▲ 2015年3月16日の RYOT より。
ブラジルでは地域により、過去 100年ほどで最悪の干ばつに見舞われています。
先頃、ブラジル政府は、今の状況が続いた場合、首都サンパウロで「今年の6月までには使用する水がなくなる」という推定値を発表しました。
サンパウロ市は周辺を含めて人口 2000万人の大都市です。
それだけの人口を抱える地域の「水がなくなる」というのは、かなり深刻な事態と言えそうです。
現在、サンパウロ周辺の貯水池はことごとく貯水率が低下していて、特に最大のカンタレイア貯水池では、貯水率が 10%以下にまで落ちています。
▲ サンパウロ州のカンタレイア貯水池( Cantareira reservoir )の現在の状況。PRI より。
このサンパウロの水不足の状況について報じている RYOT の記事をご紹介します。
Sao Paulo, South America’s Largest City, Will Run Out of Water by June
RYOT 2015.03.16
南米最大の都市サンパウロは、6月までに水が枯渇するだろう
米国カリフォルニアの干ばつのひどさは、 NASA の科学者たちが「あと1年しか水はもたない」と推定しているほどだが、ブラジルのサンパウロはもっとひどい。
今の状況が続いた場合、サンパウロでは、6月頃に水がなくなるだろうと予測されているのだ。そして、今から2年半はその状況が続くという。
これは、ブラジル政府が独自に計算した推定値だ。
サンパウロ州では、過去 80年で最悪の干ばつが発生している。
AP 通信は、「サンパウロ周辺の 2000万人へ水を供給する貯水池は、今年2月に驚くべき水量の低下を示し、現在は 8.9%しか貯水されていない」と報じた。
このカンタレイア貯水地は、サンパウロとその周辺に住む人々の約3分の1に水を供給している6つの貯水池の中で最大の貯水池だ。
政府は、雨不足と暑さが継続した場合、事態はさらに深刻になる可能性があるという。
良いニュースとしては、2月の終わりに雨が降り、貯水率が 11%にまで上がったということだが、根本的な問題の解消には程遠い。
また、水力発電のダムの水量も低下しており、多くのエネルギーを作ることができないため、電気出力に影響を及ぼしている。
政府は、計画停電を発表し、同時に、電気を節約するための水の配給制を実施することを発表した。
2014年8月にも、サンパウロ市は地域の家庭への給水の停止をおこなっている。
住民たちは公衆の水道に群がり、隣人同士が戦う事態となった。
この状況は9月まで数週間続いた。
最終的に、給水車を市に派遣し、水の配給を始められたが、スラム街などには給水車は来なかった。スラム街に住む住民によれば、彼らは使われていない古井戸の水を使用せざるを得なかったという。
住民の女性のひとりは、「それは長い時間沸騰させなければ飲めないような水でした。しかし、沸騰しても、飲むと胃の痛みや嘔吐がありました」と語る。
今のサンパウロでは、入浴に関しても、雨が降った時にその雨で体を洗うという人たちが普通になっているほど、その水不足は深刻だ。