▲ フランスの La Voix de la Russie より。
フランスのドローム県という場所の広範囲で、「空からクモの糸のように白い繊維状の物質が降り続けて、広範囲のいたるところにその物質が付着した」という現象が起きたことが報じられました。
問題なのは、調べたところ、一見、クモの糸のようにも見えるこの繊維のようなものは、クモの糸でも生物系統のものでもなく、有毒な化学物質であることがわかったために、いろいろと騒動になっているようです。
▲ 手でさわるとこんな感じのもの。フランスの新聞 Le Express より。
陰謀論者の人々は、「ケムトレイルだ」と主張したり、また、「チェルノブイリからの放射能の雲だ」と言い出す人々が出たり、結構な騒動となっていたようです。
物質の正体
分析した結果から、これらの繊維のようなものからは、いくつかの化学物質が検出されたようです。
最初に載せました La Voix de la Russie には、
・フタル酸エステル
・フラン
・ダイオキシン
が、繊維に含まれる化学物質だったことが判明したというようなことが書かれてあります。
どれも有害物質らしいのですが、今ひとつよくわからないので、調べてみました。
フタル酸エステル
フタル酸エステル類についてより。
上のサイトには「フタル酸エステル類は、プラスチック製品などの可塑剤として用いられていますが、ヒトへの有害性への懸念から、様々な規制を受けております」とあり、表がありました。
その表の一部です。
少なくとも子どもなどには良くないものとして扱われているようです。
フラン
フラン - Wikipedia の「汚染物質としてのフラン」より
環境汚染物質としてしばしば言及される「フラン」は、フランそのものではなく、フラン環を持つジベンゾフランの誘導体のポリ塩化ジベンゾフランのことである。PCDFはポリ塩化ジベンゾジオキシンに似た構造と毒性を持ち、ダイオキシン類に含まれる。
よくわからないですが、毒性のあるもののようです。
ダイオキシン
ダイオキシン類 - Wikipedia の「毒性」より。
急性毒性試験結果を見ると、致死毒性は、生物種差が極めて大きく現われる。感受性の最も高いモルモットの半数致死量は600ng/kgであるのに対してハムスターでは5,000,000ng/kgである。
すなわちモルモットとハムスターとでは半数致死量は8000倍も異なっている。そのため、ヒトに対する致死毒性量はよくわかっていない。
ダイオキシン類に暴露すると急性・亜急性に次の現象・症状が現れると考えられている。
・体重減少(消耗性症候群)、
・胸腺萎縮
・肝臓代謝障害
・心筋障害
・性ホルモンや甲状腺ホルモン代謝
・コレステロール等脂質代謝
・皮膚症状(クロロアクネ)
・学習能力の低下をはじめとする中枢神経症状
ダイオキシン類の残留濃度が高い場合、糖尿病を発症するリスクが上がることが国外の研究や、厚生労働省による研究で分かった。
台湾におけるPCDFの事例からは子供の成長遅延、知力の不足、頭蓋骨の石灰沈着異常、舟底踵、歯肉の肥厚、異物性結膜炎の水腫様の眼症状等が認められている。
とのことで、まあ、そういうようなものが「繊維」としてフランスの空から降ってきたという事件だったようです。
地面や植物や作物、車や建物などいろいろなところにこの繊維が付着しているようですので、気持ちのいいものではないでしょうし、実際に子どもなどには危険かもしれません。
そして、どうしてこのようなことが起きたのかはわかっていません。
その「理由がわからない」ということが一番怖いことのような気がします。