力(比熱と呼ばれる)に干渉して、標準温度と塩分ブロセスに影響することで、海流を停止させてしまい、世界の気候を変えてしまうのではないかということのようだ。

しかし、これは、面白い小説や映画にはなっても、現実には起きないだろう。

理由としては、流出している油田にある石油の量が世界的な海流に乗るための量としては少ないからだ。そして、たとえこれが地質学者が予測するより非常に大きい油田であることがわかったとしても、エンジニアたちは「終末の日」に至る前に、流出を止める術を見つけるはずだ。




(ここまで)

出てきたわかりにくい用語:

ライザーパイプ
ディープウオーター・ホライズン(Deepwater Horizon)
今回爆破事故個を起こした「石油リグ」と呼ばれる採掘装置の名称。
石油リグ
ブローアウトプリベンター
エクソン・バルディーズ

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