【洪水と干魃】 の記事一覧
2009年08月05日
食糧クラッシュ Vol.2(海の惨状)
8月に入りましたが、日本国内の全般的な日照不足は相変わらずのようで、そんな中で台風が接近する時期となってしまいました。作物の生育状況も土壌そのものも不安定な状態で、仮にいくつかの台風が直撃すれば、その土地の農業はかなり厳しいことになると思われます。
ちなみに、前回記事もそうですが、タイトルに「食糧」と入れているのは、これらの問題が時期はともかく深刻な食糧問題を日本にもたらすと考えているからです。
これはインターネットで言われるような陰謀だとか何とかだとは全然関係ありません。
食べ物そのものが地球の環境的な要因で消えていくというわかりやすい話です。
今までの地球の歴史で何度かあった繰り返しに過ぎませんが、(少なくとも日本では)食糧が消えていく様子が、かなり現実的になってきたとワタシには感じます。
農業の問題の一方で、西では壊滅的な赤潮が発生していて、漁業の問題が起きています。
» 有明・八代海で広範囲に赤潮…養殖ブリ大量死(8/1 読売新聞)
これは、現地の漁業者が「こんなに大規模な赤潮は見たことがない」と絶句するほどのものだそうで、しかも、被害は拡大していっているようです。
このこと自体の直接的な影響というより、「かつてないような赤潮が発生して広がっていっている」ということはわりと深刻だと思います。海がいろいろな意味で変わってきていることを示しているのかもしれません。
また、赤潮だとか不漁というのとは違うニュースなのですが、こんな変なニュースがありました。
明石のタコ豊漁の謎
» 明石タコ豊漁、例年の2倍「海底タコだらけ」(8/1 読売新聞)
要するに、「タコがたくさんいる」ということなのですが、上のニュースでは、その原因を
> 暖冬で春先の水温が高かったためとみられ
とあるのですが、どうも合点がいかない部分があります。
以前、コメントでいただいて知ったのですが、今年の日本では、「太平洋側で海水温が高く、日本海側で海水温が低い」という現象が非常にハッキリしています。
気象庁の日本近海 日別海面水温で「平年差」で見てみると、8月3日ではこうなっています。
真ん中のグレーの部分が日本列島で、色がついているのが海。赤い部分が例年より海水温が高い海域で、青い部分が例年より海水温が低い海域です。
太平洋側では平年より高く、日本海側で平年より低いという差が見てとれます。
「日本近海 日別海面水温」で他の年などを見てみるとよくわかりますが、今年はこの点に関しては「異常」(通常とは異なる)といえます。
このこと自体が今後の風や気象に影響がありそうではあるのですが、今回はこのことはともかくとして、上の記事にあるように「春先の明石の水温は高かったのか」ということを見てみると、平年との差ではそうでもないことがわかってきます。
兵庫県明石の明石海峡は大体このあたりです。
明石のタコたちはここで育ちます。
以下が関西周辺の春頃の平年との海水温度差。
(それぞれ月の初めの日のものです)
明石海峡の場所はちょうどグリッドの縦横線がクロスしているちょっと下です。
2009年3月
2009年4月
2009年5月
これを見る限りでは、明石海峡近辺は春先、特に平年比で海水温が高くなってはいないと思われます。4月5月は平年よりむしろ海水温は低くなっています。
なので、タコが異常に増えている原因は海水温だけの原因ではないようです。
これはタコの生態とかも知らないと分からないことなのでしょうが・・・(知りたい)。
どちらかというと、昨年の香川県でのタコの大漁の時の県水産課の担当者の人の言葉、「豊漁の詳しい原因は不明」という方がしっくりとはきます。
あと、不漁のニュースは毎年何らかの形であるものなので、それが特に何か珍しいというわけではないですが、今年はこういうものが極端な不漁となっているようです。
» カツオ不漁に泣く 水揚げ、平年の半分以下(和歌山 - 5/8 AGARA 紀伊民報)
» イカナゴ不漁 水揚げ、前年同期の4%(香川 - 4/3 四国新聞)
» 相模湾シラス大不漁(神奈川 - 4/3 タウンニュース)
また、エチゼンクラゲも今年は大量発生が予測されているのだそう。
» 巨大クラゲが大量発生、日本襲来か?(7/30 ナショナルジオグラフィック)
今年は2005年に匹敵する大量のエチゼンクラゲが大襲来の恐れがあるのだそう。
> 1900年代初頭、巨大クラゲの襲来は約40年に1度という極めて珍しい現象だったが、近年は驚くべきペースで発生しており、2002年から2007年まで毎年のように桁外れの大群が日本に押し寄せている。
ということで、エチゼンクラゲも「変化していく海」のメンバーということなのかもしれないです。
とりあえず現時点では、九州の赤潮が日本の漁業の中では相当大きな問題となっているののは事実ですが、実はワタシ個人が予想している、もう少しダイナミックな海の変化は「海流の根本的な変化」ということであります。これが与える影響は海洋生物だけではなく、気候から作物分布まで、「収穫分布の世界的な配置転換」という劇的な変化を地球全体にもたらすと考えています。
少しずつ書いているのですが、何しろテーマが大きすぎて(原因が地球と宇宙全体、影響が地球全体と考えているので)そう簡単には書けなそうです。
いずれにしても、これから「海の変化」には注目し続けたいです。
小さな変化に見えても、ある時、それらがダイナミックな意味を持っていた、というようなことに気づかせてくれるような気がします。
ちなみに、前回記事もそうですが、タイトルに「食糧」と入れているのは、これらの問題が時期はともかく深刻な食糧問題を日本にもたらすと考えているからです。
これはインターネットで言われるような陰謀だとか何とかだとは全然関係ありません。
食べ物そのものが地球の環境的な要因で消えていくというわかりやすい話です。
今までの地球の歴史で何度かあった繰り返しに過ぎませんが、(少なくとも日本では)食糧が消えていく様子が、かなり現実的になってきたとワタシには感じます。
農業の問題の一方で、西では壊滅的な赤潮が発生していて、漁業の問題が起きています。
» 有明・八代海で広範囲に赤潮…養殖ブリ大量死(8/1 読売新聞)
これは、現地の漁業者が「こんなに大規模な赤潮は見たことがない」と絶句するほどのものだそうで、しかも、被害は拡大していっているようです。
このこと自体の直接的な影響というより、「かつてないような赤潮が発生して広がっていっている」ということはわりと深刻だと思います。海がいろいろな意味で変わってきていることを示しているのかもしれません。
また、赤潮だとか不漁というのとは違うニュースなのですが、こんな変なニュースがありました。
明石のタコ豊漁の謎
» 明石タコ豊漁、例年の2倍「海底タコだらけ」(8/1 読売新聞)
要するに、「タコがたくさんいる」ということなのですが、上のニュースでは、その原因を
> 暖冬で春先の水温が高かったためとみられ
とあるのですが、どうも合点がいかない部分があります。
以前、コメントでいただいて知ったのですが、今年の日本では、「太平洋側で海水温が高く、日本海側で海水温が低い」という現象が非常にハッキリしています。
気象庁の日本近海 日別海面水温で「平年差」で見てみると、8月3日ではこうなっています。
真ん中のグレーの部分が日本列島で、色がついているのが海。赤い部分が例年より海水温が高い海域で、青い部分が例年より海水温が低い海域です。
太平洋側では平年より高く、日本海側で平年より低いという差が見てとれます。
「日本近海 日別海面水温」で他の年などを見てみるとよくわかりますが、今年はこの点に関しては「異常」(通常とは異なる)といえます。
このこと自体が今後の風や気象に影響がありそうではあるのですが、今回はこのことはともかくとして、上の記事にあるように「春先の明石の水温は高かったのか」ということを見てみると、平年との差ではそうでもないことがわかってきます。
兵庫県明石の明石海峡は大体このあたりです。
明石のタコたちはここで育ちます。
以下が関西周辺の春頃の平年との海水温度差。
(それぞれ月の初めの日のものです)
明石海峡の場所はちょうどグリッドの縦横線がクロスしているちょっと下です。
2009年3月
2009年4月
2009年5月
これを見る限りでは、明石海峡近辺は春先、特に平年比で海水温が高くなってはいないと思われます。4月5月は平年よりむしろ海水温は低くなっています。
なので、タコが異常に増えている原因は海水温だけの原因ではないようです。
これはタコの生態とかも知らないと分からないことなのでしょうが・・・(知りたい)。
どちらかというと、昨年の香川県でのタコの大漁の時の県水産課の担当者の人の言葉、「豊漁の詳しい原因は不明」という方がしっくりとはきます。
あと、不漁のニュースは毎年何らかの形であるものなので、それが特に何か珍しいというわけではないですが、今年はこういうものが極端な不漁となっているようです。
» カツオ不漁に泣く 水揚げ、平年の半分以下(和歌山 - 5/8 AGARA 紀伊民報)
» イカナゴ不漁 水揚げ、前年同期の4%(香川 - 4/3 四国新聞)
» 相模湾シラス大不漁(神奈川 - 4/3 タウンニュース)
また、エチゼンクラゲも今年は大量発生が予測されているのだそう。
» 巨大クラゲが大量発生、日本襲来か?(7/30 ナショナルジオグラフィック)
今年は2005年に匹敵する大量のエチゼンクラゲが大襲来の恐れがあるのだそう。
> 1900年代初頭、巨大クラゲの襲来は約40年に1度という極めて珍しい現象だったが、近年は驚くべきペースで発生しており、2002年から2007年まで毎年のように桁外れの大群が日本に押し寄せている。
ということで、エチゼンクラゲも「変化していく海」のメンバーということなのかもしれないです。
とりあえず現時点では、九州の赤潮が日本の漁業の中では相当大きな問題となっているののは事実ですが、実はワタシ個人が予想している、もう少しダイナミックな海の変化は「海流の根本的な変化」ということであります。これが与える影響は海洋生物だけではなく、気候から作物分布まで、「収穫分布の世界的な配置転換」という劇的な変化を地球全体にもたらすと考えています。
少しずつ書いているのですが、何しろテーマが大きすぎて(原因が地球と宇宙全体、影響が地球全体と考えているので)そう簡単には書けなそうです。
いずれにしても、これから「海の変化」には注目し続けたいです。
小さな変化に見えても、ある時、それらがダイナミックな意味を持っていた、というようなことに気づかせてくれるような気がします。
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洪水と干魃
2009年08月01日
食糧クラッシュ Vol.1(国内農作)
7月は日本では異常気象が話題となりましたが、普通に考えれば、通年での豪雨や台風など自然の被害が大きくなるのはこれから秋までの数ヶ月ですので、自然の猛威が収まることはまだないのかもしれません。
また、日照不足と気温の不安定からくる農作物の不作予想はかなりのもので、ニュースなどでは「野菜の値段が上がった」などということだけを取り上げていますが、そういう局所的な問題だけではないような気もします。
以前も少し書いたことのある「決定的な食糧不足」の口火が早ければこの秋にも切られるのではないでしょうか。これから来る食糧問題は、これまで何度も起きてきた食糧問題とは少し違う面もあります。
予想される食糧危機の大きな原因としては、
・国内農家の不作
・長引く経済崩壊による農家の疲弊、廃業
・海外農家の不作(一部作物の輸入の減少や停止)
などがあると思います。
もちろん、それだけではないですし、それぞれに今までとは違う環境面や外交的な理由はあるとは思うのですが、現在の社会の食べ物に関してのもっとも基本的な構造である「作って、輸送して、供給される」というシステムの崩壊が近いということかもしれません。
国内の不作関係
» 道産小麦ピンチ、低温多雨で10年来の不作(2009年7月31日 読売新聞)という記事が今ありました。
この記事の何が印象的かというと、「道産小麦は日本で使われる小麦粉の18%程度を占め」という部分です。
こちらの表をご覧下さい。
小麦の生産トップ10と日本の輸入先 (帝国書院)。2006年のものですが、日本の小麦の国内生産は当時で13%。多少変動があるだろうとはいえ、「北海道の小麦は国内産のほぼすべての小麦」といえそうです。
また、稲作気象指数の動向によると、現在の全国の作況指数は91程度となっていて、現時点で、ここ20年ほどの間で下から5番目となっています。
このグラフの一番下の紺色の線は「1993年 米騒動」のあった1993年のもの。今回、その時と同じになる可能性が農業関係者たちから言われています。
これから気温が上がって日照時間が増えるかどうかが大事なのですが、これに関してもどうも気象庁などからは、「日照時間が少ない見込み」という厳しい中期予想が出ています。
前回1993年の時は海外からタイ米などを輸入していたりしたのですが、穀物は今年(今年以降)全世界的に不足することが予想されていて、すでに、
» インド 寡雨による穀物不足を恐れ、小麦と非バスマティ米の輸出を全面禁止(7/25)
» アルゼンチン 干ばつで1世紀来初めての小麦世界市場から撤退の可能性(6/29)
など、農業大国の食糧の自国確保が顕著になっています。
日本と直接関係する国は小麦では、アメリカ、オーストラリア、カナダで、アメリカのカリフォルニアとテキサスが異常な干ばつに襲われている他はまだ作況状況はわかりませんが、食糧は世界全体を回っているものですので、仮に、これから日本国内の不作が明らかになってきた場合は、いろいろと厳しいことになる可能性はあります。
・・・まあ、とはいえ、個人的には、いずれにしても数年したら、この世には食べ物はほとんどなくなると考えていますので、それが局所的に何年か早く来るか来ないかというだけの問題でしょうが・・・。
あるいは、何か、革命的な新しい農作や食糧技術が出ることもあるかもしれませんし、未来は誰にもわかりません。
また、日照不足と気温の不安定からくる農作物の不作予想はかなりのもので、ニュースなどでは「野菜の値段が上がった」などということだけを取り上げていますが、そういう局所的な問題だけではないような気もします。
以前も少し書いたことのある「決定的な食糧不足」の口火が早ければこの秋にも切られるのではないでしょうか。これから来る食糧問題は、これまで何度も起きてきた食糧問題とは少し違う面もあります。
予想される食糧危機の大きな原因としては、
・国内農家の不作
・長引く経済崩壊による農家の疲弊、廃業
・海外農家の不作(一部作物の輸入の減少や停止)
などがあると思います。
もちろん、それだけではないですし、それぞれに今までとは違う環境面や外交的な理由はあるとは思うのですが、現在の社会の食べ物に関してのもっとも基本的な構造である「作って、輸送して、供給される」というシステムの崩壊が近いということかもしれません。
国内の不作関係
» 道産小麦ピンチ、低温多雨で10年来の不作(2009年7月31日 読売新聞)という記事が今ありました。
この記事の何が印象的かというと、「道産小麦は日本で使われる小麦粉の18%程度を占め」という部分です。
こちらの表をご覧下さい。
小麦の生産トップ10と日本の輸入先 (帝国書院)。2006年のものですが、日本の小麦の国内生産は当時で13%。多少変動があるだろうとはいえ、「北海道の小麦は国内産のほぼすべての小麦」といえそうです。
また、稲作気象指数の動向によると、現在の全国の作況指数は91程度となっていて、現時点で、ここ20年ほどの間で下から5番目となっています。
このグラフの一番下の紺色の線は「1993年 米騒動」のあった1993年のもの。今回、その時と同じになる可能性が農業関係者たちから言われています。
これから気温が上がって日照時間が増えるかどうかが大事なのですが、これに関してもどうも気象庁などからは、「日照時間が少ない見込み」という厳しい中期予想が出ています。
前回1993年の時は海外からタイ米などを輸入していたりしたのですが、穀物は今年(今年以降)全世界的に不足することが予想されていて、すでに、
» インド 寡雨による穀物不足を恐れ、小麦と非バスマティ米の輸出を全面禁止(7/25)
» アルゼンチン 干ばつで1世紀来初めての小麦世界市場から撤退の可能性(6/29)
など、農業大国の食糧の自国確保が顕著になっています。
日本と直接関係する国は小麦では、アメリカ、オーストラリア、カナダで、アメリカのカリフォルニアとテキサスが異常な干ばつに襲われている他はまだ作況状況はわかりませんが、食糧は世界全体を回っているものですので、仮に、これから日本国内の不作が明らかになってきた場合は、いろいろと厳しいことになる可能性はあります。
・・・まあ、とはいえ、個人的には、いずれにしても数年したら、この世には食べ物はほとんどなくなると考えていますので、それが局所的に何年か早く来るか来ないかというだけの問題でしょうが・・・。
あるいは、何か、革命的な新しい農作や食糧技術が出ることもあるかもしれませんし、未来は誰にもわかりません。
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洪水と干魃
2009年07月01日
文字通りの"異常"な気象と干ばつ
こんなニュースがありました。
» アルゼンチン 干ばつで1世紀来初めての小麦世界市場から撤退の可能性
今回の世界的な干ばつの深刻さが短いスパンでのサイクルのものではないことが、このアルゼンチンの小麦のニュースでわかる気がします。「1世紀来」という単語が入るタイトルからしてすごみがあります。
現在、小麦価格(先物)自体は急落していますが、これはアメリカ農務省の「小麦はたくさん収穫できるし、備蓄量にも何の問題もない」という根拠の乏しい発言によるもの。
しかし、農務省がどう言おうと今後、世界の食糧事情はかなりシビアになるものと思われます。
上のニュース記事の中で印象的なのは、農業輸出国であるブラジルが「小麦の輸入国になっている」ということで、これは、ブラジルが「中国に対しての最大の大豆の輸出国である」という点などから見ても、何ともやややこしい話ですが(農業情報研究所のこちらの5月21日付けの記事にあります)、今、世界では、食糧生産国同士で食糧を輸出入し合っている状態のようで、じきに「食糧の生産していない国はお払い箱」ということになるかもしれないです。
経済が機能している今は、日本などの農作物を生産していない国でも何とか食べ物を確保できているわけですが、もう少し時代が先に進んで、国際的な決済などに混乱が出てくると、国としての食糧の確保は非常に厳しくなるかもしれません。
この原因は基本的に干ばつによるものですが、現在も歴史的な干ばつが全世界で進行しているようです。それは、異常ともいえる気象がほぼ世界全域を覆い尽くしていることからもわかります。
最近のニュースだけでも、世界の気候はこんな感じです。
・インド 熱波続きのインド、停電と断水が追い打ち 最高気温は48度に
・中国 各地で気温40℃超え
また、中国は深刻な水不足が全国に及んできているようです。(中国、3分の2の都市が水不足)
・アメリカ 米中南部に熱波、ヒューストンで史上最高40度
アメリカは、以前にも「記録的干魃 経済むしばむ 加州、農業マヒで失業者急増」というニュースを紹介したことがありますが、カリフォルニアやテキサスなどでは干ばつが進行中のようです。
・パキスタン 熱波のパキスタン、連日気温50度以上で数十人が死亡
など、これだけ見ると「暑い」ということと「水不足」ということが目に付きますが、たとえば、ブラジルに見られるように、本来、雨がよく降る北部では干ばつ、そして、雨が降らずに砂漠化が懸念されていた南部では歴史的な大洪水というように、気候はすでに単純ではなくなっています。
異常な気象状態に突入していることは、日本の今の気候を見るだけでもわかるのではないでしょうか。水不足と激しい豪雨が繰り返しているのをニュースなどでも見ることがあると思います。
理由はともかく、世界の気流や海流が変化していきているのは確かなようで、今後も「今まで雨が降らなかった場所で洪水が起きたり(昨年のイエメンの洪水のような)、水不足など経験したことのなかったような地域で、まったく雨が降らなくなる」といったこともまだまだ他に出てくるような気がします。
予防的な対策はある程度は可能だとしても、実際には天候や天変地異に人間はほとんど対抗できない(降る雨を降らなくする方法や、暑さを低くするような方法はないということです)わけで、個人の覚悟と、食糧に関しての防衛くらいしか今はないと思います。
「今は」というのは、いずれは農業と食べ物に関しての新しい科学がきっと出てくると思いますので・・・。
ずっと後かもしれないですが・・・。
食糧の問題は干ばつだけが問題ではなく、経済不況や銀行の貸し渋りによる農家のダメージ、あとはまあ・・・アメリカのモンサント社のような暗い問題もあるわけですが、しかし、基本的には環境変動が一番の問題だとは思います。このまま気候の異常が進むと、個人の自給自足的な農業まで破壊され兼ねないからです。(モンサント社はこちらとこちらの動画など参照)
今回の食糧危機というか、食糧に関する問題は根が地球の環境変動なので、相当長引く可能性もあるかもしれません。
仮に、先日書いたようなこと、つまり、地球が現在寒冷化の中にあるなら、そのピークとされる2035年を境にして、さらに先、つまり、数十年は食糧に関して厳しいことになる可能性はあるように思います。
先日、こちらのコメント欄で紹介していただいた「食糧争奪戦争」という本を少し読んでいるのですが、アメリカでさえ、食糧配給券(Food Stamp)で食べている人が3000万人以上いるということに驚きました。しかもそれが昨年の12月の話。食糧配給券が機能しなくなるほどの状態になると、いよいよ「先進国での餓死の多発」というものが現実味を帯びてきます。
食糧自給率が非常に高いアメリカでも先はわからないわけで、経済が疲弊した時には、食糧自給できない国からは食糧は消えていくのだと思います。最近、第二次大戦中の食糧事情を書いた「戦下のレシピ」という本も読んだのですが、食べ物が消える時はあっという間に消えるようです。
解決策は・・・食べなくてもいい人間になるとか、霞を食べて生きていけるようになるとか・・・(苦笑)。それくらいですかねえ。打つ手はなさそうであります。
上のそれぞれの本は楽天などにあります。
食糧争奪戦争
戦下のレシピ
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洪水と干魃
2009年05月15日
世界に広がる干ばつ(数ヶ月後に迫った食糧の枯渇)
いっときに比べると最近ふれられることが少なくなってきたように思いますが、世界の食糧事情はこの夏、秋くらいから一気に悪化する可能性を秘めています。
本当は今現在でも全世界単位で見れば、すでに食糧は足りていないのですが、主要国等が価格を調整したり買い上げたりしているせいで、多くの国では食糧危機的な状況は見えないですが(日本などではデフレでむしろ食糧が無駄に扱われている)、実際には逼迫しているようです。
基本的にその理由は
・干ばつ
・気候の変化
・受粉生物(みつばち等)の減少
などで、食糧価格が制御できなくなるというようなインフレ現象は別の問題で、あくまで「食べ物自体の収穫が危うい状況」だと言えると思います。
日本はアメリカやカナダ、オーストラリアなどからの食糧輸入が多いですが、アメリカの干魃状況は相当深刻なレベルになっているようです。
記録的干魃 経済むしばむ 加州、農業マヒで失業者急増(フジサンケイ Business i / 2009. 05. 14)
この記事では、カリフォルニアに干ばつに関しての非常事態宣言が出ていることが書かれてあり、また、「人々は自分だけで食べていくことができなくなり、集まって暮らし始めた」という当地の農家の人の話があり、食べ物の中心地である農家で、すでに個別では食べていくことができず、自給自足的な生活スタイルが始まっている事実が書かれています。
世界でも有数の穀物輸出国であるオーストラリアやアルゼンチンなども、オーストラリアは一部では干ばつが悪化していて、また、この記事には
> 干ばつの被害を受けている地域と、雨量が多過ぎる地域があり、2極分化している。
とあり、こちらに書いたブラジルと同様、制御のきかない荒れた天候状態が続いているようです。
アルゼンチンも干ばつで穀物生産見通しに大幅な下方修正が加えられています。
厄介なのは、これらの原因のほとんどを「人類は制御できない」ことです。
全世界で起きているみつばちの大量失踪は、いまだに原因が分からず、対応不可能ですし、言うまでもなく干ばつの原因である天候を制御することなどできません。
地球上の植物の8割は昆虫などの動物によって受粉されていて、さらにその中の8割をミツバチが担当してきました。要するに「ミツバチがこの世から消えたら、食用できるほとんどの植物は消えていく運命」にあります。
干ばつの見通しについても、どこの国からも希望的な観測は聞こえてきません。
要するに、この夏、秋以降、世界の食糧流通が急速に悪くなることはほぼ確定していると思われます。それも想像以上に厳しくなるかもしれません。
それは、食料生産の不足に加えて、経済不況の問題(保護主義など)や、商品先物市場の混乱等も考えられないでもありません。それでも、価格が荒れたりしている(高いけれど手に入る)うちはまだマシでしょうが、何年かすると、一般の人には小麦などの輸入品目は手に入らなくなる可能性もないではなさそうです。
なかなか想像しづらいですが、日本から小麦や果物などの多くが消えてしまうかもしれません。(ラーメンもうどんもケーキもクッキーもお好み焼きもパンもぜーんぶ小麦粉からできています)
とはいえ、これらは仕方のないことです。
なので、今回の記事で書きたかったことは危機感を煽ることではなく、「そうなる」ということをあらかじめ知っておきましょうということです。人口などとの兼ね合いでの供給面を考えても、この先、何年も食糧不足は解決しないと思われます。
人はいろんな時代に生きますので、「食糧のない時代」というのを生きていかなければならない時もあるのだと最近は思うようになりました。食糧のうちのいくつかは「思い出の中のもの」となる日もいつか来るように思いますので、今のうちに好きなものを食べたりしておくのもいいでしょうね。私もいろいろ探して食べています(笑)。
食糧不足は今の状況を冷静に考えて、ほぼ絶対に来ます。
これは予言とか陰謀とかの話ではありません。
現実の状況と数値がそれを物語っています。
日本農業新聞などの消費や流通といった項目をたまに見るだけでも、その状況はよくわかりますよ。
本当は今現在でも全世界単位で見れば、すでに食糧は足りていないのですが、主要国等が価格を調整したり買い上げたりしているせいで、多くの国では食糧危機的な状況は見えないですが(日本などではデフレでむしろ食糧が無駄に扱われている)、実際には逼迫しているようです。
基本的にその理由は
・干ばつ
・気候の変化
・受粉生物(みつばち等)の減少
などで、食糧価格が制御できなくなるというようなインフレ現象は別の問題で、あくまで「食べ物自体の収穫が危うい状況」だと言えると思います。
日本はアメリカやカナダ、オーストラリアなどからの食糧輸入が多いですが、アメリカの干魃状況は相当深刻なレベルになっているようです。
記録的干魃 経済むしばむ 加州、農業マヒで失業者急増(フジサンケイ Business i / 2009. 05. 14)
この記事では、カリフォルニアに干ばつに関しての非常事態宣言が出ていることが書かれてあり、また、「人々は自分だけで食べていくことができなくなり、集まって暮らし始めた」という当地の農家の人の話があり、食べ物の中心地である農家で、すでに個別では食べていくことができず、自給自足的な生活スタイルが始まっている事実が書かれています。
世界でも有数の穀物輸出国であるオーストラリアやアルゼンチンなども、オーストラリアは一部では干ばつが悪化していて、また、この記事には
> 干ばつの被害を受けている地域と、雨量が多過ぎる地域があり、2極分化している。
とあり、こちらに書いたブラジルと同様、制御のきかない荒れた天候状態が続いているようです。
アルゼンチンも干ばつで穀物生産見通しに大幅な下方修正が加えられています。
厄介なのは、これらの原因のほとんどを「人類は制御できない」ことです。
全世界で起きているみつばちの大量失踪は、いまだに原因が分からず、対応不可能ですし、言うまでもなく干ばつの原因である天候を制御することなどできません。
地球上の植物の8割は昆虫などの動物によって受粉されていて、さらにその中の8割をミツバチが担当してきました。要するに「ミツバチがこの世から消えたら、食用できるほとんどの植物は消えていく運命」にあります。
干ばつの見通しについても、どこの国からも希望的な観測は聞こえてきません。
要するに、この夏、秋以降、世界の食糧流通が急速に悪くなることはほぼ確定していると思われます。それも想像以上に厳しくなるかもしれません。
それは、食料生産の不足に加えて、経済不況の問題(保護主義など)や、商品先物市場の混乱等も考えられないでもありません。それでも、価格が荒れたりしている(高いけれど手に入る)うちはまだマシでしょうが、何年かすると、一般の人には小麦などの輸入品目は手に入らなくなる可能性もないではなさそうです。
なかなか想像しづらいですが、日本から小麦や果物などの多くが消えてしまうかもしれません。(ラーメンもうどんもケーキもクッキーもお好み焼きもパンもぜーんぶ小麦粉からできています)
とはいえ、これらは仕方のないことです。
なので、今回の記事で書きたかったことは危機感を煽ることではなく、「そうなる」ということをあらかじめ知っておきましょうということです。人口などとの兼ね合いでの供給面を考えても、この先、何年も食糧不足は解決しないと思われます。
人はいろんな時代に生きますので、「食糧のない時代」というのを生きていかなければならない時もあるのだと最近は思うようになりました。食糧のうちのいくつかは「思い出の中のもの」となる日もいつか来るように思いますので、今のうちに好きなものを食べたりしておくのもいいでしょうね。私もいろいろ探して食べています(笑)。
食糧不足は今の状況を冷静に考えて、ほぼ絶対に来ます。
これは予言とか陰謀とかの話ではありません。
現実の状況と数値がそれを物語っています。
日本農業新聞などの消費や流通といった項目をたまに見るだけでも、その状況はよくわかりますよ。
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洪水と干魃
2009年05月14日
洪水カテゴリーを追加しました
思うところがあって、ブログのカテゴリーに「洪水」の項目を設けることにしました。
洪水の項目といっても、洪水の報道をメモしておくだけですが、最近、激しい洪水の報道が相次ぐようになっています。何度か取り上げたことのあるアメリカの WebBot プロジェクトの予測では、今年は世界中でさらに洪水が激しくなるとされています。
洪水そのものも厳しい災害なのですが、この洪水の増加と共に世界的な社会混乱(または困難)が増大するというというようなことが書かれてあります。
現在起きている洪水で最大のものは、ブラジルで起きているものです。
ブラジル北部の洪水で死者44人、18万人が避難(AFP/2009.05.12)
このブラジルの北部ではここ数年来まったく雨が降らずに、その干ばつの激しさから砂漠化の懸念さえあったところです。
そういう場所で洪水被害が出ている一方で、本来なら高温多湿で雨には不自由しないブラジル東南部では80年ぶりの最悪の干ばつに見舞われています。
このブラジルの現象は現在の天候の分布が少しずつ変わってきていることをわかりやすく現している事例だと思いますが、このことを最初に天候が語り始めた事例が、昨年10月のイエメンの洪水ではないかと思います。
JICAのイエメン共和国における洪水被害に対する国際緊急援助についてによると、死者は2008年10月27日時点で180名となっています。
この洪水では、世界遺産の16世紀に泥レンガで建築された「砂漠の摩天楼(マンハッタン)」という建物が倒壊しています。
ユニセフの関連ページにありますように、このあたりは「降水量が年間でも数インチに満たない」場所で、
> イエメンは、約600年間、このような熱帯暴風に襲われたことはありませんでした。
という記載があります。
この「砂漠の洪水」という事態はなかなかショッキングだったわけですが、今起きているブラジルの件や、あるいは実は洪水が相次いでいるアメリカ、イタリア(ベネチア)などの事例を見ても、まだまだ増える予感はあります。
洪水の原因は一般的には、降雨、雪解けなどによるものですが、これからは海面上昇に伴うものや津波、高波などに関係するような水の影響もあるのかもしれません。
地震と共に洪水はこれからの地球の自然の異変の中でも注目すべきことかと思われます。
洪水の項目といっても、洪水の報道をメモしておくだけですが、最近、激しい洪水の報道が相次ぐようになっています。何度か取り上げたことのあるアメリカの WebBot プロジェクトの予測では、今年は世界中でさらに洪水が激しくなるとされています。
洪水そのものも厳しい災害なのですが、この洪水の増加と共に世界的な社会混乱(または困難)が増大するというというようなことが書かれてあります。
現在起きている洪水で最大のものは、ブラジルで起きているものです。
ブラジル北部の洪水で死者44人、18万人が避難(AFP/2009.05.12)
このブラジルの北部ではここ数年来まったく雨が降らずに、その干ばつの激しさから砂漠化の懸念さえあったところです。
そういう場所で洪水被害が出ている一方で、本来なら高温多湿で雨には不自由しないブラジル東南部では80年ぶりの最悪の干ばつに見舞われています。
このブラジルの現象は現在の天候の分布が少しずつ変わってきていることをわかりやすく現している事例だと思いますが、このことを最初に天候が語り始めた事例が、昨年10月のイエメンの洪水ではないかと思います。
JICAのイエメン共和国における洪水被害に対する国際緊急援助についてによると、死者は2008年10月27日時点で180名となっています。
この洪水では、世界遺産の16世紀に泥レンガで建築された「砂漠の摩天楼(マンハッタン)」という建物が倒壊しています。
ユニセフの関連ページにありますように、このあたりは「降水量が年間でも数インチに満たない」場所で、
> イエメンは、約600年間、このような熱帯暴風に襲われたことはありませんでした。
という記載があります。
この「砂漠の洪水」という事態はなかなかショッキングだったわけですが、今起きているブラジルの件や、あるいは実は洪水が相次いでいるアメリカ、イタリア(ベネチア)などの事例を見ても、まだまだ増える予感はあります。
洪水の原因は一般的には、降雨、雪解けなどによるものですが、これからは海面上昇に伴うものや津波、高波などに関係するような水の影響もあるのかもしれません。
地震と共に洪水はこれからの地球の自然の異変の中でも注目すべきことかと思われます。
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洪水と干魃