- 国境なき医師団 : エボラ出血熱は「もはや完全に制御不能」
- シエラレオネがエボラ出血熱により非常事態宣言。国境および学校も閉鎖
- グルジアで「天然痘」系の新種のウィルスが人に感染し、アメリカ疾病予防管理センターの研究者たちが調査を続けている
- 豚肉が買えなくなる日 : 豚流行性下痢(PED)のアメリカでの豚の死亡数が「数百万頭」に達するという報道
- アフリカのエボラ・ウイルスはギニアからの感染拡大ではなく「同時多発」で発生していた可能性
- 豚の致死性疾病「豚流行性下痢」が世界中で急拡大。日本でも4万頭の豚が死亡
- 「前代未聞の流行」となりつつあるエボラ出血熱のウイルス感染はアフリカ3カ国に拡大。そして、さらに「他地域へ感染拡大」する可能性はあるのか?
- ギニア政府が「エボラ出血熱の感染拡大の阻止」を発表した翌日、「ギニアの首都に感染が拡大」したことが判明
- ギニアで発生したエボラ出血熱がリベリアに拡大し数十名が死亡。さらにリベリアから帰国した「カナダ人男性」がエボラ出血熱の疑いで重篤な状態
- ギニアで発生した「死亡率 80パーセント」に迫るエボラ出血熱が周辺国にまで拡大
【ウイルスとパンデミック】 の記事一覧
2014年06月25日
国境なき医師団 : エボラ出血熱は「もはや完全に制御不能」
▲ 2014年6月20日の CBS News より。
今年3月に、西アフリカのギニアで発生したエボラ出血熱は、その時の、
・ギニアで発生した「死亡率 80パーセント」に迫るエボラ出血熱が周辺国にまで拡大
2014年03月23日
という記事から、最近の、
・シエラレオネがエボラ出血熱により非常事態宣言。国境および学校も閉鎖
2014年06月13日
まで、何本かの記事で途中経過を報告してきましたが、ここに来て今回のタイトルのように「もはや制御不能」という発言が国境なし医師団から発せられる事態となっています。
このエボラ出血熱に関してニュースを執拗に書いてきたのには、やはり、エボラ・ウイルスの恐ろしさというものがあります。
・現在の地球上のウイルス性疾病の中でも最強クラスの致死率
しかも、
・ワクチンもなく、薬による治療法もない
ということがあります。
そして、過去何度かアフリカで発生したエボラ熱のアウトブレイクの中で、今回は「これまでの最大」の流行であることがほぼ確定していて、そして、3ヶ月経っても終息の兆しもありません。
▲ 1976年にザイールで流行した際のエボラ出血熱で死亡した患者のお墓を訪れた看護婦さんの姿。File:Nurse-nun visits graves of victims of 1976 Zaire Ebola outbreak より。
このような感染症が、「制御不能」というようなことになってくると、事態は西アフリカだけでは収まらない可能性もあります。
6月18日までのエボラの感染状況は下の地図のようになっています。
地図中にあるマークは下のような意味を表します。
5月23日から29日までという項目があるということは、その間の感染者が特に多かったということなのかもしれません。
2014年6月18日までの西アフリカでのエボラ出血熱の感染状況
▲ ReliefWeb より。
なお、その後、死亡者が急激に増えたようで、6月23日時点での死亡者数は 337人となっています。
AFP の報道を要約して掲載しておきます。
西アフリカのエボラ出血熱、「もはや制御不能」 国境なき医師団
AFP 2014.06.24
西アフリカで流行しているエボラ出血熱について、国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は23日、感染が深刻な地域が60か所を超え、「もはや制御不能」な状態だと語った。
「国境なき医師団」は報道発表文のなかで、「現在のエボラ出血熱流行は地理的な拡大、感染者および死者の数において前例をみない規模にある」としている。
致死率が最大90%とされるエボラ出血熱のまん延が、あまりに急速なため支援団体や医療関係者らも手に負えず、感染地域の住民たちは恐怖に陥っていると、MSFのオペレーション・ディレクター、バート・ジャンセンズ氏は言う。
「新たな感染地域がギニア、シエラレオネ、リベリアで見つかっており、(エボラ出血熱が)他の地域へも拡大する危険が現実に迫っている」
世界保健機関(WHO)の先週の発表によると、今回のエボラ出血熱の流行でこれまでにギニア、シエラレオネ、リベリアの3か国で少なくとも337人が死亡した。
2014年06月13日
シエラレオネがエボラ出血熱により非常事態宣言。国境および学校も閉鎖
▲ 2014年6月12日の CTV より。
3ヶ月ほど前にアフリカのギニアで発生したと見られるエボラ出血熱ですが、その拡大は遅いペースながらも、着実に進行し続けています。
▲ エボラ・ウイルス。
過去記事の、
・アフリカのエボラ・ウイルスはギニアからの感染拡大ではなく「同時多発」で発生していた可能性
2014年04月05日
では、2014年4月3日までのエボラ出血熱の感染範囲の状況の下の図を掲載いたしました。
2014年4月3日までのエボラ出血熱の感染状況
それから約2ヶ月たった、6月11日、上の地図にもあるシエラレオネは、非常事態を宣言し、学校なども感染拡大阻止のために閉鎖すると発表しました。
また、周辺国との国境を閉鎖したこともロイターなどで報じられています。
▲ 6月12日のロイター Sierra Leone shuts borders, closes schools to fight Ebola より。
ギニアで 200人以上の死者を出している現在のエボラ出血熱の流行ですが、その流行の上昇が周辺国のほうに移動してきたようです。
▲ エボラ出血熱の発生時の今年3月末に、「エボラ出血熱に対しての正しい知識」を人々に説いて回るギニアの医師たち。 2014年6月4日の VOAより。
冒頭の CTV の報道の概要を記します。
シエオラレオネはエボラ出血熱の発生での非常事態を宣言した
シエラレオネ政府は、カイラフン( Kailahun )地区で、エボラ出血熱が発生した事態を受けて、集会を禁止し、学校を閉鎖すると発表した。また、同地区に非常事態宣言を発令した。
同国では、エボラ出血熱の発生以来、この病気により 17名が亡くなっている。
シエオラレオネ政府の統計によると、リベリアとの国境に近い地区には、エボラ出血熱と確定された 46人の患者がおり、他に 122名のエボラ出血熱を疑われる患者がいる。
しかし、地元の国会議員によると、同地区だけで、すでに 28名の死者が発生しているという。
非常事態宣言の政府声明では、映画館やナイトクラブを含むすべての集会が禁止され、地区内のすべての学校は、エボラ出血熱の感染を最小限にするために閉鎖されることになった。
地区への出入りする車両は、チェックポイントで撮影される。
ギニアでのエボラ出血熱がコントロールされたと発表された後に、死亡者数は、ギニアだけでなく、シエラレオネ、リベリアで上昇し続けている。
この治療法がない恐ろしい病気の発生以来、少なくとも、すでに 231人が死亡している。中でも、ギニアでは、 200人が死亡した。
国境なき医師団によると、1976年にスーダン、コンゴで流行した史上最悪のエボラ出血熱の感染拡大と同じレベルになる懸念があるという。
2014年05月05日
グルジアで「天然痘」系の新種のウィルスが人に感染し、アメリカ疾病予防管理センターの研究者たちが調査を続けている
▲ 2014年5月2日の Liverty Voice Smallpox Cousin Infects People in Georgia より。
ロシアと隣接しているグルジアという国で、「天然痘の系に属する新種のウイルス」が発見されました。動物と接触した3人の人物が発症しています。
天然痘そのものは、現在は、基本的に地球から根絶されているだけに、「同じ系統のウイルス」が発見され、そして、実際にヒトに感染したということだけに、比較的大きく報道されています。
天然痘に関しての基本知識を、天然痘 - Wikipeida から抜粋します。
天然痘(てんねんとう)とは天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つである。非常に強い感染力を持ち、全身に膿疱を生ずる。仮に治癒しても瘢痕(一般的にあばたと呼ぶ)を残すことから、世界中で不治、悪魔の病気と恐れられてきた代表的な感染症。世界で初めて撲滅に成功した感染症でもある。
その大きな感染力、致死率(諸説あるが40%前後とみられる)のため、時に国や民族が滅ぶ遠因となった事すらある。
その感染力の強さと致死率に関しては、国立感染症情報センターの「天然痘」に以下のような記述があります。
1663年、米国では、人口およそ4万人のインディアン部落で流行があり、数百人の生存者を残したのみであったこと、1770年のインドの流行では300万人が死亡した。
1958 年当時、世界33 カ国に天然痘は常在し、発生数は約2,000 万人、死亡数は400万人と推計されていた。
とあります。
なお、日本では、1956 (昭和31)年以降、天然痘の発生はなく、世界規模でも、1980年に WHO が天然痘の世界根絶宣言を行っています。その天然痘ウイルスは現在、アメリカとロシアのバイオセイフティーレベル(BSL)4の施設で厳重に保管されています。
今回発見された新しいタイプの天然痘の系統のウイルスがヒトからヒトに感染するようなものだと厄介ですが、どんなウイルスでも登場する時は「突然現れる」ものです。
今回は冒頭に貼りました記事をご紹介します。
▲ グルジアの場所。
Smallpox Cousin Infects People in Georgia
Liverty Voice 2014.05.02
グルジアで天然痘の系統のウイルスにヒトが感染
西アジアと東ヨーロッパの交差点となっている国グルジアで、現在、3人が、歴史的に悪名の高い「天然痘ウイルス」の親類と考えられるウイルスに感染している。
アメリカの疾病予防管理センター( CDC )の科学者たちが、3人からこの新種のウイルスを検出した。3人のうち2人は遊牧民で、それぞれ何らかの形で動物たちと接触していた。
検出されたウイルスに現在名称はないが、牛痘ウイルスや天然痘ウイルスを含むオルソポックスウイルス( orthopoxvirus )の系統に属している。
CDC の調査チームは、この新しいウイルスがヒトからヒトへ感染する可能性があるかどうかについてはまだわからないが、動物からヒトに感染すると報告書で述べている。
しかし、他に感染した人がいるのか、あるいはどのくらいの数の動物が感染しているのかについてはまったくわからないという。
2人の遊牧民は、病気の牛と接触した後、病気になった。その後、 CDC のチームが調査し、男性が未知のオルソポックスウイルスに感染していたことを確認した。
この新しいウイルスは、腕や手とリンパ節の腫れ、高熱、そして皮膚の弱い部分に痛みを伴う水ぶくれを発生させる。
CDC のチームは、他に、病気の牛と接触した人々や、また発症した遊牧民と接触していた 55人に聞き取り調査を行った。その中で、5人がオルソポックスウイルスに対しての抗体を持っていた(感染した経歴があるということ)。
天然痘にはワクチン(種痘)が有効だが、種痘は 1980年に廃止されているため、この新しい天然痘系のウイルスも、家畜やヒトに感染する可能性がある。
発症した遊牧民は現在、回復に向かいつつあるが、天然痘系のウイルスは、弱い免疫系を持つものに致命的である可能性がある。
天然痘は、これまでの歴史で他のすべての病気よりも多くの人間を殺してきた、おそらく人類史上最悪の疾患のひとつだ。
このグルジアの新しい天然痘系ウイルスは、種痘のおこなわれていない現在、人間に感染する可能性を持つ。それだけに CDC や公衆衛生機関は、この新しいウイルスの持つ潜在的な脅威について監視を続ける必要がある。
2014年04月19日
豚肉が買えなくなる日 : 豚流行性下痢(PED)のアメリカでの豚の死亡数が「数百万頭」に達するという報道
全米 30州に PED が拡大し、米国豚飼育農家の3割に当たる 5800戸で感染が発生
今月のはじめころの記事、
・豚の致死性疾病「豚流行性下痢」が世界中で急拡大。日本でも4万頭の豚が死亡
2014年04月04日
では、日本で、豚の致死性疾病である「豚流行性下痢」急拡大していて、4万頭の豚が死亡しているという報道や資料をご紹介しました。
農林水産省の資料「世界での豚流行性下痢(PED)の発生状況について」によりますと、日本の 2002年から 2014年 4月までの発生状況は下のようになっています。
日本の2002年から2014年の豚流行性下痢の発生状況の推移
2002年 0頭
2003年 0頭
2004年 0頭
2005年 0頭
2006年 3頭
2007年 0頭
2008年 0頭
2009年 0頭
2010年 0頭
2011年 0頭
2012年 0頭
2013年 8,971頭
2014年 176,701頭
2002年 0頭
2003年 0頭
2004年 0頭
2005年 0頭
2006年 3頭
2007年 0頭
2008年 0頭
2009年 0頭
2010年 0頭
2011年 0頭
2012年 0頭
2013年 8,971頭
2014年 176,701頭
まさに「唐突」という感じで流行しているわけですが、特に、今年 2014年は、1月から3月までで上の数となっています。
そして、今朝の時事通信で下のような報道がされていました。
豚の伝染病拡大 米30州で数百万頭死亡
時事通信 2014.04.19
「豚流行性下痢(PED)」と呼ばれる豚の伝染病が米国の30州に拡大していることが18日、関係団体のまとめで明らかになった。米農務省も危機感を募らせ、養豚農家に感染報告を義務付けるなど、封じ込め対策を強化すると同日発表した。
米国は日本にとって最大の豚肉輸入先。全米養豚獣医師協会によると、昨年4月に国内で初めてPEDがオハイオ州で確認されて以降、各地に急速に拡大。これまでに数百万頭が死亡したとされ、豚肉価格は1年間で4割上昇した。
トップにリンクした過去記事にも、アメリカでも急拡大しているグラフを載せておりまして、アメリカでも深刻な問題となっていることは、何となくですが、知っていた感じもあります。
アメリカの豚流行性下痢の 2013年 4月から 2014年 3月 26日までの発生件数
▲ 農林水産省「世界での豚流行性下痢(PED)の発生状況について」より。
この「急激な増加」は現在も続いているようで、アメリカの養豚などに関してのニュースサイトである Pig Site によりますと、2014年4月18日までの集計では下のようになっています。
2013年4月から2014年4月までのPEDの感染戸数
▲ 2014年4月18日の米国 The Pig Site PED Update in US: Outbreaks in 30 States (全米30州で豚流行性下痢が発生)より。
上のように 6,000戸近い飼育場で PED が発生しているようで、その結果として、数百万頭の豚が死亡しているということになるようです。
正確な数としては、4月18日の時点で、全米 5,790戸の豚飼育農家で PED が発生していて、これは、全米に 14,797戸ある豚飼育農家の 33パーセントにあたるのだそう。
感染発生州は下のようになっていまして、全米 30州で PED が発生しています。こままのペースで感染の拡大が続けば、養豚場のあるアメリカの州すべてで発生してもおかしくはないというような拡大ぶりを見せています。
2014年4月18日時点で PED の発生が確認された州
▲ 2014年4月18日の The Pig Site より。
確かに、この勢いで、日本でもアメリカでもこの病気が拡大し続けると、豚肉の価格上昇はもちろんでしょうけれど、輸入に大きく頼っている場合、供給そのものに支障が出るというような状況にならないとも限らないかもしれません。
なお、日本の輸入豚肉の約 40パーセントは米国からのものです。
2014年04月05日
アフリカのエボラ・ウイルスはギニアからの感染拡大ではなく「同時多発」で発生していた可能性
西アフリカと人的な行き来の多いフランスでもエボラ出血熱に対して警戒体制がとられる
▲ 2014年4月4日のアルジャジーラ Liberia finds Ebola case unrelated to Guinea より。
最近何度か取り上げている西アフリカを襲っているエボラ出血熱ですが、ギニアで発生した後、リベリアとシエラレオネで感染が確認され、その後、マリでも発生したことが確認されました。
▲ 2014年4月4日のロシア・トゥディ Deadly Ebola virus spreads beyond Guinea borders, suspected in Mali より。
2014年4月3日までのエボラ出血熱の感染状況
▲ 2014年4月1日の過去記事「前代未聞の流行」となりつつあるエボラ出血熱のウイルス感染はアフリカ3カ国に拡大。そして、さらに「他地域へ感染拡大」する可能性はあるのか?より。
ところが、トップに貼りましたように、リベリアでエボラ出血熱を発症した患者は、ギニアとの接点がまったくないことが確認され、このリベリアの最初の患者のエボラ・ウイルスは、ギニアから感染拡大したものではない「独立したウイルス」である可能性が高まっています。
そして、フランスにまでエボラ出血熱の影響が及び始めています。
冒頭に貼りましたアルジャジーラの記事には以下のように記されています。
フランスの保健当局は 4月 3日、今のところはフランス国内では症例は検出されていないものの、西アフリカでのエボラ・ウイルスの発生は、現地のフランス人たちに感染していた形跡がないかを報告するように警告を出し、また、現地に医師や病院を設置するとした。
フランスは、移民や、フランスの多国籍企業の従業員など、このアフリカの地域のいくつかの旧植民地と密接な関係を維持している。
ということで、やはり、何らかの状態で、「フランスにエボラ出血熱が拡大」するということになったりすると、有数の観光地であるフランスには、世界中から人が訪れますし、一大事になるということは言えそうです。
ギニアで突然発生したエボラ出血熱は今のところは、まだ収束の気配を見せていません。
タグ:エボラ出血熱
2014年04月04日
豚の致死性疾病「豚流行性下痢」が世界中で急拡大。日本でも4万頭の豚が死亡
アメリカの豚流行性下痢の 2013年 4月から 2014年 3月 26日までの発生件数
▲ 農林水産省「世界での豚流行性下痢の発生状況について」より。
最近、日本の報道で、「豚流行性下痢」という豚の病気で多数の豚が国内で死亡していることを知りました。
▲ 2014年4月2日の NHK 「豚流行性下痢」の被害拡大 対策の徹底を より。
以下のような報道です。
豚の間で広まる伝染病「豚流行性下痢」が全国的に広まり、4万頭近い豚が死ぬ被害が出ていることから、農林水産省は2日、都道府県の担当者を集めた会議を開き、対策の徹底を呼びかけました。
豚の間で広まる伝染病「豚流行性下痢」は、去年10月、国内では7年ぶりとなる発生が沖縄県で確認されたあと、これまでに17の県で18万頭余りが感染し、4万頭近くが死ぬ被害が出ています。
豚流行性下痢は、生後10日以内の豚がかかると死ぬことが多いということで、農林水産省は「感染が広まれば養豚農家の経営に深刻な影響が出るうえ、豚肉の価格上昇などにつながりかねない。感染が起きても拡大を防げるよう対策を徹底してほしい」と話しています。
これは国内の問題だと思っていましたら、トップに貼りましたアメリカのグラフでおわかりのように、世界各地で急拡大しているようなのです。
日本もこの数ヶ月間の異常なスピードの拡大は下の表でもわかります。
▲ 農林水産省の資料より。
2007年から 2012年まで発生件数がなかったものが、2013年には約 9000頭、そして、2014年は4月までの時点で、すでに 17万頭以上が感染しているということになってしまっているようです。
日本では、現時点で最も豚の死亡数が多いのは鹿児島で、2万5千頭の豚が死亡しているようです。全国の被害状況は下のようになっています。
▲ 2014年4月3日の東京新聞 豚の伝染病拡大 流行性下痢、17県で4万頭死ぬ より。
アメリカでは以下のようになっていて、アイオワ州やオクラホマ州などのアメリカ中部と、ノースカロライナ州などで高い発生率となっています。
▲ 農林水産省「米国における豚流行性下痢(PED)の発生状況」より。
なお、農林水産省によれば、
現在、米国で流行しているウイルスの由来については、遺伝的系統解析の結果、2010年以降中国で大規模に流行している新しいPEDウイルス株と高い遺伝的類似性を持つことから、中国を由来とする可能性が高いと考えられている。
と記されていて、アメリカでのウイルスは「中国からやってきた」という可能性が強いようです。
そういえば、昨年の記事で、
・上海市で飲料水として使われる川の上流で 1000頭以上の死んだブタが見つかる
2013年03月11日
というようなことがありましたが、その後、死亡した豚は1万頭を越える数となっていきました。中国では理由は明らかではないものの、昨年以来、ものすごい数の豚が死んでいます。
それにしても、「豚流行性下痢」という病気が、これだけ急速に拡大していくものだということになると、 NHK 報道の
「感染が広まれば養豚農家の経営に深刻な影響が出るうえ、豚肉の価格上昇などにつながりかねない」
ということも現実的な話に聞こえます。
タグ:豚流行性下痢
2014年04月01日
「前代未聞の流行」となりつつあるエボラ出血熱のウイルス感染はアフリカ3カ国に拡大。そして、さらに「他地域へ感染拡大」する可能性はあるのか?
▲ 2014年3月31日のアルジャジーラ Guinea Ebola outbreak unprecedented より。
エボラ出血熱とは
・致死率は最大で 89パーセント
・ワクチンは存在しない
・治療法は存在しない
ギニアで発生したエボラ出血熱に関しては、
・ギニアで発生した「死亡率 80パーセント」に迫るエボラ出血熱が周辺国にまで拡大
2014年03月23日
が最初の記事でした。
その後、ギニア政府は「拡大阻止に成功」という声明を発表しましたが、結果的には下の記事のように、むしろギニアの首都にまで感染が拡大するという事態になっています。
・ギニア政府が「エボラ出血熱の感染拡大の阻止」を発表した翌日、「ギニアの首都に感染が拡大」したことが判明
2014年03月28日
そして、最近の報道では最初に貼りましたように「前例のない流行」とか「前代未聞の流行」という表現が使われるようになっています。
さらに、もともと疑われていたギニアの周辺国のリベリアとシエラレオネへの感染拡大も「確認」されました。
▲ 2014年3月31日の米国 KMBZ より。
下の赤い丸で囲んだ3つの国へと感染が拡大しているということのようで、また、現在の状況としては、以下のようになっています。
ギニアと隣接するセネガルはギニアとの国境を閉鎖しましたので、マリなどの他の周辺国も同様の措置をとるのかもしれません。
患者と死亡者数は 3月31日時点で、
・疑いを含む患者 122人
・死亡者 80人
と相変わらず 70パーセントに近い高い致死率となっています。
フィリピンでも確認されたことのあるエボラ出血熱
このエボラ出血熱は、 エボラ出血熱 - Wikipedia によりますと、人間の感染ではないですが、
フィリピンでは2007年から2008年にかけて、マニラ北部の養豚場など数箇所でブタが相次いで死亡した。2008年10月にアメリカの研究機関が調べたところ、レストン株のエボラウイルスに感染していることが確認された。家畜へのエボラウイルス感染が確認されたのは世界で初めてである。
という記述があり、比較的、日本から近い場所でも過去に発生していたことを知ります。
感染は収まっていくのでしょうかね。
やや気になります。
2014年03月28日
ギニア政府が「エボラ出血熱の感染拡大の阻止」を発表した翌日、「ギニアの首都に感染が拡大」したことが判明
▲ 2014年3月27日の AFP の記事を引用した米国の Yahoo ! News Four Ebola cases confirmed in Guinea's capital より。写真はギニアの首都コナクリ。人口は推定で 150万人から 200万人とされています。
最近、
・ギニアで発生した「死亡率 80パーセント」に迫るエボラ出血熱が周辺国にまで拡大
2014年03月23日
・ギニアで発生したエボラ出血熱がリベリアに拡大し数十名が死亡。さらにリベリアから帰国した「カナダ人男性」がエボラ出血熱の疑いで重篤な状態
2014年03月26日
というアフリカのギニアで発生したエボラ出血熱の記事を書いていました。
このエボラ出血熱に関しては、 3月26日に、ギニア政府が「感染拡大の阻止に成功した」として、下のような発表をしたことが報じられていました。
▲ 2014年3月26日の TBS News より。
記事の内容は下のようなものでした。
ロイター通信によりますと、ギニアの衛生当局は26日、南東部で発生したエボラ出血熱のほかの地域への拡大を防ぐことができたと述べました。2月以降、エボラ出血熱が疑われる患者は、ギニア国内でこれまでに88人確認されていて、うち63人が死亡しています。
ギニア政府は感染防止のため、死者の葬儀を禁じたほか、ウイルスを媒介するコウモリをはじめ、大型のネズミなどの齧歯類の肉を食べることを禁止しました。
ところが、その翌日の 3月 27日、ギニアの首都であるコナクリで4名のエボラ出血熱の患者が確認されたのでした。
感染拡大に成功したというより、エボラウイルスが「首都に侵攻してきた」という事態に陥ったようです。
ギニアの首都コナクリという街の人口は、正確には把握されていないようですが、150万人から 200万人の人が住む大きな都市で、その地で患者が発生したということで、また別の警戒の段階に入ったということのようです。
トップの Yahoo! News には、現在の状況のわかりやすい図が載せられています。
▲ 2014年3月27日の Yahoo ! News より。
ちなみに、現在までに、確認されている分だけですが、ギニアとリベリアとシエラレオネの3つの国での発症者と死者数は、
発症者 95人
死亡者 69人
となっています。
これは計算すると、現時点での致死率が「 70パーセント以上」ということになり、そしていまだに治療・隔離されていることを考えると、致死率はさらに高くなると思われます。
初めてエボラウイルスが確認されたのは 38年前のコンゴ共和国だったそうですが、その時の致死率は「 90パーセント」でした。
しかも、38年後の今でも、ワクチンも薬による治療法も存在しないという、現代地球の中で最も脅威的な病気のひとつであるとはいえそうです。
このエボラ出血熱については、続報がありましたら、またお知らせしたいと思います。
2014年03月26日
ギニアで発生したエボラ出血熱がリベリアに拡大し数十名が死亡。さらにリベリアから帰国した「カナダ人男性」がエボラ出血熱の疑いで重篤な状態
▲ 2014年3月25日の AFP 報道を引用した Extinction Protocol Canada grapples with possible Ebola case – patient in isolation, seriously ill より。
先日の記事、
・ギニアで発生した「死亡率 80パーセント」に迫るエボラ出血熱が周辺国にまで拡大
2014年03月23日
では、現在の感染症の中で最も感染力と致死率の高い疾病である「エボラ出血熱」が、ギニアで発生し、それが隣国のシエオラレオネまで拡大しているということを記しました。
ところが、その後さらに拡大が続いていて、ギニアとシエラレオネに隣接したリベリアという国でエボラ出血熱の感染者が発生し、60名近くが死亡しているということが報じられました。
▲ 2014年3月25日の CNN Ebola outbreak kills dozens より。
リベリアの場所は下の位置です。
▲ アフリカ大陸基本情報-リベリアより。
このリベリアという国は、アフリカ大陸基本情報によりますと、
内政は乱れており、政治的に周辺諸国を巻き込んだ同国の内戦は250,000に上る人命を奪い、経済を破綻させ、余剰な武器の流入を招いた。未だ内戦の傷跡は深く、首都ですら電気・水道といったインフラが整っていない。
という国で、医療に関しても絶望的な状況が見込まれます。
現在、ユニセフや国境なき医師団などの緊急医療部隊が薬剤等を搬送しているということですが、
・有効な治療薬が存在しない
・効果のあるワクチンが存在しない
という病気ですので、多分は隔離と対症療法が中心となるのでしょう。
何より、実際には感染者の数も死亡者の数も「把握できていない」というのが現状のようで、今後、どのように拡大するのかも予測はできていません。
また、病院の状態も良いとは言えないようで、現地医療スタッフへの感染のおそれもあります。
▲ エボラウイルスの検査を行っているギニアの首都コナクリ( Conakry )の病院。患者の血液サンプルなどを試験していますが、この衣服では、このお医者さんたちも危険なのでは・・・と、ふと思ってしまいます。 2014年3月25日の CNN より。
カナダにもエボラ出血熱が上陸した懸念
そして、さらには、リベリアから帰国したカナダ人男性が、カナダで「エボラ出血熱の疑いのある病気を発症」しています。3月25日の Bloomberg Businessweek が AFP の報道として伝えています。
カナダ保健省のスポークスマンによれば、エボラウイルスが大陸を渡り、カナダに上陸した可能性を AFP に語ったということです。男性は現在、隔離されていますが、状態は深刻とのことです。
最近の混沌とした状況を様々に見ているだけに、カナダに拡大した可能性のあるエボラ出血熱の今後の動きが気になります。
2014年03月23日
ギニアで発生した「死亡率 80パーセント」に迫るエボラ出血熱が周辺国にまで拡大
▲ 2014年3月22日のボイスオブアメリカ Emergency Ebola Intervention Launched in Guinea より。
▲ ギニアとシエラレオネの場所。
現在の地球上のウイルス性疾病の中でも最強クラスの致死率を持ち、しかも、ワクチンも薬による治療法も確立していない病気に「エボラ出血熱」というものがあります。
現在、アフリカのギニアで、このエボラ出血熱が発生していて、3月 23日時点で、80名の患者のうち約 60人の方が亡くなっていて、「死亡率 80パーセント」という事態になっています。
現在の状況を AFP の記事から抜粋します。
ギニアの伝染病、エボラ出血熱と確認 死者 59人に
AFP 2014.03.23
西アフリカ・ギニア保健省は、同国南部で流行している非常に感染力の高い伝染病はエボラ出血熱だと確認されたと発表した。この病気によるこれまでの死者は、59人に上っている。
ギニア保健省によると、6週間前に初めて観察された下痢や嘔吐、出血などの症状を伴うこの病気の正体をギニア国内で特定することはできなかったが、サンプルを分析していた仏リヨンの研究者らがエボラ出血熱だと確認したという。
疾病予防を担当するサコバ・ケイタ医師は、「ギニア南部で2月9日から感染が拡大しているエボラ出血熱について、現地の医療サービスが発症を確認した80人のうち少なくとも59人が死亡した」と述べた。
世界保健機関(WHO)によると、現時点でエボラ出血熱の治療法やワクチンは存在せず、ウイルスの種類によるが患者の25〜90%が死亡するという。
エボラ出血熱は、患者の血液や排泄物、汗などに直接触れる他、性交渉や患者の遺体を無防備に扱ったりすることで感染する。
とのことです。
予防法も治療法や存在しないこの病気は、そもそも発生源(自然宿主)が何であるのかさえわかっていません。
国立感染症研究所のエボラ出血熱の説明には以下の記述があります。
エボラ出血熱の場合は患者の発生があるたびに周辺で生態調査が行われているにもかかわらず、自然宿主の特定には至ってはいない。
1995年のキクウイットでの発生の際に、ヒトでの発生が終焉した後、昆虫、ネズミ類、サル類等の血液、組織等、5万検体にわたり調査されたが、エボラウイルスのウイルスも遺伝子も抗体も見つかってはいない。
まあ・・・パンスペルミア説の視点から考えると、どこから来たかはわかるという部分もありそうですが。
それはともかくとして、ギニアのエボラ出血熱が隣国のシエオラレオネにまで拡大している可能性があることが報じられています。
▲ 2014年3月22日の ロイター Guinea hemorrhagic fever may have crossed into Sierra Leone より。
エボラ出血熱は時間と共に収束していくものではありますが、その感染力と致死率があまりにも高いために、どのようなことになっていくか世界中の保健機関が警戒と注視を続けているようです。