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2014年10月05日


中国の甘粛省でペスト発生。1人が死亡、150人以上が隔離



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▲ 2014年10月4日の guangyuanol より。


中国甘粛省の酒泉市という場所でペストが発生。1名が死亡し、151人が隔離されたという報道がありました。

この酒泉市というのは Wikipedia によりますと、

北は内モンゴル自治区のエチナ旗と隣接し、モンゴル国との国境を有する。

というモンゴルとの国境沿いにある場所のようです。

甘粛省酒泉市

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今回のペストで死亡した人は、 PTI などの報道によりますと、酒泉市の牧場で羊を放牧している 45歳の男性で、この牧場の周辺では最近、マーモットの間にペストが蔓延していることが知られていました。

この「マーモット」というのは、リス科の生き物で、下のような大型のげっ歯類です。

Marmot.jpg


中国では、以前から、このマーモットを介してのペストの発生が起きていて、今年も今回のペスト発生による死者はこれが初めてではなく、2人目とのこと。

2010年にも、同じ甘粛省で、マーモットを食べた人がペストを発症して死亡するということがありました。

これは、

中国でペスト発生:甘粛省の男性がマーモットを捕食し、ペストに感染して死亡
 In Deep 2010年06月16日

という記事に報道を翻訳ものを記したことがあります。

中国の公衆衛生法では、ペストは感染症として最も重大な感染症のクラスに指定されているもので、死亡者と接触のあった人たちは隔離して経過観察される他、死亡者の住む地域は徹底的に消毒されます。

ペストに関しては、今年は、アメリカでもペスト菌を持つノミや、げっ歯類(リスやネズミなど)が相次いで発見されています。

下は 2014年 9月 30日のアメリカ 13WMAZ の報道のタイトルです。

Fleas in Arizona test positive for the plague
 (アリゾナで、ノミがペストに陽性反応)


中国もアメリカも、自然界には、わりと常にペストが存在するようなのですが、人の住む地域と隣接しているところにすむ生物たちが保菌していて、今回の中国のように感染して死亡者が出ることもあります。

古い資料ですが、下は 1970年 - 1998年までの全世界のペストの危険性を示した地図です。

fig2.gif
国立感染症研究所


ただし、ペストには抗生剤が非常に効果があり、早く治療を開始すれば昔ほど恐ろしい病気ではありません。

ただ、問題なのは、最近、「世界中で抗生物質の効かない耐性菌が拡がっている」ということです。

who-0430.jpg

▲ 2014年5月1日の NHK の報道「WHO 耐性菌感染 世界で広がっている」のスクリーンショットより。記事は、 In Deep 「「数千万人の死」という言葉に違和感を感じないアメリカという国のイメージ。そして、戦争や耐性菌の蔓延にさえ思う「犠牲」というキーワード」にあります。


いろいろとと複合して出現した場合、現代の医学ではすでに恐くない病気となっている、ペストを含めた様々な病気が「再び大変に恐ろしいものになる」という可能性も常にあると思われます。

冒頭に貼りました中国のメディアのタイトルの「甘粛省で発生したペストを過小評価すべきではない」という表現は、ある意味では正しいのかもしれません。

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