深刻な水不足の主原因はウランによる汚染か、当局の強引な井戸の閉鎖なのか
ナバホというのは、聞き慣れない言葉ですけれど、アメリカの先住民族(ネイティブ・アメリカン、あるいはインディアンとも)のひとつのことで、彼らの準自治領のひとつがアメリカにあるのです。
ナバホ・ネイションといって、アリゾナ州、ユタ州、ニュー・メキシコ州にまたがる下の地域です。

▲ ナバホネイションとは より
上の地図をお借りしたサイトによりますと、
広さは約69,000平方キロメートルもあり、強い自治権を保有しており、一つの独立国家にも等しい力がある自治体です。今は、このナバホ・ネイション内に25万人以上のナバホ族が住んでいますが、1860年代には8,000人程度まで減少したと言われています。
ということです。
この地で、今、井戸が封鎖されたことによる激しい水不足が起きており、家畜が次々と死んでいるという報道がありました。
記事では、井戸がウランで汚染されているために、当局が「健康への懸念のため」として井戸を閉鎖したということらしいのですが、この記事だけでは、詳しい状況は今ひとつわかりません。
しかし、今や、理由は様々であっても、「極端な水不足」というものは、世界の数多くの地域に広がりつつあります。
世界中で激しい洪水が起きる一方で、水不足のほうもどんどん激しくなっているというのが現実のようです。
まして、現在のアメリカは未曾有の熱波に襲われています。

▲ 山火事のアメリカ南西部は50度前後の猛暑( NHK 2013.07.01)より。
今日 7月 3日のアメリカの気温の予測も下のようになっています。赤の地域は、おおむね 38度以上の地域となっています。

どうもこのナバホ・ネイションというのは全体的に砂漠のような地域のような感じであり、上の天気図と合わせてみましても、現在の熱波をまともに受けている地域でもありそうです。
そのナハボの現状について、ナハボ・ポストの記事からご紹介します。
SHOCKING: NAVAJO GRAZING OFFICIAL SAYS THE LIVESTOCK CONTINUE TO DIE, ‘CARCASSES LAYING AROUND’
Navajo Post 2013.06.26
ナバホの牧畜当局は家畜が死に続けていると述べる。「そこら中、死体だらけだ」
ナバホの牧畜当局関係者であるハーマン・リー氏は、ナバホ・ポスト紙の電話取材に対して、ナバホで家畜用の水が絶望的に不足していることを話した。リー氏は井戸が閉鎖となってしまったことに言及する。井戸の閉鎖の理由は、水がウランで汚染されてしまったからだという。
井戸の周りには家畜たちの死体が横たわっていると彼は述べる。
「現在、水の中に大量のウランが含まれているんだ。これは私たちが、ウランの混じった水を井戸からくみ上げているということになるのさ。これがこの土地の今の状態だよ。井戸は涸れ上がり、貯水タンクも尽きた」とリー氏は述べた。
リー氏は、土地に横たわる数多くの死亡した家畜の写真を撮影した。また、多くの機関からの援助を求めていると説明した。しかし、彼らは、このウランの問題を健康の問題として取り上げてほしくないという。
そして、リー氏はこのように語った。
「携帯用の水は人間が飲むものではなく家畜の与えるためにあるのだ、という心の葛藤と私たちは戦っている。ここには彼ら家畜の多くの家族がいるんだ。そして、彼らは水を運び、また、家畜も私たちもまた水を使う。私ちはその状況をコントロールしようと努めている」。
土地の人々がウランで汚染された水を飲んでいるとしたら? とリー氏に直接的な質問を投げかけてみると、彼は「私たちの唯一の問題は、この土地の井戸のすべてが汚染されていることで、それよりも大きなことは、 当局がすべての井戸に蓋をして閉鎖してしまったことだ。井戸が涸れ上がってしまった」と語った。
汚染された井戸は試験で確認されたという。そして、 当局が蓋をしたのは「健康の問題のため」だという。しかし、リー氏は、確認と試験をおこなった者に関しての書類は見当たらないと述べた。



