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2014年10月20日


米国のエボラ研究の第一人者が「エボラウイルスが突然変異によりさらに感染力を高めていること」を警告



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▲ 2014年10月13日の Vox より。


アメリカ国立感染症研究所( NIAID )のウイルス病原体部門のチーフ・サイエンティストであるピーター・ジャーリング( Peter Jahrling )という科学者が、米国メディア Vox とのインタビューの中で「エボラ・ウイルスが以前の株より感染能力を高めているという事実」について述べていることが報じられています。

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▲ ピーター・ジャーリング博士。NIAID より。


このピーター・ジャーリング博士という人は Vox の記事によると、地球上で最も危険なウイルスの数々の研究に人生を捧げている科学者のひとりで、エボラウイルスや、エボラと似たラッサウイルスなどの研究の第一人者なのだそう。1989年には、米国のバージニア州のレストンのサル検疫施設で新しいエボラの株であるレストン・エボラウイルス( Reston )を発見、分離しています。

そのエボラウイルスの研究でトップにいるジャーリング博士が、「エボラが以前より高い伝染性を持っている」ということに言及しています。

下は 1976年にはじめてエボラが報告されてからの、エボラ発生年の患者数です。2014年は飛び抜けて多いことに加えて、「今なお現在進行中である」ということがあります。

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Vox


今回は、ピーター・ジャーリング博士のインタビュー記事から抜粋してご紹介します。

なお、博士は、感染力が以前よりはるかに強くなっていることに関しては述べていますが、空気感染化していくことや、あるいは、エボラが世界的なパンデミックになっていくとは考えていないようです。



A top scientist worries that Ebola has mutated to become more contagious
Vox 2014.10.13


米国のトップ・サイエンティストは突然変異でエボラがより伝染性を獲得していることに懸念を示す


インタビュア:博士は、現在のエボラウイルスの循環については、どのような懸念をお持ちですか?

ジャーリング氏:今のウイルスが、より毒性の強い菌株であったとした場合、現在のエボラウイルスが過去のものと本質的に違っているかどうかを知りたいと思っています。私たちが試験で使用している現在のウイルスは、過去のものより感染率が高い気がするのです。もし、それが本当なら、これは過去のエボラとはまったく違った株だということになります。

インタビュア:多くの人びとがエボラが空気感染化するのではないかと心配していますが。

ジャーリング氏:感染に関しては、非常に明確に言えることは、患者と密接な接触を持った人たちが最も感染しやすいということです。つまり、治療や埋葬などでの感染です。しかし同時に、密接な接触だけでは説明できない発症例が存在していることも事実です。とはいえ、身体分泌物による血液中のウイルスの量の違いについて考慮する必要があります。

インタビュア:高ウイルス量は、現在のエボラウイルスがさらに速く拡散することを意味しますか?

ジャーリング氏:はい。私たちのモンロビア(リベリアの首都)での現地スタッフはウイルスの試験を行っていますが、現在のウイルスは、過去のものと比べて非常に速く広がり、ウイルス量も高いと伝えてきています。避難した患者との限られた研究では、彼らが血液や精液中でウイルスを発現させ続けていることも判明しています。これがどういうことなのか? 私たちにもまったくわからないのです。

インタビュア:空気感染化するという仮説をどう思われますか?

ジャーリング氏:ウイルスという存在は、いつでも突然変異して自己複製できます。なので、可能性としてならガス発生の性質を獲得する可能性はあります。

インタビュア:エボラが HIV (エイズ)のようなパンデミックを起こし、世界中に拡がるという懸念を持つ人たちもいます。そのようなことを言う人の中には、たとえば、 CDC (疾病管理予防センター)のトム・フリーデン( Tom Frieden )氏のような方もいます。ジャーリング博士のお考えはどうですか?

ジャーリング氏:エイズとエボラでは、輸送と感染経路が違います。エボラは急性感染症を引き起こします。そのため、たとえば死亡したり、あるいは治癒して免疫を獲得した場合は、その人はその後は長期間、エボラウイルスを運搬することはないのです。しかし、エイズはウイルスを持っている人自身がエイズに感染していることを知らずに多くの人に感染させます。長期的な視点から見れば、私にとっては、エボラよりもエイズのほうが脅威に感じます。感覚的には、エボラは人類の集団を焼き尽くそうとしているようです。

インタビュア:博士が今回のエボラの流行に楽観的なお考えをお持ちなのはどうしてですか?

ジャーリング氏:今回のエボラの流行では、動物、特にコウモリなどから人間への複数回のウイルスの伝送があったと考えられます。すべての感染がヒトからヒトへの伝送ではありませんでした。しかし、現在、これらのすべての菌株は違うものです。これが意味するところは、ウイルスがさらに突然変異しやすくなっているということです。なので、まだ私たちには何がどうなるかということは言えないのです。しかし、私個人の考えとしては、エボラが、(エイズのように)永久的に人間社会に根付く病気となっていくようには思いません。


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