- 「これは普通ではない」と気象学者:北極からの爆風によって歴史的な寒波の中のハロウィンとなったアメリカの各地
- トルコ、ギリシャなどで相次ぎ早い初雪が大雪となり各地で被害
- 中国北部で1日で気温が「 20 ℃下がる」という異常な気温変化と異例の大雪に見舞われる
- 欧州メディアに続いて米国メディアも「地球温暖化は存在しない」という論調に移行しつつある
- 極地の氷量の予想以上の増加にアメリカ国立雪氷データセンターが「地球は寒冷化に向かっていると認めざるを得ない」と談話
- 南極寒冷化の激化 : 南極の海氷面積が記録的なレベルに達し、過去最大面積を更新中
- 真夏のスコットランドに「氷河」が出現した
- 事前予測で「観測史上最も暑い8月になる」はずだったにも関わらず、観測史上「最も寒い」8月の祝日となったイギリス
- 世界で一番暑い場所「アメリカのデスバレー」が観測史上最も「低い最高気温」の記録を更新
- 雪の中のカンガルーたち:オーストラリアは「過去35年で最も寒い冬」の中
【ミニ氷河期の到来】 の記事一覧
2014年11月02日
「これは普通ではない」と気象学者:北極からの爆風によって歴史的な寒波の中のハロウィンとなったアメリカの各地
▲ 2014年11月1日の米国 NBC NEWS より。
アメリカの広範囲で大変な寒波が続いていて、今回は「ハロウィンの夜」もその寒波と暴風雪が直撃しました。
ところで、私は「ハロウィン」というのがいつなのか、あるいは「何なのか」も含めてよく知らなかったのですが、最近のニュースで、それが毎年 10月 31日におこなわれるものだと知りました。
そして、「何なのか」については、ハロウィン - Wikipediaによりますと、
ハロウィンとは、毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭りのこと。もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったが、現代では特にアメリカで民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。
とのことで、日本でも NHK の11月1日の報道「ハロウィーンで渋谷大混雑 機動隊出動」にある
東京の渋谷駅の周辺には、10月31日夜から、ハロウィーンにちなんで人気アニメのキャラクターなど思い思いの格好に仮装した人たちが大勢集まり、駅前の交差点では写真撮影する人が出るなどして信号が変わっても渡りきれない人が出るほど混雑しました。
というニュースなどを見ても、なるほど、
> 祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。
ということを実感します。
それはさておき、日本ではわりと平年並みの気温の地域が多かったハロウィンの日ですが、アメリカでは、地域により冒頭の大変な寒波に見舞われていました。
原因は「北極からの爆風」( arctic blast )です。
10月下旬には、やはりこの北極風によって、ロシアのモスクワなどで 30年ぶりの寒い気温を記録し続けていましたが、アメリカも同じ現象によって異常に低い10月下旬を迎えています。
下は、ハロウィンの日のシカゴの状況を報道したシカゴ・トリビューンの報道です。
・Chicago Tribune
11月に入る前からこの感じだと、北極風が北半球へ流れ込む状態が続く限りは、今後さらに北米大陸の多くの地域、そして、ヨーロッパ北部から中国、ロシアの一部等まで、かなりの広い範囲に渡って記録的な寒さが続く可能性があります。
日本などの東アジアまでは北極風の影響はないとは思うのですけれど、それもどうなるかはわからないですし、今年の冬は、それなりに寒い冬は覚悟したほうがいいのかもしれません。
あるいは「今年以降も」と言った方がいいのかもしれないです。
冒頭の NBC ニュースの翻訳しておきます。
Arctic Halloween Weather: Snow in Midwest, Record Lows for Eastern U.S.
NBC NEWS 2014.11.01
北極からもたらされたハロウィンの天候:アメリカ中西部では雪が降り、アメリカ東部では記録的な低温に
北極からの爆風が、アメリカの何百万人もの人々に凍えるようなハロウィンを経験させた。
中西部のミシシッピ・バレーから、五大湖周辺、そして、東海岸に至るまで、ハロウィンの「トリック・オア・トリート」(ハロウィンで使われる常套句)に参加した人々は、10月 31日の夜に非常に厳しい寒さと直面することになった。気温だけではなく、各地で冷たい強風も吹き荒れた。
ミシガン州北部とウィスコンシン州の一部では、20センチの降雪に見舞われ、シカゴのオヘア国際空港では、強風のために、10月 31日の夜の 700便以上のフライトの離着陸がキャンセルされた。
アメリカ国立気象局(NWS)によれば、週末にかけてのアメリカは、北は五大湖周辺から南はメキシコ湾沿岸までの広い範囲で平年の気温よりも 10度以上低くなると予測されるという。
ウェザー・チャンネルの気象学者マイケル・パルマー( Michael Palmer )氏は今回の天候について以下のように述べる。
「これは確かに普通ではないです。多くの地域で予測よりはるかに早い降雪が見込まれ、気温も間違いなく予想していたよりも大幅に低下します」
アメリカ中西部では毎時 80キロメートルの突風が吹き、ミシガン湖周辺では暴風雪が予測されている。中西部には凍結警報が出されている。
ミシシッピ州の北部、アラバマ州、ジョージア州北部、そしてノースカロライナ州では、11月 1日の最低気温が氷点下にまで落ち込むと見られる。また、マイアミを含むフロリダ州では、この時期としての過去最低気温を記録することが予測される。
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ミニ氷河期の到来
2014年10月28日
トルコ、ギリシャなどで相次ぎ早い初雪が大雪となり各地で被害
▲ 2014年10月26日のトルコのメディア Aktif Medya より。
確かに冬は近づいているのでしょうけれど、それにしても、早い大雪や凍結の報道を数多く目にします。
最近の記事でも、
・モスクワで10月に入ってから続く 30 年ぶりの異常な寒波
2014年10月25日
とか、
・中国北部で1日で気温が「 20 ℃下がる」という異常な気温変化と異例の大雪に見舞われる
2014年10月24日
などをご紹介しました。
あるいは、米国、スイス、ブルガリア、スウェーデン、オーストリア(報道)、カザフスタンなどでも大雪や寒波のニュースなどを見かけます。
そして今回はトルコや、普通ならまだ温暖なギリシャなどでも、非常に早い冬が訪れていることをご紹介しようと思います。
冒頭に貼りました記事は、トルコで予想外の大雪に見舞われる中、ドゥラクリ( Duraklı )という地域で放牧していた 330 頭の羊たちが雪と霧によって方角を失い、そのうちの 230 頭が、雪の積もった崖から転落して、数日間の捜索で、今まで 100 頭以上が死亡して見つかったというニュースです。
ドゥラクリとはトルコの下の地域のようです。
黒海に近く、大都市イスタンブールなどにも近い場所で、地理的には温暖な感じのする場所ですが、それだけに、「羊が方向を見失うほどの大雪」というものを想定していなかったことで起きた出来事のようです。
このあたりの放牧家たちにとって 100 頭以上の損失というのは極めて厳しいものであるとのことで、地区の当局も生存しているかもしれない羊の捜索に参加しているということでした。
そして、地理的にそのトルコとも近いギリシャやマケドニアも、こちらもどちらかというと温暖な場所ですが、非常に厳しい寒波に襲われています。
▲ 2014年10月24日のギリシャのメディア Imerisia より。
地図ではギリシャの上の方にあるマケドニアの西部では、10月 24日に、大雪、あるいは、場所によっては豪雨が降り続き、多少高度のある地域では 20 センチの積雪があったそう。
ギリシャも同じ 24 日に各地で初雪が降りました。
下はそれぞれ正確な場所は不明ですが、ギリシャのメディアに掲載されていたものです。
▲ 2014年10月24日のギリシャのメディア Kool News より。
▲ 2014年10月24日のギリシャのメディア Zougla より。
10月の初雪がギリシャでどの程度珍しいものかはわからないですが、現地の報道の数が大変に多いことからも、普通とは違う出来事だったと言えそうです。
今後もこのような早い冬の報道が続きそうな感じです。
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ミニ氷河期の到来
2014年10月24日
中国北部で1日で気温が「 20 ℃下がる」という異常な気温変化と異例の大雪に見舞われる
▲ 2014年10月21日の中国メディアJS China より。
そろそろ、世界各地から、寒波と初雪の知らせなどの報道が入っていて、中国、スイス(報道)、スウェーデン(報道)、オーストリア(報道)、カザフスタン(報道)などで、大雪による混乱が伝えられています。
▲ 2014年10月23日のオーストリア NEWS AT より。
その中でも、冒頭の中国北部のように、1〜2日での気温の変化としては、ちょっと考えられないような劇的な気温の低下による大雪の被害の報道が印象的でしたのでご紹介したいと思います。
日本は今のところ北海道など一部で多少の雪が降った程度ですが、最近の急激な気温の低下などを考えますと、雪や寒波も平年より早く訪れたり、あるいは、厳しい秋、冬となっていくような気もしないではありません。
なお、中国では別の問題が今年も発生しています。
スモッグ、つまり、 PM2.5 です。
すでに下のように中国のかなりの範囲で壊滅的な状況となっています。
大気汚染原因物質 PM2.5 の状況
・Yahoo!ヘルスケア 大気汚染原因物質 PM2.5 関連対策情報まとめ
何だか、昨年よりも中国の大気状況は悪化しているように見えます。
まあ、そのうち、偏西風でこれらの PM2.5 は日本にもやって来るのですけれど。
冬になり、中国の暖房使用が増えると、この状況はさらに悪化することと思います。
寒波は PM2.5 の状況を悪化させるということも言えそうで、そして、すでに中国の一部では非常に厳しい寒波に襲われています。
Significant temperature drop in northern areas in China
JS China 2014.10.21
中国の北方地域で劇的な気温低下
寒冷前線が、中国の北部地域に劇的な気温の低下をもたらしている。
中国北部の内モンゴル自治区、黒竜江省、吉林省の東北地方では、最大 20 ℃にも及ぶ気温の低下を記録した。
ハルビン市は最高温度がわずか 5 ℃までしか上がらなかった。そして、多くの都市で最低気温が氷点下を下回っている。黒龍江省のいくつかの地域では、すでに豪雪となっている。
しかし、この大雪は良いニュースである部分もある。
大雪によって、長く立ちこめていたスモッグが減少したのだ。
大雪前の前日と比較すると、大気汚染の数値はいくぶん低下した。
(訳者注)記事はここまでですが、この中に何ともいえないパラドックスを感じるのは、
「大雪が降ったために大気汚染が緩和された」
とあり、これは雪にスモッグが吸収されるためでしょうが、同時に、
「寒波や大雪になればなるほど暖房使用量が増えて大気汚染が深刻になる」
ということも事実で、何とも逆説的な相互作用だと言えます。
いずれにしても、中国だけではなく、今年も(ほぼ確実に)北半球の多くの地域が非常に厳しい寒さや大雪に見舞われる可能性が高そうです。
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ミニ氷河期の到来
2014年10月23日
欧州メディアに続いて米国メディアも「地球温暖化は存在しない」という論調に移行しつつある
▲ 2014年10月21日の Money News より。
先日の、
・極地の氷量の予想以上の増加にアメリカ国立雪氷データセンターが「地球は寒冷化に向かっていると認めざるを得ない」と談話
2014年10月18日
・Kronen Zeitung
などでも書きましたが、次第に「地球温暖化」というキーワードは、その発信元である科学者サイドからも否定的な発言を聞くことが多くなりましたが、地球温暖化説の「宣伝役」でもあったメジャーメディアも、最近では懐疑的な記事を出すことが目立っています。
ドイツやイギリスなどの欧州諸国のメジャーメディアでは、昨年あたりから強い懐疑の記事がよく書かれていました。下の記事は、2013年 9月 9日の In Deep の「ついに地球が本格的な「寒冷化時代」に突入した可能性」という記事で、デイリーメールの記事をご紹介した時のものです。
・Daily Mail
このデイリーメールの記事の出だしは、
英国 BBC は 2007年、「地球温暖化によって 2013年の夏には北極の氷は消えているだろう」という内容の記事を出したが、それから6年後の今、氷面積は増加している。
氷面積は減るどころか、氷床はヨーロッパの半分以上の大きさに達しており、昨年( 2012 年)の夏と比較して 60パーセントも増加していることになる。
というものでした。
このようなストレートに地球温暖化を否定する記事は、英国とドイツでは昔からよく目にしましたが、アメリカにおいては、少なくともメジャーと呼ばれるメディアで地球温暖化についての懐疑的記事は、個人的なコラムなどは別にして、あまり見られませんでした。
言うまでもないですが、日本も同様です。
今でも日本のニュースには「地球温暖化」という文字が頻繁に飛び交います。
しかし、ここに来て、アメリカのメディアでも地球温暖化説に対してのストレートな批判記事をよく目にするようになりました。
また、科学系メディアでも、たとえば、下のライブサイエンスのように、「どうも地球温暖化説では説明しにくい現象」を取り上げることも多くなりました。
▲ 2014年10月12日の米国ライブサイエンスより。
上の記事は、パキスタン・インド・中国の国境付近にあるカラコルム山脈の氷河が「拡大」していることの理由を探る記事です。カラコルムの周辺では異常な勢いで氷河の領域が拡大しているのだそう。
そして、科学とは全然関係のない「ビジネス系」のメディアも、地球温暖化を攻撃し始めています。
冒頭に貼ったのはマネー・ニュースという文字通りのメディアですが、フォーブスやウォールストリート・ジャーナルなどメジャーな金融系ビジネスメディアでも頻繁にこのことが取り上げられます。
今年 5月 26日のウォールストリート・ジャーナルの The Myth of the Climate Change '97%'(気候変動 “97%”の迷信)という記事には、
科学者の97%が、気候変動が人為的な原因で、かつ緊急の問題であると信じている、という主張はフィクションに過ぎない。
と書かれています。これはつまり、
「本当は科学者たち自身が人為的な地球温暖化など信じていないし、それが緊急の問題だとも考えていない」
ということです。
経済メディアがこのことについて語る理由は、冒頭のマネーニュースの記事の以下の部分にあるようです。
アメリカ政府が地球温暖化の危機と戦うために、毎年 220 億ドル(約 2兆 2千億円)を費やしていることを考えると、本当に地球が温暖化しているのかどうかということは重要な質問だ。 この 220 億ドルという額は、アメリカの国境防衛に費やされる金額の倍に当たる。
マネーニュースは下のような実際のデータなども示しつつ、「アメリカの予算」について言及します。下のグラフは 1988年から 2014年までの気温の変化をあらわした NASA のグラフです。
アメリカだけではないですが、財政的に厳しい中で地球温暖化に2兆円もの予算を費やしているけれど、それに意味があるのか? と。
最近のメディアの論調は、
「地球温暖化が人為的なものによって起こされているのか、それとも、地球の自然のサイクルによってのものなのか」
という意見のほうではなく、
「地球が温暖化しているという事実そのものに懐疑を持っている」
という方向に来ています。
簡単にいうと、「地球は寒冷化しているのではないか」ということです。
ただし、これについては(私自身は寒冷化に向かっていると思っていますけれど)「地球全体としての温暖化、あるいは寒冷化」というのは、単純なデータで示すことのできるものではないとも思っています。
そして、どちらの立場でも、都合のいいデータを使えばどうにでもなるからです。
同じ出所のデータを使ってでさえ、抽出する期間や場所によって、
・地球温暖化の証拠としてのデータベースを作成する
・地球寒冷化の証拠としてりデータベースを作成する
こともどちらも可能なはずです。
地球がどちらに向いているのかはともかくとして、現状では、上にご紹介しましたように、世論を含めて次第に「地球温暖化」という言葉に対しての懐疑や反対論が拡大しています。
そして、反対論はともかくとしても、このことについて今一度、誠実な科学者たちによって、真実が研究されることを期待しています。
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ミニ氷河期の到来
2014年10月18日
極地の氷量の予想以上の増加にアメリカ国立雪氷データセンターが「地球は寒冷化に向かっていると認めざるを得ない」と談話
▲ 2014年9月14日のオーストリアの Kronen Zeitung より。
先月の記事、
・南極寒冷化の激化 : 南極の海氷面積が記録的なレベルに達し、過去最大面積を更新中
2014年09月19日
の中で、今年に入ってから南極の海氷量が観測史上最大を更新していることを書きました。
これらの「極地の氷の異常な増加」の観測結果から、ドイツを代表する科学機関であるマックス・プランク研究所の学者たちや、あるいは、アメリカ国立雪氷データセンター( NSIDC )などが、相次いで、
「地球が寒冷化に向かっている可能性」
についての談話などを公式に発表し始めていることが、オーストリアのメディア「クローネン・ツァイトゥン」で報じられていました。
最近、英語のサイトで、その記事を解説している記事を見つけましたので、ご紹介したいと思います。
Austrian daily reports: "Huge ice growth surprises climate scientists" ... "Like one not seen in decades"!
sott.net 2014.10.15
オーストリアのメディア報道:「あまりにも規模の大きな氷の増加に気候学者たちは驚いている。このような光景は過去数十年で1度も見たことがない」
オーストリアのドイツ語メディア「クローネン・ツァイトゥン」が最近、以下のような報道をおこなった。
「極地の海氷が急激に成長している」
クローネン・ツァイトゥンの記事によれば、極地の海氷量が驚くべき巨大な増加を示していることに科学者たちは驚き、そして、このような思いを抱いている。
「地球温暖化は休息しているのだろうか?」
極地の氷量の最新の数値は、気候変動の予測者たちの語っていたこと、すなわち、「数年後には極地の氷はすべて溶けてなくなってしまう」というような説に対して明らかな疑問を提起させるほど、極地の氷は増加していることを示している。
クローネン・ツァイトゥンは以下のように書いている。
「ほぼすべての主流メディアは、この極地の氷の急激な増加については、報道でふれることはない。いくつかのメディアで、この状況を『思ったより地球温暖化が進んでいない良いニュース』というようなニュアンスで報道することはある」
そして、南極の海氷面積が、2007年から 1万 6,500平方キロメートルも増加していることを報告する。
また、クローネン・ツァイトゥンは、もうひとつの問題を指摘する。
それは、特に南極の氷の急激な増加が「ペンギンの生息に問題を生じさせる」という可能性についてだ。ペンギンは、捕食のために、広い水面積を必要とするため、あまりにも海氷面積が巨大になると、ペンギンの生息域に影響を与えるという。
記事ではコロラド州ボルダーにあるアメリカ国立雪氷データセンター( NSIDC )の科学者たちが、「地球温暖化ではなく、世界的な寒冷化が進んでいることを認めざるを得ない」と発言したことにも言及している。
クローネン・ツァイトゥンは、気候科学者たちの予測は現実とはまったく逆の方向に進んでいること、そして、一部の科学者たちの測定に間違いがあることを指摘し、地球温暖化の理論のモデルが崩壊したと主張する。
記事では、米国ウィスコンシン大学のアナスタシオス・ツォニス( Anastasios Tsonis )教授による「今何が起きているのか」についての説明を載せている。教授は、多くの要因が絡んでいるとして、「海流、風、降水量、そして何よりも海水の深相流構造と上層海流構造の要因」について述べている。
また、クローネン・ツァイトゥンは、最近の太陽活動の低下も関係している可能性があるとしている。
ドイツの科学機関マックス・プランク研究所の科学者たちは、「非常に寒い冬と涼しい夏が訪れる時代が再びやって来る可能性」について述べているという。
いずれにしても、極地の海氷が増加しているという事実がある。
私たちはこれを無視することはできないはずだ。
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ミニ氷河期の到来
2014年09月19日
南極寒冷化の激化 : 南極の海氷面積が記録的なレベルに達し、過去最大面積を更新中
▲ 2014年9月14日のオーストラリア ABC ニュースより。
今年5月の、
・南極の海氷が観測史上の過去最大量を日々更新。日に約7万平方キロのペースで氷面積が拡大中
2014年05月21日
という記事で、南極の海氷面積が観測史上の記録を更新して過去最大になったことを記したことがありました。
その後も、南極の海氷面積の拡大は続き、最近では下のグラフのように、急速にその海氷量が増加しているような状態となっています。
・sunshine hours
記録に関しては「独走状態」で、これまで同時期で最も海氷面積の多かった 2013年を大きく上回っています。
1981年から 2010年までの平均からは 137万 2,000平方キロメートルもその面積が上回っていて、これが「寒冷化」のせいなのどうかはともかく、南極の氷の面積が増えていることは事実のようです。
冒頭の ABC ニュース の記事をご紹介します。
Extent of Antarctic sea ice reaches record levels, scientists say
ABC News 2014.09.14
南極の海氷の広さが記録的な水準に達していると科学者たちは言う
科学者たちは、南極での海氷面積の観測が始まって以来、南極で海氷に覆われている面積が観測史上で最も高い水準にあると言う。
衛星画像は、南極大陸の周囲が 20,000,000(2000万)平方キロメートルの面積の海氷に覆われていることを明らかにした。
・衛星から撮影された南極大陸周辺の海氷の状況
「南極の気候と生態系の共同研究センター」( Antarctic Climate and Ecosystems Cooperative Research Centre / CRC )のジャン・リーサー氏は、この画像は 9月 12日に撮影されたものだと述べた。
「これは、かつて私たちが前に衛星から見たことがないほどの海氷の面積です。 30年前に始まった衛星からの海氷の観測ですが、こんな多かったことはこれまでありませんでした」とリーサー氏は語る。
そして、現在の海氷面責の広さは、
「大ざっぱにいえば、南極大陸の約2倍の大きさがあり、オーストラリアの約3倍の 大きさに相当します」
というほどのものだという。
しかし、CRC の 代表であるトニー・ウォービィ氏によると、この海氷の増加の原因は、「暖かい大気が風のパターンを変え、それにより南極の海氷が増えた」によるものだと語っている。
ウォービィ氏は、海氷の面積が拡がっていることが、南極全体の生態系に影響を与えるかどうかを注視しているという。
特に、海氷面積の変化は、多くの海洋生物の食糧となっているオキアミの生息にとって重要な要素となると氏は述べる。
また、増加した氷のために、今後数ヶ月、世界中の南極調査船が危険な条件と対峙する可能性がある。
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ミニ氷河期の到来
2014年08月28日
真夏のスコットランドに「氷河」が出現した
▲ 2014年8月23日のスコットランドの地元メディア Scotland Now より。
スコットランドで最も標高の高いベン・ネビス山という山で「氷河が発見された」ことが英国中心に大きく報道されていました。
冒頭の記事のタイトルには「高齢の冒険家」と日本語をつけたのですが、原題の pensioner は「年金受給者」という意味です。しかし、なんとなく「年金受給者が氷河を発見」という響きも妙な感じもいたしましたので、こちらにしました。
いずれにしても、「夏のスコットランドで氷河が発見される」ということ自体が結構な驚きのようで、たとえば下のサイトのように、驚くぺきこととして、いろいろなサイトで紹介されています。
・Watts Up With That
感じとしては、下のような場所が数多く形成されているらしく、ネーヴと呼ばれる「氷河の第1段階」の万年雪による場所が数多く形成されているのだそう。
・Pressand Journal
科学者たちによれば、「夏のスコットランドでは極めて異例」とのことです。
今回は、英国 BBC の記事をご紹介したいと思いますが、記事によれば、このベン・ネビス山に棲息している植物種も「北極・高山種」など、氷河期時代の遺物と考えられるものがこの3年ほどの間に増えているのだそうです。
Glacier-like hazards found on Ben Nevis
BBC 2014.08.21
ベン・ネビス山で発見された氷河と似た危険領域
北極や高山地域では普通の現象だが、夏の英国では「極めて異例」と科学者たちが説明した危険領域がベン・ネビス山で発見されている。
ベン・ネビス山を調査した登山者や科学者のチームは、北側に面した場所の多くの峡谷とのぼり斜面に雪原が残っている光景を見た。
これらの場所では、それら雪原は圧縮されて高密度の硬い氷で、ネーヴ( Neve / 氷河の上層にある粒状氷雪や万年雪のこと)と呼ばれる状態となっていた。
ネーヴは氷河の形成における第一段階だとチームは述べる。
チームはまた、何千トンもの雪のシートを発見し、それに加え、ベルクシュルント(氷河または雪渓と山腹との間にできた隙間などのこと)と呼ばれる亀裂やトンネルを発見した。
地質学者や植物学者、あるいは、スコットランドの自然遺産の探索チームたちは、ベン・ネビス山の野生生物や岩の形を記録し続けている。そして、この3年の間で、ユキノシタ科の稀少な植物種の新しい集団が数多く発見されている。
自然調査チームを率いる植物学者のイアン・ストラカン( Ian Strachan )博士は、「私たちが探している稀少な北極・高山種の植物の多くは最後の氷河期からの遺物なのです」と言う。
ベン・ネビス山とスコットランドの高地のいくつかの地点は、スコットランドで、唯一、半永久的に雪原が残るために、それらの種も生き残ることができると博士は言う。
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ミニ氷河期の到来
2014年08月26日
事前予測で「観測史上最も暑い8月になる」はずだったにも関わらず、観測史上「最も寒い」8月の祝日となったイギリス
何だか、日本列島も急速に涼しくなりまして、私は関東在住ですが、まだ8月でこんなに涼しい朝晩というのは、この数年くらいの記憶にないです。
さて、それはともかく、イギリスでは7月の時点で、英国気象庁から以下のような天候に関する予測が報じられていました。
7月31日に発表された「イギリスの8月の気温予測」の報道
・7月31日の Express
その「史上最も暑い夏」になるはずだった8月が過ぎようとしている現在の実情は・・・。
8月24日に発表された「イギリスの8月の祝日の気温予測」
・8月24日の Mirror
というように、これは8月全体の話ですが、少なくとも「史上最も暑い8月」という響きとは縁遠いものとなっているようです。
イギリスでは、祝日のことを、銀行も休みとなるため、「バンクホリデー」( Bank Holiday )と呼びますが、今年の8月のバンクホリデーは、8月 24日と 25日ということになるようで、上の記事によると、それらの今年の8月のバンクホリデーは、平年より「7度も低い」という非常に寒い祝日となったようです。
下がバンクホリデー前後の英国北部の 8月 25日の気温の予測です。
・Mirror
この気温は、「少し暖かい冬の日中」にも近いものがあります。英国南部はもう少し暖かいですが、それでも、最高気温は 17度程度と、この時期としては異例の低い気温のようです。
ちなみに、観測史上で最も最高気温の低かった8月のバンクホリデーは、2011年に記録された 18度だとか。
そして、イギリスでは、もうひとつ気になる報道がありました。
先日、
・アイスランドのバルガルブンガ火山周辺の群発地震活動は回数も規模もさらに増加。噴火の懸念が高まる
2014年08月23日
という記事を書きましたが、その直後に、「氷底噴火」という、氷河の下での噴火が始まりました。
アイスランド火山周辺の空域を閉鎖、氷底噴火が始まる
CNN 2014.08.24
アイスランド気象庁は23日、噴火の兆候を示している同国のバルダルブンガ火山について相当量の火山灰が噴き上げられる可能性があるとして同火山近くの空域を閉鎖した。
気象庁は先に、同火山で小規模な氷底噴火が始まったと発表。ただ、地上での火山活動に即座につながるものではないと分析していた。氷底噴火を受け、同国の警察当局は非常時に備える緊急態勢に入っていた。
まだ地表にまでは火山活動は及んでいませんが、仮に、大規模な地上の火山活動が始まったとしての話として、下のような報道がされています。
▲ 2014年8月24日の英国 Express より。
これは気流の方向にも左右されますが、アイスランドの噴火の火山灰(あるいは火山ガス)がイギリスの方に向かった場合、上空からの太陽光線が大きく遮られるために気温が非常に低くなる可能性を述べる専門家の言葉などを紹介した記事です。
イギリスでは、過去にもアイスランドの火山噴火によって、異常な低い気温を経験しているだけではなく、記事には、下のような例も載せられていました。
・1783年のアイスランドのラキ火山の噴火の後、アメリカ東部では過去最低の気温を記録したこと
・1815年のインドネシアのタンボラ山の噴火(過去2世紀に世界で記録されたもののうち最大規模)の後には世界的に異常に低い気温に見舞われ、各地で農作に壊滅的な被害が出たこと
・1883年のインドネシアのクラカタウ火山の噴火の後、「全世界」が数ヶ月にわたり平年より低い気温に襲われたこと
もっとも、現在噴火しているアイスランドのバルダルブンガ火山の噴火の威力は上に挙げた3つの火山噴火ほどのすさまじいものにはならないと思いますので、全世界への影響はそれほど考えなくてもいいとしても、地上での大規模な噴火活動が長くつづいた場合は、イギリスや、他のヨーロッパ各国は影響を受ける可能性は高いかもしれません。
そもそもが、太陽活動の面などからも「地球寒冷化」に入った可能性は常に言われ続けているわけで、これで世界中の火山活動がさらに活発になった場合、その影響は広範囲にわたる可能性もあります。
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ミニ氷河期の到来
2014年08月05日
世界で一番暑い場所「アメリカのデスバレー」が観測史上最も「低い最高気温」の記録を更新
▲ 2014年8月4日の米国ワシントン・ポストより。
涼しいデスバレーがうらやましい
下のは、私の住んでいる場所と比較的近いところの今日明日の気温です。
・Yahoo! 天気
そして、下は、後述しますが、世界で最も暑い場所のひとつであるデスバレーの今日と明日の気温です。
・msn天気予報
もう、日本の気温がおかしいのか、アメリカの気温がおかしいのかわからないですが、トップに貼りましたワシントン・ポストの記事の意味は、つまり「アメリカで一番暑い場所の気温が低い」ということを報じているものなのです。
冒頭の記事に出てくる地名のミズーラというところと、デスバレーの気温をそれぞれ摂氏で見てみますと下のようになります。
記事によりますと、この時期のデスバレーで、最高気温が 40度を下回ったのは 1945年以来のことで、しかも今回は、その時よりもはるかに低い気温を記録しています。
このデスバレーという場所は、JTB のサイトによれば、
世界で最も気温が高くなる場所のひとつであり、記録は摂氏57℃である。(世界記録はサハラ砂漠、リビアの58℃)
という場所であるわけなんですが、今現在は上の通りとなっています。
関東の夏より涼しい状態ともいえます。
ところで、このカリフォルニア州の「デスバレー国立公園( Death Valley National Park )」という場で最も有名なのは、「大きな岩が勝手に動く現象」でしょうかね。デスバレー国立公園 - Wikipedia によりますと、
夜間に石が長距離に渡って移動する「セーリング・ストーン」、「スライディング・ロック」または「ムービング・ロック」などと呼ばれる現象が知られている。
何かに引きずられたような直線的な跡を伴うが、人間を含む動物の足跡などは一切残されておらず、原因は諸説あるものの解明されていない。
これは下のような現象です。
・dogonews
これはひとつではなく、複数、動きます。
・dailymail
それにしても、デスバレーはカリフォルニア州ですけれど、実は今や、カリフォルニアの気候は何もかもムチャクチャなんです。ここ数日だけでも、山火事(14件同時)と豪雨による洪水と土砂崩れが同時に起きていたり、また、基本的にはカリフォルニアは干ばつに見舞われているのですが、そこに高温と低温が入れ替わりに訪れている。
それはともかくとして、私の住むあたりもせめてデスバレーくらいに涼しくなってくれると助かります。
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ミニ氷河期の到来
2014年08月04日
雪の中のカンガルーたち:オーストラリアは「過去35年で最も寒い冬」の中
▲ 8月1日に、オーストラリアのクイーンズランドの人が Facebook に投稿した写真。
日本は何だかものすごい暑いですが、今は南半球は冬ですので、雪が降ったり寒かったりすることは普通のことだと思っていたのですが、上の「雪の中のカンガルー」という光景は、少なくとも、このクイーンズランド州という場所においては、珍しいものらしいことが、投稿者や、そこについたコメントからわかります。
コメントのひとつはこのようなものでした。
これは本当に目を見開くよ。クイーンズランドで雪の中にカンガルーがいる光景を見るなんて想像したこともなかった。
そんなわけで、どうやら、オーストラリアも平年とは違った冬を迎えているようなのですが、オーストラリアの気象の報道を見てわかりました。
オーストニリアは「過去 35年で最も寒い8月」を迎えていたのでした。
▲ 8月1日のビクトリア州のバララット市の光景。
そんなわけで、オーストラリアのウェザーゾーンという気象ニュースをご紹介いたします。
Sub-zero South Australian mornings
weatherzone 2014.08.02
オーストラリア南部で氷点下の朝を迎える
オーストラリア南部の州では、過去 48時間に上空を通過した寒気のため、非常に寒い朝を迎えている。
最も広範囲に気温が下がっているのは、 ニュー・サウス・ウェールズ州のミッドノースや、フリンダース、ホーカーなどで、これらの地域では、8月の最低気温としては、過去 35年の記録を上回るマイナス 5度だった。
これは平年を 9度も下回る寒さだ。
クレアでも、気温がマイナス 2度まで下がり、平年を 7度下回った。これは、同市としては、1994年にマイナス 5度を記録して以来の低い気温となる。
動きの遅い高気圧により、この寒さは来週にかけて継続すると考えられる。
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ミニ氷河期の到来