・PIOMAS Arctic Sea Ice Volume Reanalysis
アメリカでの北極研究の中心のひとつに、ワシントン大学の「極域科学センター」( Polar Science Center)という研究所があります。
この極域科学センターでは、「 PIOMAS 」とよばれる北極海氷体積推定システムのシミュレーション・データを公表しています。
その最新のデータを見ますと、意外なことに、冒頭にありますように、今年 2015年の海氷の「厚さ」が観測史上で8番目となっていることがわかりました。
見やすくはないデータですが、拡大して色別に年代を示しますと、下のようになります。
これを見る限りは、北極の海氷の厚さは、2012年が最低となり、その後、2013年、2014年と少しずつ厚さが増して、今年 2015年は一気に厚さが増えたということがわかります。
このデータが示すところはそれだけなんですが、北極の氷の体積は減少し続けているわけではないという可能性もあることがわかった感じです。
上のほうで「意外なことに」と書きましたが、北極では、海氷の「面積」のほうは、観測史上で最低を更新し続けていまして、私も北極の氷は減り続けていると思っていましたが、面積は小さくなっていても、厚さのほうは増し続けているということで、なかなか複雑なことになっているようです。
ちなみに、現時点での北極の海氷の「面積」は下のようになっています。
・sunshine hours
ちなみに、南極の方は、面積も体積も氷は増え続けていて、2015年の海氷面積は常に観測史上1位か2位を記録し続けています。
これで、北極の海氷面積が増加に転じるようなことになれば、わりと地球の状態の方向もわかりやすいのですが、そんなにわかりやすい方向にはなかなか行ってはくれないようです。