同時に分かった、日本が台風や豪雨に「助けられている」こと

・米国カールトン大学
先日の NASA ジェット推進研究所のニュースリリースにおいて、
・Study: Third of Big Groundwater Basins in Distress(研究:巨大地下水源の3分の1が枯渇に瀕している)
という、地球に 37カ所ある、主要な地下水流(帯水層)のうちの3分の1が枯渇に瀕しているというレポートが掲載されました。
米国カリフォルニア大学が率いる調査と研究で判明したものです。
これは、地球の重力の測定によって、地球の海洋、地質、気候を研究する目的で、NASAとドイツ航空宇宙センターが共同ミッションで打ち上げた人口衛星 GRACE のデータの解析によるものです。
下が発表された世界の巨大地下水流の状況です。
色分けは、青いほど水源が豊富で、赤いほど枯渇傾向となります。

水が少ない ← → 水が豊富
世界の主要な地下水源(アフリカ〜アメリカ大陸)

世界の主要な地下水源(アジア〜アフリカ)

・NASA
特に、オレンジから赤にかけての地下水水流の水の枯渇が激しい場所であることを示していますが、枯渇に進んでいる地下水流をピックアップしてみますと、
アフリカ
1 ヌビア砂岩帯水層( Nubian Sandstone Aquifer System / NSA )スーダン
2 北西サハラ帯水層システム( Northwestern Sahara Aquifer System / NWSAS ) サハラ砂漠
3 ムルズク・ジャド帯水層( Muzuk-Djado Basin ) ニジェール
8 スッド帯水層( Sudd Basin ) スーダン
9 コンゴ帯水層( Cingo Basin) コンゴ
アメリカ大陸
16 カリフォルニア・セントラルバレイ帯水層システム( Californian Central Valley Aquifer System ) アメリカ
18 大西洋-メキシコ湾沿岸平野部帯水層( Atlantic and Gulf Coastal Plains Aquifer )アメリカ
中東
22 アラビア帯水層システム( Arabian Aquifer System )サウジアラビア
ユーラシア大陸
23 インダス帯水層( Indus Basin ) インド
24 ガンジス・ブラマプトラ川流域帯水層( Ganges-Brahmaputra Basin ) インド(ほぼ枯渇)
29 北部中国帯水層( North China Aquifer System ) 中国
32 パリ帯水層( Paris Basin ) フランス
33 ロシア・プラットフォーム帯水層群( Russian Platform Basins ) ロシア
34 北コーカサス帯水層( North Caucasus Basin ) ロシア(ほぼ枯渇)
その他
37 キャニング帯水層( Canning Basin ) オーストラリア
この「進行し続ける」水不足は、すでに多くの生態学的被害をもたらしているだろうことを研究者たちは指摘しています。
それにしても、この地図を見る限りは、日本には巨大な地下水脈というものはないのですね。

これを考えると、「梅雨」で雨が続いたり、ときに台風で大雨が降ったり、冬には大雪が降ったりもする日本の気候というのは、日本で人々が生きていくためには、とても大切なことであることに気づきます。
日本が、水が豊富で、それほど水不足で悩まされることのない理由が「天候が常に味方になってくれているから」だということに気づいてきます。台風や豪雨や大雪が、日本の自然体系と日本人の生活をサポートしてくれているという事実が見えてきます。
台風も豪雨も、災害という一括りで語ることのできるものではなく、むしろ、「日本には絶対になくてはならないもの」のようです。