
▲ 2015年9月23日の Weather.com No Hurricanes in Western Atlantic Yet for First Time Since 1914 より。
通常多くのハリケーンが発生するカリブ湾やメキシコ湾を含む西大西洋で、今年、9月22日までにハリケーンの発生が「ゼロ」という事態になっています。
これは 1914年以来ということですので、101年ぶりの出来事です。
いろいろな原因はあるのでしょうが、エルニーニョなどにより、大気の状態が異常なほど乾燥していることも関係しているようです。
このことに関して、アメリカの Weather.com の記事をご紹介しようと思います。
No Hurricanes in Western Atlantic Yet for First Time Since 1914
Weather.com 2015.09.23
1914年以来、初めて西大西洋でのハリケーン発生数が「ゼロ」に
大西洋の熱帯低気圧の流域は、2015年のこれまで、いくつかの熱帯低気圧を見た。
しかし、今年はその多くがハリケーンにはならず、特に、西大西洋では、ハリケーンになったものが記録されていないのだ。
アメリカ国立ハリケーンセンターの専門家エリック・ブレイク( Eric Blake )氏は、この時期に、大西洋西部の 55度線上においてハリケーンが発生しないことについて、ツイッター上でとコメントした。

ブレイク氏は、カリブ湾とメキシコ湾を含む西部大西洋で 9月22日までの時期にハリケーンが発生しないのは 1914年以来 101年ぶりのことだと述べた。
ブレイク氏は、大西洋の熱帯地域の降水量の不足と、大気中の水分の不足に関しての異常を表すグラフを示す。メキシコ湾からカリブ海への海域での極端な水分の不足が見られているという。
ハリケーンは、暖かい海の水から空気中に蒸発させる、熱帯の湿気で成長する。そのため、大気の乾燥は、ハリケーンの形成に有害となる。
ハリケーンの少ない原因として、エルニーニョも部分的に関係している。現在のエルニーニョは、太平洋の温暖化を特徴としており、一般的に西部大西洋に対しては不利な風のパターンを作ることが知られている。
2015年8月1日から9月15日までの西太平洋の海水面温度

いっぽうで、太平洋は暖かく活動も活溌で、大気中の水分も平均を上回っていた。
そのため、東部太平洋では9つのハリケーンが発生したが、西大西洋はそこに隣接しているにも関わらず、ハリケーンの発生は「0」だ。
エルニーニョは今後も継続すると予測されており、西太平洋の大気の乾燥の状態に変化が見られないことから、西大西洋でハリケーンが発生しない状況は続くと考えられる。