- 中国政府がインフルエンザの全国における発生状況の日々の報告を「停止」
- 南アのダチョウ牧場で H7N1 という新型の鳥インフルエンザが発生
- 「生まれる仔牛のほとんどが奇形」というシュマーレンベルグというウイルスによる先天異常の発生地域がヨーロッパで拡大している
- 南アフリカで「女子学生の4人に1人」が HIV 陽性であることが調査により判明
- パンデミックの新しい形?: 中国で「豚が鳥インフルエンザに感染」している
- メキシコで鳥インフルエンザの大発生により政府が非常事態宣言を発令
- メキシコで鳥インフルエンザ「 H7N3 」でニワトリ 100万羽が感染して 20万羽が死亡
- 昨年の数倍のコレラの患者が発生しているコンゴ民主共和国
- 米国政府が天然痘ワクチンの備蓄を強化
【ウイルスとパンデミック】 の記事一覧
2013年04月28日
中国政府がインフルエンザの全国における発生状況の日々の報告を「停止」
▲ 4月27日の NHK ニュース「H7N9型 中国の2市8省に広がる」より。
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中国の鳥インフルエンザについては、 In Deep で何度か記事にしています。
最近のものは、
・21世紀のパンデミック(3): 次にヒトのインフルエンザ感染が発生するとしたらそれはどこか?
2013年04月24日
・「インフルエンザウイルスはヒトからヒトへ感染していくものではなく、宇宙から個人に直接感染するものである」という説を今一度思い出し
2013年04月19日
などですが、個人的には「中国政府が公式の発表を停止したりし始めたあたりからが要注意」というような感じはしていました。
そして、どうやら、中国政府は4月24日にインフルエンザの全国における毎日の発生状況の報告を停止したようです。週1で報告を続けるとのことですが、それもいつまで続くかはわかりません。
中国の市や省などの単位からの発表は続いていますが、全体の様相はわかりにくくなっていくと思われます。
なお、これは、中国情報メディアのサーチナの記事の中にその記述があったので知った次第です。そのサーチナの記事を抜粋しておきます。
中国の鳥インフル、依然として感染拡大…福建・湖南・江西など
サーチナ 2013.04.28
湖南省衛生庁は27日、同省でH7N9型鳥インフルエンザの発症者が「初めて確認された」と発表した。それとは別に江西省で発生した患者1人が同省内で治療を受けている。江西省衛生庁も25日と26日に、H7N9型鳥インフルエンザの患者発生が確認されたと発表した。中国新聞社が報じた。
中国中央政府は24日をもって、それまで毎日行っていた同インフルエンザの全国における感染者など発生状況の報告を停止したが、それ以降も福建省、湖南省、江西省で患者が発生するなど、感染は徐々にではあるが広がっている。
中国中央政府・衛生と計画出産委員会は新たな感染者確認がなかった24日、「関連する規則にもとづく」として、それまで毎日夜行っていたH7N9型鳥インフルエンザの新たな感染者・死者数と、それまでの累計の感染者・死者数の発表を、「週1回にする」と表明した。
但しその後は再び、感染者や患者が毎日増える状態になった。24日以前に患者が発生していた江蘇省、浙江省でも患者が増えている。
各地行政の衛生部門は所管地域において感染者発生が確認されるたびに患者の居住地や性別、年齢、病状と治療状況を発表しているが、中央政府の発表がないため、全国における感染拡大のようすは分かりにくくなっている。
記事に、4月27日までの中国の省別の感染者数が出ていましたので、掲載しておきます。地図上でもその場所をマーキングしてみました。
27日までにH7N9型鳥インフルエンザへの感染が確認された場所
北京市…発症1人、死亡0人
上海市…発症33人、死亡12人
江蘇省…発症27人、死亡4人
浙江省…発症45人、死亡6人
安徽省…発症4人、死亡1人
山東省…発症1人、死亡0人
河南省…発症4人、死亡0人
江西省…発症2人、死亡0人
湖南省…発症1人、死亡0人
福建省…発症1人、死亡0人
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台湾…発症1人、死亡0人
相変わらず感染の拡大はゆったりしたペースで、あまり脅威感はないですが、今回の鳥インフルエンザは何しろ毒性がきわめて高い(致死率が高い)ものですので、感染のペースが上がってきますとちょっと厄介ですね。
私のインフルエンザの感染のについての見解は、上のほうにも挙げましたが「「インフルエンザウイルスはヒトからヒトへ感染していくものではなく、宇宙から個人に直接感染するものである」という説を今一度思い出し」という記事に正直に書いています。
2013年04月11日
南アのダチョウ牧場で H7N1 という新型の鳥インフルエンザが発生
▲ 中国での H7N9 鳥インフルエンザウイルスのヒトへのパンデミックに対応した訓練に参加する中国の医療関係者たち。英国のガーディアン紙より。
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In Deep では、最近、
・21世紀のパンデミック: ウイルスが人を選ぶのか? 人がウイルスを選ぶのか?
2013年04月08日
という記事を書いていて、シリーズというのは変な言い方ですが、もし仮に今後、世界的な鳥インフルエンザのヒトへの拡大や、あるいはパンデミックというようなことになるような気配のある報道があった時に上のシリーズを更新しようと思っています。
なお、上の記事で取り上げています、現在、中国でヒトへの感染が続いている鳥インフルエンザは「 H7N9 」という新型のものですが、今回、南アフリカのダチョウから検出された鳥インフルエンザは「 H7N1 」というタイプの新型ウイルスだそうです。
違いは私にはよくわかりませんが、「新型の鳥インフルエンザ」であることは事実のようで、そのこともあり、ご紹介しようと思います。
様々な新しいウイルスが世界中で芽生えてきています。
いっぽう、このブログでは断続的に「動物の大量死」についての報道をご紹介していました。
・中国で起きている本当のこと: 上海の豚の大量死に続き、今度は四川省で 1000羽以上のアヒルの死骸が発見される
2013年03月26日
・上海市で飲料水として使われる川の上流で 1000頭以上の死んだブタが見つかる
2013年03月11日
などです。
これらの大量死とインフルエンザのヒトへの感染拡大とは「関係がない」と今のところ WHO などは言っています。とはいえ、心情的には「そんなに早く関係ないと言い切れる根拠は何か」と、聞きたい気もいたします。
そんなわけで、南アで発生した新型の鳥インフルエンザのニュースをご紹介いたします。記事を読むとダチョウ肉の輸出は南アの農産業の中の大きなひとつのようです。
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2013年03月28日
「生まれる仔牛のほとんどが奇形」というシュマーレンベルグというウイルスによる先天異常の発生地域がヨーロッパで拡大している
▲ 今回ご紹介する英国の農業専門紙の記事。「地獄 / hell 」という文字が目を引きます。
英国コーンウォールの農場では生まれたうちの 93パーセントの牛が死亡
最近は、中国の豚の大量死や、あひるの大量死など家禽類の大量死の報道記事が世界で多いですが、欧州各地でも大変な事態が進行しています。
生まれる子牛や子羊が次々と死亡して生まれてくるのです。
しかも、そのほとんどがかなり大きなの奇形を持っているようです。
これは、昨年から突然のように出現して急速に拡大している「シュマーレンベルグ・ウイルス ( Schmallenberg Virus)/ SBV」というウイルスの可能性が高いのですが、そのシュマーレンベルグ・ウイルスとはProMED-mailでは、
スウェーデン国内で初めてのシュマーレンベルグウイルス [SBV] 感染が、子牛2頭で確認され、昨年(2012年)のうちに急速に全国に感染拡大した。
英国ウェールズでは、仔羊の先天異常の原因となるウイルスの報告が続いている。このシュマーレンベルグウイルスは18か月前にドイツで初めて確認されたが、ウェールズ南部低地地域の農家は、今やウイルス感染が明らかに同地域にも広がっている、と話している。
とのことで、昨年から突然拡大しはじめたもののようです。
しかし、いずれにしても、これまで多くの家禽類が死亡がするという出来事は毎年のようにありましたが、「90パーセント以上の仔牛に極端な奇形を伴う」という部分にショックを感じざるを得ません。
ここでは仔牛ですけれど、人間でいえば赤ちゃんですよ…。
なお、今回の翻訳する記事はショッキングな写真が含まれますので、お気をつけください。
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2013年03月15日
南アフリカで「女子学生の4人に1人」が HIV 陽性であることが調査により判明
▲ 南アフリカの女子学生たち。
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南アフリカの保健省が、南アフリカの女子学生の「28パーセント」が HIV 陽性だという驚くべき統計結果を明らかにしました。タイトルでは「4人に1人」としていますが、28パーセントというと、むしろ3分の1に近いものすごい数字です。
この報道の悲劇というか、重大性は「女子学生」というところにあります。
調査した年齢区分の範囲は、はっきりとは書いていませんが、南アフリカの教育制度の区分も私たちとそれほど変わりません。なので日本でいう中学生から大学生くらいまでのことを言うのだと思いますが、この年齢の女性たちの多くは、
「これから母親になる」
という人たちであり、保健省の大臣が「私の魂は壊されてしまった」と言ったのも、あながち誇大な表現とも言えない面もありそうです。
記事にもありますが、南アフリカを含めて、アフリカ大陸の南部は HIV 感染者とエイズ患者の人口中の比率が世界最大です。
下の図は 2006年のものですが、世界保健機構 / WHO の統計によるアジアとアフリカ地域でのエイズの感染率の分布です。
アフリカ大陸南部では、多くの国で人口の 15パーセントから 35パーセントの間という非常に高い HIV 陽性のレートであることがわかります。
しかし今回、南アフリカでは、「これからのその国の未来と関係する若い女性たちの感染率の高さ」がというものがわかったわけで、確かに深刻だとは思います。
ちなみに、私たちの日本での状況については、リアルタイムの状況はよくわからないですが、2008年くらいまでは下のように一直線に増え続けていました。
まあ、増えているとはいっても、1億人以上の人口を持つ国として率を考えると、アフリカ諸国と比較になる数ではないです。今回の南アフリカの比率を日本の人口に適用すれば、3000万人以上の HIV / AIDS 潜在者がひとのつ国に存在するというような計算になります。
そう考えると、アフリカ諸国の懸念の大きさも理解できるような気がします。
それでは、ここから AFP の記事の翻訳です。
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2012年12月24日
パンデミックの新しい形?: 中国で「豚が鳥インフルエンザに感染」している
変化を続けているインフルエンザの遺伝子
少し前から気になっていた報道なのですが、中国で「鳥インフルエンザに感染した豚」という話に関してのニュースがありました。
どんなものかよくわからなかったのですが、今日になって、これは、専門誌「臨床微生物学ジャーナル」( Journal of Clinical Microbiology )の 2013年2月号に正式に発表されるものだということがわかりまして、その報道記事をご紹介しておきます。
こういう複合的な遺伝子問題が本格化した場合は、日本でも報道されることもあるかと思いますが、今の段階では、パンデミックなどに際しても、その「危険性」についてはよくわかっていないと思われます。
基本的に2009年の豚インフルエンザの「パンデミック」が大したことがなかったせいで、どうも最近の私たちは「インフルエンザのパンデミックをナメている」ような傾向にありますが、遺伝子が本格的に変わればそういうわけにもいかないようにも思います。
それでは、ここからです。
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2012年07月04日
メキシコで鳥インフルエンザの大発生により政府が非常事態宣言を発令
(訳者注) 前回の「メキシコで鳥インフルエンザ「 H7N3 」でニワトリ 100万羽が感染して 20万羽が死亡」の続報で、メキシコの H7N3 鳥インフルエンザは、その後、「さらに新しい発生」が加わったようで、数日前に政府による非常事態宣言が発令されていましたので、そのニュースをご紹介いたします。
今回のインフルエンザはA型の H7N3 というタイプのウイルスです。
口蹄疫などもそうですが、鳥インフルエンザの場合も、最終的には「大量の殺処分」で決着をしようとします。これに関しては以前から疑問を感じる部分もあったのですが、それは難しい問題ですので、とりあえず報道を翻訳してご紹介しておきます。
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2012年06月27日
メキシコで鳥インフルエンザ「 H7N3 」でニワトリ 100万羽が感染して 20万羽が死亡
(訳者注) インフルエンザとパンデミック関係の報道が今朝いくつかありました。
ひとつは、2009年に世界中で流行した「豚インフルエンザ」の件で、これはまだ記憶に新しいですが、この際の死亡者数が、 WHO の報告の 15倍以上にあたる 25万人以上だったことが発表されたことで、場合によっては、死者間数は 57万人にのぼる可能性があるということです。
これは日本語でも多くの記事になっています。
日本経済新聞の記事から抜粋しておきます。
09年新型インフル、死者28万人 WHO公表の15倍
日本経済新聞 2012.06.26
2009年に世界的大流行を引き起こした当時の新型インフルエンザによる死者数は世界で約28万人との推計結果を米疾病対策センター(CDC)などの国際チームが26日までに、英医学誌ランセットに発表した。
(この数は)世界保健機関(WHO)が公表した死者数1万8500人の約15倍。
日本経済新聞 2012.06.26
2009年に世界的大流行を引き起こした当時の新型インフルエンザによる死者数は世界で約28万人との推計結果を米疾病対策センター(CDC)などの国際チームが26日までに、英医学誌ランセットに発表した。
(この数は)世界保健機関(WHO)が公表した死者数1万8500人の約15倍。
そして、もうひとつは、メキシコで H7N3 という鶏インフルエンザが発生したというものです。
メキシコでは 20万羽以上のニワトリが集団で死亡しましたが、この H7N3 が人間にも危険なものなのかどうかは、よくわかりません。
A型インフルエンザ - Wikipedia にある「今までにパンデミックを起こし、多数の死者を出したA型インフルエンザウイルス」は以下のようになっています。
H1N1 - スペインかぜ、2009年新型インフルエンザ
H2N2 - アジアかぜ
H3N2 - 香港かぜ
H5N1 - パンデミックを起こす可能性がある。
H7N7 - 人畜共通感染
H1N2 - ヒトとブタに局地感染を起こす。
H9N2、H7N2、H7N3、H10N7、H5N2
H2N2 - アジアかぜ
H3N2 - 香港かぜ
H5N1 - パンデミックを起こす可能性がある。
H7N7 - 人畜共通感染
H1N2 - ヒトとブタに局地感染を起こす。
H9N2、H7N2、H7N3、H10N7、H5N2
と、下に H7N3 とあり、パンデミックの歴史はあるようです。
その H7N3 の発生についての記事をご紹介します。
米国ミネソタ大学の学術ヘルスセンターの CIDRAP の記事からです。
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2012年06月09日
昨年の数倍のコレラの患者が発生しているコンゴ民主共和国
(訳者注) コンゴ民主共和国といってもピンと来ない部分があるのですが、十数年前までは「ザイール」という国名でした。今でも私などはザイールのほうがわかりやすいです。
コンゴは他のアフリカ諸国もそうですが、植民地時代の後、何度も内戦や戦争を経験している国でもあります。
そのコンゴ民主共和国で昨年から流行しているコレラのパンデミックが悪化し続けているという国連からのニュースです。
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2010年05月25日
米国政府が天然痘ワクチンの備蓄を強化
最近、自然災害と共にずっと気になっていたのが、ウイルスや真菌などの病気に関する報道です。日本では最近では海外の病気に関しての報道は目にしませんが、実は今、世界中で「新たなウイルスの脅威」が芽生えていることを感じます。こちらの疾病と大量死カテゴリーを見ても、連日のように病気のニュースは拡大しています。もちろん、通年同じように発生する病気もたくさんありますし、そうでないものもあります。
「感染する人類の病気」として考えられるものの中で、もっとも恐ろしいもののひとつに「天然痘」があります。今回翻訳した記事によると、20世紀の100年間で、戦争で死んだ人は世界で約1億5000万人もいました。戦争の死の数も大変なものです。
しかし、天然痘は同じ100年で「5億人を殺した」ということです。
時代全体の人口を考えると、ものすごい数だと思います。
今朝、 USA トゥディをボーッと見ていましたら、「smallpox」という文字が。この「スモール・ポックス」という可愛い響きの単語が、100年間で5億人の人間を殺した天然痘の英語での名称です。
それによると、アメリカ政府が天然痘ワクチンの備蓄を強化し、アメリカのほぼ全人口分のワクチンの備蓄(3億人分)を完了したというニュースです。意味はともかく、この現実にはいろいろと考えさせられるものがあります。
また、この記事には天然痘の恐怖だけではなく、ワクチンの副作用の強さや、また、このワクチンが「サルでの臨床だけで人間に使用されようとしているのかもしれない」ことなど、最近の新型インフルエンザワクチンでの問題などを含めて、非常にいろいろな問題を含んでいるような感じがしたので、訳してみました。
私には今回、「良い」、「悪い」の判断ができない部分があります。
天然痘はワクチン以外では防げないし、しかし、そのワクチンの安全性にはあまりにも疑問符がつく。仮に天然痘がまた世の中に出てきた場合、どうすればいいのかなはわかりませんが、そのあたりを様々に考えていただければ幸いかとも思います。
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「感染する人類の病気」として考えられるものの中で、もっとも恐ろしいもののひとつに「天然痘」があります。今回翻訳した記事によると、20世紀の100年間で、戦争で死んだ人は世界で約1億5000万人もいました。戦争の死の数も大変なものです。
しかし、天然痘は同じ100年で「5億人を殺した」ということです。
時代全体の人口を考えると、ものすごい数だと思います。
今朝、 USA トゥディをボーッと見ていましたら、「smallpox」という文字が。この「スモール・ポックス」という可愛い響きの単語が、100年間で5億人の人間を殺した天然痘の英語での名称です。
それによると、アメリカ政府が天然痘ワクチンの備蓄を強化し、アメリカのほぼ全人口分のワクチンの備蓄(3億人分)を完了したというニュースです。意味はともかく、この現実にはいろいろと考えさせられるものがあります。
また、この記事には天然痘の恐怖だけではなく、ワクチンの副作用の強さや、また、このワクチンが「サルでの臨床だけで人間に使用されようとしているのかもしれない」ことなど、最近の新型インフルエンザワクチンでの問題などを含めて、非常にいろいろな問題を含んでいるような感じがしたので、訳してみました。
私には今回、「良い」、「悪い」の判断ができない部分があります。
天然痘はワクチン以外では防げないし、しかし、そのワクチンの安全性にはあまりにも疑問符がつく。仮に天然痘がまた世の中に出てきた場合、どうすればいいのかなはわかりませんが、そのあたりを様々に考えていただければ幸いかとも思います。
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タグ:天然痘