(訳者注) 北極で嵐が発生しているという珍しいことが起きていることが NASA の地球観測衛星の写真により確認されました。
そして、このことにより、急速に北極の氷「溶解」が加速していることがほぼ間違いないとされています。この「溶けていく氷」というものに関しては、様々な方面から、(あくまで私個人の考えですが)本格的な「地球の氷の全溶解」までそれほど長いわけではないのではないかという気がします。
そのことを今調べ直していて、それに関しては In Deep に書くと思いますが、海洋面の上昇といったものを含めて、確かに急速に物事が進行していくような気配が常にあります。
とのあえず、今回は、「北極での嵐」のニュースを翻訳しておきます。
また、 In Deep の最近の「北極や南極での異変」についての記事をリンクしておきます。
・強烈な気候変動の衝撃:氷が溶けた北極海で藻と植物プランクトンが大発生している
In Deep 2012年06月09日
・南極で 30キロメートルの長さに渡って出現した「巨大な亀裂」
In Deep 2012年02月05日
・南極上空に現れた「月のサイズ」ほどもある渦巻き
In Deep 2010年11月28日
では、ここから、北極での嵐のニュースです。
米国のタイム誌のオンライン版からです。
ちなみに、嵐の発生した場所なんですが、観測衛星で撮影された写真は下のものが掲載されていますが、よくわかりません。

それで、緯度などから探ってみますと、上の嵐の中心は下の「A」の地点だと思われます。

この後にこの嵐は北極海に向かって進み、現在もまだあると思います。
では、ここから記事です。
Unusual Summer Storm Blasts the Arctic
タイム(米国) 2012.08.10
普通ではない夏の嵐が北極を襲っている
きわめて珍しい夏の嵐が北極で吹き荒れている。
これはアラスカ沖で発生して、北極海の上を進んでいる。
北極海で嵐が発生すること自体も珍しく、 NASA のゴダード宇宙飛行センターによると、この34年間で同じような強い嵐が発生したのは8回だけだというが、それよりも多くの人々を驚かせたのは、その後に発表された、 NASA の地球観測衛星のアクアが 8月6日に撮影した写真だ。

上の写真では、左下がグリーンランドで、サイクロンは北極のほうへ向かっているのだ。科学者たちは現在、このような嵐の影響の可能性について、いろいろと推測している。
下の文章は NASA のウェブサイトからの抜粋だ。
このような北極での嵐は、海水に大きな影響を与える可能性がある。そして、これが多様なメカニズムにより、氷の溶解がスピードアップする原因にもなり得る。
NASA ゴダード宇宙飛行船センターの気候学者クレア・パーキンソン博士は、「今回の嵐が海の氷の大きな塊からかなりの氷を分離したと思われます。もしかすると、今回のこの嵐はこの夏の深刻な北極の氷の溶解と崩壊に繋がる可能性さえあります。多分、今、北極の海の氷の量は過去最低に至っているかもしれません」と言う。
そして、「数十年前に北極で起きた嵐の際には、同じような規模の嵐でしたが、今回のような懸念は生じませんでした。それは、当時の北極の氷は厚く広く、嵐程度で崩壊するようなものではなかったのです」と続けた。