2015年1月27日のマサチューセッツの様子
・NWS
外れたニューヨークの非常事態宣言
1月26日に、アメリカのニューヨーク州などが、「歴史的な吹雪に見舞われるおそれがある」と、ニューヨーク当局などが発表したのですね。
日本でも数多く報道されました。
▲ 2015年1月27日の TBS Newsi 米東部「史上最大の暴風雪」、NYなどに非常事態宣言より。
そして結果としては、この非常事態宣言の発令までに至ることになったこの天気予報は「外れた」のです。
そのことについて、アメリカでは、昨日あたりまで報道に取り上げられていました。
・gothamist
今回の予報の何が外れたかといいますと、暴風雪の発生の予報そのものが外れたわけではなく、「場所」が外れたのです。
ニューヨークでは積雪は想定を大きく下回りましたが、実際に非常事態宣言に相当する猛吹雪が襲ったのは、マサチューセッツ州、ロードアイランド州とコネチカット州などでした。
どのくらい、位置予報が外れたかといいますと、たとえば、警報が出ていた(そして、猛吹雪が来なかった)ニューヨークと、警報が出されていない中で猛吹雪に見舞われたマサチューセッツ州のボストンの位置関係は下のようになります。
こう見ると、大した違いはないように見えますが、ニューヨークとボストン間の距離は、目算でも 300キロメートルくらいありますので、現在の天気予報の精度から見ますと「大きく外れた」ということになるようです。
そんなわけで、ニューヨークでは、積雪はあったものの、被害については、ほとんど大丈夫だったようなのですが、ボストンを含む周辺地域が大変なことになっています。
アメリカ国立観測所によれば、サチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州では、1月27日に、最大で 87センチの積雪があった地域もあったそうで、これは、1905年に記録された 87.6センチメートルの積雪を上回り、観測史上最高の積雪量となったとのこと。
1月27日のボストン市内の様子
・NWS
ニューイングランド州ウェブスター
・Washington Post
まあ、それでも、ボストンの人々の中には、ここぞとばかりに雪を楽しむ人たちもたくさんいたようですが。
1月27日のボストン市内の様子
・NWS
そして、アメリカの天気予報によりますと、今週再び大寒波と猛吹雪がアメリカの北東部と中西部を襲うと見られていて、これは今週の日本列島の一部でもそうなる可能性もありますが、歴史的な大雪が続くようです。
アメリカで歴史的な大雪、あるいは激しい猛吹雪が続く理由は様々あると思いますが、そのひとつに過去記事の、
・海に何が起きているのか:世界の海水の表面温度が観測史上の130年間で最も高くなっているけれど、その理由がわからない
2014年11月26日
などで書いたことがある、「海水表面温度が平年に比べて非常に高い」ことも関係していると思われます。
上の図は昨年9月のものですが、日本の周辺の海(特に北海道の日本海側の海域)も最近、海水温度が平年と比べて高くなっていることが多く、今後の大雪の懸念が高まっていると思われます。
また、海水温度が高いと、降雨量(雪も同じ)が増えると共に、いわゆる「爆弾低気圧」が発生しやすくなるようで、海水温が高くて、気温が低くなりやすい今年の冬は、日本の一部地域を含めて、「荒れた冬」が、まだしばらく続く可能性もあります。