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2014年11月05日


エボラ流行は「第二段階」に突入か。シエラレオネで2ヶ月前より9倍の速度でエボラの感染が拡大



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▲ 2014年11月3日の英国デイリーメールより。


上のデイリーメールの記事のタイトルにありますように、エボラ流行の西アフリカ3カ国のうちのひとつシエオラレオネで、10月の終わり頃から唐突にエボラの感染拡大の速度が速くなっています。

この記事によると、アフリカにはトニー・ブレア元英国首相が創設したアフリカ・ガバナンス・イニシアティブ( AGI )という組織があるそうなのですが、その AGI からの報告によって、シエラレオネでエボラの感染拡大が急速に悪化しているという事実が判明したのだそう。

報告によれば、

・農村部では2ヶ月前の9倍の速さでの感染拡大
・首都フリータウンでも、2ヶ月前の6倍の速さで感染が拡大


という状況になっているとのこと。

これは、 WHO の統計数を見ても、わかります。

下の表は、 WHO が発表下 10月 29日までのエボラ患者数のうち、リベリアとシエラレオネの部分を抜粋し、注釈を加えたものです。

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Ebola virus epidemic in West Africa


シエラレオネの患者数と死亡者数の推移は 10月 27日までは、1日単平均で患者数の増加で 100人程度、死者は1日平均で 10人程度だったものが、

10月 27日から 29日の3日間だけで、患者数が約 1300人増加、死者は約 150人増加

という「唐突な感じ」の爆発的流行を見せていることがわかります。

西アフリカでのエボラは患者の上昇率は、最近減少傾向にありました。

最悪の感染国であったリベリアでも以前より患者数の拡大の率は少しずつ落ちていました。それなのに、なぜ、シエオラレオネの一部地域でこのような急速な感染拡大が始まったのかはよくわかっていません。

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▲ 首都フリータウンでエボラ出血熱による犠牲者に祈りを捧げる地元の司祭。Daily Mail より。


この事態について AGI の代表は、

「シエオラレオネの一部地域は非常に複雑な状況となっており、これはシエオラレオネ全土の状況を変化させるほどのものです。急激に勃発した大きな危機です」

と述べています。

ところで、最近、「エボラの感染経路」についてのいくつかの記事を目にしました。

これまで、エボラは、発症した人の尿、唾液、汗、糞便、嘔吐物、母乳、精液などを含む血液や体液を介して広がるもので、他には、コウモリなどの動物を介してウイルスが拡がるとされてきました。

しかし、11月 4日のロイターの「エボラ熱に残る複数の疑問、専門家が警鐘」という記事には以下のような記述があります。

出血熱の専門家であるテキサス大学医学部のトーマス・クスィアゼク博士は、傷のない皮膚からも感染する可能性を排除できないと指摘する。

2つ目の重大な疑問は、発症していない人からも感染するかどうかだ。過去何カ月もの間、米国内外の公衆衛生当局者らは、感染しないとしてきた。

だが、そのような「無症状の感染」が起きる可能性は大いにあると、小児感染症が専門であるユタ大学のアンドリュー・パビア博士は指摘。

環境的な問題も残されたままだ。エボラウイルスを除染するのに、泡状、ガス、液体のどれが最も効果的なのか分かっていない。

下水道でウイルスが生き残る可能性も不明であり、米環境保護庁国土安全保障研究センターのポール・レミュー氏は、ネズミが「感染する可能性もある」と語った。

結局、エボラ・ウイルスについては、いろいろなことが「わかっていない」ということが、このロイターの記事でわかります。

今回のシエオラレオネの突然ともいえる患者数拡大は、その理由は明確にはわからないながらも、あるいは、ウイルスが突然変異したというようなことも含めて、いろいろな可能性があるようにも思います。

いずれにしても、病気の流行の際には「このようなことが実際に起きる」ということを知ることができる出来事だといえそうです。

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