前記事の、
・過去 1500 年間の感染症の流行とパンデミックの歴史(1)
の続きです。
「541年のペストの世界的流行から、2014年のエボラの大流行までの世界の大規模感染症の流行とパンデミックの歴史」の分布図です。インタラクティブ・マップは、デイリーメールの記事、
・The world's deadliest outbreaks: Interactive map shows the human cost of flu, bubonic plague and Ebola globally since 541
(世界最悪の流行の数々:インタラクティブ・マップは、541年以来の世界的なインフルエンザや腺ペスト、エボラの人的な犠牲を示す )
にあります。
1918年から 1923年まで続いたインフルエンザ(スペインかぜ)のパンデミック

スペインかぜの死亡者数は、当時、第一次世界大戦と重なったこともあり、正確な死者数はまったくわかっていませんが、長崎大学名誉教授の松本慶蔵さんの文書では、2,000万人以上とあり、Wikipedia では、4,000万人 〜 5,000万人となっています。
仮に、5,000万人以上が死亡したという推定から見ると、下のグラフのように、このインフルエンザの流行が、歴史的惨事だったことがわかると思います。

・20世紀のパンデミック
世界全体での死者数は明確ではありませんが、日本については正確な記録が残されています。
松本名誉教授の文章によれば、
日本では、1918年(大正 7年)の 11月に全国的な流行となった。1921年 7月までの3年間で、人口の約半数( 2,380万人)が罹患し、38万 8,727人が死亡したと報告されている。
とあります。
死亡者数も多いですが、
当時の日本の2人に1人が感染した
という非常に強力な感染力を持ったインフルエンザだったようです。
現在、多くの科学者たちが恐れているのことこそが、このスペインかぜの時のような鳥インフルエンザのパンデミックの発生だと思います。
1957年から 1958年まで続いたアジアかぜ

これは、アジアかぜ - Wikipedia によりますと、
アジアかぜは、1956年に中国南西部で発生して翌年から世界的に流行したインフルエンザ。ウイルスはA型のH2N2亜型である。死者はスペインかぜの1/10以下であったが、抗生物質の普及以降としては重大級の流行であった。
というもので、死者数は、スペインかぜの 10分の 1とはいえ、
世界:約100万人以上が死亡。
日本:1957年5月から始まり、およそ300万人が罹患し、死者5,700人。
という大災害でした。
2002年から 2003年の SARS (重症急性呼吸器症候群)の流行

SARS は、2002年 11月に中国の広東省で発生し、2003年 7月に新型肺炎制圧宣言が出されるまでの間に 8,069人が感染し、775人が死亡したものです。
下が患者数が多かった国の感染者数と死亡者数です。

・Wikipedia
日本は中国と隣接しているにも関わらず、SARS の感染者はありませんでした。
2009年から 2010年の豚インフルエンザのパンデミック

これは記憶に新しいですね。
「A型H1N1亜型インフルエンザ」という型のインフルエンザが世界的に流行したもので、WHO がパンデミック宣言を出したものです。一般的には「豚インフルエンザ」と呼ばれていました。
WHO によるパンデミック宣言が出されたものの、結果的には、死者数は下のようなことになり、「毎年の季節性インフルエンザより死者数が少ない」というパンデミックとなりました。

・Wikipedia
ちなみに、毎年の季節性インフルエンザの全世界での死者は、厚生労働省のウェブサイトによりますと、
直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25〜50万人、日本で約1万人と推計されています。
とあり、季節性インフルエンザだけでも、毎年数十万人が亡くなっていることを知ります。
そして、この 2009年のインフルエンザの次に「世界的流行が懸念される」というようになってきているのが、現在のエボラ出血熱です。
エボラに最近の状況に関しては、 In Deep の、
・スペイン、イギリス、フランス、チェコ、ブラジル……。全世界で続発するエボラ疑い患者。そして「モンスターエボラ」誕生の可能性
2014年10月12日
という記事に記しましたので、ご参考いただけると幸いです。
今後エボラがどのようになっていくのかは、今は予測さえできない状態です。