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2010年05月29日


科学者たちが原油流出事故を「人類史での最大の破局」と呼ぶ理由

Update - 分解剤の成分について、安全シートにあるのは Corexit EC9527 という、9500と同時に使われているほうの分解剤の成分のようですので、追記で訂正しておきます。





BP 社が使用している化学分解剤 Corexit 9500

原油流出に関して、私個人としてはバクテリアの異常繁殖などによるデッドゾーン=死の海域が広がることを最大の懸念と思っていたのですが、ロシアの科学者たちの懸念はその程度のものではないようです。

そのポイントは、現在、PB社が原油流出現場で大量に使用している「 Corexit 9500 」という化学分散薬品に関してのことで、この特性が「異常にまずい」らしいのです。毒性自体もですが、この薬剤の分子レベルでの「相転移」という現象により、海だけではなく、アメリカを初めとする地上の多くに影響するということのようです。

Corexit 9500 に関しては日本語での読み方がネット上にはなく、わからなかったのですが、YouTube で Corexit 9500 の毒性について話している人がいて、その発音をきくと「コレキシト」のように聞こえますので、読みにくい単語を原語で書くのもアレですので、正確ではないにしても、訳文では、コレキシト 9500 (Corexit 9500) と表記することにします。ちなみに、上の YouTube の人は何度も「 fuck 」を連発して「この薬剤のヤバさ」を語っていて、知っている人にはかなりのもののようです。

中東のPress TV でこの Corexit 9500 に関するロシア天然資源省の発表の内容を短くまとめていましたので、ご紹介しておきます、

(ここから)


Oil spill threatens 'total destruction'
Press TV 2010.05.28

原油流出は「完全な破壊」をもたらす

ロシア天然資源環境省が「BP社の原油流出は、北米大陸の東半分のすべてを "完全な破壊" に導くだろう」と発表した不吉なこのレポートは、メキシコ湾で起きているBPの原油流出とガス漏れから生じる差し迫った災害を警告している。欧州の連合タイムズは、「これは人類の歴史の中で、最悪の環境の大災害と呼べる」と報じた。

ロシアの科学者たちは、BP社がメキシコ湾での原油の流出の程度を隠すために、何百万ガロンもの化学分散薬品の「 コレキシト9500 (Corexit 9500) 」を注入していると確信している。

専門家によると、 コレキシト9500は、石油より4倍有毒な溶剤だという。

この 2.61ppm のレベルの毒性を持つ溶剤が、メキシコ湾の暖水と混ざることによって、その分子が「相転移」すると科学者たちは考えている。

この転移は、液体をガス状に変える作用があり、ガス化した後には雲に吸収される場合がある。そこから、地上に「毒性を持つ雨」が放たれ、あらゆる生き物たちの生態系を滅ぼす「想像もつかないような環境の破滅的災害」を引き起こすかもしれない、とレポートにはある。




(ここまで)


要するに、この Corexit 9500 という原油の分解のための化学薬品の持つ特性が「ガス化しやすい」ということで、そのガスは雲となり、最終的に「毒の雨」を降らせて、それが地上の広範囲の生態系に影響を及ぼす可能性、だと思います。

正直、訳していて少し恐怖を感じてしまいました。


分解剤の主成分である 2-ブトキシエタノールとは

この Corexit 9500 という原油の分解のための化学薬品についての詳細は、英語ページですが、こちらに、いくつかのことが書かれています。
そこには、

・1989年のエクソン・バルディーズ号の石油流出事故で使われた。
・米国の環境保護局がBP社に薬剤を選ばせて、使用しているものであること。
・主成分は2-ブトキシエタノール ( 2-Butoxyethanol ) というもの。


などが書かれていて、この製品の主成分が、 2-ブトキシエタノールものだということがわかるのですが、もちろん、これがどんなものなのかはわかりません。ただ、環境省の2-ブトキシエタノール - 物質に関する基本的事項を見ると、こうあります。


本物質は眼、皮膚、気道を刺激し、中枢神経系、血液、腎臓、肝臓に影響を与えることが ある。吸入すると咳、眩暈、嗜眠、頭痛、吐き気、脱力感、経口摂取ではさらに腹痛、下痢、 吐き気、嘔吐を生じ、皮膚からも吸収されて影響を生じることがある。眼に入ると発赤、痛 み、かすみ眼を生じる。


少なくとも、体にいいものではなさそう。
この書類には様々な動物実験の結果が載せられていて、化学式的な部分は私には理解できないですが、この「致死量」に関しての表があって、こういうことになっているようです。

bul.gif

他に、記事中にあって、今回意味がわからなかった項目として、相転移 (phase transition) という言葉があります。相転移というページによると、「物質がその物理量の不連続変化を起こす現象」だそうで、そもそも化学現象でいう「相」とは何かということに関しては、たとえとして、こうありました。

氷の温度を上げて行くと、あるところで溶け始めて水に変わる。さらに温度を上げて行くと、あるところでいきなり気体に変わる。このように、物質の体積や密度やその他の性質が急激に変わるところがあると、その変化の前後を別のものとして区別することができる。水蒸気と水とは、急激に変化するからお互いを区別できるのである。 もしじわじわと変化したなら区別する基準が見付からないだろう。この区別を「相」と呼ぶ。

とのこと。
つまり、上の分解剤で言うと、「いきなり(他の物質に変化する可能性を含めて)毒性の雲になっていく」というような意味のようですね。

海では爆発的に増えるであろうバクテリア。空中には、相転移で振りまかれる「毒の雲」とそれがもたらす「毒の雨」。

どうにも大変な展開になってきているようです。




[追記] 2-ブトキシエタノールの訂正

上の記事で書いた 2-ブトキシエタノールの件は、「 Corexit EC9527A 」というほうの Corexit EC9500 と同時に使っているらしい分解剤の成分のようです。読んでいた時に Corexit EC9500 のことだけ考えていたので、早合点してしまいました。

こんなこと書くのもナンなんですが、実は英語はつい最近まで全然ダメだったのですが、理由はわからないのですが、1ヶ月くらい前にある日突然読めるようになりまして、それで最近ザッと目を通してそのままま翻訳として書いてます。
もともと単語力がないので、単語は今でも素通りすることが多いです。

ほとんどの翻訳が原文を一度だけ読んだ状態でのその場の記憶だけで書き上げているもので、あまり点検をしてないので、こういう間違いは多いと思います。
なので、ご指摘いただけるのは嬉しいです。
他にしてもそうですが、内容的には各自でお確かめ下さるほうがいいと思います。

というわけで、訂正しておきます。

Composition (構成)

Corexitで、2-ブトキシエタノールが主要成分であるのは、 Corexit EC9500 と同じナルコ・ホールディング社の Corexit EC9527 という製品ですね。

安全データシートはこちらです。

SAFETY DATA SHEET - COREXIT EC9527A

使われている以下の化学物質が危険であるとのことです。

・2-ブトキシエタノール 2-Butoxyethanol
・有機スルホン酸塩 Organic sulfonic acid salt
・プロピレングリコール Propylene Glycol


だそうです。
下2つは何だかわからないですが。

Corexit EC9500は、水素化処理している石油蒸留物、プロピレングリコール、および有機スルホン酸の酸性塩から成っているとのことです。

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