- 壮絶な量の噴煙を噴出するイタリアのエトナ火山と19世紀以降で最長期間の噴火を続けるアイスランドのバルダルブンガが招くかもしれない欧州の寒冷化
- 中国 : 北京は大気汚染で「じきに人間が住める場所ではなくなる」という研究結果が発表される
- 火山噴火の激増:インドネシアのシナブン火山で大規模な噴火と火砕流が発生
- アイスランドのバルダルブンガの噴火の火山ガスは、2015年にヨーロッパ全体の気候パターンを変えるかもしれない
- 溶岩が町を消し去った : アフリカ西沖合いにあるカーボベルデ共和国の火山噴火により2つの町が完全に溶岩に飲み込まれる
- 将来的にアフリカ大陸が分断されると予測される大地溝帯の上に新しい溶岩湖が出現
- 夏のオーストラリアでかつてない規模のムチャクチャな雹(ひょう)嵐
- ハワイ島プナ地区でキラウエア火山噴火の溶岩による初の住宅被害が発生
- 噴火の時代:バルダルブンガ火山の噴火による「火山ガス」で多くの国民の日常生活が追いつめられてきたアイスランド
- オーストラリアの空に出現した極めて希な「彩雲」&「夏のホールパンチ雲」のコラボレーション
【これからの地球の変貌】 の記事一覧
2015年01月03日
壮絶な量の噴煙を噴出するイタリアのエトナ火山と19世紀以降で最長期間の噴火を続けるアイスランドのバルダルブンガが招くかもしれない欧州の寒冷化
▲ 12月28日の噴火の瞬間の様子。イタリアのエトナ観測サイト INGV より。
12月28日に噴火したイタリアのエトナ火山がその激しさを増していて、噴煙の増大により、航空路火山灰情報センター( VAAC )により、航空警報コードが「赤」と最高警戒レベルとなっています。
▲ エトナ火山の噴煙の様子。
航空路火山灰情報センターによれば、現地時間の 1月2日午前の時点で、噴煙は、4.5キロメートルほどの長さにまで広がっているとのこと。
そして、このエトナ火山の活動の今後の状況ですが、火山性地震のグラフを見てみますと、噴火した 12月28日が急激に上がっているのはわかるのですが、それ以降も「徐々に火山性地震が増加している」ことが示されているように見えます。
・INGV
この感じで火山性地震が増加し続けていく場合は、噴火と、それによる噴煙がさらに激しくなっていく可能性もあるかもしれません。
ヨーロッパでは、アイスランドのバルダルブンガ火山の噴火がいまだに続いていますが、アイスランドの地質についてのメディアサイト Iceland Geology によりますと、このバルダルブンガの噴火は、
アイスランドの噴火の歴史の中で、19世紀以来、最も長期間に渡る噴火となるかもしれない
ということが記されていて、そして、噴火の規模も相変わらず激しいわけでして、ヨーロッパの気候を寒冷化に導く影響を与える可能性が大きくなっています。
バルダルブンガ火山の噴火と噴煙
・Daily Mail
・Market Watch
火山の噴火が寒冷化と関係する理由については、
・太陽と火山噴火の増加が作り出す地球冷却のシステム
In Deep 2014年11月08日
という記事で、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所の気候科学者などの意見をご紹介していますが、
過去 14年間、火山の噴火による大気中への灰の噴出は増加し続けており、これは地球寒冷化の原因のひとつとなり得ることを最近の科学的研究は示唆している。
研究者たちは、1998年から 2012年までの間の 17の噴火の後の、地球の上層大気の二酸化硫黄の分子の分布状況を調べた。
結果、火山灰の分子は、むしろ地球の表面よりも、太陽光の背後に液体粒子を作っていることがわかったのだ。これは火山灰の分子が太陽光の地球への到達を遮っていること示唆している。
とあり、噴火による大気中の火山灰が増えることで太陽光が遮断されるということなどが説明されています。
イタリアのエトナ火山も現在のような大量の噴煙を排出し続ける状態が、もし長く続いた場合、同じようにヨーロッパの気候に影響を与える可能性があります。
また、上の記事には、
地球全体での火山噴火の数は着実に増え続けている。火山噴火の年間の平均数は 50から 60であり、たとえば、1990年には 55の噴火が記録されたが、 2013年は 12月5日の時点までだけで 83の噴火を記録した。
という部分もあり、今年 2015年は、火山噴火の頻発にも注目したいところです。
2013年から2014年に増加した噴火ですが、これ以上に増えるようだと、いよいよ世界的にも影響が出始めるような気がします。
2014年12月22日
中国 : 北京は大気汚染で「じきに人間が住める場所ではなくなる」という研究結果が発表される
▲ 2014年12月20日の Epoch Times より。
中国の首都北京が、大気汚染のために、このままでは「人間が住めない場所になってしまう」という研究結果が、中国の最高レベルの科学研究機関である上海社会科学院の研究者たちによって発表されました。
ちなみに、現在の中国も相変わらず PM2.5は大変濃度の高い状態が続いています。
大気汚染PM2.5予報
・pm25.jp
記事を読むまで知らなかったのですが、現在の北京の多くのビルや建物は、外からの大気の流入を防ぐために、完全な閉鎖空間となっているところが多く、また、子どもたちも「外では運動ができないため、密閉された屋内でおこなっている」のだそう。
この「日光に当たっていない」ということに問題があります。
人間の免疫力に非常に大事なものにビタミンDがありますが、これは、ビタミンD - Wikipedia によりますと、
ヒトにおいては、午前10時から午後3時の日光で、少なくとも週に2回、5分から30分の間、日焼け止めクリームなしで、顔、手足、背中への日光浴で、十分な量のビタミンDが体内で生合成される
とあり、普通の生活をしていれば、十分に体内で作られます。
太陽と人間の体内の力だけで作られるビタミンなのです。
ところが、太陽光を浴びていない生活を送り続けますと、このビタミンDが不足となってきてしまいます。ビタミンDは、カルシウムの吸収を高めますので、骨などにも大切で、極端になビタミンD不足は、
・くる病
・骨軟化症
・骨粗鬆症
などを誘発する場合があります。
そして、ビタミンDの作用として最も注目されているのは、「感染症の免疫力に関係する」ということです。
確定されていないものも含めますと、
・バクテリアやウイルスへの免疫を強める
・インフルエンザへの免疫を強める
・ガンへの免疫との関係
などや、他にうつ病などのメンタル系の病気との関係も指摘されています。
そういうことも含めて、今のままの状態では、北京というか、中国の大気汚染の激しい場所は、「もう人間の住める場所でなくなっている可能性がある」ということになるようです。
・GL Brain
冒頭の Epoch Times の記事をご紹介します。
Air Pollution Makes Beijing Nearly ‘Uninhabitable for Human Beings’ According to Study
Epoch Times 2014.12.20
研究によれば、大気汚染のため、もうじき「北京は人間の住むことのできる場所ではなくなる」
ロサンゼルスやニューヨークのような人口密度の高い街で長い期間に渡って雨が降らない時が続いた場合に、希に垣間見ることのできる大気の状態は、北京では日常だ。
中国で 2000万と少しの人口を抱える首都北京の住民は、呼吸するたびに黒っぽいスモッグが肺に満たされていく感覚を味わいながら生きている。
中国での最高レベルの人文科学研究機関である上海社会科学院の研究者たちによる最近の研究によって、北京は「ほとんど人類が住むことのできる環境ではない」ということが明らかになった。
今や北京の街中の建物の多くは特別な空気清浄機を装備することを余儀なくされており、小学生は、特別に保護されたインドア体育場でスポーツをする他はなくなっている。外で運動をすることができないのだ。
親たちは自分の子どもたちが、安全な環境でスポーツをすることを望んでいる。
ドームがなければ、学生は有害な大気汚染の中で活動しなくてはならなくなり、中国疾病管理予防センターの推計によると、大気汚染にさらされて生活した場合、平均 18歳の若者たちは、その人生の約 40パーセントを不健康な状態で過ごさなければならなくなるという。
北京の人々からビタミンDが奪われている?
北京では、すべての場所で、ビルや建物は汚染された外の大気を遮断して、完全に密閉された空間を保つよう設計を変更している。しかし、そのために、北京の市民たちは体内でビタミンDを作り出すために必要な太陽光線を浴びていない。
北京で妊娠中の女性を対象としておこなわれた研究では、対象のすべての妊婦が、ビタミンD不足であることがわかった。
これは、妊婦たちが屋外で過ごす時間を避けたために起きたことだが、妊婦の中にはサプリメントでビタミンDを摂取している人たちもいたが、その量は必要量に足りなかった。
汚染を削減する努力の中で人工雨を作り出すケムトレイルを活用する
中国政府は、過度の工場汚染と化石燃料の生産への適度な制限や取り締まりを行うと共に、大気中の汚染物質を人工雨を降らすことで減らす試みを計画している。50機の飛行機から「ケムトレイル」を大気中に噴射し、雨を降らせるというものだ。
中国は慢性的な水不足のため、1950年代以降、人工降雨に対しての多額の投資を行ってきた。今は数々の人工降雨機材と、5万人の要員がおり、中国政府は「天候との戦争」への準備はできているとしている。
2014年12月15日
火山噴火の激増:インドネシアのシナブン火山で大規模な噴火と火砕流が発生
▲ 2014年12月14日の THE WATCHER より。
最近、また噴火が増えていますが、インドネシアのシナブン山が爆発的噴火を起こし、巨大な火砕流が発生しています。
インドネシアのシナブン山は、400年間、噴火がなかったものが、2010年に長い眠りから目覚めて以来、噴火が何度か起きています。特に、今年2月の噴火では、発生した火砕流により 十数名の方が亡くなっています。
2014年2月のシナブン山の噴火の火砕流
・the guardian
このシナブン山が、12月14日に再び大規模な火砕流を伴う噴火を起こしました。
前回の噴火以来、警戒レベルが上がっているため、すでに周辺に住民等はいないはずで、人的な被害は報告されていませんが、写真だけで見ると、規模は前回の火砕流より激しいものに見えます。
この噴火についての報道をご紹介しておきたいてと思います。
Strong eruption and major pyroclastic flow observed at Sinabung volcano, Indonesia
THE WATCHER 2014.12.14
インドネシアのシナブン山で強力な噴火と巨大な火砕流が発生
ダーウィン火山灰状況報告センター( Darwin VAAC )は、2014年12月24日に、インドネシアのシナブン火山の高レベルの噴火を報告した。
航空に関しての警戒コードは一時、最高レベルのレッドとされたが、後に、噴火がやや沈静化したとして、オレンジへと一段階引き下げられた。
現地時間12月24日9特の時点で、火山灰の雲は高さ6キロメートルまで達し、北西に18キロメートルに広がっている。
この噴火では、巨大な火砕流が発生し、約 4.5キロメートルの距離を火砕流が駆け抜けた。
インドネシアのシナブン山の最新の連続した噴火は 2013年9月15日にスタートし、2014年現在も続いている。シナブン山は、2010年8月に目覚めるまで 400年間も眠りついていた。
2014年2月1日の噴火では2度の巨大な火砕流が発生し、少なくとも 14人の命を奪った。
2014年12月12日
アイスランドのバルダルブンガの噴火の火山ガスは、2015年にヨーロッパ全体の気候パターンを変えるかもしれない
▲ 2014年12月11日の英国テレグラフより。
In Deep の、
・「2015年は地獄の真っ只中」:デンマークの投資銀行サクソバンクによる 2015 年の「アウトレージな予測」から見る来年の世界
2014年12月12日
という記事で、デンマークの投資銀行サクソバンクによる『2015年の大胆予測』をご紹介しました。その10の予測は、
1.ロシアが再びデフォルトに
2.火山噴火が穀物生産を直撃
3.日本のインフレ率が5%に上昇
4.ドラギECB総裁が辞任
5.ユーロ建て社債:スプレッドが倍に拡大
6.ハッカー集団がオンラインショッピングを攻撃
7.中国が人民元を20%切り下げる
8.カカオ豆先物が1トン=5,000ドルを突破する
9.イギリスの住宅バブルが崩壊
10.イギリスは 2017年にEUを離脱
となっています。
この中で、2番目に「火山噴火が穀物生産を直撃」という項目がありますが、ここではそのページを翻訳してご紹介します。
この火山というのは、具体的には、アイスランドのバルダルブンガ火山のことで、
・噴火の時代:バルダルブンガ火山の噴火による「火山ガス」で多くの国民の日常生活が追いつめられてきたアイスランド
2014年11月11日
という1カ月前の記事でも取り上げたように、噴火以来、火山ガスの二酸化硫黄ガスが絶え間なく流出し続けており、それは現在も続いています。
下は12月13日のアイスランドの大気汚染予測ですが、風向きや風力により範囲は日々違うとはいえ、アイスランドは、常に相当な面積を二酸化硫黄ガスが覆い続けています。
・アイスランド気象庁
サクソバンクの予測では、この状態が続くと、2015年には、この二酸化硫黄ガスがヨーロッパの天候を変えてしまうとしています。
そのページをご紹介したいと思います。
この噴火が、実は過去1万年などでも例を見ない巨大な影響を与える可能性のある噴火であることが改めてわかります。
・SAXO BANK
火山噴火が穀物生産を直撃
長く噴火と群発地震が続いているアイスランドの氷底火山バルダルブンガは、その大きさがマンハッタン島ほどもある巨大な火山だ。
バルダルブンガのカルデラは急速に沈み込み、ホールローン地区( Hohluraun )の火山の下のマグマ溜まりは危険な崩壊を見せている。
この崩壊が、さらに激しい噴火を招いた場合、結果として来年の気候そのものを変えてしまう可能性を持っている。それは来年だけではなく、その先も含まれる。
現在すでにバルダルブンガの噴火は、上空に有害な二酸化硫黄ガスを噴出し続けているが、2015年には、ヨーロッパへさらに有害な雲を拡大していき、噴火はヨーロッパの気候パターンを変えてしまい、その結果として、穀物生産量が低下し、それは穀物価格の上昇と関係する。
誰もまだそのことについてふれていないが、今回のアイスランドのバルダルブンガ火山の噴火は、実は、過去1万年の中で最大規模の噴火だ。
バルダルブンガ火山の噴火の溶岩量は、1783年のラキ火山の噴火以来、最大の溶岩量を記録し、放出された二酸化炭素の量も最大であり、今後のヨーロッパの環境に大きな影響を与える。
この二酸化炭素の排出量は、フランス革命( 1787年 - 1799年)を招いたほどのパン不足をもたらした時の小麦の生産低下を招く可能性がある。
2014年12月11日
溶岩が町を消し去った : アフリカ西沖合いにあるカーボベルデ共和国の火山噴火により2つの町が完全に溶岩に飲み込まれる
▲ 2014年12月10日のスミソニアンより。
小さな島々からなっているアフリカ沖の「カーボベルデ共和国」という国のうちの島のひとつであるフォゴ島という島にあるフォゴ火山で噴火が発生し、
「噴火による溶岩が、2つの町を完全に飲み込んだ」
ことが報道されています。
上の報道では、町が残っていますが、これがどうなりましたかというと、下のようになったのです。
・The Conversation
噴火が始まったのは、11月22日のことで、それ以来、溶岩を噴出させていたものが、ついに2つの町を完全に飲み込んでしまったのでした。
溶岩は現在も下のように、町を焼き尽くした後も流れ続けています。
・Wired
ところで、この「カーボベルデ」という国名は、初めて聞く国名で、場所もよくわかりません。
調べますと、地球規模では下の位置となるようです。
そこに下のような島で構成されている国で、その中の「フォゴ島」で今回の出来事が起きました。
スミソニアンによりますと、このフォゴ火山が最後に噴火したのは 1995年のことだそうですが、今回は噴火の規模が非常に大きく、住民 1200人が避難した上に、溶岩が「島全体に流出していく」というおそれもあるのだそう。
現在までに2つの町が完全に溶岩に飲み込まれ、住宅、教会、学校なども「消えてしまった」とのことです。
1995年の噴火の際には、噴火は 56日間続いたそうですが、今の規模の噴火がそのように続いた場合、フォゴのような小さなコミュニティは壊滅的な影響を受けることになると報じています。
以前、
・ハワイ島プナ地区でキラウエア火山噴火の溶岩による初の住宅被害が発生
2014年11月16日
という記事で、ハワイ島にあるプナ地区パホア村へのキラウエア火山の溶岩の流出によって住宅が少しずつ焼失していることをご紹介しましたが、そちらも進行中であることが報道されています。
火山噴火による実質的な被害に関する報道が増え続けています。
2014年12月03日
将来的にアフリカ大陸が分断されると予測される大地溝帯の上に新しい溶岩湖が出現
▲ 2014年11月26日の The Weather Network より。
アフリカのコンゴ民主共和国にあるニアムラギラ山という活火山に「新しい溶岩湖が出現した」というニュースを見ました。
溶岩湖というのは、溶岩が湖のようにたまった状態ですが、溶岩湖で有名なのは、今回新しい溶岩湖が出現したニアムラギラ山のすぐ近くにあるニーラゴンゴ山という、やはりコンゴ民主共和国にある火山で、下のような見事な溶岩湖があります。
・Boston
そして、その近くのニアムラギラ山にも新しい溶岩湖が出来たということなのですが、どうして、このニュースが気になりましたかというと、この火山は、「アフリカ大地溝帯」という地質の上にある火山だからです。
このアフリカ大地溝帯というのは、大地溝帯 - Wikipedia によりますと、
アフリカ大陸を南北に縦断する巨大な谷で、プレート境界の一つである。
ということなんですが、それに続く以下の記述との関連です。
数十万 - 数百万年後には大地溝帯でアフリカ大陸が分裂すると予想されている。
こういう「将来的に大陸を分断するかもしれない」という場所で、火山活動が活発化しているということは、あるいは、アフリカ大地溝帯の地質活動も活発化している可能性があるかもしれないと感じたのでした。
ちなみに、アフリカ大地溝帯と今回新しい溶岩湖が出現したニアムラギラ山の位置は下のようになります。
上の Wikipedia の説明には「数十万 - 数百万年後には」とありますが、実際には地質の変化はそのようなものもではないということが最近判明しつつあります。
英国 BBC は、2010年に、「アフリカ大陸に新しい海が誕生しつつある」という内容の報道をしました。
その記事の翻訳は、 In Deep の、
・近いうちにアフリカ大陸が2つに分断されるかもしれないとの研究
2010年06月26日
にあります。
その BBC の記事の中に以下の記述があります。
何百万年というような長い単位で地球の変化を理解してきたライト博士を含む研究チームにとって、エチオピアのアファー三角帯でのこの5年間での変化の規模とスピードは驚くべきものだった。そこでは、あっという間に大陸に断裂が走り、大地がこじ開けられたのだ。
2005年に、この地で、たった10日間の間に、60kmの長さに渡り、8メートルの幅の断裂が開いた。地球内部の奥からの溶融状態の岩石が表面に上がって、大陸の分断を促しているのだ。
地下での爆発は今も続いている。そして、結局アフリカ大陸のその部分は陥没すると思われる。そして、そこには新しい海洋が形成されるだろう。
下はそのエチオピア亀裂の写真ですが、このようなものが、「たった 10日間」で作られたのです。
・BBC
地質の変化は「何百万年」という時間で徐々に進んでいくというものではなく、実際には、「突然として起きることが多い」ということがわかりつつあります。
それだけに、今回のアフリカ大地溝帯の上にある火山に新しい溶岩湖が出現したというニュースに、やや反応したのでありました。
先日も、
・米国オレゴン州に一夜にして「見渡す限りの長さの巨大な亀裂」が出現する
2014年11月29日
という記事で、アメリカに下のような巨大な亀裂が「一晩にして」出現したことをご紹介しました。
いろいろな部分で地球は急激な変化に向かっているのかもしれません。
2014年11月28日
夏のオーストラリアでかつてない規模のムチャクチャな雹(ひょう)嵐
▲ 2014年11月27日の 3NEWS より。
現在、南半球のオーストラリアは夏ですが、11月27日、オーストラリアのクイーンズランド州で、かつて経験したことのないような雹を含む嵐が吹き荒れました。特にブリスベンという町の被害は大きく、アパートなどが倒壊したり、車両が破壊されたりした様子が、動画サイトやツイッターに投稿されています。
ブリスベンの場所
雹と嵐によって屋根が崩壊した家
そのすさまじさは、下の動画などでもおわかりになるかと思います。
そして、嵐が去った後の数々の写真。
雹や倒木で破壊された車
・news.com.au
飛行場でも嵐に煽られて軽飛行機が次々と横転
強化ガラスのビル壁面もフルボッコ状態
水槽が壊れたらしい「サメが泳ぐ」ショッピングセンターの屋内
ほとんど崩壊した部屋
降った雹のサイズ
・NBC NEWS
洪水も発生して車両が水没
などと大変な被害となっているようです。
ビルの穴の状況を見ますと、ゴルフボール大のひょうが「横殴りに降っていた」ことが想像できまして、これで人的被害が報告されていないというのは驚くべきことかもしれません。
最近は日本を含めて、世界中で大きな雹が降りますけれど、ここまで建物などに対して大きな被害が出た例は珍しいです。
2014年11月16日
ハワイ島プナ地区でキラウエア火山噴火の溶岩による初の住宅被害が発生
・Daily Mail
先月、
・ハワイ・キラウエア火山の溶岩が住宅地に接近し、数日中に住民たちの避難が始まる見込み
2014年10月27日
という記事で、ハワイ島にあるプナ地区パホア村にキラウエア火山の噴火による溶岩が近づいていることを記しましたが、溶岩による最初の被害家屋が報告されています。上の写真は、金属フェンスを破壊しながら、住宅地へと進む溶岩の様子です。
キラウエア火山による住宅地の破壊が発生しているプナ地区パホア
そして、11月10日に、ついに溶岩による最初の住宅被害が発生されました。
その様子は、 ハワイのテレビ局の報道が YouTube にアップされていますが、下のような過程で、焼き尽くされてしまいました。
下の写真はその後の様子を上空から撮影したものです。
今後も、この地区の溶岩による破壊は続いていくと思われるのですが、本当に「何もできない」という状況であることがわかります。住民たちはすでに避難していて、人的被害はありませんが、このキラウエア火山の噴火の拡大がどれだけ大きくなっていくのかはわかっていません。
ちなみに、これは溶岩なので、非常にゆっくりとした動きをしていますが、「火砕流」だと、同じような熱を持つ噴出物が「時速 100キロ」などのスピードで襲ってくるわけで、上のような状況が、あっという間に起きるのが特徴です。
▲ 1990年の長崎・雲仙岳の噴火の火砕流。死者行方不明者 44名を出した大きな自然災害でした。
そして、火山の噴火は相変わらず増え続けています。
2014年11月11日
噴火の時代:バルダルブンガ火山の噴火による「火山ガス」で多くの国民の日常生活が追いつめられてきたアイスランド
バルダルブンガ火山の噴火の様子
・Mashable
今年8月から氷底噴火が続いているアイスランドのバルダルブンガ火山ですが、その噴火の勢いはまったく収まっていません。
そして、現在の最大の問題は「火山ガス」です。
ブルームバーグの11月10日の記事を引用した Ice Age Now の記事によりますと、火山ガスの汚染地域では屋外へ出ることを避けるようアイスランド気象庁から、毎日、警告が出ている他、11月4日にはガス濃度が高まったため、幼稚園の子どもたちが幼稚園から出られなくなったという出来事も起きています。
・Ice Age Now
この火山ガスの中の成分のうち「二酸化硫黄」というのが強い毒性を持っていて、 Wikipedia によりますと、
二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、せき、気管支喘息、気管支炎などの障害を引き起こす。0.5 ppm 以上でにおいを感じ、30-40 ppm 以上で呼吸困難を引き起こし、100 ppm の濃度下に50〜70分以上留まると危険。400 ppm 以上の場合、数分で生命に危険が及ぶ。高濃度の地域に短時間いるよりも、低濃度地域に長時間いる場合の被害のほうが多い。
ということで、
> 低濃度地域に長時間いる場合の被害のほうが多い。
とありますが、8月から3ヶ月以上、火山ガスにさらされている地域も多く、その地域は「拡大」しているようにも見えます。
下はアイスランド気象庁による11月11日の「火山ガスの汚染地帯予測」ですが、これを見ると、アイスランドの広範囲を火山ガスが覆っていることがわかります。
・Iceland Met Office
アイスランド当局は「火山ガス警報」を毎日発令していますが、時期的にも長期化してきていて、先行きに不安を感じる人も増えているようです。
▲ 溶岩と共に火山ガスを噴出するバルダルブンガ火山。 Bloomberg より。
噴火の先行きに関しては誰にもわからないとはいえ、現時点でマグニチュード5を越える規模の地震が頻発していることを考えると、終息には遠い感じもします。
・Iceland Met Office
上は11月9日から11月10日にかけてのアイスランドでの地震で、多くがバルダルブンガで発生しています。
マグニチュード5を越えた地震は数字で示されています。
そして、このような活動の活発化の中、ブルームバーグは、「1783年のラキ火山の噴火」との類似点を指摘しています。
この「1783年のラキ火山の噴火」については、 In Deep の、
・英国史上最大の自然災害はアイスランドからやってきた: 1783年のラキ火山の噴火
2011年09月07日
という記事に、英国 BBC の「殺人雲が英国を襲ったとき」という記事を翻訳したものを載せています。
殺人雲というのは、つまり火山ガスのことです。
その BBC の記事には、
この1783年のラキ火山の噴火では、アイスランドでは全人口の約3分の1が死亡したことが文書に残っている。
とあり、そして、死者の死因のほとんどが、火山ガスと、そして、それにより数ヶ月間降り続いた酸性雨によるものでした。
さらには、アイスランドだけではなく、
調査したグラタン教授は、イギリス全土で、ラキ火山の噴煙と火山ガスによって 23,000人の人が亡くなったと見積もった。これは、現代の英国史の中で最も大きな被害の自然災害となる。
というもので、この1783年のラキ火山の噴火は、ヨーロッパの近代史の中での最大クラスの自然災害でした。
今回のバルダルブンガ火山の噴火がラキ火山ほどの被害に発達していくとは考えにくいですが、しかし、ブルームバーグの記事では、噴火がさらに長期間にわたって続いた場合は、「アイスランドの人びとの健康被害が深刻になっていく可能性」について記しています。
主に、目、喉、肺などの炎症の可能性が高く、そして、火山ガス(二酸化硫黄)の影響を特に受けやすいのは「子どもである」という点も気になります。
なお、あまり関係ないことかもしれないですが、バルダルブンガ火山の噴火に関して、日刊ゲンダイが「専門家が警告 アイスランド火山噴火が日本列島を揺るがす」という11月6日の記事で、地震学者のである武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏の話として、
「ユーラシアプレートと北米プレートは、アイスランドの周辺で誕生したプレート。両プレートがぶつかり合っているのが日本列島です。両プレートは、地震のもとになり、火山活動との関係も指摘されている。もし、アイスランドで大規模な火山噴火が発生し、プレートに力が加わったら、そのまま日本列島に影響を与えると考えられています」
という談話を載せています。
日本も御嶽山が噴火したばかりですが、もしかすると、遠く離れた国であるアイスランドも日本も共に「噴火の時代」に突入したのかもしれません。
2014年11月06日
オーストラリアの空に出現した極めて希な「彩雲」&「夏のホールパンチ雲」のコラボレーション
▲ 2014年11月4日のオーストラリアの news.com.au より。
オーストラリアの「ウォンサギー」という町の上空で、11月3日、上のような不思議な光景が空を覆いました。
ウォンサギーという地名は聞いたことがなかったので、調べてみますと下の位置で、メルボルンなどに近い場所のようです。
目撃された範囲が非常に広かったために、各地からスマートフォンやデジカメなどで撮影された写真がツイッターなどにアップされました。下の写真もツイッターからのものですが、こう見ると迫力があります。
その後、謎の現象か UFO かとツイッターなどで騒がれ、メディアでも報道されました。しかしまあ……私は空の雲をボーッと眺めたりのが好きだったりするのですけれど、これの仕組みは見て何となくわかりました。
冒頭の news.com.au の記事にも書かれていますが、これは、
「ホールパンチ雲」という現象に「彩雲」という現象が重なったもの
と考えてよいと思います。
彩雲(さいうん)というのは下のように雲が虹色に綾取られる光学現象です。
・「彩雲」写真コンテスト
この彩雲という現象は、毎日空を眺めているとわかりますが、極めてありふれた現象で、毎日のように雲を眺めている方でしたら、数日に一度は見るものではないでしょうか。
もちろん、上のようにハッキリと虹色が出ることは多くはないですが、うっすらとした彩雲でしたら、2〜3日に1度くらいは見ます。
ただ、彩雲そのものは珍しい現象ではなくとも、雲の形状などとの組み合わせで、非常に不思議な景観を見せることがあります。下の写真は、2012年 7月に米国フロリダ州で撮影された彩雲です。
・sott.net
「ホールパンチ雲」というのは、日本語では「穴あき雲」とも呼ばれ、 Wikipedia によりますと、
穴あき雲、あるいはホールパンチ雲とは、層状に薄く広がった巻積雲や高積雲でみられる円形の隙間が開いた雲のこと。隙間の下には垂れ下がるような筋状の尾流雲(降水条)がみられることが多い。
ということで、下のような雲です。
・Doug Holland
英語の hole punch cloud で画像検索しますと、非常に多くの類例があることがわかります。
このホールパンチ雲そのものの方も単体としてはそれほど珍しくない現象かもしれないですが、下のように「光の現象」を伴ったり、あるいは「複数で出現する」と、かなりの「不思議世界」の雰囲気をもたらします。
ポルトガルで撮影された光を放つホールパンチ雲
米国サウスカロライナ州で撮影された3つ並んだホールパンチ雲
・National Geographic
そんなわけで、今回のオーストラリアの空にあらわれた不思議な「巨大な物体」は、
・彩雲
・ホールパンチ雲
が奇跡的な確率で同時に発生したものだと考えるのが妥当です。
そして、これは単なる雲と光学の現象だとはいえ、その珍しさは異常なほどだと思います。
さらに珍しいのは、ホールパンチ雲の発生には「氷点下」という状態が必要なのですが、現在、夏に向かっているオーストラリアで、どうして上空に、そのような冷たい雲粒が発生する条件が整ったのかというのも不思議です。
つまり、これは時期などの関係を絡めて考えてみても、本当に珍しいです。
そんなようなことで、今回の現象は「 UFO を目撃する方が簡単」と思えるほど稀少な自然現象だったと言えるのかもしれません。