・Zika virus spreads to Americas, 3 cases reported in the UK
ジカウイルスという蚊が媒介するウイルスが、南米を中心に「生活そのものにまで影響を与える」という事態になってきています。このジカウイルスというものが他の蚊が媒介するウイルスと違う点に関しては、
・世界に広がるかもしれない「誰も妊娠してはいけない」状態 : 赤ちゃんに影響を及ぼすジカウイルスでのブラジル非常事態宣言から思う来年
In Deep 2015/12/26
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In Deep 2016/01/05
などの記事で書きましたけれど、日本語の報道から抜粋しますと、以下のようなことがあるために、大変な懸念の大きな感染症となっています。
ブラジルで増加の小頭症、ジカウイルスと関連=研究報告
ロイター 2016/01/22
先天的に頭部が小さい「小頭症」の新生児が増加を続けるブラジルで、研究者らが、中南米で流行しているジカウイルスとの関連性を示す新たな証拠を発見した。
クリチバ市の生体医学センターは20日、流産した女性の胎盤内でジカウイルスが発見され、同ウィルスが胎児にまで届くことがわかったと発表した。
ブラジル保健省は、今月16日までに、小頭症の疑いのある新生児の数は3893人となり、10日前の3530人から増加したと述べた。小頭症で死亡した新生児の数は49件まで上昇したという。
このジカウイルスは、現在まで、ブラジル、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、ジャマイカ、コロンビア、スリナム、ガイアナ、など中南米全体に拡大しつつあります。
下の地図の「黄色」で示されている国が、1月現在までジカウイルスが確認されている国です。
2015年から2016年までにジカ熱患者が確認された国
・WHO
そんな中、イギリスとハワイで、ジカウイルスによるジカ熱患者が発生していることが報告されました。
イギリスの場合は、中南米から帰国した旅行者の発症で、ハワイの場合は、母親がブラジルに滞在していたことがあり、それと関係しているようです。
これらのケースからイギリスやハワイにジカウイルスが拡大する可能性はほとんどないと思いますが、しかし、これらは、あくまで「発症したためにわかった例」であり、潜在的にジカウイルスが運び込まれている事例はあるのではないかとも思います。
もちろん、それは日本やアメリカ本土でも同じです。
しかし、幸いなことに、現在の日本や北半球の多くは「異例の寒波」に見舞われていて、ジカウイルスを媒介する蚊が活動できる環境にはありませんので、今は心配する必要はないはずです。
しかし、春以降は少し気になります。
イギリスとハワイのジカ熱の発生について、それぞれ、英国政府のウェブサイトと、ロイターの記事をご紹介しておきたいと思います。
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イギリス政府は下のように政府ウェブサイトで「3人のジカ熱患者がイギリスにおいて発生した」と報告しましたが、イギリス国内での自然感染の恐れはないとしています。
英国政府ウェブサイトより
「ジカ熱は、英国では自然には発生しない。 2016年1月18日の時点で、コロンビア、スリナム、そして、ガイアナへ旅行した3人の英国の旅行者がジカ熱と診断されている」
ハワイのジカ熱についてCNNより
ハワイで小頭症の新生児、ジカ熱の感染を確認 米国で初
CNN 2016/01/18
米ハワイで生まれた小頭症の新生児が、蚊が媒介する感染症のジカ熱に感染していたことが18日までに分かった。南米ブラジルではジカ熱が流行し、小頭症の乳児が激増しているが、米国で症例が確認されたのは初めて。小頭症とジカ熱との因果関係が確認されたわけではないが、当局は警戒を呼びかけている。
米疾病対策センター(CDC)によると、小頭症の乳児はオアフ島で生まれ、過去にジカ熱に感染していたことが確認された。ハワイの衛生当局は、2015年5月にブラジルに滞在していた母親がジカ熱に感染し、妊娠中に母子感染したとみている。
当局は「乳児からも母親からもウイルスが他人に感染する恐れはない。ハワイで感染するリスクはなかった」と強調している。