中国では新しく発症した結核患者の3分の1以上が薬物に耐性のある結核菌を持つ
(訳者注) 中国で、「薬剤耐性結核」が大流行の兆しを見せているという報道です。
薬剤耐性結核、あるいは、多剤耐性結核というのは、「薬が効かない結核」のことで、「多剤耐性結核の性質と発症原因について」というページでの説明によりますと、
WHOによると、薬剤耐性結核は以下のように分類されています。
多剤耐性結核: 第1選択薬であるイソニアジドとリファンピシンの2剤に対して抵抗性を持っている結核。
超多剤耐性結核: 上記2剤に加え、フルオロキノロン系製剤に耐性を持ち、かつ注射剤であるアミカシン、カナマイシン、カプレオマイシンの3剤のうち、少なくとも1剤に耐性を持つ結核。
とのことです。
In Deep のこちらの記事の最後にも書きましたが、今でも、毎年、世界中で年間に940万人が新規に結核に発病し、130万人が結核で亡くなっているという事実があります。

これは、「薬の効く結核が多い現状」での死者数であり、もし、薬が効かないほうの結核の比率が大きくなった場合はかなりの脅威ではないかという気もします。
以下、それについての AFP の記事です。
China faces 'serious' epidemic of drug-resistant TB
AFP 2012.06.06
中国で直面する深刻な「薬剤耐性結核」の流行
最近、米国で発表された調査結果によると、中国では深刻な薬物に耐性のある結核が「重大な流行の局面にある」ことが示された。
発表されたニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシンには、「2007年には、新しい結核患者の3分の1と、それ以前から治療を受けている結核患者の2分の1以上が薬物耐性のある疾患にかかっていた」と記されている。また、最近の調査では、中国の多剤耐性結核の患者の数の比率は、世界平均のほぼ2倍に達していた。
WHOは、「中国は薬剤耐性結核の重大な流行の危機に貧している」とした。
米国ジョン・ホプキンス大学の伝染病の専門医であるリチャード・チェイソン氏によると、現在、世界中で薬剤耐性結核は「大きな増加」を示しているという。
中国では毎年 100万人以上の新規の結核患者が発生しており、世界では今年 900万人の新規の結核患者が報告されている。そして、全世界で毎年 150万人の人が結核が原因で亡くなっている。
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2010年08月26日



