
▲ 2015年1月8日のパーフェクト・サイエンスより。

・カナダ CBC TV
さまざまな生物の大量死が続くアメリカ西海岸で今度は海鳥
アメリカの西海岸の、カリフォルニア州、オレゴン州から、ワシントン州の沿岸では、昨年よりヒトデの大量死が起きています。
そのあたりのことは、
・米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ…
In Deep 2014年06月06日
などに記したことがありますが、そのオレゴン州の海岸に現在、ウミドリが次々と打ち上げられています。
打ち上げられているのは、アメリカウミスズメ( Cassin's Auklet )と呼ばれる海鳥で、下のような黒っぽい鳥です。

・Wikipedia
冒頭の記事では、1,200羽となっていますが、これは海岸で確認された分だけであって、多くは死亡して、海の中に落ちている考えられていて、実際の数は「数万に上るだろう」という調査チームの言葉が記事に載せられています。
原因は不明ながら、
「多くは餓死」
だそうです。
そして、その「餓死」の原因そのものがわからないのだそう。
というのも、同じタイプのエサを食べているはずの他の種の海鳥は死んでいないからです。
ただ、この報道を読みまして、オレゴン州からカナダ西部にかけての太平洋側は、「異常に海水温が高い」ことを思い出しました。昨年の記事、
・海に何が起きているのか:世界の海水の表面温度が観測史上の130年間で最も高くなっている…
2014年11月26日
でご紹介したことがありますが、アメリカの西海岸のあたりは平年に比べて非常に海水表面温度が高いのです。

Wikipedia によりますと、アメリカウミスズメは、
アリューシャン列島から北アメリカの北西部で繁殖する。
とありますが、上の海水温度の平均との差異の図を見ますと、そのあたりの全域の海水温が高くなっていることがわかります。
このことと大量死の関係はわからないですが、アメリカでは、ヒトデ、イルカ、そして、カメなども含めて、様々な海の生物の大量死が起きています。
昨年5月には今回と同じ場所であるカリフォルニア州の北部の沿岸で、「アザラシや若いアシカが記録破りの数で死につつある」という報道がなされたこともあります。

・SFGate
上の写真は、
・海で何が起きているのか : 5月から始まった全世界での数百万匹規模の海洋生物の大量死の理由は誰にも説明できない
In Deep 2014年06月02日
という記事に載せたものです。
これが今も続いているのかどうかはわかりません。
そして、今度は海鳥の大量死。
いよいよ、アメリカ西海岸の異常は際だってきているように思います。
冒頭のパーフェクト・サイエンスの記事をご紹介します。
1,200 Dead Seabirds washed up ashore
Perfct Science 2015.01.08
1,200羽の海鳥が海岸に打ち上げられる
現在、カリフォルニア州北部の沿岸からワシントン州北部の沿岸に至る広い範囲で、何千もの死んだ海鳥が打ち上げられている。専門家たちはその原因がわからず困惑している。
科学者の調査チームは、1,200体の海鳥が海岸に漂着したことを確認したが、ワシントン大学の沿岸観測・海鳥調査チーム( COASST )のエグゼクティブ・ディレクターであるジュリア・パリッシュ( Julia Parrish )氏は、この数は氷山の一角に過ぎないと語り、実際の死亡数は、数万以上に上ると考えているという。
打ち上げられている海鳥の多くは、アメリカウミスズメ(学名 : Ptychoramphus aleuticus)という小型の海鳥だ。
オレゴン州魚類野生生物局の生物学者の報告では、これらのアメリカウミスズメはの大半は「飢餓」が原因で死亡していることがわかっている。
考えられる理由としては、原油の流出や、エサの毒性化などがあるとされる。
しかし、生物学者でもあるパリッシュ氏は、疑問を呈する。
というのも、アメリカウミスズメは、他の海鳥たちと同じタイプのエビやプランクトンをエサにしているが、アメリカウミスズメ以外の海鳥たちは影響を受けていないのだ。
オレゴン州沿岸保全連合( Oregon Shores Conservation Coalition )の代表であるフィリップ・ジョンソン( Phillip Johnson )氏は、
「今回の大量死は、非常に長い距離と地理的な広がりを見せています。これは、私の考えでは、前例のないことだと思います。理由についていろいろと考えると同時に、謎が残ります」
と述べる。
科学者たちは、原因を見出そうとしているが、現在のところは明確な理由はわかっていない。