▲ 2015年1月12日のワシントン・ポストより。
1783年のラキ火山の大噴火以来の溶岩流に達し
アイスランドの氷の底にあるバルダルブンガ火山の噴火が長引いていますが、噴火で噴出している溶岩量が、アイスランドの過去 200年間の火山噴火で最大の可能性があることが、アイスランド大学の地球研究所の調査で判明しました。
下の写真は、アイスランド大学の科学者たちが分析のために、溶岩を採取している作業の様子です。
・YouTube
これは、1783年に当時のアイスランドの全人口の 20パーセントを死亡させたラキ火山の噴火以来の溶岩流の量だとのことです。
ちなみに、このラキ火山の 1783年の噴火は、ラキ火山 - Wikipedia によりますと、下のような被害を出しています。
アイスランド国内への影響
この噴火は、アイスランドには壊滅的な被害をもたらした。噴火後の飢饉で21%の住民が死亡した。そして羊の約80%、牛の50%、馬の50%が、放出された800万トンものフッ素化合物により歯のフッ素症と骨のフッ素症が原因で死んだ。
ヨーロッパへの影響
空気中に1億2000万トンもの二酸化硫黄が放出された。この二酸化硫黄粒子は西ヨーロッパ全体に広がり、1783年から1784年の冬までの間に何千もの人が死んだ。
8月、9月にイギリスで中毒死した人は23,000人と推測されている。
さらに1784年の冬には寒波をもたらした。ハンプシャーのセルボーンに住むギルバート・ホワイトは、氷点下の気温が28日間続いたと記されている。
このような壊滅的な噴火以来の溶岩流を噴出しているというところからも、今回のバルダルブンガ火山の噴火が非常に強いものであることがうかがえます。
NASA は、2015年1月3日に地球観測衛星から撮影したバルダルブンガの溶岩流の写真を公開しています。
・NASA / Earth Observatory
冒頭の米国ワシントン・ポストの記事をご紹介しておきたいと思います。
Iceland lava field may now be the biggest in 200 years
ワシントン・ポスト 2015.01.12
アイスランドの現在の溶岩フィールドは、過去200年で最大であるかもしれない
現時点で、ニューヨーク州のマンハッタン島よりも面積の広い、ホルーラウン( Holuhraun )溶岩フィールドは、 NASA のアース・オブザーバトリー(地球観測所)によれば、アイスランドの火山の過去 200年で最大だという。
この溶岩の大部分は、昨年8月に噴火が始まったバルダルブンガ火山から噴出しているものだ。
過去6ヶ月の間に、この溶岩流は、1783年から 1784年にかけて、アイスランドの人口の約 20パーセントを一掃したラキ火山の噴火以来、最大の溶岩流となる。
その広さは、約 50平方キロメートルで、アイスランド大学の地球研究所によれば、溶岩フィールドの厚さは、東部で約9メートルあり、中央付近と西部では、約 12メートルあるという。
これらの溶岩流は、大量の二酸化硫黄を放出し続けているが、しかし、いくつかの観測では、噴火が沈静化に向かっていることも示唆しているという。
しかし、この噴火が今後すぐに停止するという状況ではなく、噴出が減少するとしても、それは徐々に減っていくということになるだろうと、 NASA の科学者たちは述べている。