
▲ 2014年3月29日の米国 CTN NEWS L.A. earthquake: More than 100 aftershocks recorded より。
3月28日にカリフォルニア州のサンフランシスコで、マグニチュード 5.1 の地震が発生しました。
震源は、下の赤い丸の場所です。

▲ 20014年3月28日の CBS より。
地震そのものによる被害は軽微でした。
ロサンゼルス近くで地震続発、最大M5.1 被害報告なし
CNN 2014.03.29
アメリカ地質調査所(USGS)は28日、米カリフォルニア州ロサンゼルス近くで同日夜、マグニチュード5.1の地震が起きたと報告した。震源の深さは約1.9キロ。
揺れは約15秒間続き、ハリウッド・ヒルズを含む周辺地域でも感知されたという。オレンジ郡の保安官事務所によると、人的、物的被害の報告は現段階でない。ラハブラの消防当局は震源に近い地域などで被害の有無を調べている。
数時間前には同じ地域でM3.6の地震も起きていた。また、1週間余前にはロサンゼルス市中心部から北へ約24キロ離れた地点でM4.4の地震が未明に発生している。
というもので、大きな被害はないようなのですが、余震が 100回以上続いている上に、他の報道では専門家が「今回の地震は、サンアンドレアス断層を刺激して、さらに巨大な地震を誘発する可能性を持つものかもしれない」というようなことを述べています。
下はロサンゼルス・タイムズの記事です。

▲ 2014年3月29日のロサンゼルス・タイムズより。
この、専門家が言う「危険な断層」というのは、北米大陸の西側の海岸線に沿って走っているサンアンドレアス断層というものです。
このサンアンドレアス断層では、1年ほど前から異変が続いていました。
そのことは、
・アメリカ大陸周辺で何が起きようとしているのか : ロサンゼルス沿岸のプレート境界の海底から大量に噴出するメタン
In Deep 2013年03月08日
に記したことがあります。
その記事からサンアンドレアス断層を説明している部分を抜粋します。
サンアンドレアス断層での異変
サンアンドレアス断層というのは、アメリカ西海岸に 1,300キロメートルにわたって続く巨大な断層のことで、下の2つの矢印の間のラインのあたりです。
この場所はアメリカ大陸の過去数百年の中で最大の地震を起こしたと考えられている場所です。それは、西暦 1700年のことで、まだアメリカ合衆国がなかった時代のできごとです。
アメリカに文献が存在しないこの時代のことがわかったのは、実は日本の古文書からでした。
それについては、独立行政法人「産業技術総合研究所」の下のプレスリリースにありますので、興味のある方はそちらをご覧下さい。
・北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定
産業技術総合研究所 2003年11月21日発表
この1700年の地震は「アメリカで起きた地震なのに、日本の太平洋沿岸でも下のような高さの津波に襲われた」ほどの壮絶な地震だったと推測されています。
西暦 1700年にアメリカ西海岸で発生したマグニチュード 8.7から 9.2と推定される地震によって日本に到達した津波の高さ
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この時の日本で起きた津波は、太平洋を渡って日本にまでやって来たのです。
アメリカ西海岸のサンアンドレアス断層というのは、そういう、地球で最大クラスの地震を起こした過去を持つ場所なのです。
今回のロサンゼルスの地震は、このサンアンドレアス断層と隣接しており、専門家たちは「トリガー」のような働きがないかどうかを調査しているようです。
カリフォルニア州には他にも数多くの断層が存在し、しかも、人口や家屋が多いこともあり、どの断層でも、巨大な地震が発生した場合の被害はかなりのものだそうです。
先のロサンゼルス・タイムズによれば、南カリフォルニアのプエンテヒルズ断層という断層で大規模な地震が発生した場合、最大で1万8千人の死者が発生し、経済的損失は「 2500億ドル( 25兆円)」になると試算されているのだとか。
これが、サンアンドレアス断層での巨大地震となると、被害規模の想定自体が予測不可能なほどのものになると思われます。なぜなら、上の抜粋しましたように、西暦 1700年には、アメリカの地震で、日本でも多数の被害者と、大きな経済的損失を出しているからです。
ちなみに、周期的に地震を発生させてきたサンアンドレアス断層での地震の前回の地震からの期間的周期はすでに過ぎていると考えられています。