- 中国の黄海に8年連続で押し寄せて海とビーチ全域を「緑」に染める青藻
- ブラジルのサンパウロで同地としては極めて珍しい「ヒョウが降る」という現象が発生
- 日本海で水揚げされた13匹目のダイオウイカ。室戸岬で捕獲された105匹の深海魚。そして、今後は?
- 北朝鮮北部で激しい干ばつが発生している模様
- 西アフリカのエボラ・ウイルスは「これまで知られていない新しい種のウイルス」であることが判明
- チリの「天国の谷」で起きた黙示録的な火災
- 方向性のない「無軌道な異常気象」の中にあるロシア
- 1850年から続けられている英国気象庁の気温解析データ HadCRUT4 の 160年分のデータが示すのは「地球温暖化」なのか「地球寒冷化」なのか
- 南米チリで現在起きている「1週間で 300回発生した地震」を現地の専門家たちは「破局的災害の予兆かもしれない」と考えている
- 北京の PM2.5 を含むスモッグには真菌や細菌や微生物が 1300種類も含まれていた
【これからの地球の変貌】 の記事一覧
2014年06月18日
中国の黄海に8年連続で押し寄せて海とビーチ全域を「緑」に染める青藻
▲ 6月11日の sd より。
中国では多くの海域で、ここ数年の間、夏になると毎年「藻」の大発生によって、海も海岸も「緑に覆われる」という現象が続いています。
今年もまだ6月だというのに、黄海という場所を中心として藻の大発生が報じられています。
現在のところ、藻の大発生が確認されているのは、下のあたりとなります。
▲ 黄海と山東省の位置など。
newsclip の「中国:黄海沿岸に大規模「グリーンタイド」、8年連続で被害」という記事によると、
黄海中部から山東省沿海を広範に覆う大規模なグリーンタイドは2007年以降、8年連続で発生。景観の悪化、悪臭の発生、貝類の死滅などの悪影響を及ぼし、山東省の観光業や養殖業に大きな打撃を与えている。
国家海洋局北海予報センターは6月9日、渤海と黄海北部で大規模なグリーンタイドを確認した。発生面積は約310万平方キロ、分布面積は約2万1161平方キロに及んでいる。沿岸部の山東省日照市まで約20キロ、同省青島市まで約5キロの距離にあって、現在も北に向かって範囲を広げつつあるという。
専門家によると、アオサの発生原因についてはなお研究段階で、定説はないという。しかし原因の1つとして、海域の「富栄養化」があることは間違いないとみられる。このため、沿岸部の経済活動で生み出された大量の汚染物が海に垂れ流され続けたことによって引き起こされものだとの見方が多い。
とのこと。
この記事では、「グリーンタイド」と表現していますが、これは、たとえば日本語での「赤潮」などに対応する「緑湖」( Green Tide )のことだと思われますが、簡単にいえば、海の汚染で発生した藻(アオコ)や、そのタイプのものです。
もちろん、これらアオコの大発生が汚染だけが原因かどうかはわからないですが、海への排水がこれら海洋生物の大発生に影響を与えていることは間違いないようです。
▲ 黄海に面した連雲港市の海岸に漂着した藻。に6月17日の news.cqnews より。
今後の状況は、夏の気温などにもよるでしょうけれど、それでも、年々ひどくなっていく感じもしないでもない中国の「海の緑」の本格的な発生シーズンはこれからです。
2010年頃からは毎年のように「海岸が機能しない」という下のような状態にようになっていました。
2010年7月の山東省の海岸の光景
▲ 2010年7月1日の In Deep より。
今年はどうなるでしょう。
2014年05月26日
ブラジルのサンパウロで同地としては極めて珍しい「ヒョウが降る」という現象が発生
▲ 2014年5月20日のアルジャジーラより。以下の写真はすべて同じ。
▲ 降ったヒョウの量は、ブルドーザーで清掃しなければならないほどのものでした。
ブラジルのサンパウロは、今年のサッカー・ワールドカップの開催地ですが、すでに問題が山積みとなっているのはご存じかと思います。
水不足
深刻水不足、観客に影響も W杯開幕戦のサンパウロ
共同通信 2014.05.17
6月12日にサッカーのワールドカップ(W杯)開幕戦を行うブラジル・サンパウロ州で少雨による水不足が深刻だ。雨期は既に終わっており、今後も雨が降らなければ、断水や、貯水池での藻類異常繁殖による水道水の臭いの悪化などで、W杯観戦に訪れる観光客に影響が出そうだ。
地元メディアによると、同州や周辺の降雨量は1930年代以来最低水準で、州都サンパウロで使用される水の約半分を供給する貯水池は貯水率が一時8%程度にまで低下。雨が降らない状態が続けば、W杯開幕直後ごろに底を突く可能性もあるという。
抗議デモの頻発
ブラジルW杯:反対デモ50都市で 一部暴徒化、警官スト
毎日新聞 2014.05.16
6月12日に開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会に反対するデモが15日、最大都市サンパウロなど各地で行われた。主催者側によると、各地でストライキ中の労働者らも待遇改善を求めてデモに参加し、試合を行う12都市を含む全国約50都市で実施。
一部では略奪も起き、政府は軍部隊を派遣して治安維持を図った。大会中にも各地の警官がストを行う可能性があり、順調な大会運営が危ぶまれている。
など、いろいろと問題が山積していますが、今度は「異常気象」まで加わってきています。
ブラジルではほぼ降ることのない雹(ヒョウ)が降ったのでした。
最近、いろいろなところで季節外れのヒョウが降っていて、つい先日も、
・米国ペンシルバニア州の広範囲で「テニスボールサイズのヒョウ」が降り注ぐ
2014年05月24日
という記事で、アメリカでテニスボールほどもあるヒョウが降ったことをご紹介したばかりです。
▲ ペンシルバニア州フィラデルフィアに降ったヒョウ。
今回のサンパウロのヒョウは大きさは普通ですが、量がスゴイ。
上のほうの写真のように、ブルドーザーで除去するほどのもので、20センチくらい積もった場所もあったようです。
▲ 集められたヒョウの山で遊び子どもたち。
▲ ヒョウで雪だるまならぬ「雹だるま」を作る子どもと大人。
今回のヒョウによる大きな被害はなかったようです。
また、このヒョウによって、水不足も多少解消する可能性があるということも発表されていて、まあ、異常気象ではあるけれど、自然災害というより、恩恵のほうが大きかった出来事だったようです。子どもたちも楽しそうに遊んでいるように見えますし。
それでも、やはり気候と現象のサイクルが大きく変化してきていることを示す現象であることもまた事実であるようには思います。
2014年04月28日
日本海で水揚げされた13匹目のダイオウイカ。室戸岬で捕獲された105匹の深海魚。そして、今後は?
▲ 2014年4月28日の北國新聞「能登地方でまたダイオウイカ 富来沖、全長5メートル」より、捕獲されたダイオウイカ。
今年は、深海に棲息する巨大なダイオウイカが例年には見られない数、水揚げされていますが、4月27日にまたも日本海側の石川県志賀町の沖で引き上げられました。
石川県では、4月18日にも七尾市という場所の沖でダイオウイカが水揚げされています。
最近の日本の周囲は、深海に棲む海洋生物の水揚げなどの数が、ちょっと異常な数となってきているという状態がさらに加速してきている感じがあります。
4月23日には高知県・室戸岬沖で、ホテイエソという深海魚が「 105匹」水揚げされるということも起きています。
▲ 2014年4月23日の共同通信「室戸岬沖、深海魚105匹 専門家「海域に異変か」」より。
この室戸岬では、昨年の夏にもリュウグウノツカイとサケガシラが多数捕獲されていました。
▲ 2013年9月4日の産経ニュースより。室戸岬沖の定置網で8月に捕獲されたリュウグウノツカイ。
4月23日の共同通信の記事には、北海道大学の尼岡邦夫名誉教授(魚類学)が、
「深海魚は波の動きや水温の変化に敏感。生息域に何らかの異変があり、異常な動きをしたのかもしれない」
と話していて、また、ダイオウイカに関しても、2014年1月22日の ZAKZAK 「ダイオウイカ、次々浮上の怪 地球温暖化と関連?大地震予兆か」という記事では、武蔵野学院大特任教授の島村英紀さんという人が、
「もともとダイオウイカは、南海の深海に生息している。日本海まで漂着するというのは異例のこと。海流の流れが変わっているのではないか。地震を引き起こす地殻変動との関連ははっきりしないが、地球全体に何らかの環境変化が起きている可能性がある。深海での異常が大地震への予兆であるかどうかは不明だが、警戒は怠れない」
というようなことを言ったりしています。
それと、最近、日本海の福井県越前町沖で、ふだんはかかることのないフグが大量に水揚げされています。
越前町沖でマフグ大漁の謎 定置網に例年の数十倍
福井新聞 2014.04.23
福井県越前町沖の定置網に連日、マフグが大量にかかっている。1日の水揚げが例年の数十倍もあり、漁師らは大漁に喜ぶ一方で、珍しいことだと首をかしげている。
マフグは北海道以南の日本各地に生息し、体長50センチほどで食用になる。同町内での漁獲量は例年、最も捕れる春先でも1日約200キロにすぎなかった。
小樟定置網組合の京谷宗雄組合長は「漁に携わって50年になるが、こんなことは初めて。理由は魚にでも聞かないと分からない」と話していた。
とのこと。
今回の記事に出てきた場所はそれぞれ下の位置です。
地震との関係はともかく、島村教授が言うように、
「地球全体に何らかの環境変化が起きている可能性」
というものを現しているということはあり得るとも思います。
海流の変化が根本的に変わると、気候から何からまったく変わってしまう可能性があるわけですし、何より、地殻そのものの変動の海底ではかなり頻繁に起きていると私は思っています。
そのあたりは In Deep の、
・インド・オーストラリアプレートの境界で急速な「海底隆起」が起きているかもしれない: NOAA のグラフが示した異常な水深変化
2012年12月05日
という記事で、瞬間的に水深が変化しているということが当時、観測されていたというようなことを含めて、どうも 2012年頃からいろいろと海底の異変が続いているようだからです。
▲ 上記の記事より。
アメリカでも昨年から今年にかけて、太平洋沿岸で、相次いでリュウグウノツカイや、深海魚が打ち上げられていることを、
・カリフォルニアの海岸近くで体長 5.5メートルの巨大リュウグウノツカイが発見される
2013年10月16日
・アメリカで深海に棲息する超巨大エイが捕獲される
2013年11月27日
などの記事に記したことがありますが、世界の海流、あるいは海底がどのような変化が起きているのかはわからないですが、それがそのうちハッキリとしてくる時はそれほど遠くないように思います。
2014年04月23日
北朝鮮北部で激しい干ばつが発生している模様
▲ 2014年4月22日のラジオ・フリー・アジア韓国より。
北朝鮮の話題というと、4度目の核実験がおこなわれるのではないか、ということや、あるいは、「北朝鮮の国営放送で、金正恩氏の子ども時代の写真が初めて報道された」とかいうものだったりします。
朝鮮中央通信が4月21日に放映した金正恩氏の幼少期の写真
▲ 2014年4月21日のウォールストリート・ジャーナルより。
しかし、それらとは別に、北朝鮮に深刻な「干ばつ」が訪れているようです。
昨年は北朝鮮は記録的な豊作でしたが、今年は種まきの時期の春の時点から干ばつに見舞われているとのこと。
最初に貼りましたラジオ・フリー・アジア(自由アジア放送)の記事からご紹介したいと思います。
記事の中に出てくる地域、
・咸鏡北道(ハムギョンプク道)
・両江道(リャンガン道)
・咸鏡南道(ハムギョンナム道)
・慈江道(チャガン道)
は下の丸で囲んだ地域で、主に北朝鮮の北部が干ばつに見舞われているようです。
▲ 北朝鮮料理より。
ここから自由アジア放送の記事です。
北朝鮮、激しい干ばつのため種まきも難しく
自由アジア放送 2014.04.22
農家の人々が畑を耕す時期になったが、北朝鮮では深刻な干ばつと昼夜の大きな温度差により、種まきすら難しい状況となっていることが最近知らされてきている。消息筋によれば、農民たちは毎日、空を眺め、今年の農作業に不安を語る。
自由アジア放送と連携している咸鏡北道(ハムギョンプク道)の消息筋は、4月19日、「今の気候の状態が続くと、農作物だけではなく、人も生きていけない」と表現した。
国境沿線に位置する咸鏡北道、茂山(ムサン)、会寧市(フェリョン市)一帯は、3月末頃に霧雨が少し降っただけだという。空には雲がいつも多く、雷が発生する時もあるのに、雨そのものは数滴ほどしか降らないと消息筋は述べる。
咸鏡北道では、4月12日前後から耕耘が始まり、5月1日には種まきが開始されることになっているが、土地が種まきに適しておらず、芽が出るかどうかわからないと付け加えた。
両江道(リャンガン道)の消息筋も「吉州(キルジュ)以南の地域は干ばつがひどすぎて、小麦、大麦が黄色く枯れている。今すぐにまとまった雨が降らなければ、今年の農作業はすべて台無しになるだろう」と20日、明らかにした。
それとともに、咸鏡南道(ハムギョンナム道)の協同農場は、干ばつがひどすぎ、まだトウモロコシを植えていないと言った。 それでも、吉州以南の地域に比べると、両江道はこれまで雨が数回降っており、「マシな方だ」と述べる。
一方、消息筋は、深刻な干ばつだけではなく、昼夜の大きな温度差も全体的な農作業を困難にしていると指摘した。
4月21日に連絡が届いた慈江道(チャガン道)の消息筋は、「続く干ばつと、昼夜の大きな温度差で、早生種のトウモロコシの葉が全て虫食いのようになっている」と言った。 これは作物が正常に成長していないことを意味しているという。
このような状況を伝えた消息筋は、「今年の経済で最も打撃があるのが農業になるのではないか」と嘆く。
「今年は農作業がすべて台無しになるのではないかと農民たちは心配している」と、先行きの明るくない今年の北朝鮮の農業事情を強調した。
タグ:北朝鮮の干ばつ
2014年04月18日
西アフリカのエボラ・ウイルスは「これまで知られていない新しい種のウイルス」であることが判明
▲ 2014年4月17日の Fox News ( AP ) West Africa Ebola virus is a new strain より。
過去記事の、
・アフリカのエボラ・ウイルスはギニアからの感染拡大ではなく「同時多発」で発生していた可能性
2014年04月05日
の中で、ギニアでのエボラ出血熱の発生の後、隣国リベリアでエボラ出血熱を発症した患者はギニアとの接点がまったくないことが確認されたことを記しました。
これによって、リベリアのエボラ・ウイルスが「独立したウイルス」である可能性が高まっていることしましたが、最新のウイルスの解析で、ギニアとかリベリアとかという問題を越えて、
・現在、西アフリカで流行しているエボラウイルス自体が、これまでに知られていなかったまったく新しい系統の種だった
ということがわかりました。
このあたり、パンスペルミアという概念などを交えながらの話も書きたいところですが、ここではそれは抑えまして、エボラ出血熱の現況について。
エボラ出血熱:4月17日現在の現状
▲ 2014年4月17日のボイス・オブ・アメリカ Ebola Outbreak Death Toll Rises to 135 より。写真の女性は、エボラ出血熱を発症し、回復したギニアのローズ・コモノ( Rose Komono )さん。
世界保健機関(WHO)の最新の報告によりますと、西アフリカのエボラ出血熱での死者数は 4月17日現在、少なくとも 135人にのぼっています。
内訳は、ギニアで 122人が死亡、リベリアで 13人が死亡ということになっていますが、 WHO は、現在、ギニア、リベリア、シエラレオネにおいて、他の 200以上の「疑い例」を調査しているということで、結果次第では、患者数、死者数共に大幅にアップすることもあり得ます。
エボラ出血熱の流行地域そのものは、以前の記事に載せた下の地図から変化していません。
感染疑い例が6件発生したマリでは、その患者たちはエボラ出血熱に陰性と判定され、マリでは感染者はいないとされています。
ただ、上の地図に出てくる多くの国において、政情的にも国家のシステム的にも不安定な国も多く、都市部はともかくとして、西アフリカ各国の「地方」からの情報がどれだけ WHO にまで届いているのかはよくわからない面もありそうです。
いずれにしても、現在のところは、感染者、死亡者共に緩やかなカーブではありますけれど、増え続けているという状態です。
2014年04月15日
チリの「天国の谷」で起きた黙示録的な火災
▲ 2014年4月13日の英国 Mirror Apocalyptic forest fire rages in Chile killing two and leaving hundreds homeless より。
南米チリの世界遺産都市である「バルパライソ」という町の近郊の山で、4月12日に大規模な山火事が発生しました。
確かに大規模な火災だとはいえ、世界中で大きく報じられる理由は、この世界都市遺産である町の「特徴」にあるのだと思います。
かわいらしい町、なのです。
火災の前のバルパライソの風景
▲ Vayaadventures より。
Wikipedia によりますと、
バルパライソはチリの首都サンティアゴに近い港町。国会が所在し、チリの立法首都の役割を果たしている。
Valは英語のValley、paraísoは英語のparadiseとほぼ同義で、日本語に訳すと"天国の谷"といった意味である。
迷路のように入り組んだ歴史のある美しい街並が2003年に、ユネスコの世界遺産に「バルパライソの海港都市とその歴史的な町並み」として登録された。
とのこと。
▲ Excellent Worlds より。
上のそれぞれの写真のような、絵画のような色彩と海をと山を同時に持つこの町が、下のような状態となってしまったのでした。
▲ 2014年4月13日の Mirror より。
報道に「終末的」とか「黙示録的」というタイトルがつけられるのもわかります。
そして、火災が収まった後は、町の一部が「以前とは違うもの」となってしまっていたのでした。
火災後のバルパライソ
▲ 2014年4月14日の AFP 「南米チリの大火災 11人死亡、1万人避難」より。
美しい場所や聖地と呼ばれるような場所で地獄のような絵図が繰り広げられる光景を昨年以来よく目にします。
タグ:バルパライソの火災
2014年04月08日
方向性のない「無軌道な異常気象」の中にあるロシア
130年の記録を塗り替える吹雪に見舞われたモスクワ
▲ 2014年4月1日の Carfactum より。
ロシアでは、現在、各地でさまざまな携帯での大変な異常気象に見舞われているようです。
モスクワは、今年大変に暖かい冬が続いていたのですが、4月1日に突如として冬に戻り、その時の吹雪は「 130年間の降雪記録を更新」してしまったのだそう。
ロシアの声によれば、
4月1日にモスクワに降った雪は、降雪量において、ここ130年間で最大のもので、たった数時間で春の装いをまとっていた首都を、あっという間に冬将軍の支配下に逆戻りさせた。
とのこと。
しかし、その一方で、シベリアなどを含めたいくつかの地域では異常に暖かい状態が続いています。
100年の記録を塗り替える暖かさを記録したクラスノヤルスク
▲ 2014年4月3日の KRSK より。
これも、ロシアの声によると、
東シベリアのクラスノヤルスクなどでは 22℃が記録された。こうした4月としては異常な暖かさにより森林火災が発生、シベリア南部や極東ではすでに数十ヘクタールのタイガ(シベリアの密林)が炎に包まれた。
とのことですが、調べて見ると、他の地域でも森林火災が発生しており、非常事態宣言が出されている地域もありました。
東シベリアのブリヤート共和国イェラフニンスキ地区の森林火災で非常事態宣言
▲ 2014年4月7日の sibinfo より。
ブリヤート共和国というのはよく知らなかったのですが、下のようにバイカル湖のあたりにあるロシア連邦の共和国だそう。
▲ Google ブリヤート共和国より。
上に出てきた、それぞれの場所の位置関係は下のようになります。
ロシアは現在、政治的なほうでの話題が多いですが、異常気象に関してもアメリカやヨーロッパに負けてはいません。
アメリカは相変わらず寒さと大雪のほうの異常気象の報道が多く感じますが、ロシアのほうは「無軌道な気温と天候」という感じとなっていて、こういう報道を見ているだけでも、「今年も穏やかな気候というわけにはいかなそうだなあ」としみじみ思います。
いろいろな意味で、現在のロシアというのはこれからの地球の方向を予測させる存在となっているのかもしれません。
2014年04月07日
1850年から続けられている英国気象庁の気温解析データ HadCRUT4 の 160年分のデータが示すのは「地球温暖化」なのか「地球寒冷化」なのか
今回は HadCRUT4 という、聞き慣れない言葉が出てきますので、最初にその説明を英国気象庁のサイトなどから要約します。
HadCRUT4
英国気象庁が英国イースト・アングリア大学と共同でおこなっている「地球の地表気温」の月ごとの数値を計測しているデータで、1850年 1月から続いている地球の気温データとしては最も古くからデータ取得が続けられているものひとつ。
つまり、1850年からの 164年間の地球の毎月の気温がデータ化されているというものだそうです。HadCRUT4 という単語の読み方はわからないのですが、普通に読むと「ハッドクラット・フォー」ということになりそうですが、まあ、何とも言えないですので、以降も英語のまま記させていただきます。
そして、昨日の科学系ブログの sunshine hours に、下のような記事が出ていました。
▲ 2014年4月6日の sunshine hours より。
この数値はデータ化されたもののようで、実際の気温の数値ではないですが、
・数値が高い方が気温が高く、数値が低い方が気温が低い
ものではあります。
上の英国気象庁の HadCRUT4 の数値では、
・1878年 2月の数値は 0.403C
で、
・2014年 2月の数値は 0.299C
となっていることを指摘しているようです。
今から 136年前の2月のほうがはるかに暖かかったと。
実際に、英国気象庁の HadCRUT4 データを見てみました。
この HadCRUT4 のデータは下のような数字の羅列が 1850年からの毎月の気温に関してのすべての数値が並ぶという、ものすごいものです。
上で指摘されている 1878年 2 月
今年 2014年 2月
まあ、これだけを比較しても仕方ないような気はしますが、今回初めて、この世界の約 160年間の気温の変化というものを見てみましたが、「温暖化である」とか、「寒冷化である」とか、そのような方向性を見いだすというものよりは、
・気温は時としてムチャクチャな変動を起こしてきた
ということがよくわかるもののように感じます。
たとえば、同じ2月を例にとれば、最近の例では、下のように、2001年が 0.318 なのに、翌年はその倍のデータ数値である 0.691 になっていたりします。
あるいは、1800年代の中盤には、下のように「マイナス」の数値がずっと並んでいたような時代もあったようです。
ただ、これは「意図的にデータ数値を抽出して使えば、地球温暖化でも、地球寒冷化でも、どちらの方向にでも理論を進ませることができるかも」というような気はしました。
地球の気温の変化の歴史に興味のある方は HadCRUT4 のデータを見られてみるのもよろしいかと思います。
URL は、
http://www.cru.uea.ac.uk/cru/data/temperature/HadCRUT4-gl.dat
となります。
私は温暖化であるとか、寒冷化であるとか、その学説的な根拠にはあまり興味はないですが、これ以上、気候がカオスと化していくと、今年あたりからそろそろ壊滅的な影響が大きく出てくることはやや気になっています。
2014年03月27日
南米チリで現在起きている「1週間で 300回発生した地震」を現地の専門家たちは「破局的災害の予兆かもしれない」と考えている
▲ 2014年3月26日のアメリカ NBC ニュース Experts in Chile Fear Catastrophe as 300 Quakes Hit in One Week より。
マグニチュード4.5以上の地震だけでも40回を越えている
チリで現在、異常な地震活動が起きています。
南米のチリは環太平洋火山帯にほぼ全土が含まれているという、日本とよく似たような地質状態の上にある国で、日本同様、地震が多い国です。
▲ 環太平洋火山帯。日本とチリは太平洋をはさんで、対極にある「同じような土地の上にある国家」といえます。
日本同様、巨大な地震も多く、20世紀からの巨大地震上位5の地震は下のようになっていて、1960年の「チリ地震」が現在でもマグニチュードでは、近代世界の中で発生した地震の中では最大のものとなっています。データは、 Wikipedia からです。
1 チリ地震 マグニチュード 9.5 / 1960年5月22日
2 スマトラ島沖地震 マグニチュード 9.3 / 2004年12月26日
3 アラスカ地震 マグニチュード 9.2 / 1964年3月28日
4 アリューシャン地震 マグニチュード 9.1 / 1957年3月9日
5 東北地方太平洋沖地震 マグニチュード 9.0 / 2011年3月11日
5 カムチャツカ地震 マグニチュード 9.0 / 1952年11月4日
そのチリで、この1週間で「 300回以上の地震が発生する」という出来事が起きていて、地震の規模そのものは大きくないものの、「このようなことは前例がない」として、チリの地震学者、あるいはチリ政府も、「何か起きるのではないか」と懸念しているようです。
これで何事か起きた場合、カムチャッカの火山活動や、日本の地震活動などの状況によっては、環太平洋全体に何か大きな動きが出ているような可能性も浮上してきてしまうのかもしれません。
アメリカ NBC ニュースの内容をご紹介します。
Catastrophe as 300 Quakes Hit in One WeeK
NBC 2014.03.26
300回の地震が1週間のあいだに起きているチリで、専門家たちがカタストロフ(破局的災害)の発生を恐れている
▲ チリ北部沖で過去1週間に発生したマグニチュード 4.5以上の地震を示すアメリカ地質調査所( USGS )のデータマップ。
チリ北部の海岸で1週間の間に 300回以上も発生している地震に対して、地震学者たちは、長期的な視点での災害の前兆かもしれないと警告している。
これらの地震のほとんどは、大地上では体感できないほど小さな規模のものだが、海外沿いの地域に住む人たちの中には、1日に十数回の震動を感じている人たちもいるという。
これらの一連の地震の膨大なデータを分析する専門家たちが増えている。
そして、あるいは今回の地震活動は、この地域で 137年ぶりとなる壊滅的な地震の発生の徴候かもしれないと心配している。
1877年にチリ沖で起きたマグニチュード 8.5の地震では、ハワイや日本にまで到達したほどの致命的な津波が発生して、何千人もの人々がの命が奪われた。
チリ大学地震学センター次長は、
「これは非常に珍しい現象で、私たちは何がこの現象を引き起こしているのかを見いだそうと努力しています」
と述べる。
アメリカ地質調査所( USGS )による分析では、過去7日間にマグニチュード 4.5よりも強い地震がこの地域で 41回起きたことを示した。
チリは 4000キロメートルの海岸に沿って、ナスカプレートと南米プレートが横たわっている場所にあり、世界で最も地震が多発する国のひとつだ。
2014年03月09日
北京の PM2.5 を含むスモッグには真菌や細菌や微生物が 1300種類も含まれていた
▲ 2014年2月7日の中国 SOHU より。
中国の PM2.5 を含むスモッグは今では世界的に有名で、日本にもかなり流れてきてはいるのですが、最近の北京の大学の研究チームから、「北京のスモッグに肺疾患の原因ともなる菌を含めて、1300種類の微生物が含まれている」という研究論文が、科学誌に発表されたのだそう。
ゲノム解析で、ひとつひとつの微生物の種まで特定した本格的な研究で、これにより中国の大気汚染は、「化学汚染+生物的汚染」というふたつの状態であることがわかりました。
もっとも、どの国の大気にも微生物が含まれているのは当然ですが、 1300種類という数と、そして、疾病の原因となるものが多く含まれているというのが問題だったようです。
まあ・・・中国の大気は PM2.5 なども含んだまま、日本にもかなり流れてきているわけですが、微生物のほうも運ばれてきていたりするのでしょうかね・・・。
普通の人にはそれほど影響のないものであっても、小さな子どもや肺疾患、あるいはアレルギー系の体質の人には、日本でも他人事だとは言えない状況となってきているようです。
今回は、米国のデジタル・ジャーナルの記事を翻訳しました。
ここからです。
Beijing’s thick smog is full of microbes
Digital Journal 2014.02.08
北京の厚いスモッグは微生物だらけ
北京を厚く覆うスモッグの中から、アレルギーや肺疾患に関連するいくつかの種類の微生物を含む約 1300種の微生物が検出された。
中国の科学者たちは、北京の空を厚いマントのようにカバーする大気のようなスモッグの生物的な構成を識別するために、ゲノム配列を利用している。
彼らの分析では、スモッグから 1300種類ほどの微生物が検出されたという。
これらの種の大部分は無害であると考えられるが、いくつかは、ヒトにおいてのアレルギー、および呼吸器疾患に関連している。
分離株の中には、肺炎の原因となる肺炎連鎖球菌やアスペルギルス症を引き起こす真菌アスペルギルス(コウジカビ)、そして一般的に糞便中に見られる様々な細菌が含まれていた。
微生物は健康への影響において重要な役割を果たし得るという証拠が増えており、これは重大な出来事だといえる。
研究グループの一人の中国北京の清華大学のティン・ツー博士は、
「研究では、種のレベルでの抽出と識別が行えました。そして、これらは私たちが毎日吸い込んでいるものなのです」
と言う。
今回の調査結果の論文は、科学誌 エンビロンメンタル・サイエンス・アンド・テクノロジー( Environmental Science & Technology )に、「吸入される可能性のある北京の PM2.5 とPM 10 の重度の汚染スモッグの中の微生物」( Inhalable Microorganisms in Beijing’s PM2.5 and PM10 Pollutants during a Severe Smog Event )のタイトルで掲載される。