- ロシア南部でイナゴの大発生により非常事態宣言が発令:広大な農地に壊滅的な被害
- サハリン島の海岸に打ち上げられた「毛を持つ」謎の海洋生物
- アイスランドで全土で「羊」が原因不明の大量死。正確な数は現在なお不明
- カザフスタンのサイガ・アンテロープの大量死は「全生息数の半数」の12万7000頭に達して突然終息
- 台湾で撮影された謎の緑の生物はおそらくはヒモムシだけれど、その鮮やかさに見入りました
- 5メートルのリュウグウノツカイが打ち上げられたアメリカ西海岸で続く異変の先は?
- メキシコ・ティファナの海岸に「 250 万匹」の死んだロブスターが打ち上げられる
- カザフスタンで絶滅危惧種のサイガ・アンテロープが「たった数日間で8万頭以上の謎の大量死」
- アメリカで「犬インフルエンザ」の大流行の懸念:シカゴからアトランタへと感染拡大
- カリフォルニアの海岸に多数のクジラが死んで打ち上げられている
【動物たちの異変】 の記事一覧
2015年08月06日
ロシア南部でイナゴの大発生により非常事態宣言が発令:広大な農地に壊滅的な被害
イナゴに覆い尽くされたロシアのエセントゥキ
・sevkavportal.ru
7月の終わり頃、「今年は虫が少ないなあ」と書いていたような記事がありましたが、この「虫が何となく少なく感じられる」というのは継続中であります。もちろん「何となく」以上のデータがあるわけでもなし、そんなこともないのかもしれないですし。
そんなところに、ロシアで「虫の大発生」のニュースが大きく報じられています。
イナゴ(バッタ)です。
ロシアといっても、相当南部地域で、冒頭の写真の場所は下の位置にあります。
この周辺のかなり広大な範囲で、イナゴが大発生しているようです。
エセントゥキの場所
・Google Map
報道では、非常事態が宣言されたとあり、農業などを含めて、大きな被害が出ているようです。
・donbass.ua
それと、何だかこの地方はおかしななことになっているようで、イナゴと共に、「カゲロウの大発生」も起きているようです。
・ngzt.ru
イナゴの被害について CNN の記事をご紹介します。
Locust swarms plague southern Russia
CNN 2015.08.05
イナゴの大群がロシア南部を苦しめている
何百万匹というイナゴの大群がロシア南部の農地と作物を荒らし回っており、ロシア当局は、非常事態宣言を発令した。現在までに、少なくとも 80万ヘクタールの広大な領域のトウモロコシや田の作物が影響を受けており、全体の 10%は作物が全滅した。
イナゴの大きさは 8センチメートルから、大きなものでは 12センチほどのものもいる。
地元当局者の話によれば、ロシア南部のこの地域でこのようなイナゴの大発生は、少なくとも 30年間はなかったという。
地元でトウモロコシを栽培している農家のピョートルさんは「バッタは、トウモロコシの葉から軸からすべて食べてしまった。もう何もありません」と嘆く。
ロシア国営テレビは、この原因について、ロシア南部で平年に比べて高い気温が続いていることに加えて、最近、洪水が起きたこともバッタの大発生と関係しているのではないかと説明する。
ロシア農業省は非常事態を宣言したが、有効な対策を見いだしていない。イナゴの群れは、食べ物を求めてロシア南部を高速で移動していて、南部の他の地域にも被害が広がっていく可能性があるという。
しかし対策のない今は、このイナゴの大群の被害をただ見ているしかないのが現状だ。
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動物たちの異変
2015年07月04日
サハリン島の海岸に打ち上げられた「毛を持つ」謎の海洋生物
▲ 2015年06月30日のシベリアン・タイムズより。
極東サハリンの海岸に、「毛のある謎の海洋生物」が打ち上げられ、その正体に対して議論が起こっています
冒頭の写真のような生き物で、口と思われる部分が特徴的な形状をしています。多くの専門家たちは、「インドカワイルカ」(英語で、ガンジス川イルカ / Ganges River dolphin )だろうと述べたのですが、インドカワイルカには「毛がない」のに対して、打ち上げられたものは、多くの毛で覆われているのでした。
インドカワイルカ
打ち上げられた生物の毛の部分
さらに、打ち上げられたこの生物は、イルカにしてはあまりにも巨大だというところにも違和感があります。
それでも、専門家は何らかのイルカだろうと言っているということですが、このような口の形状を持ち、なおかつ毛のある海洋生物がどのくらいいるのでしょうかね。
ちなみに、打ち上げられた場所は、サハリンのシャフチョルスクという場所の海岸です。
ここからは、シベリアン・タイムズの記事です。
Remains of sea creature washed up in Far East
Siberian Times 2015.06.30
極東に海洋生物の残骸が打ち上げられる
ヒトの2倍の大きさで、尻尾に毛を持つこの生き物が何なのか、今のところ誰にもわかっていない
尻尾に毛を持つ謎の海洋生物の残骸が極東の海岸に漂着した。
場所はサハリン島のシャフチョルス空港近くの海岸だ。
見つかった動物は、これまでロシアでは見られたとのないものだ。
この生き物は巨大であり、人間の倍ほどの体長で、そして、くまちばしのような形の巨大なものを持っている。
この海洋生物が地元の人によって撮影され、オンラインで公開されて以来、ソーシャルメディア上では様々な意見が交錯している。
何人かは、その細く長いくちばしから、インドのインドカワイルカに属するものだと主張している。
しかし、インドイルカには尾の毛がない点と、打ち上げられた生物の体長が一般のイルカの倍ほどもあるということが謎となっている。
サハリン研究所の漁業海洋部門の副部長ニコライ・キム氏は「頭部の外観から判断して、明らかに大きなイルカです。皮膚の特徴から希少種だと思われます」と言った。
その一方で、
「これがイルカであろうことは間違いないことは自信を持って断言できますが、しかし、毛を持っているイルカは珍しく、その点は普通ではないですね。通常、イルカは一切の毛を持ちません」
とも述べている。
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動物たちの異変
2015年06月19日
アイスランドで全土で「羊」が原因不明の大量死。正確な数は現在なお不明
▲ 2015年6月10日のアイスランドの報道より。
最近は、カザフスタンで、サイガ・アンテロープが前代未聞の大量死を起こしたりしたことをご紹介したことがあります。
・カザフスタンのサイガ・アンテロープの大量死は「全生息数の半数」の12万7000頭に達して突然終息
2015年06月10日
・The Wild Life
大型の哺乳類がこの規模で大量死を起こすのは、過去に事例はあることはあるかもしれないですが、ごく普通のことではないことも事実なような気がします。
そんな今の時代ですが、アイスランドでは、羊が各地で大量死を起こしたことが報じられています。
アイスランドの地方メディア
・mbl.is
原因はわかっていませんが、メディアでは、推定レベルとして、
・感染症
・噴火による影響
などを考えているようです。
噴火というのは、昨年長く噴火していたバルダルブンガ山のホルフロイン( Holuhraun )という場所での噴火を指しているようですが、この噴火は、
・バルダルブンガの溶岩流の量がアイスランドの過去200年間の火山噴火で最大に
2015年01月13日
という記事などでご紹介しましたように、噴火の期間が長かったために、溶岩寮が史上最大レベル、正確には 1783年のラキ火山の大噴火以来の溶岩流のレベルに達したことが報じられていました。
その長く続いた噴火が、羊の生態系に影響したのではないかということですが、ただ、噴火自体は3月に終息していますので、影響が出る時期が少し遅いような気はします。
アイスランド羊農協会の会長は、感染症の可能性を示唆しています。
現地の記事をご紹介します。
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Massive Unexplained Sheep Death Across Iceland
Grapevine 2015.06.10
アイスランド全土で羊が原因不明の大量死
現在、アイスランドで何百頭、あるいはそれ以上にのぼる羊たちが大量死を起こしているが、原因は、今のところ誰にもわかっていないようだ。
メディア RUV は、特に大量死が著しい場所として、アイスランド西部の一部や北部の一部地域を挙げている。
大量死は、アイスランドの広範囲に渡って発生しており、また、農家が懸念しているのは、羊の死の進行する速度が急速なことだ。群の半数が死亡したケースもある。
アイスランド羊農協会の会長は、病気の可能性も考えられるかもしれないと記者団に語った。
国立獣医当局は、死亡した羊から血液サンプルを採取し、分析を進めている。
現在まで、アイスランド全体で死亡した羊の正確な数はわかっていないが、非常に多くの数の羊が失われていると考えられる。
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動物たちの異変
2015年06月10日
カザフスタンのサイガ・アンテロープの大量死は「全生息数の半数」の12万7000頭に達して突然終息
サイガ・アンテロープ
毎日2万7千頭ずつ死亡していく修羅場の中で
▲ 2015年06月05日の The Wild Life より。
先月、
・カザフスタンで絶滅危惧種のサイガ・アンテロープが「たった数日間で8万頭以上の謎の大量死」
2015年05月26日
でご紹介しました、カザフスタンでのサイガ・アンテロープの大量死は、12万7000頭が死亡した時点で、連続死が「突然」終息したと報道されています。
しかし、その間に「毎日 2万7000頭ずつ死んでいく」という壮絶な状況が展開していたようです。
下の写真は、カザフスタンの生物多様性保全協会の会長、ステフェ・ズツァー( Steffen Zuther )氏が撮影したもので、これは群のすべてが死亡した状況です。
・The Wild Life
記事には、「母親のお腹の上に横たわって子どもたちが死んでいる」とあります。
サイガ・アンテロープは絶滅危惧種ですが、全世界の生息数は 25万頭程度とされていて、今回の大量死の数 12万7000頭は、その半数が死亡したということになります。
大量死の原因ですが、冒頭のワイルド・ライフの記事によりますと、現時点では、科学者にも「謎」とされています。
最も可能性が高いのが、パスツレラ症といわれる感染症、あるいは、クロストリジウム属という細菌が原因ではないかとされていますが、あまりにも膨大で急速な大量死であり、そのあたりに関しては、現時点では「謎」となっています。
そして、さらに不思議だとして書かれていることは、それまで毎日のように2万頭以上が死亡し続けていたのに、「ある日、突然大量死が停止した」ことです。
感染症ならもう少し余韻のある終息の仕方をしそうですが、このあたりも謎といわれるところかもしれません。
最近は大量死が多いといえば多いですが、このサイガ・アンテロープの大量死は、その原因なども含めて、いろいろと考えさせられる出来事のひとつといえそうです。
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動物たちの異変
2015年06月07日
台湾で撮影された謎の緑の生物はおそらくはヒモムシだけれど、その鮮やかさに見入りました
▲ 2015年06月05日の UPI より。
台湾の海で釣りをしていた男性が、緑の不思議な生き物が動いているのを見つけて、動画を撮影したことがニュースになっています。
撮影したのは、台湾の簡偉丞(ウェイ・チェンジャン)さんという方で、撮影した「生き物」は何とも確かに不思議です。ウェイさんのフェイスブックにオリジナルの動画がありますが、ウェイさんは何だかヘンな BGM をつけてしまってますので、その BGM を変更したのが下のバージョンです。
こう、口のようなところから出る触手のようなものが「ピンク」なんですね。
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緑のボディから出るピンクの何かという構図は、なかなか「生きもの的ではない」ものを感じです。
UPI の報道では、おそらくは、ヒモムシ( Ribbon Worm / Nemertea )ではないかということなんですが、「ヒモムシ」というのは、Wikipedia によりますと、
ヒモムシ(紐虫)は、紐形動物門 Nemertea に属する動物の総称である。
ヒモムシは、その名の通り紐状の動物で、見かけの上ではその他に目立った特徴がない。動きの鈍い動物であり、底を這い回るものが多い。
ほとんどが底生生活で、一部に浮遊生活のものが知られる。
ということで、Nemertea という英名で検索しますと、大体、下のような感じの生き物の総称のようです。
調べてみますと、鳥羽水族館のブログに「ミドリヒモムシ」というものが紹介されていました。
・鳥羽水族館
やや色の鮮やかさが違いますけれど、大体はこのあたりの仲間なのですかね。
さらに、「子どもと100倍楽しむ自然の遊び場」というサイトに、ミドリヒモムシについて以下のように記されていました。
この緑の変なミミズのような生き物は、紐形動物の「ミドリヒモムシ」。本州中部以南に分布し、岩のすきまや割れ目などにひそむ。大きな個体では、体長80cm,幅1cmまでになる。全体に濃い緑色で模様がなく、頭部はへら状で黒い目がある。
岩の間や下を移動し、触ると粘液でべとべとする。それほど珍しい生き物ではないのだが、なんだか気持ちが悪い。ヒモムシは、ヒモガタ動物門という大きなグループの生き物で、ほとんどが海に生息し、吻(ふん)と呼ばれるくちばしのような器官をのばして獲物を捕まえる。
本州中部以南に生息しているのなら、台湾にもいるでしょうね。
ピンクのものは「吻」と呼ばれる器官のようです。
やはり、あまり生物のことを私などは知らないですねえ。緑の軟体動物というだけで、ものすごく不思議に思ってしまいしまたが、ほぼ上のミドリヒモムシというものなのだと思います。
しかし、Wikipedia にもありましたように、これらのヒモムシは基本的に、海底にいるものですが、動画を見たところ、港か防波堤のコンクリートのようなところを歩いているわけで、まあ、最近は、海のいろいろなことが多いですが、関係しますでしょうかね。
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動物たちの異変
2015年06月04日
5メートルのリュウグウノツカイが打ち上げられたアメリカ西海岸で続く異変の先は?
▲ 2015年06月03日の strangesounds.org より。
アメリカ西海岸にあるサンタ・カタリナ島の海岸に全長5メートル以上の巨大なリュウグウノツカイが打ち上げられたことが報じられていました。
サンタ・カタリナ島の位置
・Googla Map
さっそく、観光客たちが次々と記念撮影を始めております。
なぜか、リュウグウノツカイが打ち上げられると、みんな喜々として記念撮影をします。
他の死亡した海洋生物の前ではこういうことをしないですのにね。
それはともかく、このサンタ・カタリナ島では、2013年にも同じくらいの大きさのリュウグウノツカイが打ち上げられたことがあります。
2013年10月13日のサンタ・カタリナ島ビーチ
▲ 過去記事「カリフォルニアの海岸近くで体長 5.5メートルの巨大リュウグウノツカイが発見される」より。
リュウグウノツカイが打ち上げられますと、地震と結びつけられることも多いのですが、実際に現在、アメリカ西海岸では地震が急増しておりまして、そのこともあって、注目されているようです。
▲ 2015年06月01日の strangesounds.org より。
ただ、地震より、この西海岸では最近、海洋生物の大量死が相次いでいまして、
・アメリカ中央情報局(CIA)が「気候データの公開を停止」した地球では今日も粛々と「1種類ずつの大量死」が続いている
In Deep 2015年05月28日
に書きましたが、上のサンタ・カタリナ島周辺の地図に出ている場所だけでも、
・5月26日 メキシコ - ティファナの海岸に 250 万匹の死んだロブスターが打ち上げられる。
・過去記事「メキシコ・ティファナの海岸に 250 万匹の死んだロブスターが打ち上げられる」より
・12頭の死亡したクジラが、ポイントレイズ国立海岸(サンフランシスコ)に打ち上げられる。
・5月20日 メキシコ - バハ・カリフォルニアの海岸に大量のクラゲ(カツオノカンムリ)が打ち上げられる。
・Zonalider
など、アメリカ西海岸では、確かに「異変」といえることが続いています。
海で何かが起きているだろうとは思うのですけれど、それが何なのかは想像以上のものはありません。
その海の異変と今回のリュウグウノツカイの関係はわかりませんが、何となく、リュウグウノツカイの死んだ姿の形からは何となくいろいろと感じるものはあります。
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動物たちの異変
2015年05月29日
メキシコ・ティファナの海岸に「 250 万匹」の死んだロブスターが打ち上げられる
▲ 2015年05月26日のメキシコ debate.com.mx より。
先日、In Deep で、5月の大量死についての記事を書いたばかりですが、またも、尋常ではない大量死が起きています。
メキシコのアメリカとの国境沿いにあるティファナという街の海岸に「 250万匹のロブスターが打ち上げられる」という出来事があったことがメキシコで報じられています。
ティファナ(ティワナ)というのは下の位置にあり、アメリカとの国境ということで、麻薬関係の犯罪が多い場所です。
・Google Map
この街の海岸に、数百万のロブスターが打ち上げられたわけですが、その多くが子どものロブスターとのこと。
海岸を埋め尽くしたロブスターたち
・2.5 millions of baby lobsters strand on Tijuana beaches and baffle scientists
原因はわかっていませんが、このアメリカ西海岸からメキシコの西海岸には、4月、5月と、たびたび大量のクラゲ(カツオノカンムリ)が打ち上げられています。
2015年4月 米国カリフォルニア
・ナショナルジオグラフィック ニュース
2015年5月 メキシコ・バハカリフォルニア
・Zonalider
何らかのことが太平洋の沿岸部で起きている可能性はあります。
メキシコの debate.com.mx の報道をご紹介します。
Millones de langostas cubren playa de Tijuana
debate.com.mx 2015.05.26
何百万匹の死んだロブスターがティファナの海岸を埋め尽くした
バハ・カリフォルニアのラ・ペルラからエル・ビジアにいたるまでの海岸を、打ち上げられた何百万匹のレッド・ロブスター、あるいは、子どものロブスターが埋め尽くした。
警察や消防士、ボランティアたちは、今朝から生きているロブスターを海に戻す作業を始めた。
環境プロジェクトの活動家によれば、その数は 250万匹に達している可能性があるという。ロブスターの大量座礁の原因については明確な説明はできないとしながらも、エルニーニョの影響があるのではないかという。
しかし、科学者たちは合理的な説明はつかないと語る。
現在、ティファナの海岸は大部分がロブスターの死骸で覆われているので、市民に対して、海岸に行かないように呼びかけている。
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動物たちの異変
2015年05月26日
カザフスタンで絶滅危惧種のサイガ・アンテロープが「たった数日間で8万頭以上の謎の大量死」
▲ 2015年05月22日のナショナル・ポストより。
カザフスタンで、サイガ・アンテロープという動物が、大型の動物としては考えられないペースで死亡し続けていることが報道されています。
サイガ・アンテロープは、ウシ科サイガ属の、下のように可愛い感じがする哺乳類です。
サイガ・アンテロープ
・tumblr
このサイガ・アンテロープが、「数日間で、85,000頭以上が死亡した」というのです。
これは、中央アジアのサイガ・アンテロープの生息数のほぼ3分の1にあたるのだとか。
カザフスタンの農業省の発表ですので、統計の誤差はあったとしても、公式の発表でもあります。
大量死の原因については、パスツレラ症という細菌の感染症によるものである可能性があるとのことですが、はっきりした原因は、まだわかっていないようです。
ナショナル・ポストの記事をご紹介します。
One-third of endangered saiga antelope mysteriously die off in a few days, up to 85,000 dead
National Post 2015.05.22
絶滅危惧種のサイガアンテロープの3分の1が謎の大量死。その数は、85,000頭に上る
カザフスタン当局は、中央アジアの絶滅危惧種サイガ・アンテロープの全個体数の3分の1が、数日間のあいだに大量死したことを発表した。
カザフスタン農業省は、死亡したサイガ・アンテロープの数は、 85,000頭以上に達している可能性があると述べている。
同省は、細菌感染によって引き起こされるパスツレラ症の流行により大量死が起きた可能性が高いとしている。
当局によれば、現在、国際獣医師の専門家チームが、大量死の原因の可能性を調査するために、カザフスタンに向かっているという。
サイガ・アンテロープの個体数は、密猟の結果、1990年代に急落した。2014年の最新のカザフスタン政府の調査では、サイガ・アンテロープの数は 257,000頭となっていた。
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動物たちの異変
2015年05月21日
アメリカで「犬インフルエンザ」の大流行の懸念:シカゴからアトランタへと感染拡大
▲ 2015年05月20日の 11 ALIVE より。
アメリカのこの春は、鳥インフルエンザが猛威を奮っていまして、過去記事、
・米国アイオワ州で1600万羽以上への鳥インフルエンザの感染拡大により非常事態宣言
2015年05月04日
などで取り上げたことがありますが、事態はさらに深刻化しているようで、5月18日までに、アイオワ州で「 2600万羽が感染」という状況となっています。
・USA Today
そんなアメリカですが、今度は「犬インフルエンザが蔓延の兆しを見せている」という報道がなされています。
犬インフルエンザというのは聞き慣れないものですが、
犬インフルエンザ - Wikipedia
犬インフルエンザは馬インフルエンザの原因となるH3N8亜型のようなA型インフルエンザウイルスのいくつかの亜型を原因とし、2004年に報告された。イヌはこのウイルスにこれまで曝露したことがないために自然免疫を持たない。
それゆえ、個体間に急激に伝播する。犬インフルエンザはいくつかの地域のイヌの集団にエンデミック(地方性流行)を引き起こす可能性がある。
というものだそうで、犬たちは自然免疫を持たない上に、ワクチンも存在しないので、1度流行が始まると、どんどん感染が広がっていくというもののようです。
上の Wikipedia にあります「エンデミック」という言葉は、「他の地域には感染が広がらない」という意味ですが、どうも、そうとも言えない面もあります。
というのも、犬インフルエンザは、今年4月にシカゴで報告されていて、今回は、そこから外の地域へと感染拡大している模様だからです。
米シカゴ周辺で犬インフル拡大、アジアから持ち込まれた型か
ロイター 2015.04.15
米イリノイ州クック郡は、シカゴ周辺で少なくとも1137件の犬インフルエンザの症状が確認され、うち6匹は死亡したと発表した。感染はさらに拡大している可能性がある。
コーネル大学の研究チームによると、この犬インフルエンザは2006年の確認以降、現在も中国南部や韓国南部で頻繁に症例が見られる型。北米では発症の前例はなく、今回の感染拡大のきっかけはアジアから持ち込まれたとみられている。
米国の他の地域でも感染があるかは不明。
これが、約1ヶ月前のニューなのですが、
「今回見つかったインフルエンザウイルスの株は、シカゴの株と同じ」
ということがわかったわけで、感染経路はわからないですが、アトランタにまで犬インフルエンザが「拡大した」ということになります。
シカゴとアトランタは、それほど近い場所にあるわけではありません。
シカゴとアトランタの位置関係
・写真と旅行
もしかすると、感染拡大したのではなく、同時多発的に発生しているという可能性もあるのかもしれません。
もっとも、犬インフルエンザは、感染率は高くても致死率は低いようで(シカゴの場合では、最終的に 1,700頭が感染し、そのうち死亡したのは 8頭)、それほど心配されるものではないかもしれませんが。
アトランタの 11 ALIVE の記事をご紹介します。
Vets confirm no vaccine for dog flu found in Atlanta
11 ALIVE 2015.05.20
アトランタで、ワクチンの存在しない犬インフルエンザが獣医たちによって確認される
ジョージア州立大学獣医診断研究所によると、アメリカ中西部で何頭かのペットを殺した犬インフルエンザと同種の株が、アトランタの犬から検出されている。
アテネ獣医診断研究所は、5月15日にジョージア州の最初の犬インフルエンザに対しての陽性を確認したと述べた。
感染した犬は咳をして、発熱、倦怠感、食欲不振などの症状があった。
関係者によると、影響を受けた犬は、アトランタの寄宿施設で他の犬と接触していたという。当局は、その寄宿施設はどこかを明らかにしていない。
しかし、ウイルスを回避するための最も一般的な手段である予防接種については、今回のケースの株に対するワクチンが存在しないために、予防接種による予防法は使えないことを当局は述べた。
NBCニュースによれば、H3N2として知られる伝染性のこの犬インフルエンザ株は、シカゴで少なくとも 1,700頭以上が感染し、8頭の犬が死亡した。
ペットの犬の監視すべき症状は、咳、鼻水、元気のなさ、などがある。
飼い犬が、デイケアや公園、あるいは犬小屋に一日中つながれている場合は、「高リスク」だといえると獣医たちは言う。
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動物たちの異変
2015年05月17日
カリフォルニアの海岸に多数のクジラが死んで打ち上げられている
▲ 2015年05月16日の The Guardian より。
カリフォルニアのビーチに、大型のクジラが次々と打ち上げられています。
4月から5頭のクジラが死亡した状態で打ち上げられているようです。
大型のクジラは、散発的には打ち上げられることはあっても、このように立て続けにカリフォルニアの海岸に打ち上げられるということはあまり例がないようで、原因解明の調査が始められているとのこと。
・NBC
▲ 2015年5月5日に打ち上げられたクジラ。CBSより。
アメリカ CBS ニュースの記事をご紹介します。
Fifth Dead Whale In 3 Weeks Washes Ashore NorCal Beach
CBS 2015.05.05
カリフォルニアの海岸に3週間で5頭のクジラが打ち上げられる
生物学者たちは、5月5日にカリフォルニアに打ち上げられた若いザトウクジラは、船との衝突で死亡したことを確定した。
海洋哺乳類センターのローラ・シェール氏は、この3週間で5頭のクジラが打ち上げられており、そのうちの4頭には、出血や骨折が見られた、と述べる。
5月4日には、体長 9.7メートルのクジラが、ビーチの南端に打ち上げられていることが、アメリカ沿岸警備隊によって発見された。
4月14日には、体長 14.6メートルのマッコウクジラが、ビーチの南端で死亡して打ち上げられているのが見つかっている。
数日後、海岸にシャチが打ち上げられているのも見つかった。
体長 7.6メートルのシャチだった。
4月24日には、12メートルのマッコウクジラの死体がサンタクルーズ郡ワデルビーチ海岸に打ち上げられた。このクジラは、数日前から死亡していたと見られる。
そして、同じ日には、パヤロ砂丘で体長 7メートルの子どものクジラが打ち上げられた。このクジラは、舌やアゴが欠落していた。このクジラは、シャチの攻撃によって死亡したのだろうと専門家たちは述べた。
海洋哺乳類センターは、過去 40年の間に、21頭のザトウクジラの座礁を報告しており、マッコウクジラに至っては、過去 40年間で、17頭のみとなっている。
マッコウクジラの打ち上げが最後に報告されたのは 2008年のことだ。
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動物たちの異変