- アメリカ北東部のナンタケット島で、あまりの低温のために「海の波が瞬間凍結」したような状態に
- 広範囲な流氷に包囲されたニューヨークの光景。気温も過去最低記録を大幅に更新
- イスラエルのエルサレムや中東諸国、そしてギリシャのアテネでも珍しい大雪
- アメリカの各地で 1800年代の低温記録が次々と更新される記録的な寒波が継続
- ワシントンD.C.のアメリカ政府機関が雪により閉鎖
- 北極からの大寒波の下のアメリカ : 全米で1億人以上が氷点下17度以下の気温を経験することに
- ニューヨークの非常事態宣言の予報は完全に外れたけれど、米国ボストンなどで100年前の記録と並ぶような歴史的大雪
- 氷点下40度の中での停電で、すべてが凍りついたシベリアの閉鎖都市で起きている非常事態
- シベリアで続く異常豪雪のため、アムールトラを含む90パーセント以上の極東ロシア固有の動物種が全滅の危機に直面している
- アブダビの雪 : 平地で雪の降ったことのないアラブ首長国連邦で雪とひょうと洪水
【ミニ氷河期の到来】 の記事一覧
2015年03月02日
アメリカ北東部のナンタケット島で、あまりの低温のために「海の波が瞬間凍結」したような状態に
▲ 2015年2月26日の CBS ニュースより。
記録的な寒波が続くアメリカ東部で、また「珍しい現象」が報道されています。
アメリカ北東部沿岸にあるナンタケット島という島で、上のように「ほぼ凍った状態の波の数々」が撮影されたのです。
ナンタケット島は下の位置にあり、有名なリゾート地だそう。
・ナンタケット島を10倍楽しく知る方法
この波は、半凍結した状態のようなのですが、常に流動している波が、どのように波の形のまま凍結してしまったのか、その過程はわからないですが、「波の形のまま凍る」ということが大変に珍しい現象であることが CBS ニュースに書かれています。
他のアングルなどは以下のような感じです。
・CBS NEWS
・JDN Photography
・JDN Photography
文字報道では「非常に珍しい」ということ以外は詳しく説明されていないですが、寒波が作り出した驚異の光景ということになりそうです。
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ミニ氷河期の到来
2015年02月27日
広範囲な流氷に包囲されたニューヨークの光景。気温も過去最低記録を大幅に更新
▲ 2015年2月25日の AP New York City Surrounded by Ice Floes より。
アメリカ東部の寒波については、
・アメリカの各地で 1800年代の低温記録が次々と更新される記録的な寒波が継続
2015年02月20日
などでもふれましたが、過去数十年の記録を破ったり、あるいはそれ以上の記録を更新するという、まさに記録破りの寒さとなっているのですが、現在、ニューヨーク市が「流氷」に囲まれていることが報じられています。
その流氷の面積、厚さ共に、アメリカの海岸で見られるものではない状態となっているようです。
・International Business Times
インターナショナル・ビジネス・タイムズによれば、ハドソン川の東側では、流氷の厚さが 45センチに達し、アメリカ沿岸警備隊の船も、通路を確保しながら運行しているそうです。
・International Business Times
また、マンハッタン、クイーンズ、ブルックリンの間を結ぶイーストリバー・フェリーサービス( East River ferry service )は、氷による損傷からエンジンを保護するために、2月24日に閉鎖されましたが、フェリー会社は、この冬が過去 28年の歴史で見てきた中での最悪の冬であることを特徴としていると述べています。
・International Business Times
・slive.com
ニューヨークは、気温も上がる気配を見せず、1950年に観測されたニューヨーク市での過去最低気温であるマイナス 13.9℃をさらに下回り、2月24日には、マイナス 15.6℃まで下がりました。
この状態がもう 10日間以上続いているのですから、当地の方も大変だと思います。
ちなみに、全然関係ないですが、日本というか、オホーツク海の今年の流氷は異常に少ないです。
少なくとも、過去 40年ほどの間で最も少なくなっています。
オホーツク流氷面積、平年の半分…暖風の影響で
読売新聞 20015.02.21
気象庁は19日、オホーツク海の海氷(流氷)の面積が15日時点で平年の半分の約50万平方キロ・メートルとなり、2月中旬としては、1971年に統計を取り始めて以来、最小になったと発表した。
世界全体は「一方向に進むわけではない」ということを何となく理解させてくれます。
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ミニ氷河期の到来
2015年02月23日
イスラエルのエルサレムや中東諸国、そしてギリシャのアテネでも珍しい大雪
2月20日のヨルダンの首都アンマン
▲ 大雪などは滅多に降らない場所での雪の中、楽しそうに雪遊びをするヨルダン人女性たち。2015年2月21日の Haaretz It didn't just snow in Israel より。
今シーズンは「中東」で雪、しかも大雪が降ることが多いですが、先週の金曜日には、イスラエルのエルサレムで大雪が降り、学校などが閉鎖されたり、公共交通網が麻痺したりしていたことが報道されていました。
2月20日のイスラエルのエルサレム
・Anadolu Agency
下はエルサレムにある嘆きの壁(西の壁)の様子ですが、聖典などを置くための台に積もった雪で、その降雪量がある程度わかる気がします。
嘆きの壁も雪で覆われて
・BBC
同じ日を中心として、中東の他の国々でも大雪が降り、レバノン、ヨルダン、そして、トルコなどでも大雪となったようです。
2月20日のレバノンのジュバ村(Jbaa village)
lebanon-0220.jpg
▲ 看板の人物は、レバノンのシーア派イスラム主義の政治組織ヒズボラの指導者ハサン・ナスララ師。Haaretz より。
また、ギリシャでもこの頃、雪が降る自体が珍しいアテネで大雪が降っています。
2月19日のギリシャ・アテネの様子
・gazzetta
今シーズンの冬は、世界全体で見ますと、暖かい場所と寒い場所の差が激しくなっている感じがしますが、中東からバルカン半島では、雪と寒波に偏った冬となっている感じで、少なくとも「平年とは違う冬」となっているようです。
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ミニ氷河期の到来
2015年02月20日
アメリカの各地で 1800年代の低温記録が次々と更新される記録的な寒波が継続
▲ 2015年2月18日のアメリカ CBS ニュースより。シカゴはこの日の朝、氷点下 22℃まで気温が下がりました。
先日、
・北極からの大寒波の下のアメリカ : 全米で1億人以上が氷点下17度以下の気温を経験することに
2015年02月17日
という記事で、アメリカに極渦と呼ばれる北極からの巨大な寒気団がやってきていて、今週、記録的な寒波に見舞われる予測が出ていることを記しましたが、事前の予測をも上回る大変な寒波となっているようです。
下の図は、2月20日の気温の予測で、日本語は摂氏にしたものです。
・Accuweather
シカゴ 最低気温マイナス22℃ 最高気温マイナス23℃
ニューヨーク 最低気温マイナス16℃ 最高気温マイナス14℃
アトランタ 最低気温マイナス9℃ 最高気温マイナス8℃
など、比較的温暖なイメージのあるアトランタも終日が氷点下など、大変な低温なのですが、特徴的なのは、
「最低気温と最高気温の差があまりない」
ということです。
1日中、最低気温のままで、日中もほとんど気温が上がらない状況が伺えます。
凍結が広がるミシガン湖
・Telegraph
アメリカの気象予報サイトの「アキュウェザー」によりますと、大西洋側の中部では、1800年代後半に記録された低い気温を更新する観測地点も出ているようで、まさに、歴史的な低温を経験しているといえそうです。
地域によっては、すでに「外出そのものが危険」なレベルの気温になっているために注意喚起がなされているようです。
このアメリカの前代未聞の寒波は、多少は緩和されるにしても、あと数日は通常よりかなり低い気温のままだと予測されています。
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ミニ氷河期の到来
2015年02月18日
ワシントンD.C.のアメリカ政府機関が雪により閉鎖
▲ 2015年2月17日のウォール・ストリート・ジャーナルより。
先日の、
・北極からの大寒波の下のアメリカ : 全米で1億人以上が氷点下17度以下の気温を経験することに
2015年02月17日
という記事で書きましたように、現在、アメリカの東部には、とてつもない寒波が襲来しています。
通常に比べての気温の差は以下のようになっていて(華氏)、通常ではない寒さが続いています。
2月17日から 2月23日までの平年との気温差の予測
・Weather Underground
その中で、アメリカの政府機関のあるワシントンD.C. も大雪に見舞われ、昨日、「政府機関の閉鎖」という事態となりました。そして、予測によると、この厳しい寒さと大雪は続きそうで、政府機関の閉鎖が長引く可能性もあり、何らかの混乱も予測されます。
現在の状況について、ウォールストリート・ジャーナルからご紹介します。
Federal Government Shuts Down Again – for a Few Inches of Snow
WSJ 2015.02.17
連邦政府が再び閉鎖 - 十数センチの雪のため
十数センチの積雪でワシントンD.C.の連邦政府がシャットダウンに陥った。
ワシントンD.C.のワイヤー・キャピトル・ヒルでは、少なくとも 10センチの積雪があり、南部では 20センチに達する中、2月17日、連邦政府機関が閉鎖された。
必要以外のすべての連邦政府職員は休日となり、連絡事務等がある職員については、電話か台宅勤務となった。
アメリカ議会は開会からすでに1週間が経過している。バイデン副大統領はスケジュールされているうち、暴力的な過激主義に関しての座談会はおこなったが、他のスケジュールはキャンセルされた。
▲ ワイヤー・キャピトル・ヒルの積雪。4インチ(10センチ)を越えている。
ワシントンD.C.でのこの雪は、今週だけでは収まらないかもしれない。国立観測所は、2月18日にワシントンD.C.に雪が降る確率は 50%と予測し、また、2月19日には、気温は0度(摂氏-17.7℃)近くまで下がる可能性があるとしている。
ワシントンD.C.の雪による影響は政府機関の閉鎖だけに止まらず、毎年恒例のイベントなども中止に追い込まれている。
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ミニ氷河期の到来
2015年02月17日
北極からの大寒波の下のアメリカ : 全米で1億人以上が氷点下17度以下の気温を経験することに
2015年2月15日のボストン
▲ ここ数日のボストンの気温は最低も最高もマイナス 20℃台。Mashable より。
今シーズンの冬は、「北極からの爆風」が、極渦(きょくか)と呼ばれる北極の気流を北米にもたらすことが何度も起きています。
最近では、2014年11月と2015年1月にも同じことがありました。
・アメリカに北極からの超寒波が到達し、「全米の全50州が氷点下」に陥る。寒波による死者も17名に
2014年11月19日
2015年1月には、アメリカだけで 5000万人が寒波と大雪の影響を受けました。
・北極からの旋風「極渦」が氷点下50℃超えとなる前代未聞の寒波をアメリカにもたらす見込み
2015年01月06日
この北極からの爆風は、下のような形で寒波をもたらしますが、それがまたアメリカに到来していて、この1週間ほどの間、前回よりもさらに激しい寒波をもたらす予測が出されています。
・AccuWeather
今回は、特にアメリカの北東部、つまり地図でいうと「アメリカの右上」のあたりが、とんでもない寒波に見舞われています。
2月15日のボストン市内
・AP
下は、2月17日から 2月23日までの、「平年との気温差」の予測です。
・Weather Underground
ボストンやニューヨークなどのある東部を含めて、アメリカの大半が大変な寒波で、華氏表示で平年より 20度も低い場所もあるなど、想像を絶する寒波に見舞われています。
その一方では、史上最悪の干ばつに見舞われているカリフォルニアなどの西部は、「平年よりもかなり気温が高い」という、何とも皮肉なことにもなっています。
雪や寒波に見舞われている国は他にも多いですが、現在のアメリカは、世界で最も「様々な環境災害に見舞われている国」のひとつではあると思います。
気温の状況について、Mashable からご紹介します。
Arctic blast across U.S. will make the 'polar vortex' winter look tame
Mashable 2015.02.15
北極からの爆風がアメリカに極渦の寒波をもたらすだろう
フロリダ南部を除くアメリカの多くの地域が今週、冷蔵庫の中のような状態に陥る可能性がある。これは、北極からの極渦が北米大陸を包み込むためで、2014年1月に経験した時よりも厳しい寒さになると思われる。
今回の寒波は、アメリカ各地に過去数十年で最も厳しい寒さをもたらすことになるかもしれない。
たとえば、ニューヨーク市は 2月16日の朝に華氏0度(氷点下 17℃)になると予測されているが、ニューヨークで華氏0度以下の気温が記録されるのは 1994年1月27日以来だ。
ボストンでは、日中でも気温がマイナス 12℃を上回ることはないと見られ、ニューイングランドでは、積雪が 2メートル50センチを越える場所があると予測される。
2月16日から 2月21日の間で、アメリカ 48州の 35%で、華氏0度(氷点下 17℃)より低い気温が記録されると見られている。
全米の 1億300万人が、このとてつもない寒さを経験することになりそうだ。
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ミニ氷河期の到来
2015年01月29日
ニューヨークの非常事態宣言の予報は完全に外れたけれど、米国ボストンなどで100年前の記録と並ぶような歴史的大雪
2015年1月27日のマサチューセッツの様子
・NWS
外れたニューヨークの非常事態宣言
1月26日に、アメリカのニューヨーク州などが、「歴史的な吹雪に見舞われるおそれがある」と、ニューヨーク当局などが発表したのですね。
日本でも数多く報道されました。
▲ 2015年1月27日の TBS Newsi 米東部「史上最大の暴風雪」、NYなどに非常事態宣言より。
そして結果としては、この非常事態宣言の発令までに至ることになったこの天気予報は「外れた」のです。
そのことについて、アメリカでは、昨日あたりまで報道に取り上げられていました。
・gothamist
今回の予報の何が外れたかといいますと、暴風雪の発生の予報そのものが外れたわけではなく、「場所」が外れたのです。
ニューヨークでは積雪は想定を大きく下回りましたが、実際に非常事態宣言に相当する猛吹雪が襲ったのは、マサチューセッツ州、ロードアイランド州とコネチカット州などでした。
どのくらい、位置予報が外れたかといいますと、たとえば、警報が出ていた(そして、猛吹雪が来なかった)ニューヨークと、警報が出されていない中で猛吹雪に見舞われたマサチューセッツ州のボストンの位置関係は下のようになります。
こう見ると、大した違いはないように見えますが、ニューヨークとボストン間の距離は、目算でも 300キロメートルくらいありますので、現在の天気予報の精度から見ますと「大きく外れた」ということになるようです。
そんなわけで、ニューヨークでは、積雪はあったものの、被害については、ほとんど大丈夫だったようなのですが、ボストンを含む周辺地域が大変なことになっています。
アメリカ国立観測所によれば、サチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州では、1月27日に、最大で 87センチの積雪があった地域もあったそうで、これは、1905年に記録された 87.6センチメートルの積雪を上回り、観測史上最高の積雪量となったとのこと。
1月27日のボストン市内の様子
・NWS
ニューイングランド州ウェブスター
・Washington Post
まあ、それでも、ボストンの人々の中には、ここぞとばかりに雪を楽しむ人たちもたくさんいたようですが。
1月27日のボストン市内の様子
・NWS
そして、アメリカの天気予報によりますと、今週再び大寒波と猛吹雪がアメリカの北東部と中西部を襲うと見られていて、これは今週の日本列島の一部でもそうなる可能性もありますが、歴史的な大雪が続くようです。
アメリカで歴史的な大雪、あるいは激しい猛吹雪が続く理由は様々あると思いますが、そのひとつに過去記事の、
・海に何が起きているのか:世界の海水の表面温度が観測史上の130年間で最も高くなっているけれど、その理由がわからない
2014年11月26日
などで書いたことがある、「海水表面温度が平年に比べて非常に高い」ことも関係していると思われます。
上の図は昨年9月のものですが、日本の周辺の海(特に北海道の日本海側の海域)も最近、海水温度が平年と比べて高くなっていることが多く、今後の大雪の懸念が高まっていると思われます。
また、海水温度が高いと、降雨量(雪も同じ)が増えると共に、いわゆる「爆弾低気圧」が発生しやすくなるようで、海水温が高くて、気温が低くなりやすい今年の冬は、日本の一部地域を含めて、「荒れた冬」が、まだしばらく続く可能性もあります。
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ミニ氷河期の到来
2015年01月25日
氷点下40度の中での停電で、すべてが凍りついたシベリアの閉鎖都市で起きている非常事態
▲ シベリアのドゥディンカの住民によって Twitter に投稿された画像。
ロシアの閉鎖都市ドゥディンカで起きていること
シベリアのクラスノヤルスク地方に、ドゥディンカという町があります。ドゥディンカ - Wikipedia によりますと、人口 2万5000人ほどの小さな町なのですが、
2001年10月より閉鎖都市に指定され、外国人観光客の訪問が規制されており、ロシア人訪問者も訪問許可が必要となっている。
この「閉鎖都市」というのは、特に外国人は特別な許可がない限り立ち入ることのできない都市のことで、ロシアは、今でも閉鎖都市が多く存在しています。 現在でも 40から 50の閉鎖都市、あるいは、確認されていない都市があるとのこと。
閉鎖都市の多くが「核開発」に関わることが多いですので、このドゥディンカも、いろいろといわくある都市なのかもしれません。
それはともかく、そのドゥディンカで、「氷点下 40度の中で、停電が発生し、住民たちが暖房のない状態で過ごしている」ことが明らかになりました。
通常マイナス 4〜5度の気温の場所らしいのですが、1月中旬から、「マイナス 40度」という桁外れの寒気が流れ込み、非常事態が宣言され、しかも、電力線が崩壊して、停電となったのです。
普通でしたら、ロシアの非常事態省などが支援にあたり、すぐに報道されるような出来事ですが、このことが公になったのは、地元住民のツイッターでの投稿によるものでした。
冒頭のツイッターが、その住民による投稿ですが、それによると、当局から「今起きている出来事について、ソーシャルネットワークなどに書き込まないように」と通達があったようで、やはり、閉鎖都市で停電が起きたということが公になるのは問題があることのようです。
その後、下のようにロシアのメディアで報じられました。
▲ 2015年1月20日のロシア informing より。
ドゥディンカの場所は地図では下の位置になります。
現在復旧しているのかどうか、そのあたりの報道はないですが、氷点下 40度の街の壮絶な様子が写真から、うかがえます。
英字メディアの vocativ の報道をご紹介します。
Alleged Gag Order Placed On Iced-In Town With No Power
vocativ 2015.01.21
凍った町で暖房がない中、当局から発言の禁止を強要されているとの主張
シベリアにある町の住民たちは、致命的な寒波の中で停電に陥っていることについて、ロシア政府からの圧力により公にインターネット上に書き込むことができないと主張している。
シベリアにあるドゥディンカでは、強風により電力線システムが倒壊。それにより、町の共同給湯所などで深刻な電力不足が起きた。
ドゥディンカでは、先週より、予測されていなかった突然の大寒波に見舞われ、最低気温はマイナス 40度を下回っていたと予測される。1月14日に非常事態宣言が発令された。この地域で、マイナス 5度程度の気温は珍しくないが、現在の気温は、人々に危険な状態に達している。
マイナス 40度で暖房がないという状態で、ドゥディンカの住民たちは、この出来事について、ソーシャル・ネットワークなどに書き込むことを避けるように当局から要請された。
当局は、多くの場所で電力の復旧が進んでいるというが、ツイッターに投稿した町の住民によれば、いまだに多くの世帯が電気と暖房のない状態で過ごしている状態だという。
ドゥディンカ当局は、現在、「許可されていない内容の投稿をおこなった」ということにより、ツイッター上に匿名で投稿したユーザーの身元情報を追跡しているようだ。
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ミニ氷河期の到来
2015年01月23日
シベリアで続く異常豪雪のため、アムールトラを含む90パーセント以上の極東ロシア固有の動物種が全滅の危機に直面している
▲ 2015年1月20日のシベリアン・タイムズより。
シベリアの極東地域で昨年 12月から降り続く、この地域としては異常な豪雪により、地域の動物たちが、場合によって全滅しかねない状態になっていることが報じられています。
場所については、今回ご紹介しますシベリアン・タイムズの記事に出てくる「ビキン川」の場所などから推測できます。
ロシアのビキン川の場所
・タイガフォーラム | ビキン川
この地図が載せられているページの説明によれば、ビキン川の上流域の森林には、
「野生動物はヘラジカやオオカミが生息」
していて、中流域の森林には、
「アカシカ、イノシシ、アムールトラ、オオヤマネコの他、ユーラシアカワウソやシマフクロウが生息」
とありますが、記事では、これらのうちの、ヘラジカやオオカミ、アカシカ、イノシシ、アムールトラなどのほとんどが死滅する可能性について記されています。
▲ アムールトラ。現在の生存数は 400頭程度で、絶滅危惧種に指定。Wikipedia より。
この地域のほとんどの動物の生存条件が、50〜70センチ以下の積雪なのに対して、現在すでに1メートルを越える積雪となっていて、冒頭の写真を見てもわかりますが、エサも見つからないし、仲間と共に行動することも容易ではないという過酷な状態となっているようです。
その報道をご紹介します。
なお、文中、「シベリアンアカシカ」と訳したものがありますが、英語の Siberian stag に対応する日本語がわからず、直訳にしているものですが、下のようなシカのことのようです。
・izhzoo
極東の冬は、まだ2ヶ月以上続くわけで、今後の成り行きが気になるところです。
では、ここから記事です。
Fears for unique wildlife as heavy snowfall reaches depths of one metre
Siberian Times 2015.01.20
豪雪により積雪量が1メートルに達し、シベリア固有の生物種たちに危機の懸念
極東ロシアにおいて、地域の生物種の 90パーセントが死亡した 1980年代の再来の危機を防ぐために、世界自然保護基金( WWF )ロシア支部は嘆願書を提出
シベリア地方での異常な豪雪が、稀少なアムールトラなどのシベリア固有の野生動物の多くを死亡させる可能性について、専門家たちが警鐘を鳴らしている。
ロシア極東地域の一部では、1メートル以上の雪が積もっており、動物たちが群れからはぐれたり、エサを見つけられないなどの厳しい状況となっている。
自然保護活動家たちは、種の 90パーセントが死滅した 1980年代の悪夢が再現される可能性があると指摘しており、また、すでに若い動物たちは次々と死亡しはじめているという。
モスクワにある WWF ロシア支部は、この異常豪雪による動物たちへの大災害を防止するための緊急措置を要求している。
WWF ロシアのコーディネーターであるパベル・フォメンコ( Pavel Fomenko )氏は、
「私は 1980年代の終わりの冬のことを今でもはっきりと憶えています。雪によって、すべての有蹄類の 80パーセントから 90パーセントが死亡したのです。私は調査チームの一員でした。それは恐ろしいことでした。アンバ谷とビキン川全体が巨大な墓地となったのです。ほぼすべてのイノシシやシベリアンアカシカ( Siberian stag )も死に絶えました」
と述べる。
「次に起きたことはさらに恐ろしいことでした。次の冬、生き残ったアムールトラたちが、村や小さな町を包囲し、犬や牛、そして、他の動物たちを襲い始めたのです。公式データではこの年に 30頭以上のアムールトラが射殺されたことを示しています」
そして、今シーズンの極東も、当時と同じか、さらにひどい状態となっている。
▲ ロシア極東の積雪が、地域の動物たちの生存条件を越えてきている。
この地域では、2014年 12月から雪が降り続き、現在1メートルを越える積雪となっている。
これは、動物たちには致命的な積雪で、シカにとって生きのびることができる最大積雪は約 30センチ程度、イノシシやシベリアンアカシカは、40から 50センチが限界だ。
ヘラジカでも耐えられる積雪は 70センチとなっていて、現在の積雪はどの動物種においても生きのびられるものではない。
そして、重要なことは、現在はまだ「冬の中間」であり、これから最低でも冬は2ヶ月間は続くということで、積雪はさらに増えるおそれがあるということだ。
シベリアン・タイガーとして知られるアムールトラは、極東地域に 400頭程度しか残っておらず、絶滅危惧種としてリストされている。
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ミニ氷河期の到来
2015年01月21日
アブダビの雪 : 平地で雪の降ったことのないアラブ首長国連邦で雪とひょうと洪水
▲ 2015年1月19日の Masala より。
最近は雪に関してのニュースが多く、先日は、サウジアラビアで、大雪が降ったことについて、
・ハッシュタグは「私は雪だるま」:サウジアラビアで宗教的な禁止勧告を出された「雪だるま作り」への反発とか…
2015年01月17日
などの記事で、ご紹介したことがありますが、ついに冒頭の報道のように、記録上では平地に雪が降ったことのないアラブ首長国連邦( UAE )でも雪と雹(ひょう)が降るということになっています。
このアブダビというのは、アラブ首長国連邦の中にありますが、アブダビだけではなく、このあたりの気候は、アブダビ - Wikipedia によりますと、
気候
砂漠気候で、1年を通じて晴天である。6月から9月は平均最高気温が35℃を上回る。この期間は砂嵐にも度々見舞われる。
というような場所で、また、旅行サイトのドリフトによれば、アブダビの気候は、
年間を通じて晴天が多く、雨がほとんどない。6月から9月は酷暑で湿度も1%近くになり、外に出ることはほぼ不可能。
という場所で、雪はおろか、雨そのものが降ること自体珍しい場所なのですが、そのアブダビで雪が降り、そればかりか、洪水まで発生するような天候に見舞われています。
洪水に見舞われるアブダビ市内
▲ 2015年1月20日の Emirates247 より。
過去の記録では、2009年に、アラブ首長国連邦のアル・ジーズ山( Al Jees mountain )の山頂で降雪があったことがあるそうですが、アブダビのような平地での降雪は記録にないようです。
そして、ひょうが降ったこともないと思われます。
ひょうを持つ子どもたち
・Emirates247
暴風雪と共に落雷も多数発生
・Emirates247
この異常気象に対して、アラブ首長国連邦の緊急事態省が警報を発令しています。特に、まあ当たり前なのですが、UAE には雪や洪水の中で運転した経験のあるドライバーがほとんどいないので、交通の混乱に対して注意を促しています。
ところで、昨年 2014年は、全世界の北半球の積雪面積が観測史上最大でした。
▲ 2014年12月6日の In Deep 「北半球の雪で覆われた面積が観測史上最高を記録。なのに、気温と海水表面温度は観測史上で最も高いという異常な矛盾」より。
このアブダビの雪を見ていますと、今年もこの記録は更新されるかもしれません。
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ミニ氷河期の到来