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2014年09月08日


アメリカ中西部の子どもに広がる「過去最悪」のエンテロウイルス(EV-D68)感染症の異常事態



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Extinction Protocol


西アフリカでエボラの患者数が増え続ける中、日本では、首都圏を中心として「デング熱」が拡大していることが報じられていますが、このデング熱、今年は東南アジア諸国でもかなりの猛威をふるっていて、特にマレーシアでは下のウォールストリート・ジャーナルの報道にあるように、平年の4倍以上の死者を出す緊急事態となっています。


マレーシアでデング熱感染が急増、死者は前年の4倍に―新型ウイルスが一因
CNN 2014.09.04

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マレーシアでデング熱の発生件数が急増し、今年に入ってからのデング熱による死者は前年同期の4倍近くに上っている。

マレーシアでは今年、8月30日時点でデング熱関連による死者は131人、感染者は6万8144人。前年同期は死者は38人、感染者は1万8923人だった。

保健当局は差し当たり、周辺地域の清掃や殺虫剤の散布による蚊の駆除で対処している。しかし、当局によると、自治体による清掃への参加率は低く、デング熱感染はさらに拡大する可能性がある。



このように、「ウイルスなどによる病気」が、最近では耳にしたことがないほどの勢力を増している状況の中で、アメリカで、「エンテロウイルス」というウイルスによる「呼吸器系の深刻な症状」が子どもを中心として拡がっていることが CNN で報じられています。

エンテロウイルスというのは、横浜市衛生研究所によりますと、

エンテロウイルスは、「かぜ」ウイルスとして知られるライノウイルスについで、よく見られます。

エンテロウイルスは、アメリカ合衆国では年間1000万-1500万件の感染症を起こしていると推測されています。また、エンテロウイルスは、アメリカ合衆国では少なくとも年間3万-5万人の入院を起こし、その多くは無菌性髄膜炎であると推測されています。

というもので、アメリカでの患者数でわかるとおり、本来なら、かなりありふれたウイルスですが、このエンテロウイルスには「100種類」を越えるタイプがあり、現在、アメリカで問題となっているのは「 EV-D68 」というタイプのエンテロウイルスで、これまであまり感染報告例がなかったものの感染拡大により、「かつてないほど深刻な症状を示す患者」が相次いでいるようです。

下に CNN の報道を載せますが、緊急搬送される子どもの数は米中西部の多い州では数百人規模となっていて、かなり深刻な事態であることが伺えます。

ちなみに、この EV-D68 は、ワクチンもなければ、特定の治療法もないウイルスです。

なお、上の記載で「アメリカ合衆国では少なくとも年間3万-5万人の入院を起こしている」という無菌性髄膜炎ですが、日本での年齢分布は下のようになります。

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横浜市衛生研究所

このグラフでおわかりの通り、14歳以下の子どもに圧倒的に多いことがわかります。ただし、今回、アメリカで流行しているのは、呼吸器系の症状で、無菌性髄膜炎ではないです。

以下、 CNN の記事からご紹介いたします。




Respiratory virus suspected in Midwest children's hospitalizations
CNN 2014.09.07


米中西部で入院している子どもたちに呼吸器系ウイルスの疑い


呼吸器系のウイルスによる疾患により、ミズーリ州を含む、おそらくアメリカ中西部の全域の病院で数百人の子どもたちが入院している。

現在の入院患者数が異常に高いため、アメリカ疾病予防管理センター( CDC )の専門家は、「重症患者は氷山の一角に過ぎない可能性がある」と述べる。

そして、「私たちは今回の出来事への解答をまだ持っていない」と付け加えた。

CDC は、コロラド州、ノースカロライナ州、ジョージア州、オハイオ州、アイオワ州、イリノイ州、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、ケンタッキー州の 10州で、エンテロウイルスの調査をした。

激しい風邪のような症状をもたらすエンテロウイルスそのものは、特に珍しいものではない。悪い夏風邪の多くはエンテロウイルスによるものだ。流行は多くの場合、9月までにピークを打つ。

しかし、現在の入院者数は、異常といえるほど多い。

ミズーリ州のカンザスシティでは、毎日毎日 30人程度の子どもが病院に搬送されており、そのうちの 15%の子どもたちは集中治療室へと運ばれる。カンザスシティのマーシー病院では、これまで 450人の子どもたちが治療を受け、そのうち、60人が集中治療を受けている。

同病院のメアリーアン・ジャクソン( Mary Anne Jackson )医師は、「私は小児科で 30年間治療に当たっていますが、重症化した子どもたちの数がこれほどまでに多いのは今までになかったことです」と述べる。



ワクチンの存在しないウイルス

このエンテロウイルスは EV-D68 と呼ばれ、これは珍しいタイプではあるが、決して新しいものではない。 1960年代に同定されている。

しかし、それ以来、これまで 100例ほどの報告しかない。

EV-D68 は、世界各地で報告されており、米国では今年と昨年見られ、他国では、フィリピン、日本、オランダなど、さまざまな国で報告されている。

CDCによる分析では、カンザスシティの子供のうち少なくとも 19人が EV-D68の陽性反応を示した。

しかし、EV-D68のためのワクチンは現在利用可能ではなく、また、感染症のための特定の治療法は存在しない。

治療は対症療法のみだが、多くの場合は軽症だ。しかし、EV-D68 によって引き起こされる一部の呼吸器疾患では、集中治療が必要となる。



これまでで最悪の流行

デンバー州では、8月18日以来、 900人以上の子どもたちがエンテロウイルスおよび、他のウイルス感染による重篤な呼吸器疾患の治療のために緊急治療を受けたと報告されている。

デンバー州のロッキーマウンテン病院のラジュ・メヤッパン( Raju Meyeppan )博士は、「これは今まで見てきた中で最悪です」と語る。

アメリカで毎年 1500万人が感染症を引き起こすエンテロウイルスには 100以上の種類があるが、 EV-D68 の感染はそれほど一般的ではない。

この EV-D68 も、他のエンテロウイルスと同様に感染した人との密接な接触を介して感染が拡大しているように見えると専門家は言う。

このウイルスは 2008年から 2010年まで、アジア、欧州、米国などを襲っており、比較的軽度な症状から、集中治療と人工呼吸器が必要となる重篤な症状を引き起こす例もあった。






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