
▲ 鳥インフルエンザ H7N9 は2013年の発生以来、現在までに、中国、台湾、香港で 139人が感染しています。
RIA Novosti より。
H7N9 の致死率は 30パーセントを越えている
今年の4月に、 In Deep の、
・21世紀のパンデミック(3): 次にヒトのインフルエンザ感染が発生するとしたらそれはどこか?
2013年04月24日
という記事に、科学誌ネイチャーの「これまで報告された 104人の鳥インフルエンザの患者の報告された位置と、次にウイルスが行くかもしれないとしたらどこへ向かう?」という内容の記事をご紹介しました。
つまり、ネイチャーが記事にするほど、当時は、科学的にもこの鳥インフルエンザ H7N9 の世界的拡大が懸念されていたということにもなります。
しかし、その後、爆発的な流行は起きずに、次第に話題は消えていきましたが、その間も人への感染が止まったというわけではなく、コンスタントに感受は発生し続けています。
現在( 2013年 12月 18日)までに、中国、台湾、香港で、少なくとも 139人が感染して、そのうち 45人が死亡しています。この数字でわかるのは、感染力は弱いのですけれど、139人のうち 45人が死亡してしまうという、致死率にすれば 30パーセント以上もあるこのインフルエンザの重篤度です。
ですので、こういうような鳥インフルエンザが「強い感染力」を持つとわりと恐ろしいことになる感じはあるのですが、数日前の英国版ロイターに下のような記事がありました。

▲ ロイター UK より。
薬剤耐性を持つ新しい H7N9 が発見されたという記事です。
同じ内容を日本語版のロシアの声などでは、下のように刺激的なタイトルをつけて報道しています。

▲ ロシアの声より。
ロシアの声の記事は下の内容です。
一部訂正しています。
新型鳥インフル発見、パンデミックの恐れあり
ロシアの声 2013.12.13
ニューヨークのマウントサイナイ医科大学で鳥インフルエンザ H7N9 の新たな変異株が発見された。現在普及している医薬品に強い耐性を示すものだ。
これは、中国人患者から採取された血液サンプルの分析により発見された。患者は今年春にインフルエンザに感染していた。菌株は空気・液体感染する。大抵の医薬品に反応しない。
ウィルス学者らは警戒感を示している。パンデミック(世界的な大流行)となる可能性も排除できないという。詳細な研究とワクチンの開発が急がれる。
とあります。実際には、ロイターなどによれば、科学者は今のところは、人から人へと感染するようなパンデミックは想定していないようです。
しかし、科学者たちが怖れているのは、今回のような比較的大きな「変異」が、繰り返されるうちに、感染力の拡大や、人間同士の感染に適応していくという可能性を排除することはできないということのようです。
そして、仮にそうなった場合、今回発見されたこの鳥インフルエンザの変異株は、たとえばタミフルなどのいかなる抗ウイルス薬も効かないもので(タミフルの是非はともかくとして)、基本的に医療での対処が対症療法のみとなります。
その致死率は上に書いた通りの大変なものですが、このあたりに関しては、変異しないでもらうことを願うしかないのかもしれません。