これは科学誌「ネイチャー」に発表されたもので、「スイスのジュネーブ湖(フランス語ではレマン湖)で大規模な津波が発生する可能性」についての記事です。
スイスには海はありませんが、巨大なジュネーブ湖があり、「ここに落石がある」ことによって、巨大な津波が発生する可能性があるのだそうです。
そして、これは実際に過去に起きたことなのでした。
本文中にありますが、西暦 536年に起きたもので、落石が原因だとされているものですが、津波の高さは最大で 13メートル。ジュネーブにも8メートルの津波が音寄せたそうです。
ところで・・・この「西暦 536年」ということに関しては、過去に In Deep で、「西暦 535年に起きたこと」のようなタイトルでいくつかの記事を書いています。そこから考えると非常に興味深いもので、もしお時間があれば、そちらの記事を読まれていただきたいと思います。
以下の記事などです。
・西暦 541年の東ローマ帝国でのペスト襲来に関してのヨーアンネースの記録
2012年09月20日
・ウイルスの流入の繰り返しでDNAの進化をなし得てきた人類をサポートする「宇宙と火山」
2012年09月24日
もしかすると・・・西暦536年のスイスの「落石による津波」は、「落石ではなく彗星か隕石」だったという可能性もあるのかもしれません。高さ13メートルという津波は、ものすごいもので、これにはものすごい「力の源」が必要だと思います。
落石だけでそこまでの津波が発生するのかどうか・・・。
このあたりは、またいずれ、 In Deep のほうなどで考えてみたいと思います。
ちなみに、ジュネーブ湖の位置と周辺は以下のようになっています。
周辺の主な町は、
ジュネーヴ(スイス)
ローザンヌ(スイス)
ヴェヴェイ(スイス)
モントルー(スイス)
エヴィアン=レ=バン(フランス)
トノン=レ=バン(スイス)
ローザンヌ(スイス)
ヴェヴェイ(スイス)
モントルー(スイス)
エヴィアン=レ=バン(フランス)
トノン=レ=バン(スイス)
などです。
では、ここから紹介されていた記事の編訳です。
英国の高級紙テレグラフのオンライン版より。
テレグラフ (英国) 2012.10.28
ジュネーブ湖は『津波の危険に瀕している』かもしれない
▲ ジュネーブ湖。
スイスのジュネーブ湖の湖岸に住む 100万人の人々は、強大な津波の危険にさらされている可能性があると、科学者たちが警告した。
6世紀に、このジュネーブ湖では落石によって大きな津波が引き起こされ、いくつかの村が破壊された。その際の津波では、26フィート(約8メートル)の高さの波が、ジュネーブの都市の壁を破壊し、多くの犠牲者を出した。
この「ジュネーブ湖の津波」は残されている文書では西暦 536年に起きた。
その時の津波を研究している専門家たちによれば、同じような災害が再び起きる可能性は低くはないという。そして、その場合、20万人の人々が住むジュネーブは特に津波に対して弱いと言う。
専門家たちは、湖での津波に対しての危険性が過小評価されていると語る。
調査では、ジュネーブ湖の沈殿物を分析し、当時の状況をコンピュータシミュレーションによって計算した。その結果、落石によってローヌ川の水がジュネーブ湖内に流入し、巨大な泥流が発生することを示唆した。
シミュレーションの結果、ジュネーブ湖に面するローザンヌでは津波の高さは 13メートルにまでに達したと考えられる。そして、70分後には高さ8メートルの津波がジュネーブに達した。
記録では、津波はジュネーブ橋を破壊し、町の壁を打ち壊したことが記されている。
現在のジュネーブを同じ高さの津波が襲った場合、ジュネーブの大部分は大洪水になるという。
この研究結果は、科学誌「ネイチャー」に掲載された。