ちなみに、「今、書きたいこと」の筆頭は、異常気象と原油流出関係ではあるのですが、気温に関して、タイやインドの猛暑や、アンデスでは凍死者が続出しているなど、カオスな状況を示すニュースが連日出てきています。気象庁の全球異常気象をまとめた記事でも、現在の世界の異常な天候状況がおわかりになるかと思います。
原油流出に関しては、前回記事のコメントでもふれた「通常ではいない微生物の爆発的な増加が滅ぼすかもしれない海の生態系」ということに関して、次の書類にあった実験に興味深いことが書かれてありました。
・砂浜実験区における原油の微生物分解実験 : II.油分解細菌群集の変動
ここに、微生物の数の増え方が書かれてあります。
原油を入れた実験区では、細菌の数が、実験開始時にはグラム中「10の3乗」(1000匹)だったのが、
・実験7日目に、グラム中「10の5乗」(100,000匹)
になり、「与えた栄養分」によっては、
・グラム中「10の7乗」(10,000,000匹)
となったとあります。
つまり、1000匹だった細菌が、原油の中で1週間で、1000万匹に増えたということだと思います。メキシコ湾で起きている原油流出に関して、「これが世界の潮流に乗ったら」ということについて私が抱いている危惧の様相の一端を想像していただけると幸いです。
しかし、このことは不明な部分の多い微生物の生態が絡む複雑な問題ですので、今後書けるところがあれば書いてみたいです。
さて、ここからが今回の本文です。
有名な「木星のベルト」のうちのひとつ、南赤道ベルト(面積は地球の10倍)が消失してしまったという話です。
One of Jupiter's belts disappears (TG Daily 2010.05.12)を訳してアップします。西洋の英語記事には必ず含まれる「まるで不要な小粋な表現」はすべて割愛しました。
事実関係だけをビックアップします。
木星のベルトに関しては、木星面で発生する現象などに詳しいです。
(ここから)
木星の赤道縞(赤道ベルト)のうちのひとつが消失
木星は、どうやらそのベルトのひとつを失ってしまったようだ。

この変化を最初に見つけたひとりである有名ブロガーは、「木星の南赤道ベルト(SEB)は、完全に消えた。今は誰がいつ木星を望遠鏡で覗いてみても、北赤道ほうのベルトのストライプしか見えない」と、ブログで述べている。
赤道のベルトは、少量の硫黄とリンから組成されるアンモニアの氷からできている。科学者たちはその成り立ちに関してはまだはっきりと解明しているわけではないが、1つの理論としていわれているのは、それらが、高度に位置する青い雲の間の単の単なる切れ目ではないかということ。暗くて深部分は透けて見えるということだ。
ベルトが消えたのは、これが最初ではなく、3年から15年おきに起きている。最後に起きたのは、1990年代のはじめで、それより前には、1973年に起きている。
しかし、今回のこの変化は、木星が太陽の背後にあった3カ月という短期間の間に起きていて、今までと比べて突然に見える。
オーストラリアの天文学者アンソニー・ウェズリーが撮影した、様々な写真はこちらにある。
(ここまで)
太陽系全体に異変が起きているかもしれないという意見は最近多いですが、この巨大なベルトの突然の消失なども、そういうもののひとつとして考えられるのかもしれません。
今までもこの「赤道の帯が消える」という現象はあったとはいえ、地球よりはるかに大きな面積の範囲で起きている自然現象がたった3カ月で「まったく消えてしまう」というのは、木星よりはるかに小さな惑星である地球にとっては、いろいろと考えさせられることにも思ってしまいました。