- カリブ海諸国で蚊が媒介するデング熱と似た症状の「チクングニア熱」が大流行。85万人が感染。死者は 113名に
- エボラウイルスが突然変異により空気感染する能力を獲得した場合「 120万人の死者が出る」と予測する計量経済学者
- エボラの死者数が「1日で200人」のレベルに急上昇。今後も悪化の見込み
- アメリカ中西部の子どもに広がる「過去最悪」のエンテロウイルス(EV-D68)感染症の異常事態
- エボラウイルスのゲノムが判明。その遺伝子数は「たった7個」。そして現在、エボラウイルスは急速に「突然変異」を続けている
- エボラの「新種」の発生:コンゴ民主共和国で13名が死亡したエボラはこれまでの西アフリカのウイルスとは異なるものであることが判明し、懸念が広がる
- リベリア軍がエボラ拡大阻止の名目で「隣国から違法に国境を越えるものは見つけ次第、射殺せよ」との軍命令を発令
- エボラ・ウイルスがドイツ、ベトナム、ミャンマーにまで拡大した可能性。ドイツでは600人が隔離中
- 状況は悪化の一途をたどるエボラ出血熱。アメリカ人2名が死亡した他、「香港」でも疑いのある患者が発見される
- 中国北西部の甘粛省で肺ペスト発生。1人が死亡。151人を隔離
【ウイルスとパンデミック】 の記事一覧
2014年09月18日
カリブ海諸国で蚊が媒介するデング熱と似た症状の「チクングニア熱」が大流行。85万人が感染。死者は 113名に
・Extinctionp Protocol
日本では相変わらずデング熱の患者数が、微増とはいえ、増え続けています。
そのデング熱は蚊が媒介する病気ですが、現在、中米のカリブ海諸国を中心として、やはり、同じ蚊が媒介するチクングニア熱という病気が大流行しています。
特に、バージン諸島では「チクングニア熱の大流行」が宣言されています。
バージン諸島は下のあたりの地域のことを指します。
この「チクングニア熱」という病気は、チクングニア熱 - Wikipedia によりますと、
ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどにより媒介されるウイルス性の伝染病。おなじく蚊媒介性のデング熱やウエストナイル熱と症状が類似している。
2日から長くても2週間程度の潜伏期間の後に、40℃に達する高熱と斑状丘疹があり、関節が激しく痛む。他に頭痛や結膜炎、羞明(眩しがること)などを伴うことがある。発熱は2日ほど続き急に終息するが、関節痛、頭痛、不眠、全身疲労などは5日から7日ほど継続する。関節痛は年齢にもよるが2年ほど続くこともある。
というものです。
ちなみに、ネッタイシマカ、とか、ヒトスジシマカ、などと書くと何だか特別な蚊のようですが、日本の場合ですと、要するに、どこにでもいる「ヤブ蚊」のことです。
そして、このチクングニア熱も、デング熱同様に、
・ワクチンが存在しない
・特別な治療法は存在しない
というもので、熱や痛みに対しての対症療法だけとなります。
ちなみに、今回の記事を読んでいて初めて知ったのですが、この地域は、アメリカを含め、デング熱も大流行しているようで、今年だけで、中南米と北アメリカすべてを合わせて、85万人がデング熱に感染し、470人が死亡しているとのことです。
85万人……。
今年は世界的にデング熱の「当たり年」だったようで、 In Deep の
・太陽活動サイクルが崩壊の気配を見せる「病気の時代」の中で、WHOはエボラの死者が今後半年で2万人に増加する予測を発表
という記事で、
・マレーシア → 8月 30日時点でデング熱関連による死者は 131人、感染者は 6万 8144人。この死者数は前年の4倍。
・タイ → 8月 31日までのデング熱の患者の総計は 2万 2903人に達し、このうち 23人が死亡。
・中国 広東省 → 9月 5日までの患者数が 1145人となり、すでに、昨年1年間の患者数を越える。
となっていることを記したことがあります。
では、カリブ諸国の現在の状況について、 Fox News Latino の記事からご紹介します。
Death toll from Chikungunya hits 113 in the Caribbean
Fox News Latino 20014.09.15
カリブ海諸国でのチクングニア熱による死者が 113人に達した
カリブ海諸国を中心としたアメリカで、少なくとも 113名が、チクングニア熱によって死亡している。
最初に患者が報告されたマルティニーク(カリブ海のウィンドワード諸島にあるフランスの海外県)では、昨年の 12月から 今年 9月 12日までに 55人の死亡が確認された。
グアドループ島(カリブ海のリーワード諸島にある島)では 49人が死亡し、 ドミニカ共和国では 6人、セント・マーチン島では 3人が死亡している。
ただ、保健当局は、死亡者たちがチクングニア熱に感染していたことは間違いないにしても、すべての人びとの死因がこのウイルスによるものかどうかはわからないと述べている。
チクングニア熱を発症すると、場合によっては何年も四肢の関節の痛みが続くことがある。
チクングニアウイルスは、デング熱と同じようにネッタイシマカによって人に伝染される。
特定の治療法はなく、薬物療法により症状を軽減させる。
2014年は、現在までに、アメリカの一部で 85万人がデング熱に感染し、その中の 470人が死亡している。
2014年09月16日
エボラウイルスが突然変異により空気感染する能力を獲得した場合「 120万人の死者が出る」と予測する計量経済学者
▲ 2014年9月13日の CNN より。
以前、
・エボラウイルスのゲノムが判明。その遺伝子数は「たった7個」。そして現在、エボラウイルスは急速に「突然変異」を続けている
2014年08月30日
という記事で、西アフリカを中心として猛威を奮い続けているエボラウイルスが「非常に早いペースで、しかも、数百回規模で突然変異し続けている」という記事を記しました。
エボラウイルスは、現在は血液や嘔吐物などの体液感染しかしないウイルスであり、空気感染はしません。
咳やくしゃみなどでも、飛沫が直接ふれるのでなければ、感染はしないとされています。
しかし、そのあまりにも早い突然変異により、今後、空気感染を起こせるウイルスに「進化」するのではないかとう懸念が、専門家たちから出ています。
冒頭に貼りました記事は、米国ミネソタ大学感染症研究センターのマイケル・オスターホルム( Michael Osterholm )博士が、
「あまりにも多くの遺伝子変化を見せているため、今後のウイルスの変化は、空気感染するようなことも含めて、何も予測できない」
と述べたことを報じた記事です。
そして、今度は、医学博士ではなく、計量経済学という学問の専門家が、
「仮にエボラが空気感染するようになった場合、120万人が死亡するだろう」
と予測したという記事を知りました。
▲ 2014年9月14日の Liberty Voice If the Ebola Virus Goes Airborne, 1.2 million Will Die Expert Predicts より。
計量経済学とは、経済学の理論に基づいての統計学の方法によって分析するというような学問のようです。
今回はその記事をご紹介します。
If the Ebola Virus Goes Airborne, 1.2 million Will Die Expert Predicts
Liberty Voice 2014.09.14
もし、エボラが空気感染するようになった場合、120万人の死者が出ると専門家は予測する
米国ミシガン州立大の計量経済学の専門家フランシス・スマート( Francis Smart )博士は、エボラウイルスが空気感染するウイルスに変異した場合、120万人がこの疾患で死亡すると予測している。
これはスマート博士が、他の学者によって行われた研究に基づいて、計量経済学の予測からシミュレーションした数値を発表したものだ。
現在、世界保健機関(WHO)は、エボラウイルスは今後6ヶ月以内に2万人を殺すだろうと予測している。
しかし、スマート博士は、この WHO の予測数値は、ウイルスが空気中を移動し感染するような突然変異は起こさないという仮定に基づいているものだと述べる。
WHO は今後の6ヶ月でエボラが徐々に終息に向かうとし、6ヶ月以降についての見通しについては楽観的な見通しを持っている。
しかし、 もし、エボラが空気感染するウイルスへと変異した場合、この見通しはまた違ったものとなる。
米国ミネソタ大学の感染症研究の専門家マイケル・オスターホルム博士は、「そのような突然変異を起こさないと考えることが間違いである可能性」について言及している。
なぜなら、現在流行しているエボラウイルスとは異なる株であるエボラ・レストン( Ebola Reston )は、かつて、突然変異によって空気感染するウイルスに変化する能力を獲得したことが実証されているのだ。
もし、現在のエボラウイルスが空気感染した場合、スマート博士の分析では「470万人が感染し、120万人が死亡する」という結果となったという。
2014年09月11日
エボラの死者数が「1日で200人」のレベルに急上昇。今後も悪化の見込み
▲ 2014年9月10日の Baltimore Sun より。
エボラ出血熱での死亡者数が、ついに「1日で約 200人に達した」という過去最悪の数字となっていることが報じられています。今回は、上の記事を翻訳してご紹介します。
記事では、流行地の中でも、特にリベリアの状況の悪化について書かれていて、WHO もリベリアの大統領も、共に「今後さらに悪化する」という見通しを述べています。
このリベリアについては、 AFP でも「対処しきれない」という内容の記事がありました、
エボラ熱、西アフリカの医療従事者「対処しきれない」
AFP 2014.09.10
西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大している問題で、医療従事者らは10日、最も感染者の多いリベリアでは新たな感染者の急増に対処しきれなくなっており、医療サービスの存続が脅かされていると報告した。
緊急医療援助団体「国境なき医師団」の広報担当ソフィー・ジェーン氏は、リベリアの首都モンロビアでAFPの取材に対し「我々は圧倒されている。患者が次から次に大量に来る。昨日は30人の患者を受け入れた」と語った。
世界保健機関(WHO)は、西アフリカ全域での感染者の「飛躍的増加」を予想しており、特にリベリアでは今後数週間で数千人規模の新たな感染者が出る恐れがあると警告している。
なお、記事にも出てきます、リベリアの大統領のエレン・ジョンソン・サーリーフ( Ellen Johnson Sirleaf, )さんという方はは女性なんですね。初めて知りました。 Wikipedia によれば、
選挙で選出されたアフリカ初の女性大統領であり、アフリカの女性国家元首としては、ギニアビサウのカルメン・ペレイラ大統領代理に続いて二人目である。
という方のようですが、なかなか厳しい状況となっているようです。
▲ リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領。
それでは、ここから記事です。
Ebola death toll skyrockets by almost 200 in one day
Baltimore Sun 2014.09.10
エボラの死者数が1日で 200人に達するという非常に急激な上昇を見せている
史上最悪のエボラ流行による死者数が、少なくとも 2,296人となり、ほぼ1日で 200人の死者が出ているほどの急激な死亡者数の上昇を見せていることを世界保健機関( WHO )が明らかにした。 同時に、西アフリカ5カ国患者数が 4,293例となったと述べた。
しかし、最悪の感染状況にあるリベリアでは、実際の患者数と死亡者数は、これよりもはるかに高いと考えられている。 WHO は、次の3週間でのリベリアで新たに数千人の患者が発生すると見込んでいる。
リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領は、同国の医療従事者たちが、物資の不十分な供給と、外部からの援助の不足により苦難に陥っており、今後数週間で事態はさらに悪化するだろうと声明を出した。
WHO の感染症のパンデミック部門の責任者であるシルビー・ブリアンド( Sylvie Briand )氏は以下のように言う。
「私たちは、患者の数や死亡者の数の実際の数が発表されているより高いことを知っている。その実数を掴むために努力している。これはウイルスとの戦いだ。私たちは努力はしているが、戦いに勝つことが非常に困難な戦場でもある」
また、リベリアの患者数および死亡者数の約 60%は、過去3週間以内に発生しているというデータが新たに示された。
国境なき医師団は、リベリアの首都モロンビアでのエボラ患者の治療のためのベッドは 1000床は必要だとしているが、実際には 400床しかない。
リベリア以外の流行の中心地であるギニアとシエラレオネでは、過去3週間で新たに発生した患者数は、わずか39%であり、死亡者数は 29%となっており、この2カ国では、エボラの流行に対しての取り組みに効果が出ていることを示唆している。
2014年09月08日
アメリカ中西部の子どもに広がる「過去最悪」のエンテロウイルス(EV-D68)感染症の異常事態
・Extinction Protocol
西アフリカでエボラの患者数が増え続ける中、日本では、首都圏を中心として「デング熱」が拡大していることが報じられていますが、このデング熱、今年は東南アジア諸国でもかなりの猛威をふるっていて、特にマレーシアでは下のウォールストリート・ジャーナルの報道にあるように、平年の4倍以上の死者を出す緊急事態となっています。
マレーシアでデング熱感染が急増、死者は前年の4倍に―新型ウイルスが一因
CNN 2014.09.04
マレーシアでデング熱の発生件数が急増し、今年に入ってからのデング熱による死者は前年同期の4倍近くに上っている。
マレーシアでは今年、8月30日時点でデング熱関連による死者は131人、感染者は6万8144人。前年同期は死者は38人、感染者は1万8923人だった。
保健当局は差し当たり、周辺地域の清掃や殺虫剤の散布による蚊の駆除で対処している。しかし、当局によると、自治体による清掃への参加率は低く、デング熱感染はさらに拡大する可能性がある。
このように、「ウイルスなどによる病気」が、最近では耳にしたことがないほどの勢力を増している状況の中で、アメリカで、「エンテロウイルス」というウイルスによる「呼吸器系の深刻な症状」が子どもを中心として拡がっていることが CNN で報じられています。
エンテロウイルスというのは、横浜市衛生研究所によりますと、
エンテロウイルスは、「かぜ」ウイルスとして知られるライノウイルスについで、よく見られます。
エンテロウイルスは、アメリカ合衆国では年間1000万-1500万件の感染症を起こしていると推測されています。また、エンテロウイルスは、アメリカ合衆国では少なくとも年間3万-5万人の入院を起こし、その多くは無菌性髄膜炎であると推測されています。
というもので、アメリカでの患者数でわかるとおり、本来なら、かなりありふれたウイルスですが、このエンテロウイルスには「100種類」を越えるタイプがあり、現在、アメリカで問題となっているのは「 EV-D68 」というタイプのエンテロウイルスで、これまであまり感染報告例がなかったものの感染拡大により、「かつてないほど深刻な症状を示す患者」が相次いでいるようです。
下に CNN の報道を載せますが、緊急搬送される子どもの数は米中西部の多い州では数百人規模となっていて、かなり深刻な事態であることが伺えます。
ちなみに、この EV-D68 は、ワクチンもなければ、特定の治療法もないウイルスです。
なお、上の記載で「アメリカ合衆国では少なくとも年間3万-5万人の入院を起こしている」という無菌性髄膜炎ですが、日本での年齢分布は下のようになります。
・横浜市衛生研究所
このグラフでおわかりの通り、14歳以下の子どもに圧倒的に多いことがわかります。ただし、今回、アメリカで流行しているのは、呼吸器系の症状で、無菌性髄膜炎ではないです。
以下、 CNN の記事からご紹介いたします。
Respiratory virus suspected in Midwest children's hospitalizations
CNN 2014.09.07
米中西部で入院している子どもたちに呼吸器系ウイルスの疑い
呼吸器系のウイルスによる疾患により、ミズーリ州を含む、おそらくアメリカ中西部の全域の病院で数百人の子どもたちが入院している。
現在の入院患者数が異常に高いため、アメリカ疾病予防管理センター( CDC )の専門家は、「重症患者は氷山の一角に過ぎない可能性がある」と述べる。
そして、「私たちは今回の出来事への解答をまだ持っていない」と付け加えた。
CDC は、コロラド州、ノースカロライナ州、ジョージア州、オハイオ州、アイオワ州、イリノイ州、ミズーリ州、カンザス州、オクラホマ州、ケンタッキー州の 10州で、エンテロウイルスの調査をした。
激しい風邪のような症状をもたらすエンテロウイルスそのものは、特に珍しいものではない。悪い夏風邪の多くはエンテロウイルスによるものだ。流行は多くの場合、9月までにピークを打つ。
しかし、現在の入院者数は、異常といえるほど多い。
ミズーリ州のカンザスシティでは、毎日毎日 30人程度の子どもが病院に搬送されており、そのうちの 15%の子どもたちは集中治療室へと運ばれる。カンザスシティのマーシー病院では、これまで 450人の子どもたちが治療を受け、そのうち、60人が集中治療を受けている。
同病院のメアリーアン・ジャクソン( Mary Anne Jackson )医師は、「私は小児科で 30年間治療に当たっていますが、重症化した子どもたちの数がこれほどまでに多いのは今までになかったことです」と述べる。
ワクチンの存在しないウイルス
このエンテロウイルスは EV-D68 と呼ばれ、これは珍しいタイプではあるが、決して新しいものではない。 1960年代に同定されている。
しかし、それ以来、これまで 100例ほどの報告しかない。
EV-D68 は、世界各地で報告されており、米国では今年と昨年見られ、他国では、フィリピン、日本、オランダなど、さまざまな国で報告されている。
CDCによる分析では、カンザスシティの子供のうち少なくとも 19人が EV-D68の陽性反応を示した。
しかし、EV-D68のためのワクチンは現在利用可能ではなく、また、感染症のための特定の治療法は存在しない。
治療は対症療法のみだが、多くの場合は軽症だ。しかし、EV-D68 によって引き起こされる一部の呼吸器疾患では、集中治療が必要となる。
これまでで最悪の流行
デンバー州では、8月18日以来、 900人以上の子どもたちがエンテロウイルスおよび、他のウイルス感染による重篤な呼吸器疾患の治療のために緊急治療を受けたと報告されている。
デンバー州のロッキーマウンテン病院のラジュ・メヤッパン( Raju Meyeppan )博士は、「これは今まで見てきた中で最悪です」と語る。
アメリカで毎年 1500万人が感染症を引き起こすエンテロウイルスには 100以上の種類があるが、 EV-D68 の感染はそれほど一般的ではない。
この EV-D68 も、他のエンテロウイルスと同様に感染した人との密接な接触を介して感染が拡大しているように見えると専門家は言う。
このウイルスは 2008年から 2010年まで、アジア、欧州、米国などを襲っており、比較的軽度な症状から、集中治療と人工呼吸器が必要となる重篤な症状を引き起こす例もあった。
2014年08月30日
エボラウイルスのゲノムが判明。その遺伝子数は「たった7個」。そして現在、エボラウイルスは急速に「突然変異」を続けている
▲ 2014年8月28日の NPR より。
「私たちは、250以上の突然変異を発見しています。それらは、私たちが見ている目の前で、リアルタイムで突然変異していきました」
−− パラディス・サベティ(ハーバード大学の計算生物学者)
エボラ出血熱の感染者がセネガルでも確認され、これで西アフリカで5カ国でエボラ患者が確認されたことになります。報道は、 CNN 「セネガルで初のエボラ熱感染者 西アフリカで5カ国目」などにあります。
また、先日の記事、
・エボラの「新種」の発生:コンゴ民主共和国で13名が死亡したエボラはこれまでの西アフリカのウイルスとは異なるものであることが判明
という記事では、コンゴ民主共和国で、それまでのエボラとは「別のタイプ」のウイルスが流行していることをご紹介しましたが、今回の記事はそれとも関係することかもしれません。
それは「突然変異」に関してのことです。
つい数日前の 8月 28日に発行された科学誌サイエンスに、エボラウイルスのゲノム(生物の全ての核酸上の遺伝情報)の解析結果が掲載されました。
その研究結果によると、エボラウイルスのゲノムの遺伝子は「たった7個」という単純なものであることがわかりました。比較として書きますと、ゲノム - Wikipedia からの数として、まず、人間は、 約 26000個の遺伝子領域を持っているとされています。他には、
大腸菌 4149個
マウス 約29000個
イネ 約37000個
などです。
そういう意味では、エボラウイルスの「7個」という遺伝子領域数は非常に少ないものといえそうです。しかし、この単純なウイルスこそ、最大致死率 90パーセントという恐怖のウイルスであるわけです。
▲ エボラウイルス。
そして、さらに重要なこととして、
現在、エボラウイルスは急速に突然変異している
ことです。
ゲノムの解析中の1週間ほどだけで、「少なくとも 250の変異を発見した」と研究者は語っています。
どのように突然変異し続けているのかわからないですが、その変異によっては、現在作られているワクチンなどが意味をなさなくなるというような可能性もあるのかもしれません。
冒頭に貼りました NPR の記事をご紹介します。
Ebola Is Rapidly Mutating As It Spreads Across West Africa
NPR 2014.08.28
エボラウイルスは西アフリカで感染拡大する中で急速に突然変異し続けている
シエラレオネのエボラ患者の人々のウイルスのゲノム配列を決定することによって、科学者たちは、エボラ出血熱の流行の広がりとほぼリアルタイムで解析を完了させることを成し遂げた。
8月28の科学誌サイエンスに発表された論文は、西アフリカで発生したエボラウイルスに対しての新たな洞察を提供している。
研究者の国際チームは、6月にシエラレオネでエボラ出血熱と診断された 78人の患者から非常に高い精度において 99のエボラウイルスのゲノム配列を決定した。
エボラのゲノムは信じられないほど単純だ。
それはたった7つの遺伝子だけを持つものなのだ。
たとえば、比較でいえば、私たち人間は約 20,000の遺伝子を持っている。
解析にあたったチームの1人、ハーバード大学の計算生物学者( computational biologist )パラディス・サベティ( Pardis Sabeti )氏は、「これらのウイルスは驚くべきものです。これだけ小さなものが、人間にあれほどの大きなダメージを与えるのですから」と言う。
このチームは、シエラレオネでの最初のエボラの患者を発見することにも一役買っている。その後、アメリカ人のエボラ出血熱患者からサンプルを送ってもらい、ただちに、エボラウイルスのゲノム配列の解析を開始した。
サベティ氏は、「私たちの研究室の 20人は無休で働き続けました」と言う。
彼らのその猛烈な労力は報われ、1週間ほどで、チームは 99 のエボラウイルスの由来の遺伝子配列の解析に成功した。
このデータは、エボラの流行に対して大きな情報を提供している。たとえば、これらのデータは、エボラウイルスが、ヒトを介して感染していく中で、急速に新たな突然変異をおこし続けていることを示している。
「私たちは、250以上の突然変異を発見しています。それらは、私たちが見ている目の前で、リアルタイムで突然変異を起こしたのです」とサベティ氏は述べた。
2014年08月27日
エボラの「新種」の発生:コンゴ民主共和国で13名が死亡したエボラはこれまでの西アフリカのウイルスとは異なるものであることが判明し、懸念が広がる
▲ 2014年8月26日の ajc より。
上の記事は、西アフリカを訪問した CDC (アメリカ疾病予防管理センター)のトップであるトーマス・フリーデン( Thomas Frieden )長官が昨日の記者会見で語った言葉が記事のタイトルになったものです。
現在のエボラ出血熱での死者の「正確な総数」は日を追うごとに曖昧になってきている感じもありますが、最新のデータが示される WHO (世界保健機構)の 8月 24日のデータでは下のようになっています。
・DW
現在、アフリカで確認されている感染国は、リベリア、ギニア、シエオラレオネ、そして、ナイジェリアとコンゴ民主共和国でも感染と死者が確認されていて、アフリカだけでも5カ国に拡大していますが、上のグラフでは、死者は確認されているだけで、1500人に近づいているようです。
ただ、この統計も今となってはあまり正確とは言い難い面があるのは、
・エボラ・パニック
In Deep 2014年08月23日
という記事に書きました、下の事情などを含めて、「状況の把握が困難となってきている」というのが実情のようだからです。
・多くの医療スタッフたちが逃亡していて、機能していない医療施設が多い。
・リベリアなどでは、事実上すべての医療サービスが閉鎖されている。
・現在、雨期のため道路事情が悪い西アフリカでは都市部から遠い村へは行けず、エボラ出血熱の感染の状況がまったくわからない場所が多い。
それでも、8月の中旬から急激に患者数と死者数が増えている状況だけは確かなようで、そして、それは現在も続いているようです。
先日の記事に掲載しました下のグラフの 8月 18日の統計での 1300人越えから数日で、死者は 1500人という状況に近づいています(ということは、実際はその数をかなり越えている可能性が高いと思われます)。
そして、上のほうの地図では、「コンゴ」と記していますが、正確には「コンゴ共和国」で発生したエボラ出血熱のウイルスは、
それまで西アフリカで流行していたものとは別種のエボラ・ウイルス
であることが確認されています。
つまり、さらに新たな脅威が加わったかもしれません。
ちなみに、最初にご紹介しました CDC の長官は、以下のように述べています。
「今回のエボラ出血熱の流行は巨大で、そして、絶対的な緊急事態です」
新種のエボラについてのコンゴでの報道を、南アフリカの BDlive からご紹介します。
Different Ebola strain kills 13 in the Congo
BDlive 2014.08.26
異なるエボラ株によりコンゴ民主共和国で 13人が死亡した
コンゴ民主共和国政府は、現在西アフリカ諸国で猛威を振るっているウイルスとは異なる株のエボラの流行により、少なくとも 13人が死亡していることを発表した。
臨床検査で、国の北西部の人里離れた村で2例のエボラ陽性患者が見つかり、他の11人の死亡も、そのウイルスによるものと疑われている。コンゴのエボラウイルスは、西アフリカで流行している株とは異なる。
なお、死者のうちの4人が医師と看護師だった。
保健省は、先週発表した西アフリカのエボラ流行地への旅行制限地区を拡大する計画はないことも明らかにしている。
エボラウイルスは、西アフリカ全体で少なくとも 1400人が死亡している。世界保健機関は、この史上最悪の発生の流行をコントロールするために少なくとも 4億 3000万ドル( 430億円)が必要だと述べている。
2014年08月22日
リベリア軍がエボラ拡大阻止の名目で「隣国から違法に国境を越えるものは見つけ次第、射殺せよ」との軍命令を発令
▲ 2014年8月18日の Sky News より。「見つけ次第射殺せよ」というのは、「隣国のシエオラレオネから違法に国境を越えて来るものは、見つけ次第射殺せよ」という意味です。後半、この記事をご紹介します。
エボラ出血熱に関しては、先日の記事、
・エボラ・ウイルスがドイツ、ベトナム、ミャンマーにまで拡大した可能性
2014年08月21日
というように感染地域の拡大の懸念も広がっていますが、何よりも、流行地での「死者数の増加」があまりにも急激で、各国では、次第にパニックの様相を示しています。
下は英語版 Wikipedia の 2014年の西アフリカでのエボラ出血熱の流行のページにある 8月 18日までの状況を示したグラフです。死者数は 1350人に達しています。
そして、それよりも目につくのが下のグラフです。
これは「1日あたりの新たな患者数と死者数のグラフ」です。
8月に入ってから、そして、特にこの1週間ほどの間の患者数の急激な増え方がおわかりになると思います。
実際、8月20日の USA トゥディの報道では WHO の局長が、「エボラの流行に終わりが見えない」と述べたことが記されています。
そんな中で、最大の流行地のひとつであるリベリアで、冒頭のように、軍の命令として「隣国から国境を越えてくる者は、発見次第射殺せよ」という通達が出されているというようにことにもなっています。
リベリア、シエオラレオネ、ギニアの位置関係
また、リベリアでは、下のような出来事も起きています。
リベリアで検疫逃れの市民に軍、実弾使用
VOR 2014.08.21
リベリアの首都モンロビアで、エボラ出血熱の蔓延から、外出禁止令がしかれて、警察に包囲された地区で、包囲を振り切って地区の外に出ようとした住民に対し、実弾が行使される事件が起きた。
ロイター通信の報道によれば、住民らは警察に対し投石を行なったため、その報復として警察は実弾を使用した。これより以前、同様のケースで催涙ガスが用いられた例が明らかにされている。
病気から始まった混乱は、ここにきて暴力的な色彩も帯びてきているようです。
冒頭の記事の要約をご紹介いたします。
Sky News
「見つけ次第射殺せよ」エボラ警戒下のリベリア
リベリアの軍隊は、軍人たちに対して、エボラ出血熱の拡大を食い止めるために、国境を閉鎖している隣国シエラレオネから国境を越えてくる人々を射殺する命令を出した。
これは地元紙に、リベリア軍のエリック・デニス大佐( Colonel Eric Dennis )が語ったものだ。
この命令は、違法に国境を越える人々が相次ぐ事態を受けて出された。大佐は、「リベリアとシエオラレオネの国境沿いには、少なくとも 35カ所の違法な入国可能地点が存在する」と言う。
リベリアは、数週間前に、エボラ出血熱拡大を阻止するために隣国シエオラレオネとの国境を封鎖した。その西アフリカではエボラ出血熱による死者が 1,100人を越えている。
先日、首都モンロビアのスラム地区「ウエスト・ポイント」にあるエボラ感染者隔離センターから 30人のエボラ患者が逃走する事件が起きている。地元の住民は、「警察は機能しておらず、現在のウエスト・ポイントには治安はない」と語る。
リベリア人たちの中は、エボラの流行はリベリアが外国からの援助を確保するための政府の策略だったと思っている人たちなどもいることを報じるメディアもある。
また、リベリア政府は、ヘルスケア、食品、安全な埋葬を含め、エボラ患者たちに対して十分なサービスを提供していないという批判も多い。
2014年08月21日
エボラ・ウイルスがドイツ、ベトナム、ミャンマーにまで拡大した可能性。ドイツでは600人が隔離中
▲ 2014年8月19日の英国エクスプレスより。
拡大が続くエボラウイルスの死者数は、8月20日までに 1350名と、急速に増え続けている上に、「感染疑いの地域」も急速に拡大しています。
上の記事は、ドイツのベルリンで、西アフリカ出身の女性がエボラ出血熱の疑いで検査を受けているというもので、また、同じビルで働いていた600人が隔離されています。これがエボラ出血熱だと確認されれば、ヨーロッパでは、スペインとオーストリアに続き、3カ国目となります。
要約します。
エボラウイルスがドイツに到達。ベルリンで女性が検査を受けると共に、600人が隔離された
ドイツの首都ベルリンで、ひとりの女性がエボラ出血熱の疑いで検査を受けていることによって、エボラ・ウイルスはヨーロッパへと近づいてきているという可能性が出ている。
ベルリンのパンコウ地区にある求人センターでの勤務中に倒れた 20歳の女性は、エボラ・ウイルスの症状を示した後に病院に搬送された。
その女性によると、彼女は西アフリカ出身で、彼女の自分の故郷でエボラ出血熱のの犠牲者との接触を持っていたと述べた。
その女性が働いていた求人センターはすぐに封鎖され、そこで働いていた 約600人は現在も、ビル内部に隔離されている。
▲ エボラ出血熱の疑いの患者が出たことにより封鎖されている求人センタービル。
警察によれば、女性は検査を受けているが、エボラ出血熱かどうかは確認されていないと発表している。
エボラ出血熱は、すでにスペインとオーストリアで見つかっている。
そして、東南アジアにもエボラが拡大してきている可能性が出ています。
▲ 2014年8月20日の Rappler より。
記事を要約します。
ベトナムとミャンマーで3名のエボラ患者が検査を受けている
航空便でベトナムに到着した2名のナイジェリア人が発熱の症状を呈し、ただちに、2人はホーチミン市の病院に隔離され、検査を受けている。
2人はカタール経由で 8月 18日にナイジェリアからベトナムにやって来た。
さらに、ミャンマーでは、22歳の地元の住民が症状を示し、ヤンゴンの病院に運ばれたことが疾病管理予防センターより発表された。この人物は、ギニアやリベリアなど、最悪のエボラ出血熱の流行地を旅行して帰ってきた後だという。
彼を病院に連れてきた4名も、症状は呈していないが、現在、病院で観察下に置かれている。
「私たちは、それがエボラであるかどうかの試験のために、サンプルをインドに送る必要があります。そのため、確認のためには3日から4日程度かかります」と、保健省の副局長はフランス通信社に語った。
2011年まで軍事政権が続いたミャンマーでは、基本的な医療援助システムが不足しており、世界最悪水準の国家資金面からも、医療システムは不十分なままとなっている。
これらはすべて「疑い」であり、エボラ患者と確定したものではないですが、次第にエボラの懸念は「全世界」へと向かっている可能性もあります。
2014年07月31日
状況は悪化の一途をたどるエボラ出血熱。アメリカ人2名が死亡した他、「香港」でも疑いのある患者が発見される
▲ 2014年7月31日の CNN 報道より。この記事では、国境なき医師団の代表は、「これほどの流行は前例がない」、あるいは「制御できないまま、状況が悪化し続けている」と述べています。
西アフリカのエボラ出血熱については、3月にギニア、リベリア、シエオラレオネなどで感染が拡大し始めた今年3月から何度か記事を書いています。
過去記事の、
・「前代未聞の流行」となりつつあるエボラ出血熱のウイルス感染はアフリカ3カ国に拡大。そして、さらに「他地域へ感染拡大」する可能性はあるのか?
2014年04月01日
では、3月31日時点では、
・死亡者 80人
となっていましたが、7月31日現在では、死者は少なくとも 670名以上にのぼっています。
致死率は最大で 90パーセント近くあり、さらに、
治療法も予防法も存在しない。
というこの病気が、現在、西アフリカを越えて、拡大する兆しを見せています。
また、現地でエボラ出血熱治療の最前線に当たっていて、「英雄」と呼ばれていたシエラレオネのシェイク・ウマル・カーン医師がエボラ出血熱で死亡したことにより、西アフリカの治療の最前線の状況も次第に混沌としてきた様相を見せています。
ボランティアたちが退避を始めているのです。
▲ シエラレオネのエボラ治療センターのトップとして患者の治療や隔離を指揮し続けていたシェイク・ウマル・カーン医師。7月29日にエボラ出血熱で死去しました。享年 39歳。
現在のエボラについての報道をいくつか抜粋します。
アメリカ人初の死亡例
エボラ出血熱で初の米国人死者 帰国途上で発症
CNN 2014.07.30
ナイジェリアのラゴスでエボラ出血熱のため死亡した男性は、米国籍を持つパトリック・ソイヤーさん(40)だったことが分かった。娘の誕生日を祝うため米ミネソタ州の自宅に帰宅する途上にあったという。米当局は、米国で感染が広がる可能性は低いと強調している。
西アフリカのエボラ出血熱流行で米国人が死亡したのは初めて。米国人はほかにもリベリアで患者の治療に当たっていた医療関係者2人がエボラ出血熱に感染している。
香港でも疑いのある患者が見つかる
香港でエボラ症状患者見つかる…感染の拡大、どこまで
中央日報 2014.07.31
西アフリカを襲ったエボラウイルスが大陸を越えて拡散する兆しをみせている。
ケニアを訪問したある香港女性は、帰国した後に発熱やめまい、嘔吐などエボラ出血熱の感染症状が出たと中国鳳凰衛星テレビが30日、報じた。この女性は現在、隔離治療を受けている。
西アフリカは現在、エボラ恐慌状態に陥っている。100人以上のエボラ患者を治療して“国民英雄”と呼ばれていたシエラレオネの医師オマル・カーン氏が結局、エボラによって亡くなった。
リベリアなどの地でも医師が死亡あるいは陽性判定を受けて医療支援中だった外国医療スタッフが続々と撤収している。感染者をナイジェリアに送りナイジェリアにエボラが広がってからは、この地域への航空便は次々と閉鎖されている。
現地の支援団体のボランティアたちも退避
▲ 現地で活動するアメリカ支援団体の医師たち。上の写真の医師(左)は、エボラ出血熱に感染してしまいました。 CNN より。
エボラ流行は「悪化の一途」、ボランティアも退避
CNN 2014.07.31
西アフリカのエボラ出血熱流行で、現地で活動していた米支援団体は30日、感染が広がっている国からボランティアを出国させると発表した。
米途上国支援団体の「平和部隊」は30日、リベリア、シエラレオネ、ギニアの3カ国で活動していたボランティア340人を出国させると発表した。活動再開のめどは明らかにしていない。
さらに、メンバーの米国人2人が感染したキリスト教系の「サマタリアンズパース」などの人道支援団体も、緊急に必要としない要員をリベリアから出国させていることを明らかにした。
現地の医療が「崩壊」の危機に瀕する事態が次々と起きているのです。
こうなってきますと、現地でのさらなる流行拡大と、「海外への拡散」が気になるところですが、ナショナルジオグラフィックニュースの「エボラウイルスは欧米でも蔓延するか」という記事は、
エボラウイルスがアメリカに侵入する可能性は否定できない。しかし、流行に至るまでの危険はなさそうだ。
としています。
この理由は、エボラ出血熱は、
・発症していない保菌者が感染を拡大させることはない。
・血液と排泄物を介して感染を広げる。
という理由によるものです。
また、米国疾病予防管理センター(CDC)の所長は、
「国内で感染者が見つかっても、病院に隔離すれば済む。パニックを心配する必要はないと考えている」
と声明で述べていまして、現時点ではアフリカ以外の国で仮に感染者が出ても、速やかに隔離すれば大きな問題にはならないだろうとしています。
しかし、現時点でも西アフリカでは緩慢なペースながら感染拡大は続いているわけで、アフリカ以外への拡大の可能性そのものは常にあり得ます。
2014年07月22日
中国北西部の甘粛省で肺ペスト発生。1人が死亡。151人を隔離
▲ 2014年7月19日の中国台湾網より。
中国北西部にある甘粛省の玉門市という場所で肺ペストが発生し、1人が死亡したことが当局より発表されています。また、現地に検疫所を設置すると同時に、死亡した患者と接触した 151人を隔離し、投薬をおこないながら経過を観察しているとのことです。
・kaixian
▲ 中国の甘粛省の場所。
患者は 7月 16日に死亡し、ペストを疑った病院側が、患者から採取したサンプルを検査したところ、ペスト菌の存在が確認されました。その後、当局は、死亡患者と接触した人々の隔離を始めましたが、死亡した患者については、住所、氏名、および、治療した医療機関も発表されていないようです。
また、発祥の経緯についても現段階では不明です。
当局は、玉門市の旧市街や周辺の村などに検疫所を設置し、また、「隔離地区」を設けましたが、現地では、物々しい防御態勢の現地の警官たちの姿などが報じられています。
・kaixian
ペストは、もともとネズミやマーモット、タルバガンなどの齧歯類(げっしるい)に流行する病気で、げっ歯類からノミ等を通じて人に感染することが一般的です。
ちょうど、アメリカのコロラド州でもペストが人に感染していることが大きく報道されていますが、それもげっ歯類からノミを通して、犬や人間に感染したと考えられています。