▲ 2015年12月11日のオーストラリア brisbane times より。
大西洋で、サンゴを食べ尽くすことで知られるオニヒトデが前例のない数で大発生していて、されらが太平洋のサンゴたちを食べまくり、サンゴ礁が壊滅状態になりつつあることが伝えられています。
オニヒトデというのは、Wikipedia によりますと、
時をおいて大発生することがあり、成長の速いミドリイシ類やコモンサンゴ類を食べ尽くして、成長の遅いサンゴまで食べるため、サンゴ礁環境の保全上有害とされている。ここ数年、沖縄近海のサンゴ礁にオニヒトデが大量発生しており、問題となっている。
この大発生に関して、自然の長期サイクルによるとする説と、人間の環境破壊に要因を求める説があるが、富栄養化がオニヒトデ幼生の餌である植物プランクトンを増殖させ、大発生につながるとする説が最も有力視されている。
ということで、たびたび大発生するもののようですが、現在の大発生は過去に例を見ないほどのもののようで、11月には、アメリカのワシントンポストでも特集が組まれたほど、サンゴにとって深刻な状態のようです。
2015年11月16日の米国ワシントンポスト
・Scientists say a plague of sea stars is devastating Pacific coral reefs
このオニヒトデの大発生で、最も痛手を被っているのが、オーストラリア北東部にある世界最大のサンゴ礁地帯のグレートバリアリーフです。
グレートバリアリーフの場所
・Wikipedia
大発生の明確な原因はわかっていませんせんが、いずれにしても、「その規模がさらに拡大している」ということは確かなようです。
オーストラリアのプリスペン・タイムズの記事をご紹介します。
なお、「イナゴの被害のような」という表現が出てきますが、オーストラリアでは、ここ数年、イナゴによる深刻な農作物被害が出ており、それと比したものだと思われます。
[関連記事]オーストラリアでイナゴの大発生による農作物消失の危機( In Deep 2010/08/12)
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Crown of thorns starfish outbreak 'like locust plague'
brisbane times 2015/12/11
オニヒトデが「まるでイナゴの農作物被害が発生するように」大発生している
グレートバリアリーフのサンゴを食べてしまうヒトデの発生が、これまでの記録を上回って過去最悪になる可能性があり、自然保護活動家たちを恐れさせている。
WWF のオーストラリア支局が委託したレポートによると、ヒトデを食べるオニヒトデの数は 2020年までに 1200万匹から 6000万匹に上昇する可能性が述べられている。
オニヒトデのサンゴの被害についての著作がある専門家のグレン・ホルムズ( Glen Holmes )博士は、「これはまるで、イナゴによる壊滅的な被害のようなものといえるものなのです」と述べる。
ヒトデによる被害の規模は、すでに過去 30年間でサンゴ礁「6万ヘクタール」に及んだ範囲で生きたサンゴが壊滅していっていると考えられている。
このオニヒトデの拡大を止めるための手段は何もない。
しかし、専門家たちは、将来の「さらなる災い」を防ぐために厳しい措置をとることを訴えている。
オニヒトデが大発生する原因のひとつとして、農業農地から海に流出する化学肥料がオニヒトデ幼生の餌である藻や植物プランクトンを増殖させ、大発生につながっているとする説が根強い。
「流域海域の汚染を断ち切ることができれば、オニヒトデの幼生は増殖することができず、次のオニヒトデの大発生を防ぐことがでるのです」と、ホルムズ博士は述べる。
「このことは、サンゴ礁が回復する機会となり得るのです」
現在の州とオーストラリア政府の投資は、この目標を達成するには低く、海の汚染を減らすためには、より多くの投資が必要だとホルムズ博士は言う。
オニヒトデの被害を以前のパターンに戻すことができれば、サンゴ礁の減少は 10%以下で済むと報告書は述べている。