2016年2月27日の米国報道より
・CNN
ジカウイルスは着実に世界中に広がっていっており、今が夏で、ネッタイシマカなどの生息するオーストラリアでもジカウイルス感染例が8例確認され、緊急の消毒活動を開始したことなども伝えられています(報道)。
そして、アメリカでは、感染者の数がどんどんと増え続けています。その多くが感染地域からの帰国者ですが、ジカウイルスは「性感染する」ことが確認されていて、それによる感染例も少しずつ増えているようです。
アメリカ本土でジカウイルスが確認された州(水色)
・アメリカ疾病予防管理センター(CDC)
また、アメリカ国内で、妊娠した女性への感染も 10例近くに上るのだそう。
そして、これからアメリカを含む北半球の多くに春が訪れ、蚊の活動が活発になってきますが、根本的な対策は立てようがない面もありそうで、懸念の季節が始まりつつあるようです。
なお、今回の CNN の記事によりますと、妊娠中の女性 9人(または 10人)がジカウイルスに感染したのですが、現在までの経過として、
・妊娠初期に感染した女性(6人) → 2人が流産、2人が妊娠継続を断念、1人が小頭症の赤ちゃんを出産、もう1人の経過は不明
・妊娠中期に感染した女性(2人) → 1人が健康な赤ちゃんを出産、もう1人は経過良好のまま妊娠継続中
・妊娠後期に感染した女性(1人) → 健康な赤ちゃんを出産
となっていまして、少ない例ですので何ともいえないにしても、「妊娠初期にジカウイルスに感染すると、赤ちゃんに影響する可能性がある」というような傾向があるのかもしれません。おそらく、脳を含めた身体器官の最初の形成時期に、ジカウイルスは何らかの影響を赤ちゃんに与えてしまうもののようです。
ですので、「妊娠の最初の3か月くらいまでにジカウイルスに感染しない」という個人的な対策はある程度有効なのかもしれません。
冒頭の CNN の報道からご紹介します。
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CDC update: 147 Zika cases in U.S., new test for the virus
CNN 2016/02/27
アメリカ疾病予防管理センターからの最新情報:米国で147例のジカウイルス感染が確認
アメリカ疾病予防管理センター(以下、CDC)の最新の発表によれば、これまで、米国内で 147人のジカウイルス感染例が確認された。
そのうちの 107例は、ジカウイルスの流行地域から戻った旅行者だった。
CDC はまた、新しいテストで、米国領域の地域において 40例の地元での感染例があったことを報告した。内訳は、プエルトリコが最も多く 35例、アメリカ領サモアで 4例、アメリカ領バージン諸島で 1例となっている。
上の数には、プエルトリコでジカウイルス感染がすでに報告されていた 117人分の患者は含まれていない。
CDC 長官トム・フリーデン博士(Dr. Tom Frieden)は、プエルトリコにおいてのウイルス感染の可能性のある数は数十万に上り、米国に関係する領土では最もジカウイルスの影響を受けている地域だと述べた。
フリーデン博士は、妊娠中の女性は、ブラジルでのオリンピックに行くことについて慎重に検討するべきだとも強く語った。
米国で9人に上るジカウイルスに感染した妊娠中の女性
米国内で、ジカウイルスの流行地域へ旅行に行き感染して戻ってきた人たちのうち、妊娠中の女性での感染例が 9例ある。CDC によると、現在、あと 1人の妊婦のテストをおこなっているという。
感染した女性たちには、すべてジカウイルスの一般的な症状である発熱、発疹、目が赤くなる、関節痛の4つの症状のうちのひとつ、ないし2つを経験していた。
女性のうち6人は、ジカウイルスの症状が出た時には妊娠初期であり、2人が流産したことが報告されている。
フリーデン博士は、「流産は一般的な妊娠でも一定の割合で起きるものですので、今回の女性たちの流産がジカウイルスと関係しているということを意味するものではないとは思います。しかし、最近の調査では、このウイルスが胎盤に入り込むこんでいる可能性を強く示唆していることも事実です」と言う。
ジカウイルスの感染が確認された女性のうち2人は、中絶を選択した。
また、女性のうち2人は、妊娠中期に感染し、そのうち1人は、健康な赤ちゃんを出産し、もう1人も妊娠を継続しており、経過は良好だという。
女性のうちの1人は、妊娠後期でジカウイルスに感染し、健康な赤ちゃんを産んだ。
感染拡大を受けて、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、CDCによるジカウイルス試験の緊急使用を認める決定をした。